仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
今回はオリジナル回。
結構重要なターニングポイントになります。多分。
「桐生、お前の持つサイエンスメモリ、それにお前が追っているサイエンスという組織とはなんだ」
照井が俺に聞いてくる。こいつ質問するのは許さないくせに自分はガンガン質問するのな。
「えっと、サイエンスは佐藤太郎と石動惣一という2人が作った組織だ。そこでは人体に全く害のないサイエンスメモリが作られており、実験と称してこの町の人にばら撒いているんだ。ところでWについては詳しかったのにビルドについてはあまり知らないんだな」
「ビートルフォン一つだけでは片方しか情報を集められなくてな」
「へー。もっと知りたいならついてきな。外で俺が隙を晒しておけば勝手に奴らからやってくるはずだから」
そう言って事務所を出ると、照井もついてくる。そういえばサラッといるなこいつ。警察の業務はどこいった。いや、そんなことはどうでもいいか。俺たちはバイクに乗り、移動を始めた。
俺たちはいつもの空き地にやってきた。
「ここは?」
「ここ、いつもの場所だから。あいつらもそれ把握してるし多分来ると思う」
俺はメモリを手でいじりながら奴らがやってくるのを待つ。
「本当に来るのか?」
「くるよ。前回の戦いからまぁまぁ時間空いてるし、奴らも実験したがってるだろうから」
「よくわかってるじゃないか」
「…ほらお出ましだ」
佐藤太郎がメモリを持ちながらこちらに向かってくる。
「あれが佐藤太郎か」
「そっちの赤い刑事さんは...照井竜と言ったっけ。まぁ君がいても実験には支障ないか。さぁ、実験を始めようか」
『ROBOT UPGRADE!』
機械のついたロボットメモリを首に挿し、ドーパントとなる佐藤太郎。
「ドーパント!」
『ACCELE』
「変...身!」
アクセル!
「さあ!...振り切るぜ」
「気をつけろ照井、あいつは普通のドーパントじゃない」
『CROSS-Z DRAGON』
「変身!」
Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!
「ハァッ!」
アクセルはエンジンブレードを、俺はビートクローザーをそれぞれ手にしてドーパントに斬りかかる。
ドーパントは二つの剣を避けると、俺にパンチや蹴りを浴びせてくる。サイエンス特攻のある俺を先に潰すつもりなのだろう。
「セイッ!ハッ!」
その攻撃をビートクローザーやファングオブレイドで弾いたり、斬り裂いて軌道を逸らしながら対処していく。
「俺にばっか構ってていいのかよ。ここにはもう一人仮面ライダーがいるんだぜ」
「ハァッ!」
『ぐっ⁉︎』
ガラ空きで隙だらけな背中をアクセルがエンジンブレードで一気に斬り裂く。
『やっぱり二対一は厳しいな』
「だったら早く降参しろ!」
そう言いながら勢いよく踏み込み、斜めからビートクローザーを振り下ろす。狙いはロボットメモリを挿した首元。しかし読まれていたのか、左手で受け止められてしまう。
「なに⁉︎」
よくみると、直接手で受け止めている訳ではなかった。その手には、籠手のように装着された武器があり、それで受け止めたようだった。
『試させてもらうぞ』
ビートクローザーを振り払うと、左手に握られている武器を突き出して攻撃を仕掛けてくる。振り払われた時に体勢を崩してしまったが、なんとか持ち直してギリギリのところでビートクローザーで受け止める。
ガリガリガリガリ!!!
何かを削り取るような音が響く。その音の出どころに気づくと、俺は急いでビートクローザーを手放してバックステップで距離を取る。その瞬間、ビートクローザーを貫通して杭のようなものが貫通してきた。
「その武器...高速回転した杭か」
『ご名答。このツインブレイカーの調整の手伝いをしてくれ』
そう言いながらツインブレイカーを裏拳を打つ要領で後ろに突き出す。高速回転した杭は後ろから迫ってきていたアクセルに突き刺さり、装甲を削り取っていく。
「こいつ...!」
「よけろ照井!」
俺は蒼い炎を足に纏いながら飛び蹴りを放つ。照井はなんとか杭を引っこ抜くと、ドーパントに蹴りをかまして俺の方へと飛ばす。
『チィッ!』
ドーパントは飛ばされながらも空中でツインブレイカーを構えると、飛び蹴りを放つ俺の足に向けて突き出す。
「ぐっっ!」
足の裏に杭が刺さる。ギリギリ皮膚までは届いていないが、足裏の装甲のほとんどを貫かれ内部にまでダメージが及ぶ。ドーパントはそのままツインブレイカーを俺ごと投げ飛ばした。
「いっっっつ...」
ダメージが思いの外深かったのか、装甲が貫かれたせいなのかはわからないが、変身が解除されてしまう。
『おお、無様だな』
「…ブラッドスターク!」
ブラッドスタークが煽りながらこちらに歩いてくる。
「二体目...桐生!こっちは任せろ!お前はそっちを頼む!」
アクセルはドーパントをうまく誘導して移動していく。
「…任された。おい、石動惣一。もうブラッドスタークじゃ俺には勝てないぞ」
『RABBIT』『TANK』
ラビット!タンク!ベストマッチ!
