風紀委員の肉壁くん   作:阿良良木歴

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長い間投稿出来ず本当にすみません!!
体調不良とか仕事関係とか色々あって全然だめでした……

今後は定期的に投稿出来るよう頑張ります!!


爆風に惑う

「行かせてくれ」

 

「ダメです」

 

「答えは聞いてない!」

 

「ダメって言ってるでしょ!……って力強っ!?」

 

「い、イチゴ君!止まってください!」

 

羽川先輩に駄目と言われ、下江とヒフミには腕を捕まれ引き留められるが関係無い。2人を引きづりながら歩みを進める。それもこれも、

 

「あんのバカども……!今回ばかりは許さねぇ!シバいてやる!!」

 

美食研究会、とは名ばかりのテロリスト集団がこの大事な時期にトリニティで問題を起こしやがったのだ。当然、その後の事後処理や尻拭いはヒナに向かうわけで。今色んなことに奔走しているヒナにこれ以上の負荷をかけるなんてのはあっちゃいけないことだ。

 

「イチゴ君!一旦落ち着きましょう!」

 

「大丈夫だヒフミ、オレは至って冷静だ。冷静にアイツらをどうぶちのめすか考えてる」

 

「全然冷静じゃないでしょ!?」

 

「離してくれ下江!ヒナに迷惑かけるアイツらを亡きものにしなきゃ気が済まん!」

 

「余計離せないじゃない!」

 

流石に2人の必死の説得に、少しだけ頭の血が下がり落ち着く。だが、どうしても自分の手でこの事件を解決したい。少し抵抗が弱くなったタイミングを見計らい、羽川先輩が声をかけてくる。

 

「山楯さん。今回の事件はトリニティの管轄下で起きています。我々正義実現委員会に任せ、貴方達は学校に戻ってください」

 

「でも!」

 

「それに貴方は本来ならここに居てはいけない存在。それを自覚してください」

 

「ぐっ!」

 

それを言われてしまうと何も言い返せない。今オレがトリニティに居ることは風紀委員会の幹部とトリニティの上層部だけだと先生から聞いている。それが露見するのは新たな火種を産む危険性がある。それはオレも避けたいところだ。

 

「……理解していただけた様ですね。それでは私は失礼します」

 

そう言い残し、羽川先輩は去っていった。やり切れない思いを抱えたまま、拳を握りしめる。

 

「……帰りましょう、イチゴ君」

 

「そうよ。ハスミ先輩が解決してくれるわ」

 

「……おう」

 

気遣ってくれる2人を無碍に出来る訳もなく、2人の後ろに着いていく。浦和と白州も口には出さないが、心配そうな視線を感じる。無力さを感じたまま帰路を歩いていると、ある露店に目が向いた。

 

「アレを使えば……」

 

「え?ちょっと、イチゴ!?」

 

下江に呼び止められるが、無視して露店に向かう。やはり、オレの怒りは人に任せるのは無理らしい。

 

 

 

***

 

 

 

「なんだか大事になっちゃったね〜?」

 

「ちょっとぉ!?なんか色んな人が凄い顔で追いかけて来てるんだけど!!」

 

「あれは正義実現委員会ですね。ウチで言う風紀委員会」

 

「ヤバいじゃない!?」

 

「ふふっ。そのような事、些細な問題ですわ。大事なのはーー食べられるか、否か。それだけです!」

 

「んんっ〜!!」

 

美食研究部、とは名ばかりのテロリスト集団が夜の街を駆ける。最後尾の獅子堂イズミがビチビチと暴れる魚を担ぎ、先頭の黒舘ハルナがバタバタと暴れるフウカを担いでいた。

そもそもの事の発端は、この暴れる魚ーーゴールデンマグロであった。幻と呼ばれる魚の味はどの様なものなのか。そこに目をつけた彼女達は、トリニティだろうがお構い無しに突撃、見事アクアリウムからの奪取に成功したのだった。しかしながら、敵の本拠地とも言える場所からの脱出は容易ではなく、こうして駆け回る事態となっていた。人気の少ない道を選び、路地を駆使して追手の人数を減らしていくうちに段々と足音が少なくなっていた。

 

「……そろそろ大丈夫かしら」

 

「巻いたわよね?」

 

建物の隙間から顔を出した2人ーー鰐渕アカリと赤司ジュンコが周囲の状況を確認し、ハルナとイズミも外に出る。辺りに人影は無く不気味な程に静まり返っていた。抵抗する気力も無くなりぐったりしているフウカとは裏腹に、元気に暴れ回るゴールデンマグロのビチビチといった音だけが場違いに響いていた。

 

「今のうちに帰りますわよ!美味しい食事が待ってますわ!……ぶっ!?」

 

「わ〜い!早く帰って食べよ〜!もうお腹ペコペコだよ……へぶっ!!」

 

「「!?」」

 

安全確認もそこそこに飛び出して行ったハルナとイズミが、何者かにダブルでラリアットされて吹き飛んだ。その光景に息を飲むアカリとジュンコが見たのは、宙を舞うフウカを空中でキャッチしゴールデンマグロを大型の水槽に蹴り入れる男の姿だった。街灯の光で顔はよく見えないが、似た背格好の人物を知っていた。

 

「あ、あんたイチゴ!?なんでトリニティにいるのよ!」

 

「あら?流石の風紀委員長の犬とはいえ、これは不味いんじゃないですか〜?」

 

『イチゴ?そんな人物は知らんな。オレはーー』

 

フウカを抱いたまま近寄ってきた男の顔がようやく見える。

真っ黒な覆面に額には数字の6。怒気を含んだ眼光に口から覗く鋭い犬歯、それ以外の情報は無い。

 

