風紀委員の肉壁くん   作:阿良良木歴

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ストーリーに寄せた話も書きたくなってきたんですけど
ギャグよりにするかシリアス系にするかで悩んでます。
一応どっちもなんとなくの構想はできてるので


敵の敵はやっぱり敵

「ここ……だよな?」

 

今日は風紀委員の方がオフで先生からのおつかいを頼まれていた。渡された地図に従い、目的地に着いたはいいが、

 

「廃墟……だよな、どう見ても」

 

渡された紙袋と廃墟がどうしても結びつかないが、とりあえず入って見ないことには始まらない。中に入るとやはりというか、荒れ果てた部屋がそこかしこに広がっていた。どうしたもんかと考えていると、人の話し声が聞こえてきた。この感じだと、上の方か?階段を上り声のする方に歩いていく。だんだんと近づいて行くうちに、どこかで聞いた事のあるような気がしてきた。誰の声だったか考えているうちに、声の元である部屋の前に辿り着いた。考えつつも扉をノック、そのまま開ける。

 

「こんにちは〜。先生から頼まれてきた……んだけど」

 

「え?あ、あなたは!?」

 

「お前ら……便利屋!?」

 

錆色の髪に角、高圧的な態度を出そうとしている女の子ーー陸八魔アルがいた。その後方には他の便利屋メンバーも。こいつらは、何をやらかすか予想出来ない分美食研究会や温泉開発部よりもタチが悪い。つまりは風紀委員の敵。

 

「ここであったが100年目!確保〜ッ!!」

 

「ちょお!?待ちなさいよ!まだ何もしてないじゃない!?」

 

「まだって言うことはやるってことじゃねぇか!」

 

風紀委員がオフのため捕獲用の道具が何も無いが、頭を悩ませる頭痛の種を取り除けるなら気絶させてでも確保する。確保のため部屋に1歩踏み入れると足元からカチッという音が、

 

「……は?」

 

「え?」

 

ーードゴォオォォンッ!!

 

気づいた時には目を覆うほどの閃光と衝撃、そのままオレは気絶してしまった。

 

 

 

***

 

 

 

「くっ!殺せぇ!!」

 

「そのセリフ、素で吐く人初めて見た」

 

「くふふ、新しいおもちゃゲット〜」

 

「ア、アル様。消しますか?」

 

気がついたオレは椅子に縛られ、自由を失っていた。敵に捕まってしまうなんて風紀委員の恥。しかも、

 

「こんなネタ集団の便利屋に捕まるなんて……」

 

「ちょっとぉ!?聞き捨てならないわ!」

 

目の前の陸八魔が反論するが、予想出来ない行動の数々に損得勘定してるのかもわからない騒動、どう考えてもネタ集団だろ。

 

「というかあなた、何故ここに?」

 

「あ、そういやそうだった。先生から紙袋預かってきたんだけど、どっかで見てねぇ?」

 

「ああ、これの事?それにしても、本当にシャーレの人なんだね」

 

「ああ、それそれ。先生からお前らにお届け物だよ。……ってオレなんだと思われてた訳?」

 

「それは勿論、ゲヘナ風紀委員の肉壁でしょ〜。キミが来てから風紀委員も手強くなっちゃったし、逃げるの大変なんだよね〜。……あ、ご飯の差し入れだ〜」

 

「捕まる様なことすんのが悪い。あと陸八魔、お願いだからそこの爆弾女の手網握っといてくれ」

 

「や、やっぱり消しますね!」

 

「落ち着きなさい、ハルカ」

 

爆弾女にはこれで2度もしてやられているから、苦手意識がある。つか、耐久性に自信あるのにコイツどんだけの量の爆薬仕込んでやがる。

それはそうと、少し陸八魔が考え込んでいる。大方、オレのこの後の処遇とかだろう。そのまま逃がしたり逃げたりしても旨味がないし、かと言って他の使い道も無いだろうからな。

 

「アルちゃん、何悩んでるの?」

 

「え?この男の扱いに……そうだわ」

 

何か思い付いたのかこちらを見下す陸八魔が、

 

「あなた、便利屋で雇ってあげる」

 

「はあ!?」

 

「先生もウチの経営顧問だし、シャーレ所属のあなたも当然どう扱っても良いわけよね?」

 

「待て待て待て!?その発想はおかしいだろ!」

 

「役割は……そうね。戦闘で盾役の派遣社員って所かしら」

 

「話を聞け!」

 