無言でブラッドスタークはトランスメモリーガンを撃ってくるが、ドラゴンメモリから分離したクローズドラゴンが自らガトリングメモリをセットして炎を吐き、弾丸を撃ち落としていく。
その隙に俺はビルドドライバーを腰につけ、メモリをセットしていく。
『SPARKLING』
ラビットタンクスパークリング!
「変身!」
シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング!
イエイ! イエーイ!
「オラァッ!」
ラビットタンクスパークリングに変身した俺は、ラビットバブルを破裂させて高速で移動し、インパクトバブルを破裂させながらパンチを叩き込む。
『ぐっ、この!』
吹き飛ばされたブラッドスタークはうまく体勢を立て直すと、トランスメモリーガンを連射してくる。俺はホークガトリンガーを取り出そうとして...それを止めると、ラビットバブルを破裂させ後方に高速移動する。
『逃げる気か!』
「逃げねぇよ!こいつを使えば...!」
俺は先程投げられて地面に落ちていたツインブレイカーを拾い上げると、それをビームモードに変形させて放たれた弾丸に向けて撃つ。初めて使うので狙いがうまく定まらず、何発か撃ち漏らして相殺するのに失敗するが、クローズドラゴンが身を挺して守ってくれた。
「ありがとうクローズドラゴン。ちょっと借りるぞ」
俺は飛んでいるクローズドラゴンからガトリングメモリを取り出し、ツインブレイカーのツインブレイクスロットにセットする。
ガトリング!マキシマムドライブ!
ブレイニッシュトリガーを叩きつけるように押し込む。
シングルフィニッシュ!
まるでガトリング銃を撃っているかのような速さでエネルギー弾が連射される。放たれた無数のエネルギー弾は、ブラッドスタークの放つ弾丸を全て撃ち落としながら突き進み、およそ半数が直撃する。
『くっ、クソ!」
「なるほど。じゃあ次はこれだな」
ロック!マキシマムドライブ!
ガトリングメモリを抜き、代わりにロックメモリをツインブレイクスロットに挿し込む。そしてブレイニッシュトリガーを叩きつける。
シングルフィニッシュ!
レイジングビーマーから2本の鎖が飛び出し、ブラッドスタークを拘束する。
「最後!」
スパークリングメモリの挿さったマキシマムスロットを叩く。
スパークリング!マキシマムドライブ!
「勝利の法則は、決まった!」
ラビットタンクのボルテックフィニッシュの時のようなX軸が現れブラッドスタークを挟み込み、先ほどの鎖と合わせて二重の拘束をする。そして本来なら放物線が現れるところだが、筒状に変化していた。
スパークリングフィニッシュ!
筒状に変化した放物線の中を、炭酸と一緒にウォータースライダーの要領で滑り降りていき、勢いよくキックを叩き込んだ。
「ぐぅっ!やっぱりブラッドスタークじゃ敵わないか」
ブラッドスタークは石動惣一の姿に戻っていた。
「よーくわかってるじゃないか。じゃあ次はなんだ?ドーパントにでもなるか?」
ブラッドスタークにはもう負けない。コブラメモリを使ってドーパントになったとしてもおそらく勝てるだろう。つまり、もう石動惣一には勝ち目はないはずだった。
「ドーパント?まだなるつもりはない。俺はこいつを使うだけだ」
石動惣一は
「ビルドドライバー...⁉︎いや、どんなメモリを使おうとも、お前は絶対に倒してやる」
「へぇ...どんなメモリでも、ねぇ」
『TANK』『RABBIT』
「……は?」
タンク!ラビット!ベストマッチ!
石動惣一は少し色の薄いラビットとタンクのメモリを取り出すと、右側にタンクメモリを、左側にラビットメモリをセットした。そして展開させる。
俊足の無限軌道!タンクラビット!イエーイ!
