仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
オリジナル回。
サブタイトルから何が出るかわかるよね。
「はぁ...おい戦兎!音うるせぇ!こんな工具あたりに撒き散らして何やってやがんだ!」
ガレージで作業していたら翔太郎に大声で怒鳴られた。さすがにやりすぎたか。
「あっごめん。うるさかったか。依頼人でも来てたのか?」
散らばった工具を片付けながら翔太郎に聞く。
「…いない」
「なんだ」
片付けていた工具を取り出す。
「おいなに再開させようとしてんだ!」
「いいだろ別に。奴らに対抗するために必要なことなんだから」
「はぁ...で?今はなにやってんだ?」
「ツインブレイカーを分解、解析してる。今はこいつのデータが一番欲しいんだ」
ツインブレイカーは佐藤太郎から奪い取った武器だ。これを解析すれば、あの特殊なロボットドーパントについてもわかるかもしれないのだ。それに、俺は一眼見ただけでその構造や使い方を理解して...いや、思い出して、まだ見ていないはずのビームモードに変形させた。記憶についても、これを調べれば何かわかるかもしれない。
「というわけで解析が終わったから今はまた元に戻しているところだ。これで終わるからちょっと待っててくれ」
必要な情報は全て解析した。これを通してあのドーパントについてもなんとなく把握することができた。まぁ把握したといっても、対抗手段ができたわけではないからまだ戦いたくはないが。
「…よし完成。ふぃー疲れた。もう今日は何もしたくない」
「何もしたくないって...まだ昼前だぞ」
「しょうがないだろ。休憩なしでぶっ通しでやってたんだから」
「いや休めよ。というか他にもやらないといけないことあるんじゃないのか?」
「やらないといけないこと...?あっ、ビートクローザーの修理が...ヤッベ忘れてた」
佐藤太郎にビートクローザーを貫通させられたの忘れてた。クローズドラゴンも少し傷ついてしまったし直さないといけない。でももう動きたくないんだよな。
「そんなのでいいのかうちのメカニックは...」
「そんなんでいいんだよそんなんで。明日やればいいんだ」
「どうすんだよクローズ必要になったら。困るだろ」
「さすがにそんなすぐに必要になるなんてこと...」
バンッ!
ガレージからリボルギャリーを出すための通路。その入り口を閉じているハッチに金属音と共に凹みが生じる。
「敵襲か⁉︎」
「ここのことを知っているってことは...まさかあいつらか!」
ハッチに少しずつ凹みが増えていき、一気に穴が広がる。
『よーっす。頼まれたから来てやったぜー』
ブラッドスタークが穴の空いたハッチからガレージに入ってくる。
「頼んでねぇ!何しに来やがった!」
『いやーちょっとあいつに頼まれごとされちまってな。出てくる気配ないから直接来てやったぜ』
「さっさとお帰りいただこうか。翔太郎!」
「……ああ!」
翔太郎がスタッグフォンを取り出し操作する。それによりハッチが少し引っかかりながらも開く。
『は⁉︎ぐっ!』
リボルギャリーが急発進してブラッドスタークを轢く。そのままガレージの外へ、町へと引き摺り出してもらう。
「ナイスだ翔太郎!俺は追いかけるからお前はここを頼む!」
「一人でいいのか?タンクもないのに」
「大丈夫だ。問題ない」
ワンサイドライバーを腰につける。
『RABBIT』
「変身!」
ラビット!
