牙狼外伝 蒼キ牙-SOUGA-   作:秋乃楓

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約束-DATE-

「…そうか、舞衣が逝ったのか。」

 

 

斗真は1人、2本の魔戒剣を持ちいて草原で鍛錬をしていた。

そこに来ていたのは紗那。彼とは顔馴染みの仲でもあり、共に戦う仲間の1人。

冴月にとっても紗那にとっても彼は良き兄的な存在なのである。

 

 

「……はい、亡くなられたのは2日前です。報告が遅れて申し訳ございません…斗真様。」

 

 

 

「斗真様じゃなくて斗真で良い…それで冴月は大丈夫なのか?」

 

 

 

「冴月殿は今朝から出掛けております。斗真…の方はお変わりは有りませんか?」

 

 

 

「あぁ、特に変わりは無い…元はと言えばこの辺は冴月の管轄。俺はその代わりだしな。そっちは大丈夫なのか?」

 

 

 

「…結構、大変ですし骨が折れますよ。今後…もし何か有ればお力を貸して頂けますか?」

 

 

紗那がそう問い掛けると斗真は勿論だと頷いた。

そして舞衣の葬儀の話を伝えると紗那は一礼し立ち去った。

 

 

[斗真、乗り込むのか?あのホラーの巣窟に。]

 

 

 

「さぁてな…でもまぁ、避けては通れないだろ?俺の師匠の娘とその友達が必死こいて戦ってるんだ、加勢してやらなくてどうする?」

 

 

 

[ふッ、お前さんらしい答えだな。]

 

 

エルバと斗真はやり取りを交わし、鍛錬を続けるのだった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

竜弘は今日も学校に行かず、家に居た。

部屋には朱音が居た痕跡がそのままになっている。

カツンカツンと何かが部屋の窓に当たっている事に気付くと彼は外を見る。そこに居たのは冴月だった。階段を降りてドアを開くと彼女が近寄って来た。

 

 

「元気…か?」

 

 

 

「…うん。」

 

 

そう素っ気なく返すと間が空いてしまう。

あの日、冴月へ人殺しと言った事がまだ糸を引いていたのだ。竜弘は上がればと声を掛けると冴月を家へ案内する。竜弘の部屋へ来ると冴月は床へ腰掛けた。

 

 

「…綺麗なんだな、お前の部屋。」

 

 

 

「まぁね…する事無くて片付けてたから。」

 

 

 

「竜弘…朱音の件…なんだけど。」

 

 

 

「……ごめん、人殺しなんて言って。あの時は僕もどうかしてた…だから…ついあんな事を。」

 

 

竜弘の背を向けたまま呟く。

冴月は申し訳ない顔をして彼の方を見ていた。

 

 

「…オレは彼女を斬らなかった。オレが遭遇した時は既に瀕死に近かった…だから斬らずに看取ったんだ。彼女を1人の人間として……。」

 

 

 

「ッ…そっか……。」

 

 

再び沈黙が流れる。2人だけの空気の筈が重く感じられた。

 

 

[2人とも、感傷に浸るのはそこ迄にしたら?特に坊や…貴方はこのまま落ち込んでたらホラーに喰われるわよ?]

 

 

「ぼ、僕は別に…そんなつもりじゃ…ッ!」

 

 

[それに貴方、冴月のパートナーでしょう?しっかりなさい!ほら、シャキッとする!!]

 

 

「は、はいッ!」

 

 

カガリに言われた通りに竜弘は返事をする。

今度は冴月の方へそれが向いて来た。

 

 

[冴月も!そんな顔してたら舞衣が怒るわよ?ほら、貴女もしっかりなさい!]

