なんとか失踪せずに続けたいです
戦場からお送りする回想
ーーダダダダダッッ!!
ーーダァァン!
ーードッカァァン!!!
響く爆音と硝煙の匂い、視界を覆う土煙がオレの五感を奪っていく。右も左も分からぬまま、オレは両手で持つのもやっとな重厚な盾を引き摺り戦場を駆け回る。敵の位置も味方がどこに居るのかも分からない、そんな不安を掻き消す為に。
不意に背筋を嫌な感覚が襲う。こういう時の勘は敏感な方だ。振り向くと同時に盾を目の前に構える。が、それでも耐えきれない程の衝撃がオレの体を吹き飛ばした。
「ぐへぇっ!?」
地面に叩きつけられ変な声が出る。それでも死なない為に身を起こすと、戦車の砲塔がオレへ照準を合わせていた。手元に盾は無く、先程の衝撃で体は思うように動かない。
終わった……。そう思った。でもーー
ーーズダダダダァァン!!
砲塔から砲弾が射出される前に戦車の横っ面を黒い弾幕が襲い、そのまま戦車は爆発炎上した。助かった?と惚けた頭で考えていると、不意に襟首を持ち上げられる感覚。当然閉まる首にまたもや変な声が上がる。
「ぐぇえ!!」
「ぼさっとしない。早く立つ」
そう声を掛けられ、咳き込みながら見上げると白髪の少女がオレを見下ろしていた。ふわふわした白髪、そこから伸びる黒い角は紫の線が発光している。冷たい視線に急かされ立ち上がるとオレの胸にも満たない身長が浮き彫りになる。見た目はとても可憐な少女だが、その手には似つかわしくない漆黒のどデカいマシンガンが握られている。
「いつまでも寝てないで、ちゃんと仕事して」
「オレ、さっき砲撃されてばっかなんだけど!?」
「あれくらい、どうということはない」
「そりゃヒナからすりゃあそうだろうけど!……って痛ぁ!?」
「今は仕事中」
「だからって名前で呼んだだけで小指踏まないで貰えます!?」
「イチゴうるさい。そのせいで敵が寄って来た」
「オレのせいじゃ無いと思うんだけどなぁ!?……ったく、わんさか湧いてきてかったるいな~」
「確かにめんどくさい。だから、なるべく早く制圧する」
「はいよ、りょーかい」
少し晴れた土煙の向こうから大量の増援がこっちに向かって来ているのが見える。オレは腰から携帯式の小型盾を展開し、もう片方の手で警棒を握る。そのまま風紀委員長ーー空崎ヒナの前に立つ。風紀委員を身を呈して守るのがオレの仕事、いつの間にこんな仕事になったのやら。敵の軍勢に向け1歩踏み出そうとした時、服の裾を引かれる感触に気づき振り返る。
「このまま敵の本隊も一気に殲滅する。だから……私から離れないで」
「……はいよ。仰せのままに、お姫様」
「……次その呼び方をしたら撃つ」
「理不尽過ぎじゃないですかね!?」
そんなやり取りで適度にほぐれた頭で思う。
ホント、なんでこうなってるんだっけ?
たぶん今後戦闘描写は減ると思うのであしからず