『覆面集団が1人。コードネーム、ドッグだ!!』

 

「いやイチゴじゃん!するならもっとマシな変装しなさいよ!」

 

 

 

***

 

 

 

おかしい、完璧な変装だと思ったのに。

 

屋台で売られていた覆面を見てこれならイけると踏んだのだ。屋台のおっちゃん曰く、なんでもキヴォトスを騒がせたアウトロー集団がこういった覆面をつけていたらしい。さらに聞くとリーダーのファウストっていうのが特にヤバいらしい。ここでコードネームで身バレ防止を考えついたのだが、ヒフミの顔がやけに引き攣っていた。

 

『だからオレはイチゴでは無いとーー』

 

「ちょっとイチゴ!早くしなさいよ!!」

 

「ふふっ。イチゴ君、急がないと正義実現委員会の方達が来てしまいますよ〜」

 

『……』

 

「「……」」

 

『知られたからには、お前らには消えてもらう』

 

「理不尽じゃない!?」

 

先に気絶させた2人の確保に向かった下江と浦和が、あっさりとオレの名前を呼ぶ。下江に関しては素で呼んでいるんだろうが、浦和は絶対ワザとだろ。

 

「ドッグ、早く任務を遂行すべきだ」

 

「イチ……ドッグ君!急いでください!」

 

「いや、もう身バレしちまったからもういいよ」

 

律儀にコードネームを呼ぶヒフミと白州に感謝しながら、覆面を脱ぐ。地味に暑いなコレ。

 

「ふ、ふん!あんただけじゃ攻撃力足りないでしょ!風紀委員会の肉壁だしね!」

 

「風紀委員長の攻撃力があってこそ、防御面で重宝されますからね〜」

 

オレだけだと確信し、銃を取り出す2人を眺めながらフウカをヒフミに預け軽く肩を回す。

 

「ふぅ〜。なあ、確かにオレは攻撃力が低いけどさ。

 

弱い訳じゃねぇぞ?」

 

「「!?」」

 

一瞬で間を詰めたオレに2人が目を丸くする。いくらここの人間が頑丈だといっても、攻め手は無限にある。

例えばそう、絞め技というのがあってだな?

 

 

 

***

 

 

 

「……やってくれたね」

 

「反省も後悔もしていない。あるのは達成感……いで」

 

「ちょっとは反省しなさいよバカ!」

 

「山楯さん、流石に擁護のしようが無い発言は控えてください」

 

2人を絞め落とし、縄でふん縛っている所に先生を含めた正義実現委員会が到着してしまった。こんなことなら覆面をつけたままトンズラすればよかった。今は下江と羽川先輩に囲まれた中で正座をしながら先生に懇々と説教をされている。

 

「イチゴ、君はすぐにみんなと一緒に戻りなさい。この後の処理は私がやるから」

 

「ちょっと待ってくれよ先生。この後はゲヘナ側への身柄の引渡しだろ?着いていきたいんだけど?」

 

久しぶりに直接ヒナの顔も見たいし、という言葉は飲み込む。誰が来るか分からない状況でこの発言は不味い。まあ、夜遅い時間帯だしほぼほぼヒナだとは思うけど。

 

「……いや、ダメだ」

 

「はぁ?どうして?」

 

「君、今の状況分かってる?ただでさえ美食研究会と正義実現委員会にココに居ることがバレたのにそれ以上にバレるような事をするつもり?」

 

「ぐっ!?」

 

「今の状況の段階でも非常に面倒なんだけど?」

 

「……わかったよ。今日は大人しく帰ることにする」

 

先生の静かな怒りを受け、これはどうしようも無いことを悟る。確かに今の状況は見る人が見れば不味いんだろう。トリニティにスパイに来たって思われてもおかしくないし。

 

「それじゃあ撤収しよう」

 

「疲れましたね……」

 

「そうですね〜。ちょっとだけ、汗もかいてしまいました」

 

「ハ、ハスミ先輩!お疲れ様でした!」

 

4人の後に続き帰ろうとする。っと、その前に。

 

「羽川先輩。データ飛ばしても良いですか?」

 

「?ええ、構いませんが……!?これは!」

 

「オレ考案の低カロリースイーツレシピです。味はもちろん、ダイエット時に食べてもほぼほぼ影響が無いのは実証済みです」

 

地元に居た頃に女友達から作れと言われたものだ。オレの試行錯誤の結果、見事ストレスフリーにダイエットを成功させた。なお、報酬が缶コーヒーだけだったのは未だに許せない。

 

「……貴方の事を少し勘違いしていたかもしれません」

 

「いえいえ。これからも良い関係でいましょう」

 

差し出された手を握る。今回の事件で迷惑をかけた詫びと受け取って貰えたようでよかった。

最近よく耳にする乾いた音が、聞こえた気がした。

 

 

 

 




少年少女帰宅中ーー

「……歩きづらいんだが?」

「イチゴ君がどこかに行かないようにですよ」

「そ、そうよ!目を離したらどっか行っちゃうでしょ!?」

「オレは散歩中の犬か!?せめて隣を歩くくらいで良くないか?流石に両手を拘束されると辛い!」

「あらあら、イチゴ君。両手に花ですね〜」

「仲がいいのは良いことだ」

「それではみんなで手を繋ぎましょうか?」

「それはありだな」

「手を繋がないって選択肢は!?」


ーーーー

久しぶりに書いておいてアレですが、ここから時間飛びます。
テストのところとか、イチゴに出来ることがほぼほぼ無いので……。

次回もよろしくお願いします!
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