とある基地のほのぼの生活   作:日本国民

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どうも、前回の番外編はマジですみませんでした。今回はちょっとしたトラブルとパーティーです。
ではどうぞ!


パーティー

2023年5月7日午前11時45分

 

鳥羽警備基地ドック

 

「司令官、連れてきましたよ。」

 

「あ、ありがとね。白雪ちゃん。」

 

白雪に連れられて来たのは基地内にあるドック。

 

「それで、何があったんだ?」

 

僕は早速本題に入った。

 

「うーちゃんがかくれんぼしていたらしいんだけど、いなくなったらしいの。」

 

「つまり…失踪?」

 

「うん。」

 

艦娘の失踪…問題はないように見えて一大事だ。全世界を震撼させ、未だどんなものかはっきりしない深海棲艦に対し艦娘は牽制できるのだ。そのことに対し恐怖を感じる人も少なくない。

 

「いつからいなくなったの?」

 

「昨日の昼から…かな?」

 

「昨日か…分かった、とりあえずは協力するよ。僕も基地内を探す。」

 

「分かったよ。ありがとう。」

 

僕は探す前に電に連絡をした。

 

『もしもし?』

 

「あ、電。ちょっと用があって。」

 

僕は電に事情を話した。

 

『事情は分かったのです。つまり、捜索班を編成しろと言うことですか?』

 

「うん、あとヘリもお願い。」

 

『分かったのです。』

 

「あと、捜索班に伝えておいて欲しいんだけど、捜索範囲は志摩半島全域と渥美半島沖ね。できれば豊橋にも連絡しといてくれるかな?」

 

『了解なのです。』

 

僕は通話を切ると古川にヘリが捜索に加わることを話した。

 

「ごめん、迷惑かけちゃって。」

 

「大丈夫。それよりも早く見つけないと。」

 

「それもそうね。」

 

僕はここ所属の娘と共に基地内を捜索した。

 

「…?龍驤、何してるの?」

 

近くでは軽空母の龍驤が歩いて探していた。

 

「何してるって、キミと同じで卯月を探してるんやけど。」

 

「そういうことじゃないんだけど…空母なら屋上から艦載機を飛ばして捜索した方が早いと思うよ。」

 

「あ、それもそうやな。ありがとな。」

 

僕のアドバイスを聞くと龍驤は本館に走って行った。

 

「さて、僕も探すか。」

 

30分後

 

「全然見つからないな。」

 

昨日の昼から探しているのだから当たり前だが見つからない。

 

(この基地に限って逃走…というのは考えにくい…だけどそうだとしたら僕たちが探しているってわかるはず…まさか探しているとわからない場所か?)

 

(仮にそうだとしたら、地下や基地外、高い場所…待てよ、高い場所!?)

 

僕は思考を巡らせて一つの結論を出す。そして近くにあるクレーンを見た。

 

「あそこか!」

 

僕はクレーンの階段を駆け上がった。

 

「卯月!?いる?」

 

「ん?男の声?松島さんぴょんか…なんで分かったぴょん?」

 

卯月はクレーンのところにいた。まだかくれんぼをしているつもりらしい。

 

「古川たちが探してるよ。戻ろう。」

 

僕は卯月を連れてクレーンを降りた。

 

「あ、うーちゃん!」

 

「司令官!」

 

「良かった…無事で…」

 

古川の反応から卯月のことをどれだけ心配していたのかが見てとれた。

 

『もしもし?』

 

「電、卯月が見つかったから捜索班に帰還するよう伝えておいて。あ、あとごめんっていう伝言もお願い。」

 

『分かったのです。お疲れ様なのです!』

 

「うん、2時間ぐらいしたら名古屋に着くだろうからもう少しお願い。」

 

僕はそういうと電話を切った。

 

「それじゃあ古川、僕は名古屋に戻るから。」

 

「ああ、うん。ごめんね、わざわざ鳥羽まで来させちゃって…」

 

「いや、いいよ。今更だし。」

 

僕はそう言うと玄関に向かう。

 

その後は行きと同じルートで名古屋に帰った。

 

------

15時35分

 

名古屋基地司令室

 

「ただいま〜」

 

「あ、お疲れ様です、松島さん。」

 

「おかえりなのです!」

 

司令室に戻るといつもの二人が出迎えてくれた。

 

「見つかったようで良かったです。」

 

「うん、クレーンの上に隠れてたみたい。」

 

「そうだったのですね。そういえば捜索班で行ってくれた加古さんたちに伝言は伝えておきましたよ。」

 

