マガメスになった元ヒトが怨嗟を慰める話   作:バンバ

7 / 8
 おまけ(1/2)
 あと、作者はワイルズやれてません……やりてえよぉ……でも格ゲーが面白すぎる……!

 注意点として。
・あくまで“おまけ”であり、こうであったら嬉しいなという作者の妄言です。
・一部キャラ崩壊を含みます。
・オリジナル設定を含みます。
・読者たちのイメージと異なるかもしれません。それが嫌であればブラウザバックを推奨します。

 それでも良ければ、どうぞ。


黒鎧将はかく語りき

「やあーやあー! 会いたかったぞー黒鎧将!」

「…………!」

「あちょ、タンマタンマ! 敵意は無いんだ、本当だとも。この場で全裸になってもいい!!

 僕はバハリ。どうしても君に会いたかったんだ」

「Grrrrrr……!」

「………………おいバハリ。やはり今からでも撤退を」

「いや、大丈夫。んんんー。やっぱり共鳴してるよ、僕と彼。その共鳴の……そう、“深さ”も僕の意識を奪うほどじゃあない。

 『何者だ』『二つ足は嫌いだ』『子供たちを守らねば』って困惑と警戒だけで敵対心は皆無だよ。あ、フィオレーネ、武器からは手を離しておいた方がいいかも。警戒心を煽っちゃう」

 

 もっとも、『ちょっとでも下手な動きをしたらなます斬りにされそうなくらいの警戒を向けられてる』とは言わないけど。そんなこと言ったらフィオレーネに強制的に連れ戻されちゃうからね! いや流石にフィオレーネもそれくらいは気付くか。

 

 フィオレーネに無茶を言って、どうしても直で“黒鎧将”と会いたかったのには、カムラの里やエルガド視点からして大局的に見たら大したことのない、僕にとっては死活問題な理由があった。

 

 一つは好奇心。身を滅ぼすようなそれであっても、それに従わないのなら研究者の名折れだしね!

 それに、これだけ尋常じゃない龍属性のエネルギーに体を蝕まれているモンスターがどれだけ長い間生きていられるか見当もつかない。

 

 マガイマガドという種そのものの持つ生命力が、並の大型モンスターを凌駕するものだとしてもだ。

 過度な力は時として身を滅ぼす。

 自身の力で我を失い変異体になってしまうバルファルクなんてその好例だ。

 

 だから、得られる内に資料は少しでも多く、できたら生の情報が欲しかった。

 

 二つ目は僕が黒鎧将と共鳴を起こした理由の研究の為。

 

 こっちは“深淵の悪魔”の置き土産の対応に追われてるから、いつになったら研究できるかわからないけど。

 

 それに、古龍と竜人族が共鳴する理由すら明確でもないのに、牙竜と僕が共鳴するなんて、本当に何処から調べたらいいのやら。

 その為の、始まりの取っ掛かりが欲しかった。

 

 そんで三つ。これが最後の理由だ。

 あの時、あの溢れんばかりの、心を揺さぶる暖かい情念。そして同時に訪れた、この世の悪意や絶望を煮詰めたような、黒い殺意。その重たい想いの中に確かに垣間見た、あの白いマガイマガドの事。

 

 いやまあ、笑える話だけどさ。あの時共鳴した感覚から着想を得て、それをまとめようとした時、僕の中に電気がズバババーッて駆け巡ったんだ!

 

『……つまり、今の僕はやろうと思えば“彼”と会話が出来る……!?』

 

 こちらの言葉が伝わるのかはわからない。出会い頭に殺されそうになるかもしれない。逃げ足には自信はあるけど、流石に彼を目の前にして逃げ切れる自信はそんなにない。

 

 それでも、好奇心をくすぐられた。

 

 彼が二つ名を得るに至る過程を、その旅路の中で巡り合った彼女の事を、叶うなら聞いてみたかった。

 

 端的にいうなら、「恋バナしようぜ!」って感じだね!