 

 

「お、オレもか!?はぁ…。」

 

 

冴月は頭を掻きながら溜息をついた。

そして竜弘と冴月はお互いに見合うとクスクス笑った。

 

 

「…良かった、久しぶりにお前の笑顔が見られた。」

 

 

 

「僕も…冴月の笑った顔、初めて見た。冴月…久しぶりに出掛けない?僕と一緒に。」

 

 

 

「良いけど、明日から学校は来いよ?それが守れるなら付き合ってやる。」

 

 

冴月との約束を交わし、竜弘は1人部屋で着替えると外で待っていた冴月と合流し歩き出した。

未だ昼間という事もあり穏やかな空気が流れている。ホラーという存在さえ無ければ彼等はこうして普通に暮らしていられるのだ。

 

 

「…それで、何処へ行く気だ?」

 

 

 

「ん?ちょっとね……。」

 

 

そう言われ、竜弘が向かったのは花屋。

そこで花束を買うと更に足取りを進める。

 

 

「冴月…真宮さんが最後に居たのはこの先?」

 

 

 

「え?あ、あぁ…そうだけど?」

 

 

冴月が先導し彼と共に別の公園の中へ。

暫く歩いた先に小さな湖があった。

 

 

「此処だ…此処で彼女は……。」

 

 

冴月が立ち止まると竜弘はその近くへ花束を置く。

そして両手を合わせて拝んでいた。

冴月も同じ様に真似をすると両手で拝む。それが終わると湖の方を見つめていた。

 

 

「…真宮さんは人間だったよね?」

 

 

 

「あぁ…人間だった。ホラーとして生み出されてなければオレ達と同じだったかもしれない。でもそうはなら無かった。」

 

 

 

「解ってる……僕は彼女の分も生きる。彼女だってそうしたかった筈だから。」

 

 

その後、湖を後にし2人は公園の中を歩いて行く。

暫く歩くとベンチへ座り込んだ。

 

 

「竜弘…オレは明日、生徒会室へ乗り込むつもりだ。全ての根源は連中が仕組んだ事…生徒を平気でホラーに変えて命を弄んだのは許されるべき事じゃない。」

 

 

「…何故それを僕に?」

 

 

 

「…覚えてるか?オレと初めて会った時、お前は色々知りたくてオレに近寄って来た事。だから探られる前に予め話しておこうと思って…それともう1つ、話しておく事が有る。」

 

 

 

「話しておく事?」

 

 

 

「あぁ……。」

 

 

冴月は立ち上がり、剣を引き抜く。そして正面へ円を描くと鎧だけを召喚し隣へ立たせた。

 

 

「この鎧って!?」

 

 

 

「…蒼牙。これが幻創騎士蒼牙の鎧…幻を創ると書いて幻創って読む。これがオレの鎧。それと触るなよ、皮膚が弾け飛ぶから。」

 

 

蒼牙の鎧は日の光によって蒼く輝いていた。

鋭く赤い瞳、そして首元から伸びる左右に展開された黒いマフラー。全身を走る赤いライン。

少女が纏っているとは思えない風貌をしていた。

 

 

「じゃあ…いつも冴月が僕達を…。」

 

 

 

「まぁな…元々蒼牙は父さんが持ってた鎧でそれをオレでも扱える様に八千代さんが仲間と共に手を尽くしてくれた。だから戦える…それにオレは1人じゃない。紗那と斗真…それからお前と仲間が居る。」

 

すっと剣を上げると鎧を消し、剣を鞘へ収めると再びベンチへと腰掛ける。

 

 

「魔戒騎士は守りし者…お前達人間をホラーから守るのがオレの仕事、魔戒法師である紗那もそれは同じだ。」

 

 

 

「冴月……。」

 

 

 

「…お前達の事は絶対に守る、心配するな。」

 

 

冴月が立ち上がって背を向けた時、竜弘もまた立ち上がると彼女の手を引く。振り返るといつの間にか距離が近くなると彼は冴月を見ていた。

 

 

「竜弘ッ!?か、顔近ッ…!? 」

 

 

 

「…冴月、1つだけ約束してくれる?」

 

 

 

「や、約束!?何を…?」

 

 

 

「生きて帰って来て欲しい…また皆で同好会として活動しよう?」

 

 

互いに見つめ合うと冴月は小さく頷く。

その瞬間、竜弘は彼女の唇へキスをした。

 

 

「ん…ッ…!?」

 

