風紀委員の肉壁くん   作:阿良良木歴

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風紀委員も好きだけど他にも魅力的なキャラが多すぎて困る。
ホシノとかネルとか


閑話:休日は往々にして休めない

青く晴れた空、行き交う人々。それらをぼんやりと眺めながら、オレはガードレールに腰掛けたまま動けずにいた。

 

「どうすっかな〜」

 

事の発端はヒナだった。

『そういえばイチゴ、毎日ここに顔を出してるけど、休みはちゃんと取ってるの?』

最近手伝う様になった書類仕事をしている時にそう言われ、気付く。ゲヘナ風紀委員の手伝いをするようになってから数ヶ月、1度も休みを取っていなかった。毎日撃たれて頭のネジまでバカになったのか、言われるまで全く気が付かなかった。

それを正直にヒナに伝えると、溜息をつきながら休みを捻出してくれた。先生にも話を通して、今日は完全なオフの日となった。元々多趣味なオレは休日にやりたい事は幾らでも出てくる。ただ、

 

「やりたい事が多すぎて、なんにも出来なくなるとは……」

 

あれもこれもとやりたい事があり、気付けば優先順位を決めきれないまま街に繰り出していた。数ヶ月分の給料もそのまま残っているので、お金に関しても問題はない。ただ何をするかを決めきれず、無為に過ぎていく時間に変な焦りを覚えていると、ビルの大型ビジョンから流れるCMが目に入った。

 

「良質な睡眠はマットレスから……か」

 

おもえば、肉体労働によって酷使された身体を全然労わってやれてない。前までは寝ても寝ても眠い感じがあったのに、最近じゃあどれだけ夜遅くに寝ても朝4時には目覚めてしまう体質に変わってしまった。それがいいのか悪いのかは分からないが、睡眠によって身体の回復が変わってくるのは事実。

 

「よし!今日は買い物にしよう!」

 

決まってしまえば後は行動あるのみ。流れる人混みに呑まれるように、オレは歩き出した。

 

 

 

***

 

 

 

「これは……無いだろ……」

 

吟味して選んだマットレスを購入し、シャーレの方へ送って貰う手続きをした後。購入時に貰った福引券を引きに行ったまでは良かった。吟味したのもあってそれなりの金額を支払ったからか、福引は5回引くこととなった。その結果、

 

「まさか、買ったのと同じマットレスが当たるとは……」

 

しかもその場で現物支給。高らかに鐘を鳴らされ周囲の人には拍手されてしまい、もう持ってるから違うのと交換してくれとも言えず、1人で運ぶには大き過ぎるマットレスを抱えながらフラフラと道を歩いていた。大通りは人が多いから、人通りが少なそうな道を選んで歩いていたんだが、

 

「ここ……どこだよ!?」

 

見事に道に迷った。やはり慣れない道を行くもんじゃないな。そうこうしているうちに、腕も限界を迎え耐え切れずマットレスを1度置く。壁にもたれ掛かり一息ついて周りを見るとやけに砂の多い地域に来ていたらしい。街中まで侵食している砂を見てどこの地域だったか思い出そうとしていると、

 

「うへ〜お兄さん重そうな荷物運んでるね〜」

 

いつの間にかオレの近くに少女がいた。ピンクの髪に黄色と青のオッドアイ、ヒナと同じくらいの小柄な体躯。特徴的な見た目なので記憶を漁るまでもなく初対面の女の子だった。

 

「ええっと……?」

 

「ああ、私は小鳥遊ホシノ。ここアビドス高等学校の生徒だよ〜」

 

「アビ……ドス……?」

 

振り返るとオレが寄りかかっていた壁は、学校の塀だったらしい。よくよく見たら遠くに校門らしきものも見える。そしてオレがこれまで散歩してきた土地にアビドスなんてところは無く、完全に遠くまでさ迷っていたことになる。

 

「はぁ〜帰るのかったるい……」

 

「何があったか知らないけどさ〜。適当に行こうよ。ってあれ?これ最高級のマットレスだ〜!」

 

「……欲しいならあげるよ」

 

「え!良いの!?」

 

「オレもう持ってるからさ。福引で当たって捨てる訳も行かないだけだったから」

 

「そういうことなら貰っちゃうね〜。早速秘密基地に運び入れないと」

 

「手伝うよ。1人じゃ大変だろうし」

 

「ありがとう〜。うへへ、至れり尽くせりだね〜」

 

そうして二人で学校の中の一室にマットレスを運び入れる。今までの苦労と比較するとすぐに終わった様に感じた。

 

「うわぁフカフカだ〜!ありがとうねぇ〜」

 

「オレも引き取り手が見つかってよかったよ」

 

設置したマットレスに早速ダイブする小鳥遊を見ながら近くの椅子に座る。同じものを2つも持っていてもしょうが無いし、こうして喜んで貰える人のところにあげれて良かったと思う。マットレスを堪能しながら寝落ちしそうな小鳥遊が何かに気づいたのか起き上がる。

 

「私だけ満喫しちゃ悪いしお兄さんも寝てみたら?」

 

「いや、オレは家にあるし……」

 

「いいからいいから〜」

 

「……まあ、そういうことなら」

 

立ち上がってマットレスを叩く小鳥遊に促されるままマットレスに横になる。自分で選んだのもあるが、やはり寝心地が良い。窓から刺す心地良い陽射しもあってか少しだけ眠気が襲ってくる。

 

「そういえば、おじさんのこと見ても全然驚かなかったね〜。他の人は高校生っていうと驚く人多いのに」

 

「知り合いに似たような人がいるからな。幼女扱いすると撃たれるし」

 

「うへ〜それは大変だ。まあおじさんはその子みたいな若さはないけど」

 

「何基準で若さを語ってるか分からないけど、小鳥遊先輩は十分若くて可愛いですよ」

 

「こんなおじさん捕まえて口説くとはお兄さんもやるね〜。このまま趣味とか好きな物とか聞いちゃう感じ?」

 

「別に口説いてる訳じゃないけど……。まあ多趣味なので色んな話ついて行けますよ」

 

「おお〜大きく出たね〜。おじさん、魚とか好きなんだけどそういう話も出来ちゃう?」

 

「全然いけるよ。なんだったら前まで水槽で飼育とかしてたし」

 

「え!本当!?」

 

「ホントホント。大きいのとかは飼わなかったけどレイアウトとかは凝ったのにしてさ〜」

 

「へぇ〜!」

 

そんな他愛のない会話をしながら、次第に微睡みの中に落ちていった。

 

 

 

……その後、いつの間にか同じマットレスで小鳥遊と一緒に寝ていて、そこをアビドスの猫耳少女に見つかり、結局蜂の巣にされてオレの休日は終了した。




「そういや福引でアクアリウムの割引券貰ったんだけどいる?」

「本当に!……って思ったけど、おじさんそれは遠慮しようかな〜」

「なんで?」

「おじさん誘うより先に誘うべき人がいると思うよ〜」

「??」
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