「もう一つの...ラビットタンクだと⁉︎」
ビルド、タンクラビットフォームに変身した石動惣一は勢いよく飛び上がると、右側のタンクサイドで飛び蹴りを放つ。いつも俺がやっているように足裏のキャタピラで装甲を削り取っていく。
「くっ!...偽物でも幻覚でもねぇ。本物のラビットメモリとタンクメモリか。ビルドにはスパークリングは効果ない!」
俺はマキシマムスロットからスパークリングメモリを取り出し、通常のラビットタンクへと戻る。
「いくら元の姿に戻ったところで!俺には勝てない!」
タンクラビットの攻撃がパンチや蹴りを放ってくる。いつも俺がやるような動きを真似したような攻撃をしてくる。けれど、その攻撃は一つ一つが俺よりも早く、そして力があった。
(おかしい...同じメモリのはずなのにこの差はなんだ!)
なんとか攻撃を避けたり、逸らしたりしてかわしていく。けれど、それもギリギリでまさになんとか凌げているといった状態だ。左右が逆転するだけでここまでスペック差が出るわけない。なにかそこに仕掛けがあるはずだ。
「まさかお前...そのメモリにデビルスチームを⁉︎」
「あー、ちょーっと惜しいな。デビルスチームの大元を流し込んだんだが...まぁお前に教える筋合いはないな。さっさと負けてくれ!」
タンクラビットはさらに攻撃の速度を上げてきた。さっきまではまだギリギリなんとか凌げていたが、少しずつ押され始め、防御が間に合わなくなってくる。
「ぐっ...ハァッ!」
ツインブレイカーをアタックモードに切り替え、レイジングパイルを突き出してなんとか反撃を試みる。パワーモーターによって高速回転したパイルの先端に、ツインブレイクチャージャーによって生成されたエネルギーが集中し、タンクラビットの装甲を砕かんとする。
「無駄だ!」
そう言ったタンクラビットの蹴りを左手に喰らい、ツインブレイカーが弾き飛ばされてしまう。それならと俺はドリルクラッシャーを取り出して斬撃を試みるが、タンクラビットはさらに加速すると、あっさりと避け、ガラ空きな背中を勢いよく蹴り飛ばす。
「こいつ速すぎんだろ...」
「さぁ、決着をつけようか」
タンク!ラビット!マキシマムドライブ!
タンクメモリとラビットメモリをマキシマムスロットに挿す。
「やられて...たまるか!」
ラビット!タンク!マキシマムドライブ!
負けじと俺もマキシマムスロットにメモリをセットしていく。
ボルテックフィニッシュ!
ボルテックフィニッシュ!
同時にマキシマムスロットを叩き、マキシマムドライブを発動させる。
二つの回し蹴りが交差し、ぶつかり合う。
やがて力の均衡が崩れ始める。
ラビットタンクは吹き飛ばされ、タンクラビットがその場に残った。
「ぐっっガア゛っ!クッッソ!!」
タンクのメモリが吹き飛ばされた拍子に弾き飛ばされ、変身が解除されてしまう。急いでタンクメモリに手を伸ばす。
「おっと、拾わせねぇぞ」
タンクラビットは俺の手が届く前にタンクメモリを拾い上げる。
「お前...それ返せ!」
タンクラビットにしがみつく。
「いやだね。邪魔だしがみつくなどけ!」
「うぐっ!」
勢いよく蹴り飛ばされる。ラビットサイドで蹴られたことが幸いしたのか、骨や内臓にまでダメージが及んでいる感覚はないが、その痛みに耐え切ることまではできず、俺は気を失ってしまった。
アクセルはエンジンブレードでドーパントに斬りかかり続けていた。ツインブレイカーを手放したドーパントは手数が一つ減ってしまっているはずだが、そんなこと関係ないと言わんばかりにアクセルを圧倒していた。防戦一方のはずなのに、圧倒している。
(攻めきれない。これがサイエンスのドーパントか!)