そのまま数分だが2人は動かなかった。

ゆっくりと唇を離すと冴月はチラチラと竜弘を見ていた。

 

 

「い、いきなり何するかと思えば…!」

 

 

 

「ごめんごめん!でも可愛かったよ、やっぱり普通にしてると冴月は女の子だなぁって。」

 

 

 

「ッッーー!!このバカッ!!」

 

 

顔を真っ赤にして冴月はスタスタと歩き出してしまう。それを竜弘が追い掛ける形で歩き出した。

その足で2人は公園を出ると街中へと向かうのだった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

歩きながら冴月は自分の唇を少し気にして触っていた。先ほど、彼とキスした事を思い出しながら。

 

 

[どうかした?さっきから唇ばかり気にして。そんなにキスされた事が気になるの?]

 

 

 

「そ、そんなんじゃないって!そんなんじゃ…ッ!」

 

 

溜め息をつくと冴月は誤魔化す。

こういう時のカガリは何かと鋭い。

特に恋愛関係に関する事は何故か色々知っていたり話したりするのだ。

 

 

「たッ…竜弘ッ、そろそろ…お腹空いた……。」

 

 

 

「そっか、じゃあ何処かお店探さないと。」

 

 

如何にもデートらしい雰囲気になってきた。

冴月にとってこの時間は慣れない事だらけな為か何処かやりにくい雰囲気を感じていた。

歩いている最中、偶々見付けた近くのカフェへ並んで入ると向き合って席へ腰掛けた。見渡せば何処も男女ペアが多い事から若いカップルには人気の店らしい。

 

 

「うげッ…何処も似た様な奴らばっかり……こういう店なのか?此処…。」

 

 

 

「冴月、何食べる?オススメはサンドイッチのセットだって。」

 

 

竜弘はメニューを渡して来る。

それを受け取ると赤いペンで今日のオススメ!と書いてあった。どれも冴月からすれば見た事が無い。

 

 

「お前と同じのにする…オレはそうする!」

 

 

 

「…?じゃあコレにする?パンケーキ、量も多いから分けて食べられると思うし。」

 

 

冴月は合意すると次いでにアイスコーヒーを1つウェイトレスへ頼んだ。それからも気になるのは、やはり周囲の人数。カップルが兎に角多い。

中には携帯で写真を撮る者も居る程。

 

 

「冴月…どうかした?キョロキョロ見回して。」

 

 

 

「うぇッ!?ち、ちょっと…気になって。こういうものなのか?その…レンアイって言うの。」

 

 

冴月はボソッと呟く。自分は本来なら同じ歳頃の子が知る様な事を殆ど知らない。逆にあの紗那はこういう事に何故か詳しいのだ。最近の流行りも何故か彼女は知っている。恥ずかしそうに竜弘へ聞いてみた。

 

 

「僕も良く解らないけど…こういう事じゃないかな。形は様々だけどね。」

 

 

竜弘はそう答えると微笑んでいた。

少し経つと頼んだ飲み物とパンケーキがテーブルへ置かれ、竜弘がそれを器用に2人分取り分ける。

 

 

「…これがパンケーキ?」

 

 

 

「そうだよ。ほら、フォークとナイフ。使い方は解る?」

 

 

 

「あ、あぁ…大丈夫。斬る事には慣れてるからな!」

 

 

冴月は右手にナイフ、左手にフォークを持つとぎこち無いが何とか切り分ける事に成功する。

フォークで切った物を刺して食べると口の中に程良いクリームの甘さとパンケーキの美味しさが拡がる。それからは目をキラキラさせながら食べていた。こうして見ると本当に普通の歳頃の女の子にしか見えない。竜弘はその様子を微笑ましく見ていた。

 

 

「…ふぅ、美味しかった。」

 

 

 

「そんなに良かった?パンケーキ。僕の分も少し食べてたけど。」

 

 

 

「……初めて食べたから。下手すると八千代さんの店のより上手いかもしれない。」

 

 

