「なんかやたら強いモブいたよね」って言われたいじゃん 作:わなびさびわなびのわなび
第一次妖精化複製計画を失敗に終わらせた
イベント、死の精霊。
突然、
なんの告知もなく行われたのを覚えている
簡単にこのイベントを表すなら
精霊たちによるプレイヤー虐殺ショーである
場合や相性によれば、高レベルのボスですら一撃で倒せるレベルの精霊たちまでもが
無差別にプレイヤーを襲い始めたのである。
それはもう、ゲームだと言うのに恐怖で、またあまりにも理不尽なもので、
初心者、中級者、上級者関係なく、三日三晩そのイベントが続き
イベントボスである、精霊姫を、
トップランカーの軍団が課金やらNPCやらを総動員し、何とか決着をつけたのであった。
このイベントにより
sword &magicは、苦情の連絡が絶えず
連日、連夜アンチスレが建てられまくり
開発者が死の精霊は失敗だったとも語らせた伝説のイベントとなった。
何が言いたいかと言うと、
この世界で死の精霊イベントが起きるかはわからない。
しかし
起きた場合、目の前にいるムゲンという可愛らしい精霊は確実に裏切るのである。
そうなったら自分は死ぬ。確実に死ぬ
「なんじゃ、お主、ポカンとした顔で見上げおって、ん?」
「あぁ、すまん、考え事をしていた」
「ほぉー、」
一瞬、ギラっとした目に変わった。
「まぁ良い」
何を納得したが知らんが
コロコロとした犬のような目で
ムゲンはこちらを見下げる
「それで、どうじゃ小僧、わしの主人になるか?」
ここだ、ここでおそらく人生の運命が決まる
迷うな、選べ
運命が動く音が聞こえた。
そんな時である。
カツン、カツンと甲高い音が扉の方から聞こえた。
「敵じゃな、しかもかなりの大物」
ムゲンはすでに自分の方には興味なく、
音の方を凝視する
「大丈夫!?」
入ってきたのは、先ほど別れた隣人であった。
追ってきてくれたのだろうか
そう思うと
自分はなぜか、すっかり安心しきってしまい、その場でより深く座り込む
「気をつけろ、来るぞ」
ムゲンの言葉と同時であった。
ビュンという風を切る音と同時に
薄汚い、肉と人形が混じった腕がこちらに向かってくる
「うわぁ」
前方に転がり落ちるようにして、かわす、
「魅了の魔術は微妙か、、次は」
隣人の手は人形の腕に肉が纏わり付いたような腕をしており、
あれは"変形"という魔術であると知っていた。
「人形師かよ」
あまりにも理不尽な展開
そして変形という魔術を知っている理由がそこにはあった。
変形という魔術
それはプレイヤーたちに絶望を与えた人形師が最も得意としている魔術であり
プレイヤーの約30%を殺した
最も恐ろしいとされた魔術である。