仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
オリジナル回です。
「…ドーパントの反応!」
ガレージにてドラゴンメモリの調整をしていると、突然ビルドフォンが鳴り出す。
「ドーパントの反応?」
「サイエンスのドーパントが現れたのがわかる機械を作っていたんだ。事務所から半径一、二キロくらいの範囲だけどな。すぐ行くぞ。ついてこい」
今事務所にはフィリップしかいない。いざとなったらファングを使えば変身できるしついてきてもらうことにした。
『LION』
ビルドチェンジ!
外に出てマシンビルダーを起動し、乗り込む。ハードボイルダーは翔太郎が使っているので、フィリップは俺の後ろにまたがる。乗ったのを確認した瞬間に急発進させて、ドーパント反応の出た場所へと向かう。早く行かなければならないのだ。少しの時間も無駄にできない。
「ここで合ってる...よな。廃ビルの中か」
「この場所って...」
『DRAGON UPGRADE!』
「変身!」
ドラゴンメモリを首に挿し、クローズチャージに変身する。
『フィリップ、お前は外で待ってろ。変身しないなら邪魔なだけだ』
「待ってくれ!一人で行動するのは...!」
フィリップの声を無視して廃ビルの中に入る。
『おいドーパント!どこだ!さっさと出てこい!』
ツインブレイカーを左手に装着しながら廃ビルの中を突き進む。
『ビビってんのかァ?オラさっさと出てきやがれ!』
確かにここにドーパントの反応があったはずなんだ。さっさと探し出してぶっ潰さなければ。
『チッ、どこだ!出てこいつってんだろ!』
その時、ビルドフォンに連絡が入る。
『なんだよフィリップ!』
『覚えていないのか戦兎。ここは君が捕らえられていたあの研究所の廃ビルだ。地下への入り口があるはずだ』
『研究所だと⁉︎確かこの辺に...!オラァッ!!』
かすかな記憶。その中にある研究所へ通じる階段の位置に行くが、閉まっていたので入り口を破壊して無理やり中に入る。
『この中に...!出てこいドーパント!』
研究所の中に入る。
『ふむ、ここにいることがわかったってことは、スマッシュ...いや、ドーパントか。ドーパントの反応調査の機械を作ったというわけだな。出向く手間が省けたよ』
『お前は...佐藤太郎!』
研究所の中にいたのは、佐藤太郎の変身するロボットドーパントだった。こいつが検査機器に引っかかったのだろう。そりゃそうだ。普通のドーパントがこんなところにいるわけがないのだ。
『お前を倒す!』
アタックモードのツインブレイカーを叩きつける。その攻撃自体はロボットドーパントの持つツインブレイカーで受け止められてしまうが、空いた右手を使って蒼い炎をまとったパンチを放つ。
『この威力...お前どんな改造をしてんだ⁉︎』
『オラァッ!オラァッッ!!』
威力はこっちの方が上だ。相手にどれだけ経験があったとしても、攻撃力でその差を無理やり埋めていく。
『こいつ...!』
『KESHIGOMU』
ディスチャージメモリ!入らなーい!
ロボットドーパントが消しゴムメモリを起動して首筋に挿す。データが身体表面を駆け巡る。そしてデータが全身を覆ったとき、その姿が忽然と消えてしまう。
『消えた...⁉︎逃げんなドーパント!』
『逃げたわけじゃない』
突如後ろから声がする。慌てて振り返ろうと来た時にはもう遅く、レイジングパイルが背中に突き刺さる。
『クソこのやろう!』
『KUMA』
チャージメモリ!入らなーい!
データが右腕に集まる。集まったデータは表面に現れていき、クマの腕が形成される。
『このドーパントがァ!』
左手のツインブレイカーと右手のクマの腕で攻撃を繰り返す。一点特化のツインブレイカーと、大ぶりで範囲の広いクマの腕。ロボットドーパントの動きに合わせて使い分ける。
『ドーパント...だと?お前思い出したんじゃなかったのか?』
『なんのことだドーパント!話してる暇なんかねぇぞオラァッ!』
何かドーパントが言っているが無視だ無視。お前はただやられるだけの敵でしかないのだ!