そんな話をしながらアイスコーヒーも飲み終わると

会計を済ませてから2人は店の外へ。再び街の散策を再開する。店を巡って歩いていると既に夕方、日が傾き始めていた。

道なりに通りを歩いていると更に時間が経過し夜となる。街中もポツポツと街灯が点き始め、行き交う人も皆帰路につこうとしていたりと様々。

路地を歩いていると途端に悲鳴が聞こえ、冴月は走り出した。

 

 

「行こうッ!」

 

 

 

「あ、あぁッ! 」

 

 

2人は頷くと走り出す。駆け付けると悲鳴の主は浩介だった。竜弘が駆け寄ると事情を聞く。

 

 

「た、竜弘ぉ…!今俺の携帯から、変な化け物が出て来て怖くなって放り投げたんだよぉッ!!」

 

 

それを聞いた冴月は浩介の前へ来ると鈴を取り出し、じっと彼を見つめていた。

 

 

「さ、冴月ちゃん!?何すんの!?」

 

 

 

「良いから!動かないで。」

 

 

冴月は彼の前で魔導鈴を鳴らす。だが、特に変化は無かった。

 

 

[…携帯電話をゲートにしたのね。恐らく彼が見たのは……。]

 

 

 

「…ホラーだ。」

 

 

ポツリとカガリが呟くと竜弘へ彼を任せ、冴月は浩介が携帯を投げた方向へ走った。立ち止まるとコンクリートの柱の陰から素体ホラーが姿を現す。

いつ見ても髑髏の様な顔が不気味さを際立てていた。

 

 

「…携帯電話をゲートにするとは随分考えたな?それとも、誰かの差し金か?」

 

 

冴月は背負っていた布袋から魔戒剣を取り出し、鞘から刀身を引き抜く。ギラリと刃が光ると刃先をホラーへと向ける。途端に向こうも威嚇し、冴月へ飛び掛って来た。

 

 

「ちッ…はぁあッッ!!」

 

 

爪による一撃を裂け、1振りでホラーを斬り捨てる。ホラーは悲鳴と共に消滅した。

疑問なのは何故携帯から現れたかという事。

携帯を拾い、走って戻ると事情を聞き出そうと浩介の肩を掴む。

 

 

「…あのバケモノはどうやって出て来たか解る?」

 

 

 

「え?えーっと…何か変な手紙がメールで来てて……。」

 

 

 

「手紙?…何の手紙か教えて!」

 

 

 

「ちょっと待てってッ…これだよコレ!」

 

 

冴月から受け取った携帯を開いて見せる。

そこには赤い手紙が開いたままになっていた。

更にメッセージが記載されていて、冴月はそれを読み上げてみた。

 

 

「…貴方の望むモノをその手に?」

 

 

 

[冴月、覚えてる?前に女が持っていた携帯電話…!]

 

 

 

「まさか…そういう事か…!!」

 

 

[誰かが無差別にこうしたモノをばらまいて…意図的にホラーへ変化させる様に仕向けているのかもしれないわね。]

 

 

そうカガリが話していると竜弘は驚いた声を出し、前方を指さす。冴月も振り向くと数体の人間がまるでゾンビの様に此方へ向かって来る。

 

 

「竜弘、成る可く遠くへ浩介と逃げて!! 」

 

 

そう伝えると浩介が冴月の服の袖を掴む。

 

 

「さ、ささ冴月ちゃんは何者なんだよ!?」

 

 

 

「いいから早く!!」

 

 

竜弘が無理矢理、彼を冴月から離すと2人は駆け出して行く。残った冴月は剣を構えて睨み付ける。

すると隣へ赤い髪の男が現れた。

 

 

「よッ、人の管轄で何やってんだ? 」

 

 

 

「斗真!?わ…悪いのは解ってる。けど!」

 

 

 

「…怒らないよ、事情が事情だもんな。ところで舞衣の件は大丈夫か?てっきり凹んでると思ってたが?」

 

 

 

「大丈夫…お姉ちゃんの事は心配無い。」

 

 

そう告げると斗真はフッと笑った。そして彼も懐から2本の短剣を取り出すと構える。

 

