随分間が空いてしまいました。すみません。
出来る限り定期的に更新出来るように頑張ります。
あの美食研究部が起こした事件から少し時間が経った。
あれから目に見えて大きい事件は無かった様に思う。……いや、補習授業部の面々は結構大変そうだったけども。オレはオレであの後結局、謹慎という名目であそこからの外出は厳禁とされていた。そもそも追試を一緒に受けれる立場ではなかったし、まだ先生の温情があった様にも思う。それでもまあ、ただ結果を待つというのはオレは苦手で毎回ドキドキしながら待っていたわけで。ラストチャンスの追試の結果を祈りながら待っていると、
『イチゴ!受かったわ!!』
『イチゴ君!全員無事合格です!!』
と、喜びを全身で表したコハルとヒフミに抱きつかれ、オレも同じように喜びを分かちあったのがつい先日。アズサとハナコは少し離れた位置に居はしたが、2人もやはり嬉しそうな表情をしていたのを覚えている。
そんな訳で、漸くオレも勉強から解放され数日の休日を消化したらすぐに風紀委員の活動に戻るつもりだ。いい加減溜まった仕事を処理しないとだし、ヒナの顔を見たいってのもあるし。休暇無しでゲヘナに行こうとしたら先生に、
『有給消化ってしてる?』
と聞かれ、なし崩し的に休暇を消化しなければならない事態になっている。ただ、休暇最終日の今日は休みで良かったとも思っている。というのも、晴れて皆が追試に合格した事で打ち上げを開催しようという話が出て、それが今日なのだ。打ち上げが決まった日に、コハルから、
『いい加減苗字呼びはやめなさいよ……と、友達でしょ!』
『確かにそうですね〜。少し距離を感じてしまいます〜』
『共に戦った戦友だ。何も遠慮するな』
と言われ、それに賛同したハナコとアズサにも背を押され補習授業部の全員と名前で呼び合う仲にもなった。……何故かその後ヒフミから頭突きを食らったのだが、何かしてしまったのだろうか?
ともあれ今日は打ち上げという名のお疲れ様会だ。エデン条約締結まで少し時間もあるし、肩の力を抜いて楽しむことにしよう。場所はトリニティの学区内のファミレス。ヒフミはオレの立場を気にして違う場所がいいんじゃないかと提案をしてくれたのだが、流石に女の子の移動距離を多くさせるのは気が引けてそこで良いと決定した。……こういう所で、元いた所の女友達からの圧がいかに強かったか再認識する。
日課のランニングも終わらせ、シャワーを浴びて着替える。集合時間まではまだ時間があるが、のんびり歩いて向かうとしよう。
シャーレを出て歩きながら、追試が終わった後の事を思い出す。
なんでも追試に妨害があったらしく、その事後処理に皆動いていた。オレはと言うと、そこに関しては無関係なので大変そうだな〜とぼんやり眺めていた。その後、オレがトリニティから出ると言うので、トリニティの総括でもあるティーパーティーに面会する機会を先生が勝手に作った。元々は3人らしいが、現在1人入院中、1人は問題を起こして拘束中らしく、会ったのは桐藤ナギサという人だけだった。しかも何故か凄い敵視されていた。……まあ、ほぼゲヘナ側の人間に対してトリニティのトップが友好的な対応を取るのは難しいだろうしな。
それにしても、去り際に聞かれた『何か、私に言うべき事があるのではないですか?』の質問に。トリニティでの生活や食事事情だと悟ったオレの『(生活や食事等)ありがとうございました。全部美味しく頂きました』と答えた瞬間白目を剥いて倒れたのはなんだったんだろうか?やはりトリニティともなると食材も高級志向で、全部使い切ってしまったのはお金が掛かり過ぎたのかもしれない。貧乏性からくるもったいない精神が裏目に出たらしい。そこは少し反省しなくては。
そんなとりとめもないことを考えていると、もうすぐトリニティの学区に差し掛かる位置まで来ていた。約束の時間まで余裕を持って着けそうだ。女の子を待たせるのは男としてダメだと元いた場所の女友達によって魂に刻み込まれている。天気も良く、鼻歌でも歌ってしまいそうな陽気の中、トリニティの学区に足を踏み入れようとした時、
「キキッ!貴様が山楯イチゴだな?」
「……そうだけど。アンタ誰?」
後ろから声を掛けられ振り向くと、ゲヘナの制服を身に纏った白髪の目つきの悪い女がオレを見てニヤついていた。その後には、部下なのか大勢の人を従えている。
「おいおい、まさか万魔殿のリーダーを知らないとは言わないだろうな?」
「万魔殿……。っていうとゲヘナの生徒会的なアレか。そのリーダーってことは」
