死亡代行サービス   作:ダイヤモンドリリー

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4120字。

今回も3日分です。


22日目/24日目/26日目

2016年10月21日

 

「なんで車突っ込んできたんだ...外出なけりゃよかった」

 

まぁ外でなくても何かしらの要因で死んでるんだろうけど。

 

「はぁ...今度はどんな人なんだい?」

 

記憶を覗く。

 

「銀行員かぁ...絶対強盗くるパターンじゃん。人生で何回強盗に遭えばいいんだ...いやこの人生じゃまだなってないのか」

 

そんなことはどうでもいい。死ぬまではこの人の人生を出来るだけ再現しなければならない。早く記憶を読んで仕事を覚えなければならない。朝ご飯を作る時も食べる時も、出勤する時も記憶を読み続け、仕事を覚えた。

 

(できれば難しい仕事はしたくないんだけどなぁ。まぁ頑張りますか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もなかった。いや、すっごいストレス溜まることは何回もあったけど、強盗に遭うとかは流石になかった。

 

「それじゃあ俺どうやって死ぬんだろ」

 

これから家に帰るまでの間に死ぬんだろうか。家で死ぬなんてことはあまり考えられない。

 

「朝日さん、明日休みですし飲み会行きましょうよ」

 

「え、ああ、そうだな。俺も行くよ」

 

なんか飲み会に参加することになった。銀行員って飲み会多いって聞いたことあったけどほんとに多いんだな。

 

「おっ、珍しいねぇ朝日さんが飲み会参加だなんて。いつも来ないのに」

 

(え、マジか。なんで断ってたんだ?)

 

記憶を覗く。どうやら、酒にあまり強くないため断っていたようだ。

 

(今から断るのも不自然だよなぁ。しょうがない。行くしかないよな)

 

つい社畜時代の癖で了承してしまった。まさか飲み会を断ることができるなんて思わなかった。先に記憶を読んでから答えればよかったなぁ。

 

「よし、これで今回は全員参加だな。じゃあ早速行くぞー」

 

そうして、俺たちは居酒屋へと入っていった。

 

「よーしジャンジャン頼め!」

 

部長がそんなことを言っていた。

 

(うん。多分だけど死因わかったわ。急性アルコール中毒だろどうせ)

 

酒に弱いってことはそういうことなんだろ。だから出来るだけ酒は飲まないようにしないとな。

 

「よーし朝日も飲め飲め!」

 

「あはは...じゃあいただきます」

 

まぁ回避できないとは思ってたけど。

 

「おお!いい飲みっぷりじゃないか!ほらもっともっと!」

 

あ、ダメなやつだこれ。初めて来てくれたからみんな喜んで飲ませてくる。そんなに無理やり飲ませたらダメだってのに...俺が死ぬことでそのへん改善してもらいたい。

 

「うぷっ!気持ち悪」

 

「お、おい大丈夫か」

 

…流石に酒に弱すぎるでしょ。常人ならまだ全然平気な量だぞ。めっちゃ気持ち悪い。

 

(オ゛エ゛ッ!まずい喉に詰まった呼吸ができない!)

 

意識が混濁しているため助けを求めることすらできない。息をすることができず、そのまま死ぬこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年10月23日

 

「ううっ、まだ気持ち悪い...死ぬにしてもこの死に方は嫌だわやっぱり断っとけばよかった」

 

自分の嘔吐物で死ぬのなんて経験したくなかった。

 

「なんか食べて味リセットしよう...よし!」

 

とりあえずその辺にあったお菓子を食べ、口直しをする。

 

「それじゃあ早速記憶を...消防士かぁ。死因確定かな」

 

消防士なら多分焼死でもするんだろう。短絡的な考えだろうか。

 

「さっさと仕事に行かないとな」

 

ご飯を食べ荷物を用意する。大変そうな仕事だがしっかりと代わりを務めてみせよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やばい。仕事が辛すぎる。今までは肉体労働なんてしてこなかったから訓練だけで死にそうになる。

 

(こんなにも辛いだなんて...これ毎日やってるなんてすごいなぁ。身体能力的には問題ないんだけど精神的に辛い)

 

車両の点検やさまざまな訓練にトレーニング。思い返すだけでも嫌になってくる。

 

(ところで俺はいつ死ぬんだろう。もう夜の11時過ぎてるぞ)

 

今は仮眠の時間だ。と言っても眠る気にはなれないが。残った2時間でどう死ぬことになるんだろう。

 

(もしかしたら必ず死ぬってのは間違ってたのかな。だったら...ああやっぱりこうなるのね)

 

突然消防署中に指令音が鳴り響く。

 

(さてさて、お仕事頑張りますか)

 

急いで準備をして消防車に乗り込む。消防車は火災発生現場へと移動し出す。

 

「現場は三丁目の一軒家。周りの民家に燃え移る可能性はない。速やかに現場に急行し、消火作業に入るぞ!」

 

隊長が号令をかけた。

 

(これくらいで俺が死ぬとは思えないな...これくらいとか言っちゃダメか。人の命と財産がかかっているんだ)

 

「到着だ。急いで消火栓にホースを繋げ!」

 

消防車から降りてホースを手にあたりを見渡す。消火栓はどこだ...ない⁉︎いくら探しても消火栓やそれに準じたものは見つからなかった。

 

「隊長!消火栓がありません!水の補給はできません!」

 

「まずいな。応援を呼べ!今の水量では消化前に水が底を尽きるぞ!」

 

放水を続けるが火の勢いは止まることを知らない。このままじゃ家全部燃え尽きるぞ。家の中にはもう誰もいねぇよな。

 

「結衣...結衣!」

 

「あっ、ちょっとそこの人止まって!中には入らないで危険です!」

 

「やめて止めないで!中に娘が...結衣がまだ残ってるんです!」

 

「な、なんですって⁉︎」

 

くそっまだ中に人がいやがったのか。まずいぞただでさえ消化しきれないってのに!

