ダンボール戦記ウォーズ ロシウスのライトニング・カウント(本編終了)   作:砂岩改(やや復活)

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第三十六戦「赤き傀儡の騎士」

 

 

 

診療所で一夜を過ごし朝早くにバネッサ達がトオルを迎えに来た。

 

「トオル!」

 

「バネッサ…心配をかけた…」

 

皆とは一足早くトオルの元に駆け寄ったバネッサがトオルに抱きつくがトオルはあまり驚かずに受け止めるとすまなそうに返事をする…いつもと違うトオルに少し不思議に思ったが現在の状況を考えて思わず顔を赤くする。

 

「ッ!すまない…」

 

「あ……」

 

トオルはバネッサの様子に気づくとすぐにバネッサから離れる…サッと身を引くトオルを見て若干バネッサは残念そうにするがトオルは自分で自分の体温が上がっているのが分かった…この現象はトオルには未知のもので正直戸惑っていた。

 

「隊長ぉぉぉぉ!!!」

 

「落ち着けワーカー……」

 

少しぎこちない二人の間に後から来たワーカーが走って来て嬉しそうにトオルの周りで叫ぶとノインが少々飽きれ顔でワーカーをたしなめる。

 

「トオル……エゼルダームの移送をするから学園長が立ち会って欲しいと言っていたぞ…」

 

「そうか…ありがとうムラク……じゃあ行こうか…」

 

「あぁ……」

 

ムラクは用件を伝えるとトオルはその用件通りに神威島の港に向かった。

 

エゼルダーム、もといワールドセイバーの賛同者がフェリーに乗せられて行くのをトオルは眺めているとその中には昨日出会った一ノ谷ユイの姿もありユイとトオルは一瞬目が合うとユイはトオルに目伏せをしトオルは静かに頷くのだった……そんな様子をバネッサは気づき面白くなさそうにむくれていた……そして列の最後にはセレディー・クライスラーの姿がありセレディーの前に猿田学が立ち塞がると

 

「送還の後…お前は叱るべき方法で裁かれる…罪を償うんだ……セレディー・クライスラー……」

 

「フフフッ…ハハハッ!!」

 

猿田の言葉を聞くや否やセレディーは狂ったように笑う…それをトオルが不思議に見ていると突然フェリーが停泊している違う桟橋の海が動き始める。

 

「なんだ……」

 

トオルが呟くと海から巨大な潜水艦が浮上し姿を現す。

 

「戦いとは…常に先を読み手を打っておくもの……そうですよね?猿田教官?」

 

セレディーは勝ち誇った声で猿田に言うと両手を伸ばし空を見上げる。

 

「さぁ!これから始まるんだ!……本当の戦争が…」

 

セレディーの言葉と共に潜水艦から武装した兵士が出てきてトオル達を囲み銃を向ける…トオルはバネッサを庇うように立つとその様子をセレディーは面白そうに見ながら話を進める。

 

「よく聞け……これよりこの神威島はワールドセイバーの支配下に置かれる…」

 

「貴様ら生徒には手を出すな!」

 

猿田教官が叫ぶとその足下に牽制の銃弾が撃ち込まれる。

 

「余計な口はたたくな!怪我をしたくなければね……」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

その後トオル達は教室に軟禁されていると突然の爆発音に教室がざわめくがスズネが廊下の窓を見て

 

「本土からの偵察ヘリやと思うわ……気づいてくれてたみたいやで……」

 

「だとしても……状況はしばらく変わらないだろうな……」

 

「せやな…」

 

スズネはトオルの言葉を聞いて少し残念そうにすると席に座る……そして突然放送が始まりセレディーの声が聞こえる。

 

「神威大門統合学園の生徒諸君……セレディー・クライスラーだ…今日よりここの新しい学園長なや就任する…よろしく……君たちは…我々ワールドセイバーが何をするのか気になっているだろう…我々の目的は世界中の人々にセカンドワールドの実態を知らしめる為にある……偽善に満ちた東郷義一首相を始めとするエクスペリメント・リアリズムプロジェクトの賛同者たち…その過ちを正すのだ!で…その方法だが…本日午後三時よりセカンドワールドの二十四時間完全稼働を実施…ウォータイムは定時の開始と終了を撤廃…全て私の意思で決定する…」

 

セレディーの言葉にワーカーが思わず立ち上がり叫ぶ。

 

「これじゃ!まともにLBXのメンテなんて出来ない!」

 

