ダンボール戦記ウォーズ ロシウスのライトニング・カウント(本編終了)   作:砂岩改(やや復活)

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クリスマス編です!
※少し甘めですブラックコーヒーの用意をお勧めします。




番外編
番外編「聖なる夜の安らかな一時」


 

12月20日……神威大門統合学園は冬休みを迎えていた…家に帰って家族と過ごす者、神威島に残って友達と過ごす者…やはり前者の方が多く定期便のフェリーが特別運航でかなりの人数を本島に送り届けた。

 

そしてジェノックやハーネス等が主に使用しているダック荘の一室で静かに本を読んでいる人物がいた…トオルだ……彼は神威島に残り傷ついた体と心を静かに自分の世界で癒していた…同室のカゲトラは何やら用があると数分前に部屋を出ていきトオルが本をめくる微かな音が部屋に響く。

 

「ん?」

 

トオルはフッと窓を見ると小さな白い物が落ちて来るのが見えた。

 

「雪か…この調子だと明日には積もるな…」

 

ーーーーーーーーーーー

 

トオルが部屋で本を読みながら窓の雪に気づいた頃、バネッサを含むジェノック、ハーネスの女子ズは小物屋に来ていた。

 

「いや~雪やで!なぁ雪やで!」

 

女子ズが商品を見て話している中、スズネが降ってきた雪を見て興奮し他の女子に伝える。

 

「やった!今年は寒かったからね!」

 

「あらあら~冬ですわね~」

 

スズネの声にユノとシズカが反応し喜ぶ。

 

「今年はホワイトクリスマスなんてしたいものだな…なぁ!バネッサ」

 

「あぁ…しかにしても寒いよ」

 

ノインがバネッサに話しかけるとバネッサは喜びよりも批難の声が上がる……それもその筈、高度成長期をモデルにした神威島にはエアコン等と言う便利な物は存在せずあるのはせいぜい電気ストーブくらいである。(そもそも高度成長期に電気ストーブがあるかは分からないが…)

 

「で?決まったのか?トオルへのプレゼントは?」

 

「ングッ……」

 

ノインの言葉に思わず変な声が出るバネッサ、その様子を見てノインはやれやれとジェスチャーする。

 

「あと四日だぞ…パーティーの準備もあるから早くしろよ…」

 

「分かってるさ……」

 

ノインとの会話で分かる通り12月24日に神威島の居残り達で神威大門の体育館を借りて盛大なパーティーが行われる事になっている…各自で料理を持ち寄り仮想国関係なく楽しく集まるパーティーだ……材料は全て学園長のジョセフィーヌが負担し毎年豪華な料理が並ぶのだ。

 

「あっ!これいいかも!」

 

しばらく考える中でバネッサが見つけたのはクリスタルをあしらった騎士が持っていそうな剣を模したネックレスだった。

 

「剣か……トオルにぴったりだな…」

 

「あぁ!そうだろ!それにこれは…」

 

「ん?」

 

喜んでいたバネッサの声が小さくなって聞こえなくなったのでノインが聞き返すとバネッサは少し恥ずかしそうにボソリと呟く。

 

「ペアネックレスなんだ……」

 

「ほほぅ…」

 

モジモジしながら言うバネッサを見て思わずニヤニヤしてしまうノインだったがネックレスを見て気がつく。

 

「それで?もう一つはどうした?」

 

「あぁ…それが見当たらないんだ…」

 

「まぁ…取り合えず買っとけ……そのついでに店員に聞けばいいさ…」

 

「あぁ…」

 

取り合えずノインの提案で買うことにしたバネッサはレジに向かいペアの片方の事を店員に聞く。

 

「え?この商品のペアは…ごめんなさい…売れちゃったみたいで…」

 

「えぇ!?じゃあ…ペアで貰えますか?」

 

「ごめんなさい…それは一点物なのよ…」

 

「えぇ!そんなぁぁ!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

ダック荘への帰り道…買い物が残っているスズネ達より一足先に帰路についた二人は先程のネックレスの事で話していた。

 

「まさかペアなのに片方だけ買う奴が居たとはな…」

 

「全く…せっかくのペアネックレスがぁ~」

 

バネッサはそう言うとノインに涙声で抱きつく…それを必死に離そうと剥がすノインはバネッサを励ます。

 

「歩けないから離れろ!……全く…トオルへのプレゼントを買えたんだからいいじゃないか…」

 

「ペア~」

 

「あぁ…めんどくさ……」

 

ノインは心底めんどくさそうな顔をするがフッと笑顔になる…ついこの前の事だったワールドセイバー事件の事がまるで夢だったかのような平和な時間にノインは幸せを実感したのだった。

 

ーーーーーーーーーーー

 

「ただいま~」

 

「あぁ…おかえり……何をしてたんだ?」

 

「あぁ…クリスマス会の机運び…頼まれちゃってさ…」

 

「それなら俺も行ったのに…」

 

「まぁまぁ…トオルはゆっくりしてろよ…」

 

「全く…」

 

トオルは帰ってきたカゲトラに内容を聞くと予想以上に心配されている事に気づかされ何とも言えない気持ちになるのだった。

本来トオルは即、本島の病院送りだったのだがトオルは精神的な面なのでキツい病院よりま仲間と交流をしていた方が良いと判断された結果、トオルはこうして神威島にいる。

ワールドセイバー事件の結果、人々の目は逸らされていた現実に目を向けさせた、そう言う意味ではセレディーの目的は果たされたと言っても過言では無いだろう…世界は緩やかであるが本当の平和な世界へと変わり始めたのだ。

