「言ってませんでしたっけ?高校で女装癖に目覚めました。」
「聞いてなさすぎるよ......」
向かい合いお茶を飲む2人。再会の喜びより困惑が先だった。
ツインテールの男の名は
横には執事のクボスを立たせる。
「女装もびっくりだけど、それよりやっぱ凄いよ。あの学得くんが今では天才技術者なんて。」
「とんでもない。僕はただ愚直にやってきただけです。それにきっと、ここまで貴女のおかげで来れた。ずっと感謝していますよ。」
「ふふっ、ありがとう。そう言われると照れちゃうな。」
現在学得は、若手天才メカニックとして成功を収めていた。しかし子供の頃はかなりのへっぽこドジで、何をやっても失敗ばかり。その度姫葉に助けられてきたのだ。
「本当にもう大物だね、見違えちゃうくらい。...それになんか、雰囲気も変わった?」
「...えぇ、人より多く失敗を積み、多くを学びました。結果随分裕福になれましたが、その分やたらと慎重に......いえ、臆病になってしまいました。」
「ふーん...?そっかぁ...」
学得が微笑む。
「それにしても、大変な時期に戻って来ましたね。化け物の出現情報はニュースでご存知でしょう?」
「あー、『
「そうですか。まぁあまり責任のあることは言えませんが、姫葉さんもお気をつけて。」
ソーサーにカップを置いた。
「それより、いい加減教えて下さい。この町に戻ってきた理由。」
「あっ、そうだった!内緒にしてたね。サプライズ発表のつもりだったけど君がもっと奇天烈なことになってたからサプライズ負けかも。」
「なんかすみません」
「でもまぁ、そこそこびっくりだと思うよ。なんと私、姫葉アタリはぁ〜〜......」
「この町に、お店を開くことになりましたー!」
「!......確かに、びっくりですね。割と。」
「でしょっ?オシャレな喫茶店を開けることになったんだ。これから私も忙しくなっちゃうな〜...おっと、話してたらそろそろお店の準備に行かなきゃな時間だね。」
「おや、もうですか。話し足りない分はまた今度ですね。外までお見送りしますよ。」
姫葉は学得にお店の住所を教え、2人は別れた。
「聞いて下さい、『バント職人ニャオ子ちゃん』。」
ジャララジャカジャカッ♪ ジャララジャッジャ♪
「wow〜〜♪ たまにはさ〜♪
かっ飛ばさせてよ♪ ネコちゃんだって♪
ホームランが良い♪ 肉球ホームラン♪
キョエェェ〜♪ いてもうたるぞ〜♪」
弾語が歌い終わる。今日も無人。
また思わず舌打ちが出る。
「...でもま、お前が無事で良かったよ.....ホント。」
ギターを強く抱きしめた。
変魔の襲来によって働いていたファミレスは半壊状態、バイトも辞めるハメになった。
ただあの時、ガァングの到着によりこのギターは助かった。
「無敗ヒーロー、ね。」
腹の音も鳴る。
「...またバイト探さなきゃなぁ。」
荷物は全て開け終わり、いよいよ本格的に開店準備にかかる。
店の名前は「喫茶Atari」。町の人達の憩いの場所になる、それが一旦の夢で目標。
「よーし、頑張るぞー...!」
ふと、外で何かブブブと音が聞こえた。携帯のバイブとも違う、それに少し大きな音だ。
不思議に思い姫葉はドアを開ける。
その上空にいたのは、巨大なハチだった。
大きな口に立派な鋭い歯が生え揃ったハチ。
「ア"ッ.........」
姫葉の顔は一瞬で真っ青になる。
そして、遠くで腰に黄金のベルトを巻く人影が1つ。
学得だ。
「変身。」
ベルトのバックル部分を叩く。
『カッサライイ"イ"ィイ"ーッ!』
『ガァ、ガァ、ガァング!』
瞬時に漆黒のアームドスーツが装着され、仮面ライダーガァングとなった。
「おいで、マッハカラス。」
もう一度バックルを叩く。
『デバン、ガング!』
すると突然バチバチと空間に電撃が迸り、そこから黒いバイクが現れた。
ガァングが跨る。
ハチの変魔が姫葉の存在に気付き、一瞬、笑うように口角をぐしゃりとした。
羽を一層うるさくさせ、襲い掛かる。
寸前、バイクごと体当たりするガァングに吹き飛ばされた。
ズシンと墜落し、今度ははっきり笑いながら起き上がる。楽しそうに。
「タフですね。来なさい、愛国。」
バイクから降りバックルを叩く。
『デバン、ガング!』
よりゴツいバイクが出現。前方には砲身がついている。
眩い光を発し、エネルギーが銃口に集まり始めた。
変魔が真っ直ぐ、ガァング目掛け飛翔する。
「的がデカい。」
ごん太ビーム発射。
変魔を撃ち抜き、粉微塵にした。
呆然と立ち尽くす姫葉の前で、学得は変身を解いた。
「えっ」
「無事ですか、姫葉さん。あと僕がガァングです。」