とある基地のほのぼの生活   作:日本国民

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どうも、7月中に投稿できませんでした…申し訳ありませんでした。季節外れすぎる梅雨の話です。
ではどうぞ!


梅雨

2023年7月9日午前5時41分

 

司令室

 

「やることがないな…」

 

僕は誰もいない司令室で一人そう呟く。5時20分ぐらいに起きたせいで暇な時を過ごす羽目になってしまった。

 

「外は…大雨か…」

 

何もすることがないため外でも見ようと窓の前に行くが外は大雨。何も見えなかった。

 

「何か考えていればいいか。」

 

少しだけ考え事をしていると時間が過ぎ、いつの間にか6時過ぎになった。

 

「松島さんおはようございます。」

 

「司令官さんおはようなのです。」

 

「二人ともおはよう。」

 

いつも通り二人が入ってくる。

 

「今日は土曜日ですね。」

 

「うん、仕事が少なくて最高だよ。やる事もなくなるんだけど…」

 

「毎週暇にしてますもんね。」

 

だが仕事が少ないとはいえ無いというわけでは無い。僕は電が持ってきた書類を見る。

 

「それじゃあ、さっさと片付けよう。」

 

「なのです!」

 

「そうですね。」

 

三人で仕事に取り組む。苅田君も数ヶ月ここにいたおかげで書類の処理スピードはかなり早くなった。そのせいでこの仕事を矯正する人間がいなくなったが…

 

------

 

1時間後

 

「ふぅ、休憩する?」

 

あれから1時間ぐらいが経った。僕は丁度喉も渇いていたので二人に休憩するかを聞いてみた。

 

「ですね。少しお茶を飲みたいです。」

 

「私もなのです。」

 

「決定だね。それじゃあ取ってくるよ。」

 

僕は二人の意見を聞いて司令室から出る。ありがたい事にお茶の保管場所はかなり近い。

 

「あ、司令官…」

 

「霰。お茶を飲みにきたの?」

 

冷蔵庫のある部屋に着くと霰がペットボトルの麦茶をコップに入れていた。

 

「うん…喉…渇いたから…」

 

お茶をコップに入れ終わると霰は部屋から出ていった。僕も三人分のコップを持つと司令室に戻る。

 

「ただいま。」

 

「あ、おかえりなさい。」

 

「おかえりなさいなのです。」

 

僕は二人の前にコップを置く。

 

「こういうジメジメしている日にはやっぱり冷たいお茶ですね。」

 

「なのです。生き返りますね。」

 

今日は日本のほぼ全域で雨だ。最高気温が30度を超えてきたのも相まって不愉快さはかなり高い。

 

「最近本当に暑いよね。7月上旬とは思えないよ…」

 

「山陰や九州の方じゃあ大雨ですし、やっぱり地球温暖化ですかね。」

 

「多分ね…」

 

ブーブー

 

スマホが音を出す。どうやら通知みたいだ。朝からずっとこんな感じだ。原因は大雨。そのせいで防災アプリからの通知が来まくっている。

 

「さすがにそのスマホ切りませんか?」

 

電が提案してきた。それに苅田君も賛同する。

 

「そうですね。どうせ愛知近辺とは関係ないでしょうし…」

 

「確かにね。通知を切っておくよ。」

 

僕はスマホの設定の欄から通知を切る。これでうるさく鳴ることもないだろう。

 

「この雨に便乗して敵が攻めて来ないといいですが…」

 

災害に便乗して深海棲艦が攻めてくる事例はかなり多い。特に開戦当時は地震、洪水問わず大きな被害が出れば襲ってくるような状況だった。

 

「そうだね。今回はまだ日本海側だからその心配はいらないかもだけど…」

 

「やっぱりそっちの方に住んでる人たちが心配なのです。」

 

「だね、救助隊の編成も考えておくかな。」

 

------

 

「終わったね。」

 

「ええ。」

 

あれから1時間。今日分の仕事が終了した……マジでどうしよう、やる事がない…

 