「ありがとう。加古の他って誰が行ったの?」

 

僕はお礼を言おうと電に加古の他に行った娘の名前を聞こうとした時、苅田君が書類を机から持ってきた。

 

「だったらこれ見ます?」

 

「え?」

 

「捜索作戦の書類です。ここに捜索作戦に参加した娘の名前が全部載ってます。」

 

「ありがとう。」

 

僕は書類に目を通すと苅田君に返す。そして放送機器をいじって放送する。

 

『司令官から加古、大淀、初雪、天霧、江風。この5人は司令室に来てください。』

 

加古たちを呼び出すとすぐに全員集まった。

 

「えっと、5人とも急に呼び出してごめんね。」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。」

 

5人組の中にいる大淀が答えた。

 

「で、これだけ言いたかったから呼び出したんだけど…捜索の件ありがとね。」

 

「それ、電からも伝言で聞いたぞ?」

 

「まあ、電にも伝えておいてって頼んだけど…人を介さずに言っておきたかったからね。」

 

「とりあえず忙しい時に呼んじゃってごめんね。これだけだから解散。改めて…任務お疲れ様。」

 

僕がそう言うと5人はすぐに解散した。

 

「松島さんって昼ご飯食べました?」

 

「え?うん、帰りの特急の中で食べたよ。」

 

「そういえばパーティーの件ってどうするのですか?」

 

「へ?……思い出した。そんなこと言ってたな。」

 

午前中にゴールデンウィークなんだしパーティーしようと言っていた。

 

「準備とかっていつからぐらいが良いですかね。」

 

「まあここのみんななら5時半から準備しても間に合いそうだけど。」

 

ここの基地のみんなは歓迎会とかが多いせいか準備が飛び抜けて早い。

 

「4時半からの準備というのが良いと思うのです。」

 

「そうだね…あと40分くらいか。」

 

僕はデスクの上の時計を見ながら答える。

 

「仕事無くてちょっと暇ですね。」

 

苅田君は椅子に座りながら言う。

 

「本当にそうだね。ありすぎも良くないけど無いのは無いのでなんかね…」

 

「雨だから散歩って訳にもいきませんし…」

 

「なんか時間を潰せるものは…」

 

「だったらこれやりません?」

 

そう言うと苅田君はスマホを見せる。そこには音ゲーの画面が映っている。

 

「音ゲーか…良いね。」

 

「松島さんやったことあるんですか?」

 

「うん…ほら。」

 

僕もスマホの画面を見せる。そこには苅田君のと同じゲームが映っている。

 

僕は大量の曲の中からパーフェクトでは無い曲を探す。パーフェクトというのは全てをgreat無しで打ってクリアすることで難易度が高い。

 

「あった…これか…」

 

見つけた曲はこのゲーム屈指の難しさを誇る。

 

「それプレイするんですか?」

 

「うん、まだパーフェクトじゃないからね。」

 

横にいた苅田君が僕のスマホを覗き込む。

 

「俺なんてパーフェクトなんて出たことないですよ…」

 

「まぁ、それは人それぞれだと思うし…」

 

僕は流れてくるノーツを捌いていく。結果は少しミスを出してしまった。

 

------

 

40分後

 

「お、じゃあ行ってこようかな。」

 

あっという間に40分が経ち、僕は放送室に向かった。

 

『司令官から全艦娘宛、今日はパーティーをやるので、準備をお願いします。』

 

僕が放送でそう言うと壁越しでも聞こえるほどの歓声が湧き上がった。

 

「さて、僕も行くか…って言ってもすでにほぼ終わってるんだろうな…」

 

行くと既に7割方準備が終わっていた。

 

「やっぱりか…本当に早いな。」

 

僕は来た道を戻って司令室に向かった。

 

「あ、松島さん。」

 

「ただいま〜」

 

窓が割れて風通しの良くなった司令室に戻ると苅田君がいた。

 

「やっぱり終わってました?」

 

「うん、本当ここの娘達は準備が早いからね。」

 

コンコン

 

苅田君と話しているとドアをノックする音が聞こえた。

 

「どうぞ〜」

 

「失礼しまーす。」

 

僕が返事をすると秋雲が入って来た。

 

「秋雲?どうしたの?」

 

「司令官、ちょっと相談があるんだけど…」

 

「相談?」

 

秋雲が相談に来るなんて珍しいと思いながら話を聞く。

 

「……って訳なんだけど…」

 

