ダンボール戦記ウォーズ ロシウスのライトニング・カウント(本編終了)   作:砂岩改(やや復活)

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第四十戦「理解できない」

 

 

 

 

「おい!返事をしろ!」

 

「返事してくれ!」

 

コントロールポットルームに響く悲鳴の中…トオルは一つのコントロールポットの前に座っていた……それを横でワーカーが黙って見守る。

 

「隊長……」

 

「なぁ……ワーカー…」

 

「はい……」

 

「なんの為の力だったんだ…」

 

トオルの呟きにワーカーは歯をくいしばって泣きながら聞く。

 

「オットーとドロシーを失ってもう後悔しないと決めたのに…"私は"バネッサやノインまで失ってしまった…」

 

「え……隊長?」

 

「どうした?」

 

「あ…いえ……」

 

ワーカーは一瞬トオルに違和感を感じたが感じたワーカー自身もよく分からずに黙ってしまう。

 

(今……隊長が私って言ってたような…)

 

ワーカーが感じた事は現在のトオルの状況を正確に表していた…元々胃潰瘍になるまでにトオルの精神は削られ更にオーバーロードとノイン……そしてバネッサの喪失はトオルの精神をすり減らしボロボロになっていた…つまりトオルのこの自身の名称が俺から私に無意識に変わっているのは精神崩壊の一歩……いや半歩手前なのであった。

 

「……くそが…ノインの為にもバネッサは必ず俺が助ける…」

 

「そうですね…隊長…」

 

静かに壊れていくトオルの姿を見てワーカーは自身の無力さに手を握りしめるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そしてトオル達は兵士たちの誘導で自分達の教室に戻ったがいつもとは違いピリピリとした空気が漂っていた。

 

「くそっ!……テッペイ……」

 

「隊長……」

 

「タイチョウ……」

 

壁を叩いて哀しむギンジロウをシズカとジョニーは静かに見ていた…先のディ・エゼルディのハーネスの被害は相当な物で第二小隊はテッペイを第三小隊はシェリー、第四小隊はオオジとムネモリ……そして第五小隊はノインを失い人数はプレイヤーだけで言えば半分が居なくなっていた。

 

「トオル……あんた大丈夫なんか?」

 

「大丈夫だ……」

 

トオルの青ざめた顔にスズネは心配するがトオルはあくまでも大丈夫だと言い切る……しかしトオルの顔は誰がどう見ても酷い有り様だった。

 

「シェリー…」

 

「グスッ……ごめんなさいフウ……私のせいでお姉ちゃんが……」

 

「スイ……いいよ……お姉ちゃんらしいじゃん…」

 

「オオジ……ムネモリ……すまない…」

 

「皆……やっぱり酷いね…」

 

「あぁ……俺も正直…逃げ出したいよ…」

 

皆の様子を見てタケルとカゲトラは呟くとスズネがやって来た。

 

「なぁ……カゲトラ、タケル……トオルをやっぱ保健室に連れてった方がええと思うんやわ…」

 

スズネの言葉を聞いてカゲトラとタケルはトオルの様子を見ると同意する。

 

「そうだな…」

 

「保健室に運ぼうか…そうだ…ジェノックも様子を見ていこうよ…」

 

「そやな……向こうも大変やからな…」

 

タケルの提案に賛同するカゲトラとスズネ……しかし正直二人もこの空気の教室から出ていきたいと言う思いがあったのは間違いないだろう…。

 

ーーーーーーーーーーー

日本本島、ワールドセイバー対策本部

 

「八神さんか……」

 

「神風部長…」

 

八神英二は日本の東京に置かれたワールドセイバー対策本部を取り仕切っている神風サトシの元へ訪れていた。

 

「八神さん……まさか神威大門が狙われるとは…」

 

「神風部長の息子さんも…神威大門に?」

 

「あぁ…あいつは強い子だ…だが……溜め込む所があるから…無理しなければいいんだが…」

 

ーーーーーーーーーーー

その頃、トオルは半強制的に保健室に連れられベットに横になっていた。

 

「最近…ベットに寝てばっかりだ……」

 

トオルが呟くと日暮が

 