 

「まさか…冴月と並んで戦う日が来るなんてな。お兄さん嬉しいぞ?」

 

 

 

「また始まった…お喋りは後!!」

 

 

 

「へいへい…そんじゃ、やりますかぁッ!!」

 

 

斗真、冴月がそれぞれ走り出すと次々とホラーを斬り裂いていく。斗真がホラーへ蹴りを放ち、怯んだ所を冴月が真っ二つに斬り裂く。続け様に冴月がホラーを斬り裂いていけば、斗真も短剣を振り翳し斬り裂いていく。全てのホラーを討滅するのに時間は然程掛からなかった。

 

 

「ふぅ…これで全部か?」

 

 

 

「多分…いや、未だ居る!」

 

 

カリカリと地面へ何かを引き摺りながら此方へ向かって来る。それは大きな黒い甲冑を纏った何かだった。

 

 

[ホラー、アルマ。鎧という意味を持つホラーだ。あの剣に気を付けろ、下手すりゃ弾き飛ばされて即死だぞ。]

 

 

エルバがそう呟くと斗真と冴月の2人は見合った。

 

 

「目には目を、歯には歯を…剣には剣をだッ!!」

 

 

 

「あぁ、行くぞ斗真ッ!!」

 

 

冴月は正面へ、斗真は左右へそれぞれ円を描くと鎧を身に纏う。蒼牙、零牙の2人がアルマを睨み付けていた。

 

 

「冴月、俺が時間を稼ぐ。お前がトドメを!!」

 

 

 

「解ったッ!!」

 

 

零牙が走り出し、アルマへ挑む。

此方へ気付いたのか巨大なバスターソードを振り翳して斬り裂こうとする。だが零牙はそれを飛び越してアルマの頭を狙って攻撃を繰り出した。

十字を象った鎧の頭部へ刃を突き立てようとしたが左手により伏せがれてしまう。

 

 

「ちぃッ、直はダメか…ならコイツはどうだッ!!」

 

 

零牙がくるりと空中で舞うと背中から2本の鎖付きの刃物を投擲する。それがアルマの両肩へ突き刺さると零牙がそれを利用し突進、突き飛ばした。

フラフラとアルマが後退すると此方へ剣先を向け、再び挑み掛かって来る。

 

 

「何!?アイツあの巨体で…ッ!!?」

 

 

アルマは零牙を突き飛ばすと真っ先に蒼牙へ向かって来る。そしてバスターソードを大きく振り上げるとその刃が到達し掛ける。だが蒼牙はそれを自らの剣で弾き返すと狙いをすませると刺突を繰り出し、鎧を刺し貫いた。途端に今度は真後ろから零牙がアルマの両腕を刃で斬り落とす。

 

 

「今だ冴月ッ!!」

 

 

 

「解った…ッ!!」

 

 

蒼牙は剣を握り締め、走り出す。そして飛び上がると頭上から一刀両断し斬り裂く。

その瞬間アルマから紫色の血が噴き出し消滅した。

2人は互いに着地すると鎧を解いて剣を鞘へと収める。

 

 

「討滅完了…だな。」

 

 

 

「あぁ、終わった……。」

 

 

冴月と斗真は互いに頷き合う。

そして斗真は冴月へ近寄ると彼女の頭を撫でた。

 

 

「……死ぬなよ、冴月。」

 

 

 

「必ず帰って来る…約束する。」

 

 

それから互いに別れると冴月は竜弘達の後を追って戻って行った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

場所は変わって生徒会室。

誰も居ない筈の部屋でアイは1人、誰かと話していた。

 

「ええ…仰せのままに。持てるカードは全て使いますわ…シンジ様。」

 

 

一人の魔女が怪しく微笑む。

 

 

「御影…そして奥村君を奪った騎士……蒼牙。私はお前を許さない…必ず殺してあげる…私の手で。例えどんな事になろうとも……必ずッ!!」

 

 

彼女の魔の手は直ぐそこまで迫っていた。

気付かぬうちにゆっくりと着実に。

 

 

 

 

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