『お前自己矛盾に気づいてないのか!落ち着け!』
『お前に言われる筋合いはねェ!』
クマの腕で思い切り殴り抜く。その衝撃に耐え切ることができず、クマの腕が自壊するが構わずツインブレイカーを叩き込む。
ラビット!スパークリング!マキシマムドライブ!
ツインブレイカーをビームモードに変えてから、二つのメモリをツインブレイクスロットにセットしてブレイニッシュトリガーを叩きつける。
ツインブレイク!
ラビットバブルがレイジングビーマーから射出され破裂し、超高速移動を始める。そしてロボットドーパントの周りを高速で旋回しながらすれ違いざまにパンチを叩き込んでいく。
『ブッ潰れろ!このドーパントがァ!!』
『くっ、止めるしかないか!』
ユニコーン!カブトムシ!マキシマムドライブ!
ツインブレイク!
ラビットバブルで超加速した渾身の蹴りと、ロボットドーパントのレイジングパイルが激突する。
『グッ、ガア゛ァッ!!』
しばらく拮抗するも、ユニコーンメモリとカブトムシメモリの二つのメモリによって貫通力が増していたレイジングパイルがだんだんと押し返していき、俺を弾き飛ばした。その拍子にドラゴンメモリが体内から排出される。
「く...そがァ!」
『落ち着け。メモリに飲まれるぞ』
飛んでいってしまったドラゴンメモリを拾い上げるために、地面を這いずりながら移動する。
『どうしてそこまでして戦おうとする。ドーパントにまでなってやることがそれか』
「うるせぇ!ドーパントじゃねぇつってんだろ!」
『ドーパントだよ。同じアップグレードを使っている俺のことをドーパントと呼ぶんだ。ならお前もドーパントのはずだろう?』
「ちげぇよ...俺は仮面ライダーだ...町を守るヒーローなんだ!」
『力に飲まれたヒーローなんていない。ヒーローだと、仮面ライダーだというのなら別の方法で戦えばいい。ドーパントになる必要はない』
「お前も...そういうのかよ...!」
『お前は作られたヒーローだ。それでも、愛と平和のために戦うのがビルド。お前のような、力に溺れ、力を振るって敵を討つだけの兵器じゃダメなんだよ』
「お前に何がわかる!この...ドーパントが!」
『待て!使うな!』
『DRAGON』
ロボットドーパントの声を無視して、ドラゴンメモリを拾い上げ首に挿す。しかし、クローズチャージに変身することは叶わなかった。
「グア゛ア゛ア゛ア゛ッッッッ!!」
『機械が外れて...クソッ!間に合わなかった!」
ドラゴンが今、覚醒する。
「中に入って追うべきか...いやでもWではサイエンスドーパントに対して効果が薄い、戦兎の言う通り足手まといになるだけか...?」
フィリップは一人で考え込んでいた。中から時々破壊音のような音が聞こえていた。戦いに行きたいが、足手まといになるかもしれないという懸念と、そもそも今ファングメモリが手元にないので変身できないため躊躇いが生じていた。
「いったいどうすれば...」
「あー...フィリップだっけ?急いで助けに行ったほうがいい」
後ろから突然声がしたので振り返る。
「お前は...石動惣一。なんの用だい?」
「おっと、あんまり睨み付けないでくれよ。今は戦いをしたいわけじゃない。忠告と助言をしに来たんだ」
「…というと?」
「中で戦兎が暴走している」
そう言いながら、石動惣一はトランスメモリーガンをフィリップに向かって撃ち込む。
「何をする!」
放たれた弾丸はファングメモリが弾いてくれたが、戦わないとはなんだったのだろうか。
「早くWに変身して助けてやれ。じゃあな、チャオ」
それだけ言って石動惣一は去って行った。
「まさかファングを呼ぶために...早く行かないと!」
翔太郎に電話をかける。
『フィリップか。今帰ったところなんだが誰もいなかったから連絡しようと思ってたところだったんだ』
「そんなことはどうでもいい!早く変身だ!」
『そっちで何が起きている』
「いいから早く!」
『…ああ』
腰にダブルドライバーが現れる。
『FANG』
「変身!」
ファング!ジョーカー!
