ダンボール戦記ウォーズ ロシウスのライトニング・カウント(本編終了)   作:砂岩改(やや復活)

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第三十五戦「小さな出会い」

 

 

 

「皆の協力のおかげでエゼルダームのロストエリア進行を食い止められ……アンダーバランスも守る事が出来た…ありがとう…」

 

「武人として当たり前の事をしたまで…礼には及ばん…」

 

「司令官としてのハルキも立派なものだったぞ!」

 

「御苦労様……ハルキ… 」

 

体育館に集まった世界連合軍はハルキの礼を聞いて全員が喜びの声を挙げる…その中にはトオルの姿は見えずバネッサやスズネを含む数人が笑いながらもトオルの身を案じていた。

 

その原因は少し前にさかのぼる。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

エゼルダームの空中空母であるドルガルータを沈め喜びの声を挙げながらコントロールポットから降りる人々をよそ目にトオルは沈黙を守り辛そうに顔をしかめて腹部を押さえていた…そんな様子を不思議に思ったバネッサ達がトオルに駆け寄る。

 

「トオル?どうした?」

 

「バネッサか…大丈夫だ…オーバーロードを使って疲れただけだ…」

 

「無茶するな…オーバーロードは諸刃の剣なのだからな…」

 

「あぁ……」

 

バネッサとノインの前でトオルは笑いながら返事をするが顔は真っ青で大量の汗が顔を伝う。

 

「トオル……なんか変やで…」

 

「気にするな…このぐら………ングッ!」

 

スズネの問いに返事をしていたトオルはいきなり黙り出しその直後…口を押さえていた手の隙間から血が飛び出しトオルは苦しそうにその場に倒れる。

 

「「「トオル!」」」

 

それを見て思わず叫ぶ三人は必死に倒れたトオルを呼び掛けるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

その後、トオルは日暮真尋の指示で町の診療所に連れられて行った……そして夕暮れの頃、町の診療所のベットでトオルは目を覚ました。

 

「気がついたか……」

 

「日暮先生……」

 

「驚いたぞ…血を吐いて倒れたとワーカーが泣きながら飛び込んで来た時はな……」

 

「ワーカーが……」

 

「他にもバネッサやあのノインですら酷く狼狽していてな…幸せ者だなお前は…」

 

「あいつらが…」

 

日暮の言葉を聞いてトオルは申し訳なさそうな顔をする。

 

「もうすぐ検査結果が出る筈だ…」

 

「日暮先生……」

 

「少し待っていろ…」

 

日暮がトオルと話していると診療所の人が部屋のドアから呼びかけ日暮を呼ぶと話をしばらくするとトオルの元に帰って来て検査結果を伝える。

 

「まぁ……なんだ…胃潰瘍だな…」

 

「胃潰瘍ですか……」

 

「あぁ…お前…苦労してきたんだな…とにかく様子見だな…明日から退院してもらうが処方された薬は飲むように…」

 

「はい……」

 

「じゃあ…私は用事があるのでな…安静にしているんだぞ…」

 

「はい…」

 

日暮はトオルにそう言い残し部屋から出て診療所から出るとムラクやスズネたちが待っていた。

 

「先生…トオルは大丈夫でしょうか?」

 

ムラクは日暮が診療所から出てくるとすぐに質問をすると日暮はあくまで冷静に現在のトオルの状況を伝えた。

 

「トオルは胃潰瘍だった…今までストレスが溜まった結果だがそれまで症状が出ていなかった事を考えるとおそらく…」

 

「オーバーロードですか…」

 

日暮はノインの言葉に静かに頷く。

 

「おそらくな…オーバーロードは使用者に過剰な程の負担を強いる…適度な疲労はストレスを発散させるが過度な疲労はストレス以外の何物でもない…おそらくそれがトオルの体に止めを刺したのだろう…正直いつ胃に穴が開いてもおかしくない…言っておくが胃潰瘍は軽い病気じゃない…それは覚えておけ……」

 

そう言って日暮は学校の方へ向かい黙りこくるムラクたちを置いてその場を去ると診療所の前でスズネはため息をつきながら呟く。

 

「トオル…そんなに無理してたんやな…」

 

「隊長をこんな目にあわせて…俺はオットーに顔を合わせられない…」

 

「トオル……」

 

ワーカーも悲しい顔をして呟くとバネッサは泣きそうな顔でトオルの名を呟くとノインがバネッサの頭を小突く。

 

「バカ…今までトオルは私たちを守ってくれてた証拠だ…これからは私たちの番だろう?」

 

「そうだよな…ごめん…ノイン……」

 

励ましたノインの顔にも不安の顔が伺えそれを見たバネッサは思わずノインに謝ってしまうがノインはそれを見て少し笑いダック荘への道を歩き始め皆もそれに続いて行くのだった…。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

そして夜、トオルはなぜか眠れずにベットから起き上がると近くにあったCCMを持って飲み物を探しに廊下に出ると隣の病室の扉が半開きになっており中には自分とと同じくらいか下ぐらいの年の少女が苦しそうに眠っていた…トオルは自販機で水を二本買うと少女のベットの隣にあったテーブルに水を置いて出ていこうとすると突然声をかけられる。

 

「誰?」

 

「すまない…起こしたか?」

 

「いや…いい……」

 

そう言うと少女はトオルと隣のテーブルの水を見るとトオルは笑いながら頷き少女は水を手に取り飲む。

 

「ありがとう…」

 

「どういたしまして…俺は神風トオル……君は…」

 

「一ノ谷ユイ…ウイングゼロのプレイヤー……」

 

「ゼロ……あの機体…」

 

ユイの言葉にトオルは驚くも質問をする。

 

「なぜ教えたんだ?俺がトールギスのプレイヤーだと知っていただろう…」

 

「もう終わった…何もかも……」

 

ユイが落ち込むように下を見るとなんとなくほっとけないトオルは近くの椅子に座るとユイに質問をする。

 

「どうしてエゼルダーム…いやワールドセイバーに参加したんだ?」

 

「それ以外の道はなかった…生きていくためには…」

 

ベットの上で寂しそうにしているユイを見てトオルは頭を優しく撫でる。

 

「まぁ…なんだ……俺にはお前の苦労は分からないが聞くことは出来る……なんでかは知らないが解決しなくても他人に話すだけで楽になるのはよくあることだ…」

 

トオルは自分で言いながら何故かバネッサの姿が思い浮かぶ…。

 

(俺もアイツにだいぶ支えられてたんだな……)

 

トオルの言葉を聞いたユイはベットの布団を頭から被ってトオルに背を向けると小さく

 

「ありがとう…」

 

と呟くと話さなくなった…それを見たトオルは少し微笑みながら自分の分の水を持って自身の部屋に戻ったのだった。

 

 

 






どうも砂岩でございます。
たいへん遅くなりました(汗)
いろいろ立て込んでた物で…
ところで今回はトオルとユイの出会いとトオル体の異常の正体でした…追記しておくとウイングゼロに搭載されたゼロモードはプレイヤーの脳を媒介にすることで高速で敵を解析することで先読みを可能にさせる代物ですしかしプレイヤーにかかる負担はオーバーロードよりも高くとても危険なシステムとして抹消されていたものをワールドセイバーが利用した物となっています。
では次回も頑張ります!
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