 

 そんなこんなでフィオレーネに直前まで詳細を伏せながら現地調査に意気揚々を向かったわけだ。…………辿り着いてから流石に一発キツイのもらっちゃったけど、まあ必要経費かな。

 

 

 

「あー、そうだね。たぶんこんな感じかな。何となく擦り合わせ方がわかってきた。

 敵対するつもりはないよ。手土産も持ってきたんだ。キミの話を、聴かせてくれないかな?」

「…………Grrrrr」

「一つ目の返事は、こっちが知りたい、かなあ。いや本当に。調べがいがありそうだ。

 ああ、彼女? 彼女はフィオレーネ。僕の仲間。君と戦うつもりはないよ」

「……おいバハリ。状況はどうなっている」

「んーと、とりあえず大丈夫そう、かな?」

 

『何故俺の言葉がわかる、二つ足』

『共にいるあの時の雌の二つ足はお前の番か』

 

 そんなニュアンスの言葉が飛んできた、気がする。明確な言葉じゃない。受け取り側である程度文脈とかを勝手に組み立てる感じ、かな。

 そうなると受け取り側の感性とかによってこの言葉のイメージとかも変わるかもしれない、っと。

 

 まあ、あと流石にフィオレーネのことはそういう目で見るのは無理かなあ。ああいや綺麗だと思うよ? 実際僕のこと尻に敷いていい奥さんになってくれそうだ。けど、僕らには種族の壁がある。寿命っていうこれ以上ない隔てりがある。だから、僕は今のところそういう予定はないかなぁ。

 

『手土産とは何だ』

 

「ああ、これこれ。僕たちヒトは、何かを食べたりするだけでも苦労するんだ。その調理の一つ。“焼く”、つまり、火を通した肉を持ってきたんだ。君の話を聴かせてもらう代わりに、これを君に譲る。それでどう?」

 

『一つよこせ。……毒はないか。……うまい』

『わかった。何を聞きたい』

 

 ほっと一安心。いやまあ、僕としても分が悪い賭けだったけど、それを通り抜けた。

 『言葉がわかる? だからどうした!』って襲い掛かかってくる可能性だって全然あったしね。

 

「聴かせてほしいんだ。君と、君の番のことを」

 

 

 

 

 俺の角を折ったのは、大きな板を背負った二つ足だった。

 

 突然上から襲い掛かって、角を叩き折って、それを抱えて逃げたやつがいた。

 

 殺してやろうとした。何処まででも追いかけて、殺してやるつもりだった。

 

 強い光が目を奪った。臭いを頼りに追いかけて、全身が痺れた。鋭く痛んだと思えば、眠っていた。

 

 そうこうしている間に、逃げ切られたらしかった。

 

 憂さ晴らしで獲物を狩って、番だった雌たちの棲家を訪れた。

 

 拒絶された。獲物すら持って行けと。

 

 他の雌の棲家も回った。

 

 同じだった。来るなと、強く拒絶された。

 

 俺は困った。そうして、怒りが湧いた。角を折った二つ足を、強く憎んだ。角を折られた俺の弱さに怒った。

 

 角は強さの証だった。それを失えば、転じて弱者の証に様変わりする。

 

 獲物を狩った。俺より強くても関係なかった。狩って、狩って、狩り続けて、食らい続けた。

 

 そうやって生きてきたある日、寒い場所で、弱い雌にあった。

 白い雌。俺の、愛する番。

 

 白いのは、俺を拒絶しなかった。怯えた俺を受け入れて、体を綺麗にしてくれた。

 

 白いの、あれの為だけに生きよう。この命を使おう。そう思った。

 

 俺を、愛してくれた。

 

 雄として決して魅力的ではない俺を、愛してくれた。

 

 何がしてやれるかと、考えた。

 

 多くの食べ物を渡そうとした。白いのは、多くは食えないのだと知った。

 

 想いを伝えようとした。返してくる好意がより大きく跳ね返ってくるようで嬉しいが、悔しい。

 