あれよあれよという間にオレを雇うことを決めている陸八魔に待ったをかけるも、聞く耳を欠片も持っていない。こうなれば周りから止めて貰おうとオレの近くにいた白髪の女の子ーー浅黄ムツキに声をかける。

 

「浅黄、お前からも陸八魔を止めてくれ。言っちゃなんだが敵同士だぞ、オレたち」

 

「ん〜、でもアルちゃんにしてはいい案なんだよね〜」

 

「はあ〜!?」

 

「ここでキミを雇えば戦力アップになるし、逆に風紀委員会は戦力ダウン。と〜っても魅力的だと思わない?」

 

「ぐぅ!だ、だとしてもオレがお前らの味方になると思うか」

 

「そ・こ・は!籠絡しちゃえばいいんじゃない?」

 

「……は?何言って……ちょおいぃ!?」

 

そう言ってきた浅黄が動けないオレの上に向かい合う様に座る。当然、距離が近くなり、慌てた逃れようとするも固定されたオレにはどうすることも出来ない。逆に変に抵抗したせいでオレの腿と浅黄の足が擦れ、柔らかい感触をイヤでも感じ取ってしまった。

 

「あれれ〜?急に抵抗やめちゃって、諦める準備が出来たのかな〜?」

 

「くっ!お、鬼方と伊草!仲間のこんな暴挙許していいのか!?」

 

抵抗出来なくなった理由を知ってか知らずか、ニヤニヤとオレの顔を眺める浅黄から逃げるようにモノトーンの髪色の女の子ーー鬼方カヨコと紫がかった髪色の女の子ーー伊草ハルカに助けを求める。

 

「別に。仲間に引き入れるのはいい案だと思うし、籠絡されて従順になるなら言うこと無いかな」

 

「わ、私はアル様の望みがそれなら従います」

 

「うっそだろ、おい!?」

 

まさかの四面楚歌。いや、敵地ど真ん中の時点でそれはそうなんだが。それにしても反応がタンパクしすぎやしないか?

 

「ほらほら〜、アルちゃんも一緒に籠絡しよ?」

 

「えぇ?わ、私は遠慮するわ!」

 

「いやお前は引くのかよ」

 

浅黄が陸八魔に声をかけるも、まさかの陸八魔が及び腰。つかちょっと顔赤くなってるし、初心なのかよ。ここから何とか状況を打破出来ると期待したい。

 

「でも〜敵を籠絡して寝返らせるなんて、とっても悪い事だと思わない?」

 

「……!」

 

「……陸八魔?」

 

「それに〜。男を手玉に取って裏社会を牛耳るなんて、裏社会の女帝って感じでカッコイイと思うな〜?」

 

「!!」

 

「陸八魔さん!?」

 

浅黄の言葉に唆されているのが手に取るようにわかる。落ち着け陸八魔!オレは別に裏社会の住人とかそういうんじゃないから、そんな展開には絶対にならないぞ!

そんな思いも虚しく、陸八魔がオレの後ろに回り込みするりと背中から手を回す。前の浅黄、後ろの陸八魔と完全に挟まれた感じだ。陸八魔の表情は見えないが、目の前の浅黄はずっとニヤニヤしている。

 

「くふふ!こんな美女2人に挟まれるなんて、キミも幸せ者だね〜。どう?協力してくれる気になった?」

 

「……へっ!こんな色仕掛けで裏切る程、オレは薄情者じゃない!」

 

「あら、心外ね。私もムツキもそんなに安い女じゃないわよ?」

 

「ッ!?」

 

陸八魔の声が耳元で聞こえる。立ち位置からかオレに枝垂れかかる様に後ろから抱き締める形となっている。背中に感じる柔らかい感触、鼻につく女の子特有の甘い匂い、そして耳元での声。どうしたって動揺してしまう。その様子に気づかれたのか、目の前の浅黄もニヤニヤを隠さずオレに抱き着いてくる。

 

「こういうのが好きなんだね〜。こうやって耳元で囁かれるの、弱いんだ〜?……あは!脈はや〜い!」

 

「ぐふッ!」

 

「さあ、早い所私たちに協力すると言いなさい。さもないと……どうなるかしらね?」

 

「お、オレは……ッ!」

 

徐々にオレの思考を奪われて行く感覚に必死に抗いながらも、脱出の手立てが無いことにはどうすることも出来ないまま、諦めの文字がチラつき始めた。

そんな時ーー、

 

 

ーードッバァアァァン!!