「とりあえず朝食食べに行きましょうか。」

 

「うん、電も行こう?」

 

「あ、はい!」

 

僕たちはいつも通り食堂に向かう。

 

「やっぱり人が多いな…」

 

現在時刻は午前8時前。皆がちょうど朝食をとる時間帯だ。そのせいか食堂内は皆の話し声や向こうで料理を作っている音でかなり賑やかだ。

 

「松島さん。」

 

席に座ると苅田君が何かを思い出したように声をかけてくる。

 

「この前廊下歩いてたときに蛍光灯が切れてるところがあって、後で直しに行きませんか?」

 

「どのあたり?」

 

「確かここの3階?だったかな…元々結構暗いところだったから危ないかなと…」

 

「海洋博物館のところか…あそこを使わなくなって以来かなり暗い雰囲気になったんだよな…」

 

旧名古屋港ポートビルは現在名古屋基地の管理下に置かれている。そのため一般人は立入禁止になっており、ポートビル内に入っていた博物館やカフェはもちろん閉鎖。しかし高さ63メートルのビルを軍事施設に転用できるわけもなく、現在も一部では物置のような状態になっている。

 

「そういえば上の作戦指揮室もここ最近は使ってないのです。」

 

「元々展望室だったとこですよね?」

 

「うん、見晴らしが良いからぴったりって話になったんだけど、僕が司令室で艦隊を指揮するようになったのと、放送室を作戦指揮室にしちゃったからここ一年はずっと使ってないな。」

 

あそこは一見作戦指揮室にぴったりだと思われがちだが、わざわざ数階上の展望室まで行くのには時間がかかるし、基地内での異常事態への対応が難しい。さらに移動時間を加味するとかなりの非効率で無意味だ。

 

「まぁあそこは深海棲艦に攻められた時の囮ってことで。」

 

「確かに、攻め込まれたら一番初めに狙われそうなのです。」

 

「一層あそこに近づけなくなりますね。」

 

「何の話をしてるのー?」

 

僕たちが3人で話していると隣で声がした。声がした方に顔を向けると雷たちがいた。いかにも聞きたそうな感じで…

 

「雷ちゃんとみんな!」

 

「別に興味は無いけど……2人がどうしてもって聞くから仕方がなく…」

 

「暁が一番興味津々だったけどね!」

 

「ちょっ!雷それ言わないでよ!」

 

六駆のみんなのやり取りに苅田君はクスッと笑う。

 

「それで何の話をしていたんだい?」

 

「ん?ああ、作戦指揮室がもう使えないなって話をしてたんだ。」

 

「作戦指揮室?放送室が使えなくなるの?」

 

「あっちの高い建物の一番上にあるのです。最近は使っていませんが…」

 

暁と雷は頭上に?が浮かぶ。あれ2人とも知らなかったっけ?

 

「だけど、そこ気になるわ!あとで連れてって!」

 

「雷が行くなら私も行くわ。」

 

2人とも見たことが無いのか目を光らせている。

 

「じゃあ私も…」

 

「分かった、電球を交換するついでに作戦指揮室にも行こうか。」

 

あれから数分。頼んでいたものが来た。それにしても大変そうだ…手伝ったほうがいいだろうか…

 

「ちょっと厨房で手伝ってくるよ。」

 

「「やめてください。」」

 

僕は2人に止められた。

 

食べ終わり、食器を返却口に返すと新しい蛍光灯を取りに倉庫に行く。

 

「えっと…第四倉庫…第四倉庫……これか。」

 

「こんなとこに倉庫あったんですね。」

 

ここは本棟2階の端。ほぼ使わないせいかこの倉庫の存在を知っている人はごく少数だ。

 

「えーと、とりあえず12本廊下に出しとくか。

 

「……?使うのは2本で十分ですよ?」

 

「いや、次どこかの蛍光灯が逝ったときにここまで取りにくるの面倒くさいから先に司令室に持って行こうかなって…」

 

