ダンボール戦記ウォーズ ロシウスのライトニング・カウント(本編終了)   作:砂岩改(やや復活)

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第二十九戦「過去」

アラタたちが神威大門を訪れる少し前…ロシウスの二強としてその名を轟かした神風トオルは大切な部下と後輩をなくした。

 

トオルは戦場で指揮を取りながら最前線で戦う兵士だった。

 

"ライトニング・カウントの戦場に敗北は無い…"

 

味方にとっては希望の光であり、敵にとっては恐怖の光だったのである…しかしいくら強いと言っても"この世に絶対の文字は無い"

 

「いや~今回も完勝でしたね隊長!」

 

「そうだな…」

 

「まぁ……当然の結果だろうな……」

 

「トールギスのデータも沢山集まりました!」

 

オットー、トオル、ノイン、ワーカーはウォータイムが終わり下校中にトオルの的確な指示とその圧倒的な戦闘力に三人は心から尊敬していた。

 

「トオル様!今日も一段とお美しいですわ!そのトールギスも!トオル様の戦いも!」

 

四人が話しているといつの間にか居たドロシーがトオルの腕を抱き締めてキャアキャア叫ぶ。

 

「相変わらずモテモテだな…」

 

「そう見えるか?」

 

ノインのからかいにトオルは少し困った顔で返事をしていると遠くから叫び声が上がりどんどん近づいてくる。

 

「トオルから離れろぉぉぉ!」

 

もちろんバネッサだがくっついているドロシーにドロップキック…ドロシーは吹き飛ぶが直ぐに立ち上がりバネッサの背後を掴みそのまま後方に海老反りになりながら投げるとそのままプロのプロレスの人ビックリの格闘戦を開始する。

 

「また始まったよ…」

 

「よく怪我しないよな…お互い……」

 

オットーとワーカーの言葉通り普通なら骨の二、三本は持っていかれるえげつない技ばかりである。

 

「おい……止めろ…」

 

「「はい♪」」

 

トオルな止めると二人は直ぐに止めてトオルに向き直る、それを見てノインは少々呆れ顔で肩をすくめる。

 

「やれやれ…」

 

「これが無意識……」

 

「隊長も人が悪い…」

 

オットーとワーカーもトオルの鈍さにさすがに驚きを隠せなかった。

 

ーーーーーーーーーーーー

次の日

 

トオルたちはアラビスタとロシウスの絶対国境線を押し上げるために少数部隊の精鋭で作戦を行うことになった…当然大変なリスクを背負う作戦だがトオルたちはこれに馴れていたし特段緊張する物ではなかった……今回はトオルの小隊を含む五小隊で作戦は行なわれその中には最近戦火を上げ続けるドロシーの小隊もいた。

 

「ついにトオル様の元で働かせてもらいますわ!」

 

「あぁ……よろしく頼む…」

 

「えぇ!」

 

「トオル…」

 

ドロシーはトオルにそう言うと早速自分の小隊に向かうとバネッサがトオルに話しかける。

 

「バネッサか…どうした?」

 

「いや……気を付けろよ…」

 

「ん?分かった…」

 

バネッサの言葉に少し疑問に思いつつもトオルは作戦を行う為に指令室を後にした、その後ろでバネッサが心配そうにトオルが立ち去ったドアを見つめていた。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

そしてウォータイムが開始された。

 

トオルたちはクラフトキャリアで作戦区域に進入し戦闘を開始……トオルの指示の元、アラビスタの大量戦術の前にもロシウス五個小隊は怯まずにフラッグへと確実に進んでいた。

 

「よっし!このままフラッグに!」

 

小隊の人間がフラッグに近づくと何かに吹き飛ばされブレイクオーバーする。

 

「狙撃だ!」

 

ノインの言葉に全員が物陰に隠れる。

 

「チッ…面倒な…ワーカー!数は?」

 

「ちょっと待ってください!……狙撃手と思われる機体は推定六機です!」

 

「よし!俺が狙撃手を片付ける…ノイン!指揮は任せた!」

 

「了解……」

 

「トオル様!御武運を…」

 

「分かった…」

 

トオルは返事をするとトールギスのスーパーバーニアで一気に空に飛び立つと狙撃手の目の前に移動する、突然視界に現れたトールギスを倒そうと再度狙撃銃を向けるが後の祭り…ブレイクオーバーされる。

 

「甘いな…」

 

トールギスは次々と狙撃手を駆逐し最後の一機もブレイクオーバーさせる。

 

「よし……これで…」

 

「こちらノインだ……フラッグに侵入した…これより拠点占領行動に移る」

 

「了解した…こちらも狙撃手の掃除を終わった所だ…」

 

トオルが通信でノインと話していると後ろからジランドがマシンガンを乱射しながら近づいて来たのをトオルは素早くブレイクオーバーさせる……その際にトールギスのスーパーバーニアにかすっていたのはトオルは気づかなかった。

 

するとレーダーに20機ほどのLBXの大軍が写し出される。

 

「増援か…」

 

「どうする?トオル?」

 

「フラッグの確保が最優先だ…俺が向かう…」

 

そう言うとトオルはトールギスを向かわせるとそこには当然アラビスタの大部隊がおりトールギスを確認すると迎撃行動に移るがトールギスの圧倒的な機動力の前には手も足も出ずに次々とやられていく。

 

「よしっ……」

 

トオルが勝利を確信した時、コントロールポッドに鳴り響く警告音、それと同時にトールギスのスーパーバーニアが突如止まり推力を失ったトールギスは敵のど真ん中で墜落するのだった…それを好機と捉えたアラビスタ勢はトールギスに集中攻撃を浴びせる。