ラビットフォームに変身する。そして空いている通路を通って俺はブラッドスタークを追いかけていった。ラビット単体ならバイクなしでも同じくらいの速さで追いかけることができる。久しぶりにこっちで変身したからか少しバランスを崩しながらも走っていくと外に出る。
『いやーまさかこいつが突っ込んでくるなんてな』
「ブラッドスタークはさっさと帰れ!」
リボルギャリーから逃れたブラッドスタークに向けて勢いよく蹴りを放つ。
『そんな節分の鬼みたいに言われても...』
そう言いながら俺の攻撃を避けるブラッドスターク。トランスメモリーガンを構えてこちらに向かって発砲してくる。
「うおっあぶなっ!...そうだお前タンクメモリ返せ!置いてけ!タンクメモリ置いてけ!そうしたら返してやらぁ!」
『随分と血気盛んなようで...スパークリングに変身できないお前なんか怖かねぇ!』
交渉失敗。さっさと倒すに限る。俺はツインブレイカーを取り出して左手に装着すると、アタックモードでパイルを叩きつけようとする。一度は避けられるものの、ラビットの速さで繰り出される二度目、三度目の攻撃は避けることが出来なかったようで直撃する。
『ぐっ...!くそあいつほんとなんでツインブレイカー渡したんだ。使いこなしてるじゃねぇか!』
「復元作業中にしっかり改造しておいた。威力も上がってるんだ...ぜ!!」
何度も何度もレイジングパイルを叩きつける。ブラッドスタークはスチームブレードを使って防御するが、パワーモーターの回転数が上がっており貫通力も上がっていた。佐藤太郎がビートクローザーにしたように、スチームブレードを貫通させる。ブラッドスタークは手を離さなかったため、そのまま突き出されたパイルが直撃する。
『この野郎...!』
「さぁ、とっとと締めといこうか」
俺はツインブレイカーを操作してビームモードに変形させる。
ラビット!スパークリング!マキシマムドライブ!
ツインブレイクスロットに二つのメモリを入れる。そしてブレイニッシュトリガーを押し込んだ。
ツインブレイク!
スパークリングを使ったマキシマムドライブのためか、ブラッドスタークが警戒を強める。けれど、俺がツインブレイカーをブラッドスタークではなく真後ろに向けて構えたことに困惑し、警戒を緩める。
「こんなんで油断するだなんて...お前バカだな」
ラビットとスパークリングのマキシマムドライブが発動する。二つの成分が混ざり合い、ラビットバブルが大量にレイジングビーマーから発射される。そしてその大量のラビットバブルが破裂し、莫大な推進力を得てブラッドスタークへと突撃していく。
『そんなバカな⁉︎』
「遅え!」
回避しようとするブラッドスタークに対して勢いよく飛び蹴りを放つ。飛び蹴りを喰らったブラッドスタークは変身を解除しながら吹き飛ばされていった。
「ぐっ、こいつわけわからん攻撃してきやがる...それに変身できなくとも武器に使えばスパークリングの力も使えるのか。こうなったら言われた通りにやるしかないか。癪だがな」
石動惣一はパンパンと服についた砂埃をはたき落としてから腰にビルドドライバーをつける。
「あの逆ビルドにでもなるのか?前は少し驚いて反応が遅れちまったが次も通用すると思ったら大間違いだぞ。デビルスチームでドーピングしたくらいで二度も勝てると思うなよ」
「デビルスチームだけでも十分お前は倒せるんだけどよぉ...頼まれちまったからには仕方ねぇ。こいつも使わせてもらうぜ」
石動惣一はドス黒い色をしたメモリを取り出して、起動した。
『HAZARD』
「ハザード...危険だと?」
石動惣一は起動したハザードメモリをマキシマムスロットにセットする。
ハザードオン!
「さぁ...いくぜ」
『TANK』『RABBIT』
タンク!ラビット!スーパーベストマッチ!
ドンテンカーン!ドーンテンカン!ドンテンカーン!ドーンテンカン!
メモリを挿すと、普段はならない変身待機音が流れ出す。そして石動惣一はドライバーを展開した。
ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!
しかし変身は始まらない。別の音が鳴り出す。
「変身」
ハザードメモリの入ったマキシマムスロットを叩きつける。
アンコントロールスイッチ! ブラックハザード!ヤベーイ!