 

「バネッサは何をしているだろうか…」

 

ちなみにトオルとバネッサの関係的には恋人だ。(まぁワールドセイバー事件の後もバネッサの涙ぐましい努力の結果なのだがそれはまた今度の話)

心理的にはバネッサはトオルの盾となりトオルはバネッサの矛になる…二人はそんな関係を築きつつも日に日に近づいて行くのは目に見えているのだが…まぁ…外から見れば充分お腹一杯な関係である。

 

「なぁ…トオル……」

 

「ん?なんだ?カゲトラ」

 

「少し宿題で分からない所があるんだが…」

 

「ん?見せてみろ…」

 

トオルはカゲトラの宿題を見ながら平和だなぁ…と思いつつトオルはずっと考えていた悩みをカゲトラに言うのだった。

 

「カゲトラ……」

 

「なんだ?」

 

「少し聞きたい事があるんだが…」

 

ーーーーーーーーーーー

そして迎えたクリスマス……

 

商店街には色鮮やかなイルミネーションが施されて(絶対建物の設定無視してる)神威大門統合学園の体育館では生徒たちが集まりパーティーを開いていた。

 

「上手いな~これ!」

 

その中…バネッサはノインと一緒に料理を楽しんでいた…二人は鳥をそのまま焼いた奴を食べながら話していた。

 

「トオルはまだ来ていないのか?」

 

「あぁ…まだなんだ…何してるんだろ…」

 

問いに対しバネッサは少しシュンとして答えるとノインは全く…と言った感じで入り口に目を向けるとドアが開きトオルがマフラーとコートを着て雪を被りながら入ってきた。

 

「おい…来たぞ…あ…」

 

ノインがバネッサに伝えようと後ろを向くと居ない…そう思って視線を戻すと既にトオルのすぐ側にバネッサがいた。

ヤレヤレと言う感じでノインは苦いブラックコーヒーを求めてドリンクコーナーに足を運ぶのだった。

 

「トオル!」

 

「バネッサ…」

 

嬉しそうに近寄るバネッサを見て子動物の様だと思いながらバネッサの手を掴んで外に連れていく。

 

「え?どうしたんだ?トオル……寒!」

 

「…………」

 

バネッサの問いにトオルは答えずに黙ってバネッサを連れていくが流石に寒い外に連れていく時は黙って自身が着ていたコートをバネッサの肩に掛ける。

目的地に向かって歩いていく、バネッサも最初は戸惑いを覚えていたがトオルの温もりと匂いが残っているコートを静かに握りしめる。

 

「ここだ…」

 

「わぁ…」

 

トオルは目的地に着いたのかやっと話したと思うと学園の横の森を少し抜けた所に開けた場所があり月の光が積もった雪を輝かせまるで違う世界に来たような感覚にバネッサは陥る。

 

「少し前に見つけた所だ…まさかここまで綺麗になっているとは思わなかったが…」

 

「綺麗…」

 

その光景にウットリするバネッサを見てトオルはカゲトラのアドバイスに感謝した。

 

(誰も居ない…綺麗な場所で…カゲトラ……感謝する)

 

数日前の事…トオルがカゲトラに聞いたのはプレゼントを渡すには何処が良いか…だったのだ。

 

「バネッサ……」

 

「はい!」

 

トオルの呼び掛けにバネッサは裏声が出てしまい顔を真っ赤にするがトオルは気づかずにバネッサに近づき距離がゼロになる。

そのせいでバネッサはゆでダコのように顔を赤くするがトオルの目的はバネッサに渡したコートのポケットだった、トオルはポケットから小さな箱を取り出すとバネッサに渡す。

 

「ほぇ………あぁ!」

 

もう既に夢心地のバネッサはその箱をトオルの了承を得て開けるとそこにはクリスタルをあしらった盾のネックレス。それを見てバネッサは驚く…これは数日前にバネッサが買い損ねたペアネックレスの片割れだった。

 

「バネッサ…守ってくれて…ありがとう…」

 

トオルはそう呟くと黙ってしまう…表情はマフラーのせいで分からないがたぶん照れているのだろう。バネッサは笑うと自身のポケットから箱を取り出すとトオルに渡す。

 

「開けてみてくれ…」

 

トオルはバネッサの言う通り開けてみるとそこには同じくクリスタルであしらった剣のネックレスがあった。

 

「これは…」

 

「もう、トオルはこれはペアネックレスって言うんだよ。二つで一つのネックレス…私が買った時にはまう盾の方が無かったから…焦ったんだぜ」

 

「あ…すまない…」

 

「良かった……同じ物買ってたんだな…」

 

バネッサは笑うとトオルも笑いお互いクスクスと小さく笑う。

すると自然と二人は目が合う……月明かりに照らされたトオルはバネッサにとって本当のナイトだった…トオルにとってバネッサは優しく包む月明かりのような存在だった…。

 

「こういう時…どうすれば良いか…分からないが…」

 

「ん?」

 

トオルが呟くとバネッサが聞こえずに聞き返すがトオルはバネッサを引き寄せると顔に掛かるマフラーを下げ静かにバネッサにキスをした…。

 

「ッ!」

 

「……」

 

初めての感覚にバネッサは驚くが吸い込まれそうな藍色の瞳と目が合いその感覚に身を委ねるのだった……。

 

 

 

 

 

 




どうも砂岩でございます!
甘い!甘い!我ながらノインと同じくブラックコーヒー持参でしか居られない!
リクエスト企画第二段です!丁度クリスマスが近かったので書かせて頂きました!
ではまた!お会いしましょう!


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