「これでは一日中臨戦体制か…」

 

「オチオチ寝てられへんやん…」

 

「せっかく理想の学校が作れると思ったのに…」

 

ワーカーの叫びにノインやスズネ達も愚痴を溢す。

 

「ウォータイムを楽しみにしておいてくれ…それから君たちの中にエゼルダームへの転入を希望する者がいれば…申告して欲しい……同じ志を持つものは…我々は受け入れる用意がある…明日の正午まで考える時間をあげよう……そうだ…瀬名アラタ、神風トオル君たちに話がある……ただちにジェノックの司令室に来るように…」

 

セレディーの放送が終わるとトオルは静かに立ち上がりドアに向かうとノインが引き止める。

 

「行くのか?トオル?」

 

「あぁ……」

 

「やめとき…セレディーの事やなんか仕掛けてくるに決まっとるで」

 

「だが行くしかない…大丈夫だ……ちゃんと帰って来るさ………俺に何か会ったら頼む…」

 

トオルはそう言うとノインにすれ違いざまに小声で言うとノインの返事を聞かずにそのまま司令室に向かった。

 

ーーーー

 

それと同時にアラタも教室から出るとその後ろを追うようにヒカル、ムラク、ハルキ達が向かういしばらくするとジェノックの教室に兵士が入って来て

 

「バネッサ・ガラはいるか?」

 

「私だ…」

 

兵士の突然の指名にジェノックメンバー全員が驚くがバネッサは堂々と兵士の前に出る。

 

「クライスラー閣下がお呼びだ…」

 

「私にか…」

 

「バネッサ…行っては駄目だよ…」

 

兵士とバネッサの会話を聞いてミハエルがバネッサを呼び止めるがバネッサは

 

「いいんだ…ミハエル……トオルも呼ばれたし大丈夫さ…」

 

「しかし!」

 

ミハエルの言葉も虚しくバネッサは兵士に連れられて行く……そして後々全員が後悔する事になる…この時全員が必死に止めていればと…。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

トオルとアラタはセレディーの指定された司令室に来ていた。

 

「どこに居る!セレディー!」

 

「瀬名アラタ…神風トオル……」

 

アラタが司令室で叫ぶと司令室のモニターにセレディーが映る。

 

「来たと言う事は私たちの仲間になってくれると言うことかな?」

 

「そんな訳ないだろ……」

 

「右に同じく……」

 

「私の授業を覚えているかい?」

 

「もう忘れたよ!」

 

アラタの言葉にセレディーは笑いながら話を続ける。

 

「では復習しよう…私は世界を一つにして国と国との間にある戦争を無くしたいと思っている…その為には人々を分断し操っている支配者を倒さなければならない…貧困や差別も…彼らが居るが故だ…では?どうしたら支配者を倒せるか?単純な事だよ…我々が彼らを越えた存在になればいい…」

 

「はぁ?」

 

「……」

 

セレディーの言葉にアラタは思わず疑問の声を挙げるがトオルは黙ってセレディーの言葉を聞いていた。

 

「彼らを越えた存在……選ばれし者になるんだ…」

 

「セレディー…お前の言っている事は偽善の押し付けだ…」

 

「なに?」

 

「世界は変わらないだろうな…支配者がお前に変わるだけだ…」

 

トオルの言葉に興味を持ったのかセレディーは面白そうに笑う。

 

「へぇ…なら言うけど…変える気すら持たない者たちより変革を求める者が支配者になれば世界は少しずつ良くなると思うよ…」

 

「それは否定しない…だが……仲間を切り捨て、行く宛の無い者すら計画に使おうとする奴が世界を変えれると思えないがな…もっとも力で全てを屈服させようとしている時点でお前の言葉は信用できないな…」

 

「フッ…まぁいいだろう…神風トオル……やはり君は素晴らしい人材だ…だけどね…君はどうしても仲間になりたいと私に言うことになるだろう…"仲間なら聞ける頼み事があるだろう?"」

 

「なに?」

 

「私は今からロストエリアに向かう…」

 

セレディーの言葉にアラタは驚く。

 

「なんで!?パラサイトキーはもうないんじゃ…」

 

「キーならある…無くなってなどいない…」

 

セレディーの言葉を残してモニターは切られた。

 

「そんな…とにかく止めなきゃ!」

 

「まったく…」

 

トオルとアラタは急いでコントロールポットに向かうが廊下には警備の兵がいる…どうするかとトオルが思案していると司令室のドアの横に紙が張り付けてあった…トオルが入った時には無かった物だ…。