 俺の子種から生まれた訳でもない子供を育んだ。嬉しかった。楽しかった。

 

 より良い住みやすい場を与えてやろうとした。だが、後になってから、白いのなりに考えた住みやすい場を奪ってしまったのだと気が付いた。

 

 考えた。行った。そのうち、困った。

 

 俺が何かを与えようとすればするほど、俺は与えられ続けている。愛するものを困らせている。

 

 弱いお前。白いお前。

 俺はお前に、何をしてやれるだろう。そう考えた。

 

 そのうち、ここに辿り着いた。

 怪我をした白いのに、ここは丁度いいと思った。煙で体が隠れやすくて、暖もとれる。

 

 その内、白いのは子を産んだ。三匹だ。あの子たちも、時期にここを旅立つだろう。

 

 そうやって過ごしている間に、星の龍が襲ってきた。何となく、嫌な臭いがした。

 

 白いのが逃げている間、戦った。殺されそうになった。

 

 でも、生き延びた。白いのは弱い。俺が居なければ、駄目だ。

 

 頭を斬り落とした。戻る前に、星の龍を喰らった。他にも、多くを喰らった。嫌な臭いがした。

 

 そうして、白いのの隠れ家に辿り着いた時、全部が手遅れだった。

 

 白いのから、死の臭いがした。嗅ぎ慣れた、喰らい慣れた、理の臭い。

 

 守れなかった。幸せにしてやれなかった。何も返せなかった。何もかもが崩れ落ちる音がした。

 

 それでも、白いのは俺の体を綺麗にしてくれた。擦り寄ってくれた。

 

 嫌だった。愛した白いのを、せめて、ずっと近くに居たいと思った。

 

 その時、白いのからも、確かに嗅ぎ取った。同じような、嫌な臭い。

 命を弄ぶような、俺をも喰らわんと牙を向ける、死の臭い。

 

 元凶がいる。それを理解して、俺は白いのを喰らった。ただ、あれの色の抜けた角だけは、喰らえなかった。

 

 あとは、お前たちが戦っていたアレに、割り込んだ。不思議と、武器を持つ二つ足のことは、気にならなくなっていた。

 

 今は、いつでも死んでいいと思っている。

 

 白いのは弱かった。向こうでも、きっと体も満足に動かせない。

 

 だが、俺が死んだとなれば、あれはきっと悲しむ。それは嫌だ。

 

 だから、向こうに行くまで土産話を積み上げている。そういう意味では、今日のお前たちは、丁度良かった。

 

 礼を言う、二つ足の雄。

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとう、は、こっちのセリフだっての……あと、僕の名前はバハリ、ね」

 

 言葉にできなかった。フィオレーネがギョッとしたような顔を僕に向けている。何事だろうと思えば、顔が濡れていた。

 この辺り一帯が温泉地域だから、汗でもかいちゃったかなと思ったけど、違った。静かに、僕らしくもなく、涙を流していた。

 

 そりゃあ、僕だって泣くことはある。だけど、なんて言うんだろうね。

 

 感動、かな。或いは、悲しみかも。

 

「ありがとう、黒鎧将。どうか、キミの行く末に、幸在らんことを」




研究者
・好奇心には逆らえなかった。
・あくまで黒鎧将の言葉をバハリの中で受け取った言葉がアレ。実際には違う意味合いも含まれてたかもしれない。
・それはそれとしてガチ泣きした。
・この後色々あって黒鎧将の話を物語としてまとめたりする。

王国騎士
・一方的な語らいをしている最中に、突如として黙り込んだと思ったら静かに泣いている男を見て驚いた。
・状況が状況のため、気が気じゃなかった。苦労人。

黒鎧将
・人間のことは白いの好き好き大好きしている間に吹っ切れた。
・今は静かに、そして全力で余生を生きている。
・密かに、こんがり肉にハマった。
・実は龍属性エネルギーに相当体をやられているはずなのに、それを意思の力でねじ伏せて生き続けている。



 おまけ(2/2)は後日投稿します。
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