「なんかやたら強いモブいたよね」って言われたいじゃん   作:わなびさびわなびのわなび

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お待たせして申し訳ございません。



これはゲームの世界だ

“クラス分け“とだけ聞くと、同じ新入生とキャキャ、ウフフと盛り上がり、

ゲームによってはヒロインと主人公の対面の場面になっていることも少なくない。

 

そんなクラス分けのために集められたのは、広いドームであった、

たぶん1000人超えても余裕で入るくらいの

 

『えー、これより、クラス分けを行いますー、皆さんは優秀な司教、シスターの卵でありますので、問題ないと思いますが、くれぐれも“死なない”ようにお願いいたします。』

 

上に飛んでいる丸っこい聖動器の声に俺は震えあがった、

心無し周りの新入生もビビっている。

 

Magic&swordにおける最初の難所、

人によっては、「ここが最ムズ」と言われるほどのイベント、

 

『それでは、今から“大魔鬼”を放ちます』

大魔鬼の5匹の討伐、或いは10分の逃走である。

 

大魔鬼とは

黒く鋼のような巨体を持ち、“魔術“を扱うオーガの名である

 

後に分かることだが、この大魔鬼は"竜級"に含まれる魔獣であり、

 

竜級ともなれば、熟練の司教またはシスターが

30人ほどで対処するほどの強力な存在である

 

それを実戦経験がない新入生にぶつける。

 

「うぁぁああああ」

「司教!クラール司教!!助けて!」

 

 

そりゃ阿鼻叫喚の嵐になるだろ!

 

自分が初プレイした時も、それはもうやばかった

 

逃げる選択をしても追いつかれ

 

戦うにしても

入学時は、回復法術と無難な剣で殴るとかしかできない。

 

分かりやすく例えるならこちらの与えるダメージ1、とか10の世界であらのに対し

相手が1000を超えるダメージを放ってくるのである

 

そりゃ勝てない、完全に負けイベだ。

 

(でも、確か勝てる奴が今年7人いるんだっけ)

 

血の雨が降り注ぐドームの中を走りながら、俺は周りを見渡す。

 

腕がちぎれてうずくまってる奴

腸がはみ出て倒れこんでる奴

四肢が無事な奴なんて、それこそ俺含めて10人もいない。

 

(見なきゃよかった)

 

この試験が始まるというところから、覚悟はしていたつもりではあった。

 

でも、始まってみると想像よりもずっと血生臭くて

なにより、この世界がゲームの世界ではないということを認識しそうになるのが嫌だ。

 

これは、ゲームの世界だ。

でも、俺にとっては現実で、

倒れてしまいそうなほどの苦しみの肺も痛くて

胸からこみ上げる気持ち悪い感覚も本当で、

この世界をどこまでも、“ゲーム”として観ることを自分に言い聞かせるのは大変であった

 

だからだろう、ゲームをとして観ているから

体もぼろぼろ、頭もぐちゃぐちゃな時でも、

俺はこの言葉が聞こえてくるのを知っていた。

 

「うろたえるな!!皆、わたしについてこい!」

 

凛とした声、“戦姫”キリカの声である。

俺も含めて、倒れていない人の視線が彼女に集まる

彼女は長い青髪をはためかせ、ドームの真ん中に剣を携え佇んでいた

 

彼女の隣に立つは黒髪の少年。

 

俺は確信した、

あれは主人公で、ゲームの本編が始まろうとしていることを。

 

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