「アンコントロール...やばそうだな...」
「さっさとケリをつけさせてもらおうか」
両目の複眼以外が真っ黒に染まったビルドが襲いかかってくる。元のタンクラビットの倍ほど速い速度で近づき、パンチを放ってくる。
「なに⁉︎ぐっっ!」
左手のツインブレイカーを盾のように使いパンチを受け止めようとするが、耐えきれず大きく吹き飛ばされる。
「速度も威力も上がりすぎだろ畜生!」
ツインブレイカーをバラバラに砕け散った。邪魔なだけなので左手に残った残骸を放り捨てる。
「こんなパンチ一発でヘロヘロになってちゃ張り合いがいがねぇなァ!」
いつのまにか目の前に立っていたハザードビルドがヤクザキックを放ってくる。
「危なっ!」
なんとか避けて距離を取る。けれどその距離も一瞬で詰められてしまう。ラビット単体の速さにタンク込みで追いつく性能差。相手にはタンクの威力と防御力があるためこちらには攻め手が一切なかった。
「避けてばっかじゃ消耗するだけだぜ!」
「攻撃して欲しけりゃハザードメモリ取りやがれ!クソッ!」
飛び跳ねるように移動しながら俺はドリルクラッシャーを取り出す。効果があるとは思えないがないよりはマシだ。
「そんなチャチな武器でどうにかなると思ってんのか!」
ギリギリだがこちらの方が速度は上。100M走にして0.1秒ほどの差だが、そのほんの少しの差を利用して距離を離してはブレードモードで攻撃を繰り返す。けれど、ほんの少しのダメージすら与えられない。
「そのハザードメモリ...まさかデビルスチームの大元か⁉︎」
「そうだ。そして時間をかければかけるほどこちらの力は際限なく上がっていく。時間稼ぎは逆効果だ。自滅覚悟で突っ込んだ方がまだ勝機があるかもな」
その言葉の通り、少しずつではあるがハザードビルドの速度が上がってきていた。わずかながらあった0.1秒の差が埋まってきていた。
「くそっ...一か八かでいくしかないか!」
速度の差があるまでの今のうちに勝負を決めるしかない。そう思った俺はドリルクラッシャーをガンモードに入れ替え、メモリを入れる。
マグマ!マキシマムドライブ!
「ハアァァァァ!!」
ボルテックブレイク!
銃口から大量の溶岩が飛び出してハザードビルドの体を包む。溶岩は瞬時に固まった。
「こいつで倒せなかったら...」
マックスハザードオン!
オーバーフロー!......ヤベーイ!
固まった溶岩の中から音が漏れ出してくる。その音を聞いた瞬間、身の毛がよだつ感覚が走る。この言い知れない恐怖はなんだ。
「マグマでも...倒せないだと⁉︎」
固まった溶岩が内側から弾け飛ぶ。そして中から、空いていたもう一つのマキシマムスロットに二つ目のハザードメモリを入れたハザードビルドがゆっくりと歩いてこちらに向かってくる。
「2個目⁉︎」
「終わりだ」
ハザードビルドは腰にある二つのマキシマムスロットを叩きつける。
ハザード!マキシマムドライブ!
慌てて逃げようとする俺の肩を掴む。パザードビルドの体からドス黒いオーラが溢れ出し、2人のビルドを包む。
ハザードフィニッシュ!
