風紀委員の肉壁くん   作:阿良良木歴

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実はまだブルアカストーリーvo1とvo2の途中までしか出来てません。
ストーリーは一気読みしたいタイプですまない。


病院の匂いが苦手なタイプ

「しくった……。手間掛けてすまんな、火宮」

 

「いえ、元はと言えば私の不注意が原因ですし。それに医療支援は私の得意とする所ですから」

 

「そう言って貰えると助かる」

 

「……痛い所はありますか?」

 

「特にないよ」

 

普段は利用しない……というか縁が無い保険室にオレはいた。頭には久しぶりに使った包帯を巻き、上半身は服を脱いで火宮に観察されている。

 

ゲヘナ学園風紀委員に顔を出すようになって1ヶ月。最近は戦闘訓練だけでなく、実際に風紀委員の活動にも着いていき必要ならば戦闘に参加するのが当たり前になってきていた。とはいえ、やることは訓練と変わらず風紀委員の守護、防衛で特にオレから打って出ることなどは無かった。

 

今回も便利屋?って集団の捕獲任務に当たっていた。人気の無いゴーストタウンでの市街戦、順調に便利屋を追い詰めて行っていたが、奴らは仕込んでいた爆弾を起爆。崩れてきたビルの瓦礫が火宮に直撃しそうなところで、オレが介入。火宮に変わってオレが瓦礫の下敷きになることとなった。

 

「オレを救出したせいで便利屋逃がしちまったし、マジで申し訳ねぇ……」

 

「そこは気にしないでください、人命より大事な事は無いですから。

それよりも、ええっと、本当に大丈夫なのですか?」

 

「ん?ああ、平気平気。多分明日には傷なくなってると思うよ」

 

「本当に山楯君人間か怪しくなってきましたね……」

 

そんな訳で3、4年振りに怪我をしたオレは保険室で火宮から治療を受けていた。清潔な空間の中漂う薬品の匂い。数年振りに嗅いだが、やはり慣れない匂いだとなんとなく思った。

 

「……ごめんなさい」

 

「いいって、別に大した怪我じゃないし」

 

「それもありますが、初めて会った時の事も……」

 

「あぁ〜……」

 

初めて会った時、つまりは先生と一緒にここの説明を聞いていた時だ。全く理解出来ずキャパオーバーで机に突っ伏したオレに冷たい視線を向けていた女の子達の1人であり、解散する際、

 

『ーーバカは治療不可能です。ご存知なかったですか?』

 

と、辛辣な言葉を浴びせた人物でもあった。

 

「別に気にしなくて良いよ。オレがバカなのが悪いんだし」

 

「ですが、あんな事を言うべきでは無かったと後悔しています」

 

「先生が優秀だからな。相対的に出来の悪さが目立つオレにイラつくのはしゃーないだろ」

 

気にしてねぇよ、と声を掛けるも浮かない表情のまま俯く火宮を見て、オレは頭を搔く。最近の風紀委員の手伝いによる貢献や今回の身代わりで怪我を負った事で、要らぬ負い目を感じてるのだろう。実際にオレは何も気にしていないのだからいいんじゃないかとも思うが、真面目な火宮の事だ。何かしらの妥協点を見つけなければならないだろう。そこでふっと思いつく。

 

「よし!火宮、オレ達友達になろう」

 

「……はい?」

 

「友達だったら、キツい言葉を言ったりするのも変じゃないだろ?思った事を言い合えるのが友達だ」

 

言いたいことが言える。喧嘩したって仲直りも出来る。それが友達だと思ってるし、それなら言った言葉に後悔することも無い。我ながらナイスアイデアだと思う。

 

「……ふふっ!本当に山楯君はバカですね」

 

「それはオレが1番よく知ってる。ついでにイチゴで良いよ、友達なんだし」

 

「では、私もチナツと。友達ですからね」

 

そう言って、どちらともなく笑い出す。チナツとようやく打ち解けられた様な、そんな気がした。

 

 

 

***

 

 

 

「……怪我、大丈夫?」

 

「ああ、お陰様で」

 

打ち解けたチナツと色んな話をしていると、ヒナが保険室を訪れた。……んだけど、

 

『な、なんで裸なの!?』

 

と、銃口を向けられる一悶着があった。保険室、男女二人きり、上半身裸の男……。状況だけで見ると、風紀が乱れていると思ってもしょうが無いなと思う。状況を説明し、撃たれる事態だけは避けたが、今度は今までの状況を理解したチナツが顔を赤くして出て行った。まあ正直、客観的に見ればいかがわしい光景なので耐え切れなくなってしまったんだろう。

そんな訳で、今度はヒナと二人きりになっていた。

 

「怪我は頭だけ?体の傷はなに?」

 

「頭だけだよ。体の方は古傷だな、結構波瀾万丈に生きてきたから」

 

昔は今ほど頑丈じゃ無かったからな〜、と笑い飛ばすオレを心配そうなヒナが見つめる。オレの体は派手に目立つ訳では無いが無数の古傷が刻まれている。波瀾万丈と言ったが、大概が車に撥ねられたり崖から落っこちたりと自業自得なのが多い。

ベッドに腰掛けているオレの隣に座ったヒナは、徐にオレの左胸の1番大きな古傷に触れる。直接伝わって来るヒナの体温に動揺する。

 

「ヒ、ヒナ?」

 

「……あんまり無茶しないで」

 

あたふたするオレを無視し、そのままオレの左胸に頭を預けたヒナが小さく呟いた。その言葉に申し訳無くなり、ヒナの頭を優しく撫でる。

 

「……ごめん」

 

「ん……」

 

その後は言葉は無く、ただ心地良い静寂だけがオレ達を包んでいた。




保険室退室時、

「そういえばイチゴはだいぶ脈が早いのね」

「……何も言わないでくれ」

「?」
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