 

 

爆音と共に部屋の扉が弾け飛ぶ。視線を向けると、見慣れた銀髪のツインテール。

 

「風紀委員会だ!ここで不審な人物の出入りがあったと聞いてきたが。やっぱりお前らか、便利……屋……?」

 

「い、イオリ!良かった、助けてく……もがぁ!?」

 

「あん!あんまり激しく動いちゃダメだよ?」

 

助けを求めるも途中で浅黄に頭を抱え込まれ、胸元に顔を埋めてしまう。左目だけでイオリに無実と助けを求めるアイコンタクトを試みるも、困惑の表情しか帰って来ない。

 

「イオリ、終わった?」

 

「ヒ、ヒナ委員長!今来ては……!?」

 

「……イチゴ?」

 

そしてさらに状況は悪化する。イオリの後ろから現れたヒナと目が合い、目を見開く。その後ろからはチナツまで現れてしまった。

 

「……イチゴ君?何をしているんですか?」

 

「あら、見ての通りよ。この男は便利屋に寝返ったわ」

 

「んんっ〜!?」

 

「あはっ!そんな興奮しちゃダメだよ〜?」

 

固まって動かなくなったヒナの変わりにチナツが問いかけるが、依然として浅黄に拘束されているオレは説明も弁解も出来ず、陸八魔の言葉で誤解が深まっていく。

 

「……ムツキ、そろそろまずい」

 

「ん〜ここらが潮時かな〜」

 

「ぷはぁ!」

 

「じゃあね、派遣社員君。また会おうね〜。アルちゃんもいつまでも抱き着いてないで行くよ〜」

 

「えぇ!?やらせといてそれは無いんじゃないかしら!?」

 

ようやくオレを解放した2人だったが、そのまま悠々と窓から逃げるように飛び出す。そんな奴らをヒナが見逃すはずが無い、追い掛けて捕らえると思っていた矢先、胸ぐらを掴まれる。

 

「ぐへぇ!?」

 

「今のはどういうこと?説明して」

 

「ヒ、ヒナ?今は便利屋を捕らえるのが先じゃ……」

 

「あんなの今はどうでもいい。それより、質問に答えて」

 

「わ、わかった!けど拘束を先に外してくれ」

 

少し瞳を潤ませたヒナの表情に変な後ろめたさを感じながら、状況を説明していった。

……なおイオリとチナツ、途中から通信で合流したアコちゃんの視線が物凄く痛かった事だけは印象に深く刻まれた。

 

 

 

***

 

 

 

「……ヒナ、そろそろ許して欲しいかな〜って」

 

「……まだ反省が見えない」

 

「そ、そんな〜」

 

解放されたオレは結局、風紀委員会の部屋にそのまま連れていかれることになった。そこで状況の説明やらなんでいたのかの説明もしていたんだが、ヒナが一通りの話を聞いた後全員を帰して今は2人きりとなっている。

……で、何故か椅子に座らせられたオレの上にさっきまでの浅黄と同じようにヒナが座っている。オレの胸に額を押し付けているので、表情は見えない。が、帰ってきた声から察するにまだ不満は解消されていないらしい。頭をグリグリと押しつけたり、モゾモゾと座り直す時の感触が心臓に悪い。自分でもわかるくらい、心臓の音がうるさい。

 

「……本当に寝返ったりしない?」

 

「……しないよ。先生は生徒の味方だからアイツらにも目を掛けてるけど、少なくともオレは風紀委員会の……。ヒナの味方だ」

 

「……そう」

 

不安気なヒナの問いかけに、正直に答える。オレも一応中立的な立場を取らなきゃいけないんだろうが、ここまで仲良くなってしまったら先生の様な対応が出来る程器用じゃない。オレの答えに少し安心したのか、ヒナは頭を押し付けるのをやめてくれた。……と思ったら、オレの背中に手を回し思いっきり抱き締められる。

 

「ヒ、ヒナさん?」

 

「なに?……イチゴ、心臓の音うるさい」

 

「だ、誰のせいだと思ってッ!?」

 

「……でも、嫌いじゃない」

 

「……勘弁してくれ」

 

抱きついたまま、オレの胸に身を預けるヒナの姿に言葉が出てこなくなり、額に手を当てて天井を仰ぐ。心臓の音は当分の間、治まりそうになかった。

 

 

 

 

 




「……満足した?」

「ん、これくらいなら大丈夫」

「?なんの話だ?」

「別に、ただの上書き」

「??」


ーーー


ちなみにアルちゃん、色仕掛け始めたあたりから内心で白目むいてます。
ガチャでついにアルちゃん手に入れられたのでようやく便利屋出せました!
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