「それだけお前は無理をしていると言う事だ…全く……しかしオーバーロードを使わなかったのは誉めてやる…アラタが使った時にお前も使うかと思ったがな…」

 

「いえ…俺は確かに発動しました……しかし発動しませんでした…」

 

トオルの言葉を聞いて黙っていたジンはトオルに諭すように言う。

 

「トオル…それは君の体が発動を阻止しているからだ…」

 

「体が…」

 

「あぁ…恐らく君の体と心はもうもたない…だからこそトオルの体がそれを阻止するために無意識的に止めたのだろう…だからもう使うな…本当に死ぬぞ…」

 

ジンの真剣な気配にトオルは思わず冷や汗を掻く……"死"その言葉がトオルに重くのしかかる…。

 

「それでも……俺はバネッサを救いたいんです……」

 

「トオル…」

 

「俺は!ノインの為に…いや自分自身の為に!バネッサを救いたい!……あいつは俺の光なんです…落ち込んだ時は太陽のように励まして…傷ついた時には月のように癒してくれる…自分にもよく分かりませんが…他の人とは違う何かを持ってるんです…」

 

ジンはトオルの独白に思わず黙ってしまう。

 

「理解できないですよ…死ぬのは恐いです…死にたくない…でも…それで諦めたら…一生後悔する気がしてしまうんです…それにここで止まったらノインにぶん殴られそうで……」

 

トオルは自身で言った言葉に自分で笑う。

 

「全く…だったら寝てろ…少しでも回復するんだな…」

 

「了解……」

 

トオルは日暮に言われ目を瞑ると直ぐに寝息が聞こえる。

 

「日暮先生……」

 

「アイツの意思は固い…私たちには見守る事しか出来ないさ…」

 

ジンは日暮の言葉を聞き直ぐに寝たトオルを見る…酷い顔だ…トオルの顔を見たジンはより一層事態の早期解決を胸に誓うのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そしてトオルが眠った少し後…神威大門の地下…セカンドワールドの出入り口に潜入した伊丹キョウジと美都玲奈の前に銃を構えた一ノ谷ユイが対峙していた。

 

「ほう……俺の邪魔をすんのか……ユイ?」

 

「……何をするつもりです…」

 

「ちょっとセレディーの困らせたいだけさ…」

 

「なら……行かせる訳にはいきません…」

 

「ほう…わざわざ毒ガスを入れ替えてたのにか?」

 

「!?」

 

キョウジの以外な言葉にユイは体を震わせる……それを見たキョウジは更に言葉を続ける。

 

「知ってるんだぜ…お前は今回が初めての作戦なんだろ…」

 

「それが…」

 

「人を救うために入ったって聞いたけどな…迷ってんだろ?」

 

「……」

 

「こんな事までして人が救えるのか……ってな」

 

ユイはセレディーにジェノックの司令室にトオルとアラタか呼ばれてその時…盗み聞きしている時……中でトオルが話していた内容が頭によぎる。

 

(世界は変わらないだろうな…支配者が変わるだけだ…)

 

(人をいく宛も無い人を利用している奴を俺は信用できない…)

 

「……」

 

黙りこくるユイを見てもう一押しと思ったキョウジはニタリとしながら止めを刺す。

 

「わざわざここの警備を下げたのもセレディーに反対だからだろう?」

 

キョウジの言葉を聞いたユイはゆっくりと銃を下げるとさっさと行けとジェスチャーをする…それを見てキョウジは満足そうにユイ横を通りその後ろにいた美都玲奈がユイに話しかける。

 

「ねぇ…教えて…伊丹キョウジが言ってた毒ガスを入れ替えてたってどういう事?」

 

「さぁ…なんの事でしょう……」

 

ユイはそう言って美都玲奈を無視してキョウジとは逆方向を歩き出し出口に向かうのだった。

 

 

 

 

 







どうも砂岩でございます!
今回はトオルの告白とユイの暗躍でした!
ついでに言うとキョウジがユイをさっさと撃たずに説得して進んだのは騒ぎを起こしたくなかったからです。
そんなこんなでセレディーを倒すために行動しているユイちゃん
次回はついに最終決戦に突入!トオルはバネッサを救えるのか!?
次回も頑張ります!

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