今は攻め続けることでなんとか戦えているが、もし攻める手を止めたら、瞬く間に反撃を喰らってしまうような予感がしていた。それくらい、ドーパントとしての強さが他とは段違いだった。
普通のサイエンスのドーパントと戦っていないためこれが普通だと勘違いをしてしまっているが、もし別のサイエンスのドーパントと戦った経験があったのなら、もう少し善戦することができたかもしれない。
『ENGINE』
なんとか起死回生の手を掴むため、エンジンメモリを中折れ式のショットガンのように折り曲げたエンジンブレードにセットしようとする。けれど、やはり攻撃の手を止めるのは悪手であった。
『遅い!』
ドーパントは手のひらからゲルのようなものを発射して元の形に戻る前のエンジンブレードに命中させる。アームズドーパントが液体金属でダブルドライバーのソウルサイドを埋めたように、ゲルによってエンジンブレードを戻すことができなくなってしまった。
「んな⁉︎」
『ほら遅いつってんだ!』
ドーパントは勢いよく拳を振りかぶりながらこちらに走ってくる。そして拳を振りのこうとして...
「回収終わったぞー!そこらで引き上げるぞ!」
ドーパントの動きが止まる。俺とドーパントは声のした方を見ると、そこからビルドが歩いてきた。
「桐生...いや、反転しているだと?お前まさか!」
『ちゃんと回収できたのか。じゃあさっさと退散させてもらおう』
「待て!」
「待てと言われて待つやつはいないね」
追いかけようとするが蹴り飛ばされてしまう。すぐに体勢を立て直すが、もうすでに敵たちはいなかった。
「逃げられた...か」
変身を解除する。
「ここに奴が来たとすれば...桐生は!」
最初にいた空き地まで走る。全力で走ると、30秒もしないでたどり着いた。
「…桐生!おい桐生、大丈夫か桐生!」
倒れていた桐生戦兎を見つけ、急いで駆け寄った。
「…うっ、うう...」
「起きたか」
目が覚めると、そこは事務所...というわけではなく、倒れた空き地であった。
「動かさない方がいいと思ってな」
「あっ、ああ。助かった」
そりゃそうだ。医者でもなければ倒れている人なんて動かさない方がいいのだ。
「そうだ、タンクメモリが!」
「取られたのか。それにあのビルドは何者だ。ちゃんと説明しろ」
「あのビルドは石動惣一だ。ブラッドスタークに変身するやつだったんだが...まさかあいつもビルドになるとはな」
「しかし大丈夫なのか?タンクメモリは君が使うことが多いメモリだろう」
確かに、タンクメモリはラビットメモリやドラゴンメモリの次くらいに適合率が高い。そのためか、ビルドドライバーを使って変身する時はラビットタンクを使うことが多いし、スパークリングに変身するのにも必要だ。取られてしまった以上、かなりの戦力ダウンとなるはずだ。
「結構やばい。だけど、強大な敵が現れたのなら、それを倒せるように新しいものを作るのがビルドだ。それに、これも手に入ったしな」
手元にはドーパントが投げたツインブレイカーが握られていた。知らないはずなのになぜか使い方がわかったこいつには、何か俺の記憶の鍵があるように感じた。
「とりあえず...事務所に戻るの手伝ってくれない?身体中痛くてバイク運転できない...」
「それはいいが...ふと思ったのだが桐生。お前は記憶を失っているんだよな」
「少しずつ思い出しては来たけどね」
「そして名前も一応偽名ときた」
「うん」
何か悪い予感が...
「免許ってどうなっているんだ?」
「あーストップストップ!その話は事務所戻ってからにしような、なっ!」
そういえば警察だったこいつ。免許証とか保険証とか偽造の塊だけどどう説明しようか。照井の運転するバイクに乗りながら、俺は軽く震えながらそんなことを考えていたのであった。
「これでスプラッシュを封じることができた...ビルドはできればやりたくないしブラッドスタークの方が楽だぜ」
「何を言ってるんだ。これからもビルドとして戦ってもらうんだぞ。というかそっちの方が頻度増える」
「なんでさ」
「アップグレード主体にするつもりだったが計画を早める。こいつをやる。自由に暴れ回ってこい」
「これは...いいのか?こんなもの俺に渡して」
「お前を制御するのは難しそうだ。逆にこっちから誘導してやる方が楽そうだしな」
「誘導されるのは癪だが...しょうがない。自由にやっていいって言質とったけど本当にいいんだな?」
「いいぞ。ああでも一つだけ注文がある」
「なんだ?」
「そのメモリを、二つのドライバーのマキシマムスロットに挿してこい。方法はなんでもいい」
「りょーかい」
ドス黒いメモリが手渡された。
Sayuu gyaku no BUILD.
Nusunda tankmemory de ittai nani wo surutsumori nanodarou.
メモリの奪い合いが始まりました。
思ったけどビルド本編の戦兎って免許どうしてたんだろ。
この作品だと照井がいるからとっ捕まりそうで怖い。