「そういうことですか。」

 

僕たちは6本ずつ蛍光灯を持つと階段を上がる。そして司令室前で10本を下ろす。

 

「あ、司令官!」

 

それと同時、暁型の3人も来た。

 

「うん、じゃあ行こうか。」

 

僕は司令室の扉を開けると電に声をかける。

 

「電も来る?」

 

「うーん、じゃあ行くのです。」

 

そして僕たちは6人で旧ポートビルの方に向かった。

 

------

 

本棟3階 旧名古屋海洋博物館

 

「やっぱり暗いね。」

 

螺旋階段を上がり、名古屋海洋博物館だった場所に着く。

 

「この辺り全然来たことないわ…」

 

「まるで廃墟だ…」

 

今では巨大な倉庫となっているせいか、廃墟のようにすら感じられる。

 

「スイッチは……あった。」

 

苅田君がスイッチを押すと3階の電気が一斉に点く。

 

「電気が点いても暗い雰囲気は変わらないのです…」

 

廊下を見ると一箇所点いていない部分があった。

 

「あそこか。脚立は…持ってくるのを忘れた……」

 

「あの中だったらあるんじゃないのかい?」

 

響が指を指した先にあるのは第八倉庫。椅子などの家具やイベント時の装飾品、災害時用の食料品など、色々なものが保管されている。

 

「シャッターの鍵は……開いてる…」

 

この基地のセキュリティは大丈夫かと思いながら倉庫の中に入っていく。

 

中は博物館の頃から変わっていない。だが大量の物品のせいで通路は人1人がやっとという狭さになっている。

 

「う……ちょっと狭いのです…」

 

「同感。整理整頓をした方がいいな。」

 

「あ、あれじゃないの?」

 

奥の方に脚立が一台あった。

 

「よし、運ぶからみんな出口まで下がって。」

 

5人が下がったのを確認すると周りの物にぶつからないように脚立を慎重に出口まで運ぶ。

 

切れた蛍光灯の下に脚立を置くと苅田君が新しい蛍光灯を持ってくる。

 

「あ!司令官さん、まだ付けないで!」

 

電が大声を出して僕を止める。

 

「どうしたの?」

 

「照明を切らないと感電しちゃうのです。」

 

「あ…そっか、ありがとう。」

 

電が照明を切る。すぐ触ると感電するため少しだけ時間を置く。

 

数分程度してから僕は蛍光灯を押し込んで外す。

 

「片側に押し込んで……苅田君、これ渡してもいい?」

 

「大丈夫ですよ。」

 

古い蛍光灯を苅田君に渡し、新しい蛍光灯をつける。

 

「ん………これでいいな。」

 

蛍光灯を取り付け終わるともう一本の蛍光灯を外す。

 

「司令官!それ、私がやるわ!」

 

「暁?これ結構難しいよ?」

 

「大丈夫よ!」

 

暁は自信満々なようだ。少し心配しながらも僕は脚立を降りる。

 

「重いですから気をつけてくださいね。」

 

「……う、うわっ!」

 

苅田君が蛍光灯を渡すが重かったのか落ちそうになる。僕は暁を支えて落ちそうになるのを防いだ。

 

「おっと…やっぱり変わろうか?」

 

「レ、レディーなんだから問題ないわ。」

 

だめだこりゃ…僕は何が起きてもいいように脚立の近くで見守る。

 

「…………」

 

暁は蛍光灯持ったまま動かない。やり方が分からないようだ。

 

「そこで穴に押し込んで。」

 

「わ、分かってるわ。」

 

「反対側も同じように……それで大丈夫。」

 

暁はなんとかして蛍光灯をつける。

 

「電気点けますねー」

 

苅田君がスイッチを押すとまた明るくなった。

 

「よし、終わりだね。じゃあ作戦指揮室に行こうか。」

 

僕たちは暁たちが行きたかった作戦指揮室に向かう。

 

