VRMMO-RPG:SecondWorld/第二世界スフェリカ ――『ガールズ・リプレイ』――   作:日傘差すバイト

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 フェルマータ、ローリエ、ウィスタリア。

 さらにヒューベリオンは、『カイディスブルム城』に帰還を果たしていた。

 

 

 そして今、城の玉座に座るジルシスに、クエストの成果を報告したところだ。

 ちなみに、ユナは習い事があるということで、既にログアウトしている。

 

 報告に関しては、ウィスタリアが代表してすべてを説明した。

 フェルマータの魔法戦技によって、一時的に全滅させることに成功したこと。

 それにより、アンデッドの討伐は、想定以上の成果だったこと。

 追加でやってくるアンデッドも追撃して撃滅したため、予想では当分やってこないだろう、ということ。

 

 それらを受けて、城主でありマスターである吸血鬼の少女は、

「ようやってくれたな、ほんにおおきに」と礼を述べる。

 

 

 そんな吸血鬼の少女は、ローリエの眼からは、今までと少し雰囲気が違って見えた。

 城の玉座に座る、ということは、『王』だという証。

 

 王というものは、最上の階級であり。

 将棋やチェスの、(キング)の扱いを思えば、いかに重要な立ち位置にいるのかは明白だ。

 

 だから。

 何かを進言しようと。

 

「あ、あの……せ――」

 

 ローリエは言葉を絞り出すのだが。

 緊張のせいか、上手くいかない。

 加えて、もともと口下手で、話し慣れていないせいもある。

 たくさんの言葉が、喉につっかえるのだ。

 

 だから、ローリエが何を言いたいのか。

 内容を察するフェルマータが補足する形で代行する。

 

「――ジルシス様、時に、雪原のアンデッドですが、湧いて出ているというよりは、どこからかやってきているという感じがしました。おそらく、アンデッドの分布を考えますと、北東から来ているのではないかと思いますが……」

 

 それに。

 ジルシスは、まずフェルマータの言葉遣いに。

 ほっほっほ、と笑う。

「……そんな堅苦しゅう話さんでも良い。このギルドは二人しかメンバァもおらんし。普通にお話して。な?」

 

「解りました。ジルシスさん。じゃあ改めて、雪原のアンデッドがただのモブではないかもしれない、というのは気づいていますか?」

 

 質問の最中に、ウィスタリアが、フェルマータ達に丁寧に一礼するとどこかへ消えていく。

 その様子を、ローリエとフェルマータは横目で見送って。

 

 ジルシスが答える。

「うん、知っとるよ。ウイスも前にそんなこと言っとったし。あたしも、なんとはなしに思っとったんよ。もとから、あたしの領地には、ノスフェラトゥは生まれても、アンデッドは産まれんさかいね」

 

「そうですか……では、なぜ……?」

 

「さぁ。どこかからあふれて来とるんやろうか?」

 

 そんな話の最中。

 ウィスタリアがワゴンを押して戻ってきた。

 ワゴンの上には、大き目の袋が幾つか乗っている。

 

「今、ウイスにクエスト分の報酬渡してもらうさかい」

 

「ありがとうございます」

 

「お礼を言うのは、こっちよ? こんな不気味な城のある領地からの依頼やなんて、だれも受けてくれへんで困っとったからね」

 

「こんな、雪ばっかりの場所だからでは? 立地も悪いし」

 そんな言葉を挟みつつ。

 ウィスタリアが、皆にクエスト報酬を受け渡す。

 なかなかの高額だ。

 

 

「こんなに?」

 

 フェルマータはその額に驚き。

 

「……」

 

 その額がどれほどの価値なのか解らず。

 貯金もいっぱいあるローリエは、袋の中を確認することもなく無反応で。

 

「ロリちゃん、ユナちゃん達の分預かっといてくれる?」

 

「あッ、はい。解りました」

 

 ユナとヒューベリオンの分は、ローリエに任された。

 

 ジルシスが再び礼を言う。

 

「今回は、ほんまに、ありがとうな。もし、そっちにも困ったことがあったら、あたしらも手貸すさかい、気軽に言うて」

 

 

 

 ジルシスがその言葉を言いきった時。

 

 同じタイミングで、フェルマータにピコン、とサウンドが鳴る。

 この音は、フェルマータにしか聞こえず。

 音の種類から【伝言(メッセージ)】の魔法によるものだと解る。 

 

 同時に、パーティメンバーにマナがログインした通知が行き。

 

 フェルマータは、マナからの伝言だとすぐに察した。

 

 

 内容は――。

 

 

(ログアウトのついでに、アシュバフ主催の闘技イベントのこと少し調べてきたわ。

 

 今回開催されるのは、『対魔物戦闘技』で、つまり魔物VSキャラクターで行われる闘技って意味ね。

 

 これは1チームの合計SP160Kを限度にして、3チームを作って。

 順番に魔物と戦うってルールよ。

 

 この3チームのうち2チーム勝利すれば、決着という形ね。

 

 つまり。

 合計SP160Kということは。

 例えば。76Kのフェルと69Kの私で145Kだから、あと15Kのキャラクターなら一緒に戦えるって意味よ。

 これは騎乗ペットにも適応されてて、ユナが25K、ベリオンが20Kで合計45Kになるわ。

 

 ただ、これには問題があって。

 ロリのSPが75K以上と見積もっても、今のメンバーだと2チームしか作れないわ。

 

 必ず3チーム必要みたいだから、戦力を分散させないといけないの。

 

 こっちでも考えてみるけれど、もしフェルに何かいい案があったら、教えて頂戴。

 

 

 あ、あと、スポンサーである『猫ミミ』の宣伝する物もまだ未定のままだから、こっちも何か考えないといけないわね)

 

 

 

 フェルマータはこれを読んで、丁度いいと思った。

 戦力が足りない、とマナは言うが。

 

 たった今、目の前の吸血鬼はこう言った『困ったことがあれば手を貸すと』

 

 今はこれに飛びつく時だ。

 今回のアンデッド討伐で、ウィスタリアがかなりの戦力だという事は良く解っている。

 ジルシスの言葉に乗り、懇願すれば。

 もしかしたらギルドマスターであるジルシスは無理かもしれないが、ウィスタリアの力なら借りれるのではないかと。

 

 そう思うフェルマータだから。

 

 すぐに言う。

 

「すいません、ジルシスさん。今の、手を貸す、って話。今借りても構いませんか?」

 

 

 そんな言葉に。

 フェルマータ以外のだれもが驚いたのは言うまでもない。

 

 

 

 いや。

 

 

 ヒューベリオンも、寝そべってゴロゴロしていたので聞いていなかったけどね。

 

 

  


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