 

「隊長!まだ中に子供が1人!」

 

「くっ!でもまだ中に入るのは危険だ!応援が来るまで...」

 

「その前に死んじゃいますよ!」

 

放水を続けるが火の勢いは逆にどんどん増していく。これ以上やっても止められないし、じきに水がなくなってしまう。

 

(子供を助けるか...いやでも)

 

今の時間は11時55分。日付はあと5分で変わるのだ。もし、このままずっとここにいたのなら、もしかしたら日を跨ぐことができるかもしれない。

 

(でもじゃねぇ。ここでやらなきゃ誰がやるってんだ。行ってやらぁ!)

 

「お前!中は危険だ!行くんじゃない!」

 

「子供助けに行ってきます!」

 

隊長の静止の声を振り切って民家へと駆け出し、燃える民家の中へと突っ込んだ。

 

(もしここで何もしなくて生き延びれたとしても、絶対に俺は後悔する!誰も行かないんだったら、死ぬことが確定している俺が行ってやる!たとえ俺じゃなくたって、この人だったらそうするはず!)

 

第一、日付の変わる直前になんの前触れもなく死ぬ可能性だってあるのだ。生き残れるかもしれないという可能性と子供1人の命は天秤にかけることはできない。

 

(クソ熱い!防護服あっても焼き死にそうだ)

 

急いで家中を駆け回り結衣と呼ばれた少女を探し回る。下の階はもうほとんど火が回ってしまっている。だったら2階にいるのだろうか。急いで階段を探す。

 

(階段あった...なに⁉︎こんなところにいたのか!)

 

階段を登ってすぐのところに少女が倒れていた。一人で逃げようと階段にたどり着いた時に力尽きてしまったのだろうか。

 

(よかった。まだ息はある)

 

呼吸はしていたが、煙を吸っているだろう。急いで病院に連れてかなければならない。

 

(急いで外に...チッ!一階はもう通れないか)

 

先ほどよりも火の勢いが増しており到底一階からは脱出できそうになかった。2階から脱出するしかないか。

 

(二階から外につながる場所は...あそこのベランダしかないか。ああくそ閉まってやがる)

 

ただ開ければいいだけだと思うかもしれないが、バックドラフトの危険があった。窓を開けた瞬間に空気が入って急激に燃え上がってしまうだろう。

 

(くそ!他に二階からでれるところはない...やるしかないか!)

 

「隊長!二階にある窓の前に来てください!そこから脱出させます!」

 

『っ!わかった...準備完了だ。いつでもいいぞ』

 

どうやら俺のやろうとしていることがわかったようだ。しっかり受け止めてくれよ。

 

「っ!オラァ!」

 

俺は窓を勢いよく開けると、バックドラフトが起こる寸前に抱えていた少女を窓の外に投げ飛ばした。指示はちゃんとしたし隊長が受け止めてくれるだろう。俺は見届ける時間もなくバックドラフトに巻き込まれて焼死することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年10月25日

 

(助けた...なんとか助け出せた...よかった)

 

自分の命と引き換えではあったがなんとか助け出すことができた。

 

(多分ニュースになってるんだろうなぁ...見るのはやめよ)

 

もし少女はもうすでに手遅れだったら、もしそのニュースを見て少女が助かっていないなんてことを知ってしまったら、俺は心が折れてしまうだろう。だから、見るのはやめた。

 

(今度はどんな人に...)

 

「おじいちゃん起きた?ご飯持ってきたよ」

 

「え、ああ、ありがとうね」

 

どうやら老人らしい。久しぶりだな。

 

「はいあーん」

 

孫らしき少女にあーんをされた。そこまでひどい状態なのか。手足があまり動かなかった。しょうがないので少女に食べさせてもらう。ちょっと気恥ずかしい。

 

(ああ、もう90歳過ぎてるのか。そりゃ動けなくて当然だな)

 

記憶の抜け落ちはそこまででもない。あまりボケてはないみたいだけど珍しいな。90過ぎてて頭が冴えてるの普通にすごい。その代わりに体の方はあまり動かなかった。流石に老化が進んでるようだ。

 

(この感じ...もういつ老衰死してもおかしくないな。やっぱりその日のうちに必ず死ぬのかな)

 

今回はもう無理そうだが今度実験してみてもいいかもしれない。どうにかして死なないように一日を過ごしてみるのだ。それでも死んでしまうような予感はするが。

 

(ああ...やばいすっごい眠い。多分寝たら死ぬんだろうなぁ。いやでも最近自分で立てた予測が悉く外れてるし、もしかしたら違うかもしれない。うん、眠いしもう寝ちゃおう)

 

起きていても何かできるわけじゃない。暇だしさっさと寝てしまうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか、とても、息が苦しい。咄嗟に目を開ける。

 

(首絞められ...⁉︎なんだよこれ⁉︎)

 

男の人に首を絞められていた。なんなんだよこれ誰だよお前。

 

(お前は...娘の夫か。俺の介護に疲れてってところか。身勝手なやつだな)

 

まったくひどいもんだ。そんなことで人殺しをするなんて人生を棒に振っているようなモンだ。

 

(はぁ、やっぱり死ぬんだね)

 

体が動かないため抵抗することも出来ず、そのまま呼吸ができずに死ぬことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部屋にこもって仕事だけしてるのも困ったものね」

 

「次変なことしたら呼びつけて叱ってやらないと」




死因って色々あるけどそろそろ被りが出てくるようになりそう。
毎回人生を考えるのも大変ですね。
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