オーラを喰らい動けなくなった俺に向かって上段蹴りを放つ。先ほどのオーラによって装甲が無効化されていたのか、俺の体に直接叩き込まれたかのような衝撃が走り、変身解除させられながら大きく吹き飛ばされる。
「ア゛ア゛ッッガァア゛ア゛ア゛ア゛ッッッッ!!!」
激痛に耐えきれず大きな叫び声を上げて苦しむ。
「ふぅ...それじゃあ目的を果たすとしようか」
変身解除した石動惣一は俺に近づくと、腰についていたワンサイドライバーと、懐に入れていたビルドドライバーを盗み出す。
「な...にを...返せ...!」
痛む体を無理やり動かし、足を掴む。
「嫌だね」
石動惣一はそう言うと、足を掴む手を振り解き、俺の頭に思い切り蹴りを叩き込んだ。
「……と...んと...戦兎!」
声が聞こえてくる。
「戦兎!起きろ!」
この声は...翔太郎か。そうだ、起きないと。
「いっっつ!」
「起きた!大丈夫か戦兎!」
「大丈夫なわけあるか!全身ボロボロで痛いわ!」
「よかった。結構元気そうだね」
ギリギリ叫ぶ余力は残っていた。でも限界に近いのは本当だぞ。
「何があったんだ。後を追ってみたらもう戦いは終わってて戦兎は倒れてるし。まさかあの反転したビルドとやらにやられたのか?」
「ハザードだ」
「ハザード?」
「ハザードメモリ。デビルスチームの大元で、使えば中に含まれている強化剤によってメモリの力と適合率が際限なく上昇していく悪魔のメモリだ」
「悪魔のメモリ...そんなものがあるのか」
「桐生戦兎、いつ、どこでその情報を知ったんだい?解析したのか?」
「…あれ?なんで知ってるんだ俺...」
知らないはずなのに、なぜかスラスラと言えてしまった。ツインブレイカーの時といいどうなっているんだろう。
「って忘れてた!ドライバーが!」
「ちょっ動くな!どうしたんだ戦兎!」
「ドライバーを...ワンサイドライバーもビルドドライバーも石動惣一に取られた!」
「な、なんだって⁉︎」
「ってことは...ビルドになれないってこと⁉︎どうすんのさ!」
「なんとかするしかない...ドライバーでもなんでも作るしかない」
「そうだとしても今は休んどけ!怪我が悪化しても知らんぞ!」
ガレージに向かおうとする俺を引き止める翔太郎たち。
「でも...変身できないと...ビルドになれないとサイエンスのドーパントが...サイエンスをぶっ潰せない!」
「落ち着きたまえ桐生戦兎。どうして石動惣一がドライバーを奪っていったのか、それを考えてみたえ」
「どうして奪ったのか...?そんなの実験の邪魔を防ぐために...」
「それはあり得ない。君の戦うデータを取ること。それこそが実験だったはずだ。それならば、君から戦うための力を奪うとは考えられない」
「ならなんでドライバーを奪ったんだ」
「何か目的があるんだろう。いずれ、必ずドライバーが戻ってくるはずだ。石動惣一は頼まれたと言っていたんだろう?ならば独断専行ではない。実験に含まれているならばドライバーが戻ってくることもその中に含まれているはずだ」
「……でも今戦えないのはまずい。クローズドラゴンだけでも修理させてくれ。あれとメモリさえあればドライバーがなくてもある程度戦えるから」
「まぁそれくらいなら問題ないだろう。けれど、作業は明日からにしたほうがいい。怪我に響く」
「…わかったよ。今日は休む。これでいいか?」
「それでいい。一応亜樹子に監視してもらおう」
「動いたらスリッパで叩くからね!」
そこまで言われてはもう仕方ない。俺は動くのをやめる。身体中に響く痛みのお陰で、俺はすぐに眠ることができた。意識を手放すという方法で、だが。
「よーっす、帰ったぜー」
「メモリは入れたか?」
「ほれ、お土産だ」
「っ⁉︎お前なんでこれ!」
「お前方法はなんでもいいって言っただろ?今からメモリ入れるからこれでもいいだろ」
「だからってお前...!」
「それにただメモリ入れて終わりじゃ不自然すぎるだろ?あいつならドライバーがなければ必ずあれを完成させる。そしてそれがあれば俺からドライバーを取り返しにくるだろう。その時に俺がやられたフリをしてドライバーを返せば、あいつは疑わずに使ってくれる。この筋書きのほうが自然だろ?」
「…確かにそうだが...」
「まぁまぁ、ゲームメーカーに任せておけって」
石動惣一はドライバーを腰につけると、ハザードメモリをマキシマムスロットに挿していった。
Driver ga nakereba BUILD toshite wa tatakaenai.
Keredo driver ga nakutemo ore wa kamenrider da.
敵側がハザード使うという絶望感。
戦兎がハザード使うのはもう少し後になるかな。