VRMMO-RPG:SecondWorld/第二世界スフェリカ ――『ガールズ・リプレイ』――   作:日傘差すバイト

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 時刻は夜の21時。

 自宅からの迎えの車を待つ間。

 

 

 一ノ瀬(いちのせ)由奈(ゆな)は、もはや昨今は電話かパソコンか解らなくなってきた多機能端末を片手に。

 

 悩んでいた。

 

 「スキルが多すぎる……」

 

 学校の勉強に、数々の習い事。

 びっしりのスケジュールの中、VRゲームをやる時間は限られている。

 

 だから、ちょっとした空き時間には。

 端末を使って、攻略情報などを集め。

 ある程度キャラクターの育成に関しての計画を立てようと思っているのだが。

 

 塾の自習ブースで、由奈は、だらりと項垂れた。

 

 

 「自由すぎることが、逆に、こんなにも難しいなんて……」

 

 なんとも、皮肉なものだと、由奈は思う。

 用意されたレールを走る方が、きっと楽なんだろうな、と。

 

 そんな職業という物(レール)が無いゲームだから。

 プレイヤーは、キャラクターをどうしたいのか、自分で決めないといけない。

 

 自分で計画しなければならない。

 

 

 戦闘狂として生きるのか。

 生産専門として生きるのか。

 数々の秘境を探検して回るのか。

 

 やりたいことで、必要なスキルはがらりと変わる。

 

 戦闘狂なら、戦闘スキル。

 生産職なら、各スキル群に散らばっている中から、生産に使えるスキルを取らねばならないし。

 探検をメインにするというなら、探知、警戒、マッピング、開錠、解読などになるだろう。

 

 そんな風に。

 

 

 第二世界(スフェリカ)に実装されている、膨大なスキル群から、選び取っていかないといけないのだ。

 

 

 

 由奈は気を取り直し、もう一度攻略サイトを見る。

 

 由奈は、武器にも魔法にも詳しくないし、これまでゲームはあまりやってこなかった。

 だから、有体なモノしか、知識に無く、思いつく物も知れたものだ。 

 

「定番なら、剣とかなのかな? それとも魔法?」

 

 

 呟きながら、攻略サイトの『SKILLS』の項目を開く。 

 するとスキルは大きく分けて、物理系、属性系、練気系、能力増強系、特殊系に分かれていた。

 

 さらに、物理系の詳細を開くと、ちょっと読みこみに時間を要したあと。

 すごい量のマスタリスキルが表示される。

 

 例えば、物理系は、剣に関わるマスタリだけでもかなりの量で。 

 剣マスタリ、片手剣マスタリ、両手剣マスタリ、両手武器マスタリ、片手武器マスタリ、不利手マスタリ。

 当然ながら、マスタリの下位項目に、それぞれ『スラッシュ』や『インテンシオン』等の細かい動作スキルが連なっていく。

 

 勿論、武器は剣だけではない。斧も槌も格闘あるし、ハルバードやバスタードソードのように幅広いスキルを活用できる複合武器だってある。

 なんなら、盾や、重鎧、軽鎧、など、防具マスタリもあるのだ。

 しかもこれらは、完全に物理に関わるスキルしかない。

 ちょっとでも不思議な事は、属性系か練気系の習得が必要だ。

 

 

 ちなみに。

 属性系においては、よくある魔法に関してのスキル群で、火マスタリや、闇マスタリ等、全部で20程の属性を網羅している。

 

 また、練気系は、遠当てをはじめとする体内エネルギーの魔気(オド)や生命力を活用するスキル群。

 能力増強系は、HPアップなどの主に基本的な部分を強化するパッシブ類。

 特殊系は、騎乗スキル等のプレイヤー自身とはやや離れたモノに関するスキル群だ。

 

 

 少し考えただけでも、膨大な量だと解るだろう。

 とても10万SP程度では、習得しきれない量だ。

 

 こんな感じで、何から取って良いかもわからないために。

 ゆなのキャラクターは、取得したSPを1も使わずに、ステータスもスキルもデフォルトのままだ。 

 しかし、そのままでは当然、全然強くならない。

 

 第二世界(スフェリカ)では狩場の適正が少しでもズレれば、取得SPはものすごい勢いで減っていく。

 1⇒0.9⇒0.8⇒0.7とか生易しい減り方でなく、1⇒0.5⇒0.1⇒0.05という鬼畜な減り方だ。

 

 既に、ユナは適正から大きく外れている。

 次の狩場に行くためにも、少しはSPを使わなければならない。

 

 

 「……かといって、失敗は出来ないし」

 

 SPの振り直しは可能だが。現金が必要だ。

 1SPのリセットにつき2円。

 

 10万SPのリセットなら20万も必要だ。

 ユナはまだ2000SPほどしか取得していないが、それでも4千円かかってしまう。

 学生には辛い。

 

 

 そうして、とうとう由奈は端末を閉じた。

 そろそろ、迎えも来るだろうし。

 

 攻略サイトを見て、考えるという事自体を諦めた。

 

 「ゲームの中で、経験のある人に聞くほうが早そう……」

 

 そう、例えば――。

 

 「あのエルフちゃん……どこに居るんだろう」

 

 実はもうグランタリスには居ないのかな?

 もっと本気で探そうかな……。

 

 今までのように歩き回るのではなくて――。

 

 ……由奈はおもむろに、もう一度端末を開いた。

 そして、ブラウザから、キーワードを入れて、検索する。

 『刑事 探偵 捜査 方法――』

 

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