うちの先生はやや強引な性格です
「ーーバイト?」
「そうそうバイト。今度の職場がどうにも人手が足りてないみたいでね、どうせなら一緒にどうかと思って」
平日のど真ん中、真昼間からやることも無く部屋でコーヒーを啜ってボーッとしていたオレのもとに突然訪問してきた歳上の幼馴染がその話を持ってきた。
「バイト云々はともかく、アンタもようやく定職に着く気になったのか」
「ぐぅ!……別に働いて無かった訳では……」
「自分に向いてる仕事じゃないって仕事辞めまくってた人間のセリフじゃないと思うけど」
「んんッ!私のことはとりあえず良い。で、どーする?」
「無理やり話終わらせやがって。……でもバイトか~」
とある理由から学校に行っていないオレは、確かに時間を持て余している。本当だったら今年から華の高校生だった筈だが、そうはならずただただ時間を浪費していた。そんなオレにとっては存外悪い話じゃないんだが。
「なんでオレなんだ?アンタなら誘えば誰だって候補は居るはずだろう?」
オレの幼馴染はなんというか、人たらしだ。元々の性格がお節介焼きの世話好きなのもあって人との繋がりが多い。わざわざオレをご指名するとは思えない。
「まあなんというか、次の職場はなかなか特殊でね。連れて行ける人が限られているんだ。その中でも君が適任だと思っただけだよ」
「ふぅん、そんなもんか」
なにか言い回しに違和感があるものの、言ってることに嘘偽りは無いようだった。それでもこの自堕落な生活もなかなかに気に入ってるので、やはり断ろうと思っていると、
「ちなみに賃金の方はこんな感じになっております」
「喜んで働かせて頂きます!」
幼馴染に見せられた金額に、二つ返事で了承してしまった。だって、この辺りのバイトじゃ見られないくらいの金額が書いてあったし、しょうがないと思う。
「じゃあこの書類にサインしてね?あとここに判子も」
「OK」
サラサラと書類にサインして判子を押す。と、ここで業務内容を何も聞いてないことに気づき書類に目を通すと、
『ーーなお、怪我・死亡に関しては一切の責任を負いかねますので予めご了承ください』
「は?」
「という訳で早速行こうか」
「ちょ待っ!」
バチィィン!とオレの言葉を遮る様に衝撃と痺れが体から自由を奪う。薄れゆく意識の中で幼馴染の声が耳に入る。
「大丈夫。私と君は一蓮托生だから」
その言葉を聞きながら思い出す。
ああ、そういえばこの幼馴染、少しでも不安だと無理やりオレを巻き込む性格だったな……と。
***
「……はっ!?」
目が覚めると、見慣れない光景が飛び込んできた。天高く聳え立つ塔に、空に広がる無数の輪っか。今までの生活では見たことの無いものばかりが広がっていて、ここが何処なのか全く理解が追いつかなかった。
「ようやくお目覚めかい?随分と寝坊助だったね」
「……誰のせいだ、誰の。つかここは……?」
「私が言える立場でも無いのだがね。ようこそ、キヴォトスへ。私はここで先生をすることになったんだ」
「先生……?アンタが?」
「そう。そして君は、私の助手だ」
そう話、オレを指差す幼馴染を見ながらオレは何も理解出来ないままでいた。
ただ1つ、割のいい話は裏がある。そのことだけは腑抜けた頭で考えていた。
早く風紀委員を書きたい
特にヒナ