5階まで行くと扉を開ける。そこにはさっきまでの螺旋階段とは違い、少々急で狭い階段があった。

 

「すごい長そうね!」

 

「そうだね、しかもかなり急だ。」

 

「足元に気をつけて上がらないと転びそうですね。」

 

僕たちは夜のように暗い雰囲気の階段を上がっていく。

 

「やっぱり長いのです。」

 

「なんか、作戦指揮室として使われなくなった理由が分かりました…」

 

作戦指揮室が使われなくなった一番の理由はこれだ。この昼でも暗くて急、そして長い階段。緊急時、一刻を争う時にこんな所で時間をかけられないのだ。

 

数分してやっと階段の終点に着く。

 

「はぁ…はぁ…すごい長いですね…」

 

苅田君はかなり疲れ、その場に座り込んでいた。暁型の4人はかなり余裕そうだ。

 

「4人ともかなり余裕そうだね。」

 

「艦娘だからね。訓練のおかげだよ。」

 

「それにしてもすごいわね!」

 

雷が指揮室の窓に顔を近づける。窓の先に広がるのはガーデンふ頭と名古屋市。反対側の窓からは名古屋港の工場群が見える。今日は雨で少々見晴らしが良くないが…

 

「深海棲艦が出現する前は初日の出を見る場所として賑わってたらしいよ。」

 

「そういえば松島さん。エレベーターがありますけど、もう動かないんですか?」

 

苅田君がエレベーターの扉に指を指して聞いてくる。

 

「うん、電気も止められてるし、名古屋基地になってからは業者も来ないからね。動くけどかなり危ないと思うよ。」

 

僕が説明すると苅田君はなるほどと言ったようにうなづく。

 

「さて、少し休憩するか。」

 

僕は椅子を一つ引いてそこに腰をかける。

 

……それにしても見晴らしがいい。天気が雨なのを残念に思ってしまう。

 

「今度はみんなで来たいのです。」

 

僕の左隣の椅子に座りながら電は言った。

 

「だね。今度は晴れた時がいいなぁ。」

 

「そういえば…電気は点けないんですか?」

 

「あ…忘れてた…」

 

僕は立ち上がるとスイッチを押す。電気はまだ生きてたようで室内は一気に明るくなった。

 

15分後

 

「そろそろ戻ろうか。」

 

作戦指揮室に来てから15分。流石にもういいと思い、僕はみんなに声をかける。

 

「なのです。」

 

「そうね。」

 

僕たちはさっき来た道を戻る。今度は下りのためさらに怖い。

 

「響!押さないわよね!?絶対押さないでよ!?」

 

「それはもう押してと言っているようなもんだよ。」

 

「ちょっ……怖い!」

 

「23歳の大人が何言ってるのです……」

 

「そういう問題じゃないだろ!」

 

暁と苅田君はいろいろ喚きながら降りているが……見ていて面白い…こんなことを言うのはクズだろうか?

 

僕たちは5階まで降りる。ここまで来れば普通の螺旋階段になる。2人と怖がることはないだろう。

 

「はぁ……怖かった…」

 

「私は別に怖くはなかったのです。」

 

「……うるさい…」

 

いつの間にこの2人はこんなに仲良くなったのだろう?

 

「それにしても綺麗だったわ。」

 

「そうね。司令官、もっとあそこ使わないの?」

 

「うーん…やっぱり道中がちょっとね。」

 

展望室としての再利用…僕も考えたが正直暗く長いあの階段がある以上再利用は認可できない。

 

「ならエレベーターや階段をもう一度整備すればいいんじゃないのかい?」

 

「それは上が許さないのです…」

 

「階段やらエレベーターやらの改装費用なんて防衛省が出すとは思えないね。」

 

その後暁たちと別れると司令室に戻った。

 

2023年7月9日午前10時57分




ということでこれで終わりです。はい、季節外れにも程がありますね……今度はもっと早く投稿します……多分。
ではまた次回!
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