 

「クソッ!何でこんな事に!」

 

トオルは攻撃を浴びながらもドーバーガンで反撃するが数が多く減った気がしない…ジリジリと攻撃をくらい続けるトールギスはいくら強固な装甲を持っているとはいえダメージを蓄積していく。

 

ロスト……その文字がトオルの頭にその言葉がよぎったその時……ランチャーが飛び込みジランドが吹き飛ぶ。

 

「隊長!」

 

「トオル様!」

 

トオルを助けに来たのはオットーとドロシーの小隊だった。

 

「オットー、ドロシーすまない…」

 

「いえ……ノインたちも別動隊の迎撃で来れませんでした」

 

「その機体では戦闘は無理です!トオル様!早く撤退を!」

 

トオルはドロシーに従い自身も迎撃しながらトールギスを撤退させる……何とか敵を振り切ったトオルたちはノインたちと合流するために急いでいた。

 

「もうすぐ合流ポイントです…」

 

「分かった…ッ!」

 

ドロシーの小隊の隊員がトオルに報告するとそのグレイリオが狙撃されロストする。

 

「そ……狙撃!」

 

オットーが驚くといつの間にかアラビスタの部隊に囲まれていた。

 

「合流ポイントまで後少しですのに…」

 

「とにかく強行突破だ……乱戦なら狙撃は出来ない!」

 

「「「了解!」」」

 

それを聞いた全員がトオルの指示で一斉に動き出す。

 

トオルはスーパーバーニアを使えなくとも軽やかにトールギスを操りアラビスタ勢を圧倒するが数が多く苦戦しているその頃……ノインたちもフラッグから追い出されとても救援に行けない状態だった。

 

「このままだとトオルが……」

 

冷静なノインがこれ程焦っていたのは珍しかった。

 

「やむ得ない…撤退だ!トオルが殺られてはなんの意味もない!」

 

ノインが素早く判断を下すとその他の小隊もクラフトキャリアが待機しているポイントまで下がり始めトオルたちもクラフトキャリアのポイントに着いていた。

 

「トオル!無事だったか!」

 

「ノインか…すまない…」

 

「今はいい!」

 

謝るトオルにノインはクラフトキャリアにさっさと乗せ撤退させる。

 

「行きますよ!」

 

ワーカーの言葉を合図に次々と他のクラフトキャリアも飛び立ち戦線を離脱するがドロシーの小隊のクラフトキャリアのエンジンが敵の攻撃で被弾し黒煙を上げながら墜落していく。

 

「くっ!」

 

ドロシーは素早くクラフトキャリアのハッチを開くと降下するがもう一機のドロシーの部下は脱出が間に合わずにメカニックの乗るクラフトキャリアと共にロストする。

 

「ドロシー!」

 

「うわっ!」

 

トオルが叫ぶとワーカーの悲鳴が通信越しに聞こえてくるとクラフトキャリアから変な音が聞こえ始める。

 

「このままだと殺られる…」

 

「おい!オットー!」

 

オットーはそう呟くと自身も機体を降下させドロシーと共にアラビスタの追撃部隊と戦い始める。

 

「何をしている!すぐに引き返せ!オットー!ドロシー!」

 

「クラフトキャリアが損傷しています!少しでも軽い方が!それにこのままではクラフトキャリアごとロストしてしまいます!」

 

「そうですわ!トオル様!私も既に覚悟は出来ております!」

 

「しかし二人とも!」

 

叫ぶトオルに二人はロストの恐怖と何とも言えない高揚感を感じながら答える。

 

「隊長の為なら!」

 

「トオル様の為なら!」

 

二人はアラビスタを次々と倒しながら派手に動き回り敵の注意を引き付けているが損傷しロストへのカウントダウンが近づいていく。

 

「隊長!私はあなたと言う人に心から尊敬しています!ロシウスの一小隊員としてではなく……あなたの為に働きたいのです!」

 

「トオル様!……私もです…その美しいトールギスでセカンドワールドを壊して下さい……トオル様の夢に私たちも協力させてください!」

 

「お前たちは……バカだ…」(俺がトールギスをもっと扱えていれば………)

 

泣きながらトオルが呟くと二人は笑い通信を切る…。

 

「戦域からの離脱完了……」

 

その間にワーカーは戦域から離脱し泣きながら報告した。

 

ーーーー

 

「うぉぉぉぉ!」

 

「てやぁぁぁ!」

 

二人のLBXは片腕や装甲は吹き飛び動けるのが不思議なくらいだった……それでも剣を振るい続けるが最後の腕も吹き飛び二人は示し合わせたように敵の密集している所に突っ込んでいく。

 

「トオル隊長!」

 

「トオル様!」

 

「「ばんざぁぁぁぁぁぁい!!!」」

 

オットーとドロシーが突っ込みその爆発で大量のアラビスタ勢がロスト、損傷した……その引き換えに二人は跡形もなく消えたのだった…。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ロストした二人はその次の日何も言わずにトオルに礼をして笑顔でこの島を去っていった…二人の顔にはなんの後悔も無く、だだ……誇り高い笑顔だけがあったのだった…。

 

「トオル…」

 

その時、バネッサはトオルに何も話し掛けられなかった…壊れそうで…崩れそうな背中をただ…後ろで見ているしかなかった。

 

 

 

 

 





どうも!砂岩でございます!
やっとトオルの過去を書けました…いい部下と後輩に恵まれて幸せのトオルでしたが悲しいですね。
次回はついにトオルの新機体が登場!
では次も頑張ります!
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