「行くよ翔太郎。地下で戦兎が暴走しているらしい」
『なんだって⁉︎なら早く行かねぇと!』
廃ビルの中に入り、地下への入り口のところに行く。無理やりぶち抜かれたような入り口から地下に入っていく。地下に潜っていくと、少しずつ戦いの音が大きくなってきていた。
「これは⁉︎」
戦っていたのは二体のドーパント。一体はロボットドーパント。おそらく佐藤太郎の変身したものだろう。もう一体はクローズチャージ...ではなく、前に戦兎が戦ったというドラゴンドーパントだった。
『いったい何が起きて...?』
「翔太郎!あれを見て!」
Wの右手が指差した方を見ると、そこには本来ドラゴンメモリに装着されているはずの機械が落ちていた。
『ラビットの時と同じか!メモリに飲まれてる!』
ドラゴンドーパントはロボットドーパントにものすごい連撃を放っていた。蒼い炎で身を包み、パンチやキック、腕の白い刃で斬り裂いていく。その動きはとても野生的だ。完全にメモリの力に飲まれていると見ていいだろう。
『Wか!こいつを止めるのを手伝ってくれ!頼む!』
ドラゴンドーパントと戦っていたロボットドーパントが助けを求めてくる。
「これは君がやったんじゃないのか!」
『違う!あいつがアップグレードできていないのに気づかずにメモリを挿したからだ!今の俺はWと戦うつもりはない!休戦だ!頼むから止めるのを手伝ってくれ!』
『…元からそのつもりだ!』
アームファング!
タクティカルホーンを一回押してアームファングを出現させる。そしてロボットドーパントに攻撃を仕掛けるドラゴンドーパントの背中を斬る。
『俺たちが注意を引く!その間にお前が決めろ!』
『…ああ!』
ドラゴンドーパントはWのことも敵だとみなしたようだ。蒼い炎を纏った拳が何度も飛んでくる。その動きは、まるで本物の格闘家のようだった。
『W!ヒートとトリガーのメモリをこっちに!』
ロボットドーパントがビームモードのツインブレイカーをドラゴンドーパントに撃ちながらそう叫ぶ。
『何のために!』
「今は指示に従おう!」
Wはヒートメモリとトリガーメモリを取り出すと、ロボットドーパントに向かって投げ飛ばす。
『よし、これなら...!』
ヒート!トリガー!マキシマムドライブ!
ツインブレイク!
ヒートトリガー、Wの中でも最高の攻撃力を誇るメモリの組み合わせによるマキシマムが発動する。レイジングビーマーから超高温の火炎放射がなされ、ドラゴンドーパントに直撃する。ドラゴンドーパントの纏っていた蒼い炎を巻き込み、その炎すら焼き尽くしていく。
『これで倒せた筈だ』
炎が消える。そこには、無傷で倒れている戦兎と、ドラゴンメモリだけが残されていた。
「よかった...」
「何も...よくねぇよ」
戦兎がドラゴンメモリを拾い上げながら立ち上がる。
「ドーパントは...全て倒す!」
突然走り出し、戦兎は落ちていた機械を拾い上げてドラゴンメモリに挿す。
『DRAGON UPGRADE!』
「変し『落ち着けって!』ぐっ、離せ!」
ドラゴンメモリを首に挿そうとする戦兎を羽交締めにして止める。
「お前らが...俺からドライバーを奪ったからこんなことに!」
『あれは俺の意志じゃない。確かに一つ頼み事はしたが、ドライバーを奪ったのは奴の意志だ』
「信じられるか!」
『戦兎落ち着けって!』
『そもそも君がクローズチャージになること自体こっちとしては予想外なんだ。実験を止めるつもりはないが、ドライバーを君に返すように後で石動に言っておく』
「ドライバーを...?」
途端に暴れるのをやめる戦兎。
「やっと仮面ライダーに...」
『ドライバーを返す?そんなことするわけないだろ?』
「…ブラッドスターク!!」
ブラッドスタークが黒いドーパントを一体引き連れながらこちらに歩いてくる。
『お前ドーパントは使わないと!』
『必要がないとは言ったけど使わないとは言ってねぇだろ?』
『お前!』
「フィリップ!翔太郎!離せ!奴を倒す!」
『落ち着けって戦兎!消耗しすぎだ!今戦っても勝てっこない!』
「ドラゴンが有れば消耗なんて!」
『それを使うのはやめておけ。それ以上やるとクローズチャージでも飲まれかねん。ドライバーならWに取り返してもらうといい』
「何をするつもりだい?佐藤太郎」
『ここは俺が戦う。お前たちは逃げろ』
「なに言ってんだ!ドーパントは俺が!」
『ちょっと黙ってろ!』
「んぐっ!」
軽く首元を小突いて意識を無理やり落とす。
『任せていいんだな』
「ああ、仲間の不始末は俺が取る」
佐藤太郎はロボットメモリを抜き、腰にビルドドライバーをつける。
『HAZARD』
ハザードオン!