「つまり、コミケにイラストを出したいと?」

 

「ダメかな?」

 

「いや、僕は別に止めないし咎めもしないよ。」

 

秋雲のやろうとしていることは個人的には別に問題ないと思うし、寧ろ出そうと考えるのは賞賛に値するとすら思う。だが世論には艦娘を「化け物」「怪物」と思う人も少なくはないのが現状だ。

 

「良いの?」

 

「うん、だけど制服じゃなくて私服で頼むよ。上層部にバレたら多分だけど僕の首が飛ぶからね。」

 

そのため艦娘の外出には許可証がいる。また行く場所も限られており、全国から数十万人が集まるコミケなんかはもっての外だ。

 

「行けることが分かって良かった〜、じゃあ行くね!」

 

そう言うと秋雲は司令室を出て行った。

 

「良いんですか?コミケって。」

 

「別に秋雲がやりたいならそれで良いと思うし、バレても『僕が強制的に行かせました』って言えば解決でしょ。」

 

僕は笑いながらそう言った。

 

「そんな事言って…否定もみんなを守る術ですよ。」

 

「その言葉…肝に銘じておくよ。」

 

「否定も守る術」…その通りだ。縛るのはもちろん良く無い。かと言って放しすぎも良く無い。艦娘は兵器だ。法律を破った者には更生のチャンスがある。しかし規則を破った兵器は必要ない。つまるところ捨てられる。苅田君はその事を言ってるのだろう。

 

「それにしても、涼しいですよね。」

 

「うん、当分冷房はいらないね。」

 

なぜ涼しいかというと…僕の左後ろにある窓が原因だ。午前中にボールによって割られたため、潮風が部屋に入ってくる。まあそれに加えて雨も入ってくるのだが…

 

「そういえば、明石さんには言ったんですか?」

 

「……言ってないかも、ちょっと行ってくるよ。」

 

「言ってなかったんですか…」

 

僕は工廠へ向かう。

 

「明石?まただけどいる?」

 

「え?司令官?」

 

工廠の奥から明石が来た。

 

「またどうかしたんですか?」

 

「えっと、司令室の窓を直して欲しくて…」

 

「窓?何かあったんですか?」

 

「うん、午前中にボールが窓を割っちゃって…だから直して欲しいんだよ。修理費は出しとくから。」

 

「分かりました。すぐ行きます。」

 

明石はすぐに支度を始めた。

 

「じゃあ僕は司令室で待ってるから。」

 

僕は明石よりも一足先に司令室に戻った。

 

「あ、言ってきましたか?」

 

「おかえりなのです!司令官さん。」

 

戻ると苅田君と電がいた。

 

「ただいま。うん、言ってきたよ。すぐ行くって。」

 

「司令官!来ましたよ!」

 

「入っていいよ。」

 

噂をすれば明石が来た。

 

「おー、これは派手に割れましたね。」

 

明石はすぐに窓に近づくと段ボールで手際良く窓を塞いでいった。

 

「とりあえず、段ボールで穴を塞ぎます。あくまで応急処置ですので、数日後ガラスが手に入ったらまた修復しますね。」

 

明石は僕達にそう説明すると司令室を出て行った。

 

「これで雨は入ってこないですね。」

 

「書類が飛ぶことも無くなったし、良かったのです。」

 

「今は…6時か、仕事もないし…」

 

僕はいつものことだがやる事を欲しいと思いながら時間が経つのを待った。

 

------

 

午後7時20分

 

「そろそろ行きます?」

 

「うん。」

 

僕たちは広間に向かった。

 

「さてと、楽しみますか!」

 

僕たちは各々食べ物や飲み物を取っていく。

 

「お、赤城。」

 

「司令官。どうかなさいましたか?」

 

僕は近くで白米をお椀に装う赤城に声をかけた。

 

「いや、すごい盛ってるから。」

 

見るとお椀にはすでに大量の白米が装ってあり、まだ入れるのかと言った感じだった。

 

「腹が減っては戦はできぬって言いますから。」

 

「まあそうだけど、食い過ぎは食い過ぎで戦できないと思うけどね…」

 

「いや、大丈夫ですよ。食べ物は嘘つかないので!」

 

「あはは…」

 

この基地の赤城は他の基地に比べても飛び抜けて大食いだ。なんせ口癖が「食べ物は嘘つかない」なのだから。

 

「うん、あまり食べ過ぎないようにね。」

 

僕は味噌煮込みうどんを装うと席に戻った。

 

