「なんかやたら強いモブいたよね」って言われたいじゃん 作:わなびさびわなびのわなび
法術とは神から授かる術である。
この世界の神とよばれるモノたちはある程度にはいるのだが、ある神をのぞいて、法術を授けてくれる神はもう比べる意味がないレベルにまでの異能を授けてくれる
俺が持つ魔絶対殺す法術こと『聖釘』も大概だが
デメリットが無い完全復活『再臨』
あらゆる異能を無力化する『消却異能』
自信のありとあらゆる確率を見通し確定させる『運命』などの、
それはまぁ最強能力のオンパレードを授けてくれる。
ただ、これらの能力は今では禁止とされた法術である
また
歴史でも使用できる者が10人といないあげくに、
そのなかでも複数人でしか使用できない物が大半だ
主な理由は聖力の不足であるのだが
無限聖力外装とは、羽織るだけで無限の聖力を提供してくれる効果が、禁止された法術と相性がいいと、即座に理解したプレイヤ―達は、
それはもうやりたい放題である。
禁止とされた法術を使いまくり、勝ちまくり。
ノー防具縛り、味方ユニット無敵化、原作死亡キャラ生存、ラスボスワンパン、あげく、約20分でゲームのルートを全てクリアする猛者プレイヤーも現れたりした恐ろしいアイテムである。
そのアイテムを手に入れるためには、ある扉を開かなければならないのだが、
『“クラス決め“終了でーす、残っている生徒の皆さんは、その場に立ち止まってください』
丸っこい聖動器が再び会場に響く。すると残りの大魔鬼もその場でピタリと止まった。
俺は『聖釘』を使った影響で倒れているうちに、どうやらクラス決めが終わったようだ。
『今年、無傷かつ立っているのは5人ですか、今年はなかなか優秀な生徒さんが多いようですね』
聖動器は嬉しそうに、声を弾ませると『さて』と言った
『聖火』を落としますくれぐれも絶対に動かないでください』
ガチャという音と共に、聖動器が分解され、中から小さな火の玉が現れ、重力に従うように落ちる。
「はっかー――」と誰かの台詞と共に、辺りは極光に包まれる。
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光が収まると分かり瞼を開けると、そこには何人かのシスター、司教が、大魔鬼の死体とけが人の回収に勤しんでいた。
ゲームでは、主人公は保健室のような場所で目覚めるのだが、どうやら俺には、そのような高尚な場所では起きれないのだなぁと思い
その光景に目をパチくりさせていると
「あー、そこの君、確か新入生のノゾミ君だっけ」
白い作業服に似た服に包まれた司教が声をかけてきた。
「あっ、はい」
「見た感じ、君は大きなケガはなさそうだし、今日は、寮に帰りなさい
まぁ何か気になるようだったら保健室に行ってね」
「ありがとうございます」
「うん、どういたしまして、出口はあっちにあるから死体に気を付けて帰ってね」
死体というのは、大魔鬼なのか、新入生なのか考えないようにしよう
「それと、君は“司祭“クラスだから、3日の始業式には、三列目に並んでね」
“司祭”クラスというと確か三番目のクラスか、
狙いとは違うが、まぁ計画に支障は無い
「あぁそれと、」と随分おしゃべりな司教が最後に思い出したように口を開く
「新入生の中に“魔術”を扱う子がいるっぽいから、見つけたら担任に言ってね」と
気を付けなければいけないことの一つを言われ、震えた
そのためになんとしてでも無限聖力外装を手に入れなければいけないのだ。
さて、忘れる前にゆっくりと思い出していこう
なぜこの作品は、sacred&swordやらhoiyart&swordではなく
“magic&sword”というタイトルが付いている理由を。