ウマぴょい保険   作:新グロモント

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マスター(1)

 ウマ娘にとって、大事な三年間。トレーニング・レース・勉学……これらを支えるのがトレーナーの仕事だ。そして、重賞レースにもなれば、それこそウマ娘にとって一生物である事が多い。

 

 特別なレースでしか着る事ができない勝負服。成人式や卒業式で着用する袴と近い感じがするが……違う。重賞レースに出場するウマ娘が一人一人個性ある勝負服を着用する。

 

 完全オーダーメイドの一点物。

 

 つまり、ウマ娘の勝負服とは神聖な領域であり、それに対して物申すと言う事は命を賭ける必要がある。だから、ウマ娘がどのような勝負服であっても、トレセン学園だけでなくURA……更にはマスゴミと揶揄されるメディアすら触れていない。

 

 しかし、時代は変わった。

 

 電子機器の性能向上によって、鮮明に映し出されるウマ娘達のレースやウイニングライブ。見目麗しい年頃の女性達が美しい衣装で踊る姿を日夜目にする男性達。その結果、思春期の男子学生達の性癖を歪める結果に繋がる。

 

 その原因の一端を担ったとされる某トレーナーは、留置所で今日も無罪を訴えていた。

 

………

……

 

 東京某所にある留置場。

 

 そこに、あるウマ娘がトレーナーに差し入れを持ってきていた。重賞レースの勝者であり、時のウマ娘……彼女を知らぬ者を探す方が難しいと言うレベルの著名なウマ娘。

 

 留置所にある面会室に座るウマ娘。対面には、彼女のトレーナー。強化アクリル板の向こうにいるトレーナーを見て、彼女は己の不甲斐なさを感じていた。

 

「マスター。差し入れを持ってきました」

 

「すまない、ブルボン。よく、面会に通して貰えたな。あのニュースの後だ……色々と大変だっただろう」

 

「ここの方達は、親切でした。サインをしたら面会を取り付けてくれました」

 

「それでいいのかよ、ここの連中。でだ、この差し入れ……どこから持ってきたんだ」

 

 留置場にいるトレーナーへの差し入れ。

 

 担当ウマ娘からトレーナーへの差し入れという事で、警察官も配慮した。激甘の検査である。職業柄、逃亡の危険性も無い為、軽い検査に終わる。危険物でないかといったその程度の物だ。

 

 差し入れられた、数冊の本。

 

 それを見たトレーナーの顔は脂汗をかいていた。

 

「はい。マスターの書斎にあった袖机が二重底になっており、ソコから持ってきました。なんでも、男性はこういうのが必要になるとか……ライスさんの差し入れを参考にさせて頂きました」

 

「あの野郎!!担当ウマ娘の教育くらいしっかりしておけよ」

 

 ブルボントレーナーは、隣の留置場で拘留されている同僚トレーナーに愚痴を言った。

 

 だが、この時トレーナーは気が付いてしまった。差し入れの品は、警察官に検査されている。当然、担当ウマ娘に艶本を持ってこさせたとなれば、痛い視線が向けられるのは当然。

 

『やっぱりか……信じていたんだがな~』

 

『すぐにURAに報告をあげろ』

 

 などなど、監視の警察官からヒソヒソ声が聞こえる。

 

「ご、誤解だ!!信じてくれ。俺は、こんな本を持ってきてくれなんて言っていない!! それに、勝負服の件だって完全にノータッチだ。そうだろ、ブルボン!」

 

 ブルボントレーナーが留置場に居る原因となった勝負服。流石に、アレのデザインは、未来を先取りしており疑義が生じた。スパッツすら履かせていないのは、担当の指示なのかという事だ。

 

「マスター、私はマスターの為にと思って……。勝負服の件もマスターがガンダ○好きだと聞きましたので、参考にさせて貰いました。後、ノータッチではありません。勝負服を着た私と一緒に柔軟運動をした記録がメモリーに刻まれております。勝負服は繊細だからと、ウイニングライブ後に手洗いして頂いたのはノータッチに含まれるのでしょうか」

 

 情緒が幼いが体は最高のミホノブルボン。そんな彼女が、警察官立ち会いの録音されている面会の場でトレーナーを殺しに掛かる。

 

 チラチラ とブルボントレーナーが周囲にいる警察官に視線を配る。だが、向けられる視線は、ゴミ以下の人間をみる目であった。

 

「落ち着けブルボン、頼むから・・・えっ!?面会時間は終わりだって」

 

「マスター。安心してください。誤解は、必ず私が解消してみせます」

 

 お願いだから何もしないで大人しくしてくれと叫ぶ前に警察官に連れられて留置場へと連行されていった。

 

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