 

「これは……」

 

その紙には警備の無い抜け穴が記してあった…。

 

「一ノ谷ユイか……アラタ!着いてこい!」

 

「あぁ!!」

 

「……」

 

急いでコントロールポットに向かう二人を一ノ谷ユイは後ろの影で見ていた。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

トオルとアラタはコントロールポットに乗り込みドットブラスライザーとトールギスⅢがロストエリアに急行しなんとかセレディーが入る前に追い付く。

 

「まて!」

 

「なんの用だい?」

 

「聞かせて貰おうか…パラサイトキーがあるとはどう言うことだ?」

 

「フッ…」

 

トオルの質問にセレディーは笑いながら手を差し出すとその上に光学迷彩を解除したファントムが姿を現す。

 

「それは!?倒した筈じゃ!」

 

「あの程度で殺られはしない…そして三つのパラサイトキーが入ったパーフェクトマスターキーはこのファントムの中にある…」

 

「その中に!」

 

「……」

 

「フフッ……どうする?二人とも…ファントムをロストさせてみるかい?」

 

セレディーの言葉と共にファントムが飛翔しアラタのドットブラスライザーとトオルのトールギスⅢを吹き飛ばす。

 

「チッ…」

 

「クソッ!」

 

二人は追撃しようとするがその二人に突然別方向からの攻撃を避けるとそこにはライディングソーサに乗ったゴルドー、キャリパー……そして改修されたカーキ色のビルゴⅡの大軍がいた。

 

「トオル!」

 

「分かってる!」

 

二人は機体を加速させるとそれぞれの敵を迎撃する。

 

「クソッ!どけ!」

 

トオルはトールギスⅢのスーパーバーニアを最大まで吹かしビームと弾丸が入り乱れる中を縦横無人に飛び回りすれ違いざまにビルゴのプラネイトディフェンサーを突破しビームサーベルで両断するとすぐに振り返りメガキャノンの最大出力でビルゴⅡ、ゴルドーたちを葬る。

 

「数が多い…アラタは無事なのか?」

 

トオルが戦闘をしながら周りを見渡すとアラタのドットブラスライザーがラグナロクフェイズになっており脅威的なスピードで戦場を駆けていた。

 

「オーバーロードか…アイツも使いこなせるようになったのか…」

 

トオルはトールギスⅢのメガキャノンで敵の陣形に大穴を開けるとアラタに向かって叫ぶ。

 

「先に行け!ここは俺が押さえる!」

 

「すまない!」

 

トオルの声にアラタは礼を言うとセレディーの元へ急行しトオルはトールギスⅢをワールドセイバーの軍勢に向ける。

 

「さぁ…宴の始まりだ…舞踏会はお好きかな?」

 

トオルはメガキャノンを派手に撃ち込むとエネルギー切れのメガキャノンを投棄しビームサーベルを抜刀…キャリパーたちを派手に切り刻んでいると突然横から鋭い斬撃を受け咄嗟にシールドで受け流すがすかさず二撃目を紙一重で避けるトオル。

 

「なんだ!?」

 

その頃、アラタもオーバーロードを何度も使用しセレディーのファントムと戦闘を行い後一歩の所で突然の介入を受け吹き飛ばされた。

 

「カ…カイト……」

 

「フッ…セレディー先生の邪魔はさせないよ…」

 

セレディーのファントムを守りアラタに攻撃したのはアラタのクラスメイトである風陣カイトであった…。

 

そしてトオルの目の前に立ち塞がったのは全身は赤く塗装されトールギスと同じく中世の騎士を連想させるような見ため…そしてなにより目につくのは巨大なビームサーベルとトールギスⅢと同じヒートロッド持った左腕……"エピオン"である。

 

「これは…ワーカーが言っていたエピオンか……」

 

「これより任務を遂行する…」

 

「ッ!」

 

突然聞こえてきたエピオンからの通信でトオルは今までに無いほど動揺した……なぜならエピオンのプレイヤーの声が。

 

「私はガーディアン…ワールドセイバーの敵を排除する…」

 

「バネッサ!!」

 

バネッサ・ガラの声だったのだから。

 

 

 

 

 

 






どうも砂岩でございます!
シ・ョ・ウ・ゲ・キの展開でございます!
忘れるほど前に建てたフラグをやっと回収できました!
何故バネッサが敵にしかもエピオンに乗っているかは次回お楽しみにしてください!
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