「キシシッ!その通り!私がゲヘナのトップ、羽沼マコト様だ」
「……あ、ああ。会うのは初めてだな。山楯イチゴだ、ほとんど風紀委員所属みたいな感じなのに挨拶が遅れて悪かったな」
やたら尊大な態度で自己紹介してきた羽沼に対して改めて名乗る。ヒナが頑なに会わせようとしなかった理由がなんとなくわかった気がする。
「今、風紀委員所属とそう言ったな?」
「?そうだな。厳密に言えば違うだろうが、オレ個人の感覚で言わせてもらえば風紀委員長ーーヒナの部下ってところか」
最近やたらと風紀委員長の犬とも言われるし、主観的にも客観的にもヒナの部下、或いは側近なのだろう。実際、行動を共にすることも多いしな。そう思っていると、何が可笑しいのか腹を抱えて笑い出す羽沼。
「キキキッ!!最高の解答をありがとう!ーー取り抑えろ」
「なっ!?」
言うが早いか、後ろに控えていた奴らが一斉に襲いかかってきた。突然の出来事に反応が遅れ、抵抗も虚しく地面に押さえ付けられる。
「一体どういうつもりだ!?」
「それはこちらのセリフだ、山楯イチゴ。貴様にはスパイ容疑が掛けられている。大人しく我々に着いてきて貰おう」
「……は?それはどういう意味だ?」
「惚けるか?だが、これを見てもそう言ってられるかな?」
「……え?あ?これは……っ!?」
そう言って目の前にばらまかれたソレを、オレは困惑しながら眺め、混乱のまま背中に押し付けられたスタンガンにより意識を手放した。
***
「イチゴ君、遅いですね」
「風紀委員なのに遅刻なんて!」
「何か訳があるかもしれない。ゆっくり待とう」
「でも〜。女の子を待たせるなんて、来たらお仕置きですね〜」
トリニティの街角、そこに補習授業部の面々が集まっていた。待ち合わせの時間から既に30分は過ぎようとしている所。それなのに、待ち人である山楯イチゴは一向に姿を現さない。
「私達だって暇じゃないのに!」
「ま、まあまあ……」
「そうは言っても、いの一番に来てずっとソワソワしていたのはコハルじゃないか」
「!?み、見てたの?!」
姦しく話をする彼女たちだが、実際暇じゃない。追試に伴う事件の事後処理がまだ大量に残っている。一連の事件は、イチゴを除いた全員が奔走し解決したのは勿論のこと、その事実をイチゴに伝えてすらいない。
外出厳禁のイチゴに情報を流せば、確実に首を突っ込んでくると悟った彼女たちは一切イチゴには告げずに解決まで行っていた。そのため事件解決後も、様々な問題が彼女たちに残されていた。
それでも今日、打ち上げを行おうとしているのはイチゴへの感謝が込められている。食事のサポートから掃除、整理整頓等。追試に追い込まれていた彼女たちを最大限サポートしてくれていた。……最も、肝心の勉強面に関しては全くの約立たずであったが。
「お仕置と言えば、ハナコ。ナギサに言った誤解は解いたのか?」
「?誤解?」
「ああ〜忘れてました」
「一体なんの話?」
「ヒフミとイチゴが付き合ってるという話だ」
「!?」
「え、ええ〜!?」
時は遡り、ナギサをセーブハウスから連れ出す時のお話。トリニティの大義の為、友達を切り捨てることに後悔は無いと言ったナギサに対し、ハナコは告げた。
『あはは……えっと、それなりに楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ。私の身も心もイチゴ君のものになってることにも気付かずに、ね?』
「そ、そうだったの!?」
「ち、違います!というかなんでそんな事言ったんですか!?」
「その方がナギサさんにダメージが入るかと思って。嘘だと言うのを忘れてしまいましたが」
「1番大事なところじゃないですか!」
「あら〜?あながち間違いでも無いと思いますけど〜」
「ーーっ!!」
ハナコのいじりに耐えきれなくなったヒフミが顔を真っ赤にしていると、周囲がざわついていることに気付く。皆それを見上げ、口々に何かを喋っている。視線を追って空を見上げたヒフミは、それを目にし困惑する。
「……え?」
《シャーレ所属、山楯イチゴ。スパイ容疑及びキヴォトスへのクーデター容疑で逮捕》
誰の声だったか分からない。しかし、飛行船のモニターに映し出された見出しは彼女たちを動揺させるのに十分だった。
なんか思ってたのとだいぶ違う方向に走り出しちゃったので、なんとか上手く着地出来るように頑張ります。
それと新衣装ヒナが可愛すぎるので石かき集めて来ます。
それではまた次回。