風紀委員の肉壁くん   作:阿良良木歴

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ヒナちゃん以外の風紀委員も書いていきたいけど
うちのシャーレにいる子少ないんですよね……


銃弾を叩き込まれるだけの簡単なお仕事です

ーーズダダダァン!!

 

「グゥ!?」

 

構えた盾に無数の弾丸が浴びせられる。呻き声を上げながらもなんとか耐えきり走り出す。

 

「おいイチゴ!早くこっちのサポートに来い!」

 

「分かってる、よ!」

 

慌てた様子の褐色肌に銀髪の少女ーー銀鏡イオリに急かされ、引き摺っていた盾を無理やり彼女の前に展開する。それと同時に飛んでくる弾幕、崩れた体勢で耐え切れる訳もなくあえなく吹っ飛ばされた。咄嗟に銀鏡の腕を掴み、吹っ飛んでいくオレの力を利用して位置を入れ替える。目を見開いて驚く銀鏡に笑顔でサムズアップ。そして、

 

「いだだだっ!?」

 

「イチゴー!!」

 

「……戦闘訓練終了。片付けはイチゴに任せる」

 

蜂の巣にされるオレ、吹き飛びながら叫ぶ銀鏡、訓練終了を告げる空崎。と、ここ数日繰り返されている光景で今日の仕事が終了した。

 

 

 

***

 

 

 

「いたた……。ったく、容赦なく撃ち込みやがって」

 

「……本当に大丈夫なのか?毎日撃たれているけど」

 

「ああ、平気平気。毎日撃たれるから、免疫ついて気絶しなくなったし」

 

「イチゴは本当に人間なのか!?」

 

訓練所の後片付けは弾丸撒き散らすから結構時間が掛かる。今日も残業を覚悟していたが、今日は銀鏡が手伝ってくれていた。

ゲヘナ学園風紀委員、その幹部にして戦場での切り込み隊長。オレとどことなく波長が合うのか、こうして何気無い会話をするようになっていた。

 

「そういえば手伝って貰うのはありがたいが、銀鏡は仕事とか大丈夫なのか?」

 

「イオリで良いよ。知り合ってそこそこ経つし、苗字で呼ばれ慣れて無いし。

今日の仕事はもう無いよ。書類仕事はアコちゃんがやってるとは思うけど」

 

「そっか、なら手伝いお願いします!」

 

そう頼んで2人で黙々と作業を進める。そのおかげか、いつもより時間に余裕を残して後片付けが終了した。オレは風紀委員長の部屋に用事が合って、1度校舎に戻ると伝えると、イオリはそのまま帰って行った。

1人、人気のない校舎を歩く。いくらいつもより時間に余裕があるとはいえ、日が落ちて夜に差し掛かっている時間帯だ。オレ以外に人の気配は無い。目的地に着いて扉を開ける。

 

「……お疲れ様」

 

「空崎?」

 

薄暗い部屋で空崎が1人書類仕事仕事をしていた。うず高く積まれた書類に思わず頬が引き攣る。

 

「こんな量の書類、今日終わらせないと駄目なのか?」

 

「駄目。明日以降の分はまた別にある」

 

そう言った空崎の視線を辿ると、机にあるのとは比べ物にならない量の書類の山が鎮座していた。

 

「……他の奴に頼めなかったのか?」

 

「遅くなるからみんな帰した。私しか処理出来ない物が多いから」

 

「なるほど」

 

「イチゴも帰っていいよ、お疲れ様」

 

「……ああ、おつかれさん」

 

元々の用事、部屋に置きっぱなしだったオレの荷物を拾い部屋を後にする。部屋から遠ざかる程に後ろ髪を引かれる様な思いに苛まれる。ふと、目に入った文字で、思いつく。

 

「ああ、これなら……」

 

 

 

***

 

 

 

「おつかれ、空崎。差し入れ持って来たぞ」

 

「……まだ居たの?それに行儀悪い」

 

「固いこと言うなよ」

 

部屋に出戻ったオレは両手が塞がっていた為、足で扉を開けた。空崎に注意されながらも持ってきたそれを空崎に差し出す。

 

「……コーヒー?」

 

「長丁場になりそうだからな。眠気覚ましは必要だろ?甘いものも少しならあるから」

 

そう言って机の邪魔にならないところにコーヒーとクッキーを置く。給湯室を見つけたオレはそこでコーヒーを仕込んで持って来たのだった。時間を持て余していたオレが数多くハマった趣味の1つで、味に関してはそこそこ自信がある。

 

「……!美味しい」

 

「そりゃ良かった。あとついでに、眠くなったら起こせる様にオレが見張ってようか?」

 

「……ふふ、それじゃあお願い」

 

冗談めかして言ったオレに少し笑った空崎が答える。眠気覚ましにはコーヒーは勿論、話し相手も必要だと思うのがオレの持論。

 

「そういえば、私がブラックコーヒーが好きだって知ってたの?」

 

「ああ、この間イオリが言ってたの覚えていてな」

 

「……イオリ?」

 

「ん?……ああ、さっき名前呼びで良いって言われたから」

 

「それじゃあ私もヒナで良い。みんなそう呼ぶ」

 

「そっか。じゃあ改めて、よろしく。ヒナ」

 

「ええ、よろしく。イチゴ」

 

そんな他愛のない会話をしながら、夜は更けていった。

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