『WOLF』『SUMAHO』
ウルフ!スマホ!スーパーベストマッチ!
ドンテンカーン!ドーンテンカン!ドンテンカーン!ドーンテンカン!
ドライバーを展開する。
ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!
「変身」
アンコントロールスイッチ! ブラックハザード!ヤベーイ!
「石動、必要なのは戦兎の戦闘データとビルドの戦闘データだ。これなら文句ないだろ」
『…なるほどねぇ、いいぜ。お前がデータを取るんだったらこの場はそうしよう。行け』
真っ黒に染まったマイクドーパントとハザードビルドの戦闘が始まる。その横を通って、俺たちは離脱した。
「おい戦兎、クローズチャージの副作用についてちゃんとハッキリ教えろ」
「…」
「言わないとメモリ没収だからな」
「わかったよ。言えばいいんだろ言えば」
翔太郎たちに話さなければならなくなってしまった。できれば話したくなかったのに。
「クローズチャージはメモリの力を何倍にも増幅させることで変身することができている。制御できるってのは本当なんだが...増幅させる段階で、本来サイエンスメモリにはない毒素が発生してしまうんだ。その毒素はアドレナリンを過剰分泌させて変身者の闘争本能を上昇させる。そのせいで体に大きな負担がかかり、攻撃性が増してしまうんだ」
「なるほど...そのせいであそこまでドーパントを倒すことにこだわっていたのか」
「戦兎、しばらく君が戦うのは禁止だ。ドライバーは僕たちがなんとか取り替えす。それまでメモリは預からせてもらうよ」
「そんな⁉︎」
「体にそこまでの負担がかかるのなら、君に戦わせることはできない。仮面ライダーなら、そんな力に頼ってはいけない。ただの戦闘兵器じゃだめなんだよ」
ドラゴンメモリを没収されてしまった。俺から戦う力が奪われてしまった。
ここからどうすればいいのかわからなくなってしまった。
マックスハザードオン!
オーバーフロー!......ヤベーイ!
ハザードのギジメモリが空いたマキシマムスロットに挿さり、オーバーフローモードに移行する。ハザードビルドは二つのマキシマムスロットを叩く。
ハザード!マキシマムドライブ!
ハザードフィニッシュ!
マイクドーパントの頭を掴み、思い切り蹴りを叩き込む。それを喰らったマイクドーパントは崩れ落ちていき、マイクメモリだけが残った。
「…これでいいだろ」
「オーケーオーケー。十分だ」
「…北都の分のメモリを全て渡せ。ロボット以外全て奴に送る」
「何のために?」
「犠牲者をこれ以上増やさないためだよわかってんのかお前」
「ま、いいけどよ。ほれっ!」
メモリの入った鞄が投げ渡される。
「…随分すんなりと渡すんだな」
「もうそろそろドライバーを返そうと思ってた頃だからな。次の戦闘で返す」
「来るとしたらWだぞ?」
「来るさ。奴ならな」
石動惣一が歩き去っていく。
「……ごめんな、こんなのに巻き込ませてしまって」
マイクドーパントの消えたところで、俺は手を合わせた。
Kanarazu driver wo torikaesu.
Sorenishitemo naze satou tarou wa bousou shinainodarou.
戦兎君変身道具全部取られちゃった。
どうするんだろーなー(棒)