「やっぱり美味しいな…」

 

「あ、松島さん味噌煮込みですか。」

 

食べていると苅田君が隣に座った。

 

「苅田君は何にした?」

 

「俺はカレーにしました。」

 

「カレーか…どこにあった?あとで食べたいからさ。」

 

「カレーなら広間の左奥にありましたよ。」

 

「ありがとう。」

 

周りを見渡すと酒を飲んでいる娘だったり、数人でカードゲームをやっていたりとみんな楽しんでいた。

 

「苅田君には感謝だよ。」

 

「へ?なんでですか?」

 

「あ、聞こえてたのか…君がパーティーをやったらって言ってくれなかったらみんなこんなに楽しんでないかもなって思ったから。」

 

「いや、まず松島さんがゴールデンウィークなんだから何かやろうって言ってくれなかったら僕があの提案をすることもなかったですし…」

 

「そうかな?納得のいく提案をしてくれた苅田君のおかげだと思うけど。」

 

「いやいや、だからあれは…「はははは……!」

 

僕は笑い声の聞こえた方に顔を向ける。

 

「いやいや、なかなか面白かったのでな!すまなかった。」

 

笑い声の主は利根だった。

 

「いやだって、このパーティーは苅田君のおかげで開けたのに謙遜するからさ…」

 

「え、さっきも言ったとおりこれは松島さんのおかげで開けたんですよ?」

 

「だからこれは苅田君のおか「ちょっと待つのじゃ。」

 

僕たちの手柄の押し付け合いを利根が止める。

 

「こっちからすれば、お主ら二人のおかげでこのパーティは開けたと思うがな。」

 

「苅田殿がこのことを提案しなければ達成しなかったし、司令が何かやろうと言わなければそもそもこうはなってない。こうなったのは二人のおかげじゃ。どちらか一人という訳ではないと吾輩は思うがの。」

 

「……なら、俺ら二人のおかげってことにしましょう。」

 

「うん、僕もそれでいいよ。」

 

結局利根の説得で僕たち二人の手柄ということになった。

 

------

 

2時間後

 

パーティー開始から2時間以上。周りには遊び疲れて寝てしまっている娘もいる。

 

「楽しかったね。」

 

「はい、明日のことはもう考えたくないです。」

 

今日は仕事がかなり少なかったが、明日はそうはいかないだろう。きっと大量の仕事が待っているはずだ。

 

「あ、司令官さんまだいたんだ。」

 

「阿賀野、そっちこそもう寝てそうだけど、起きてたんだね。」

 

僕たちが話していると、少し眠そうな阿賀野が話しかけてきた。

 

「眠いから今から部屋に戻ろうとしているところ…」

 

「そっか、楽しんでもらえた?」

 

「うん、すごく楽しかったよ…」

 

「…なら良かったよ。それじゃあ、おやすみ。」

 

「司令官さんも、おやすみ。」

 

阿賀野と一通り話すと横にある苅田君が微笑んでこっちを見ていた。

 

「ん?どうしたの?」

 

「いや、良かったですね。」

 

「ふふ、そっちもね。」

 

「はい、俺の提案でここまで喜んでもらえるとは思わなかった。」

 

苅田君は満足したような表情で広間を見渡した。

 

「僕たちもそろそろ部屋に戻ろうか。」

 

「はい、そうですね。片付けはどうします?」

 

「うん…まあ、明日でも大丈夫でしょ。」

 

「わかりました。」

 

僕たちは自分の部屋に戻った。

 

「それじゃあ、おやすみ。」

 

「おやすみなさい。また明日。」

 

僕は部屋に戻ると用意を持って風呂場に向かった。

 

(スポーツドリンクを買っておくか。)

 

僕は帰りに自販機でスポーツドリンクを買うと司令室横の部屋に入った。

 

「はあ、疲れたなぁ。」

 

今日は司令室の窓が一枚割られて…鳥羽に行って卯月探して…パーティーやって…いつものことだが、僕の日常は中々に破茶滅茶だと思う。

 

「ま、それがいいんだけどね。」

 

僕は一日を振り返ると洗面台に向かって歯を磨く。

 

「ちょっと早いかな?いや、6時前に起きるのだからこれぐらいでいいか。」

 

僕は布団を被って目を瞑る。

 

2023年5月7日午後10時1分 就寝




ということでこれで終わりです。ゴールデンウィークから1ヶ月以上経ちましたが…やっとです。失踪はしないのでご安心ください。
ではまた次回!
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