仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合   作:ダイヤモンドリリー

27 / 48
10067字。

原作27、28話です。


Dが見ていた/力とはなんだ

『DENDEN』

 

「わぁ、可愛い!ねえ、名前なんて言うの?」

 

「デンデンセンサーさ」

 

フィリップはみんなに新しくできたメモリガジェットを見せていた。ちなみに今回は何も改造していない。最初から最後までフィリップが作ったものだ。

 

「何が出来るんだ?このカタツムリ」

 

「見張りや敵の探索だ。あらゆる光の波長、変動をキャッチできるから、もし誰かが通りかかると、こう...反応する」

 

「あれ?」

 

「おかしいな?誤作動か?」

 

「誰もいねえじゃん」

 

そう言って翔太郎が立ち上がると、誰も居ないはずなのに何者かと衝突する。

 

「きゃっ...ごめんなさい」

 

「あ、昨日の美人マジシャン!」

 

昨日の...なにそれ俺知らないんだけど。俺を置いてどこ行ってやがったんだみんな。

 

「ニタニタしとらんで、さっさと起きんかい!」

 

翔太郎は亜樹子にスリッパで引っぱたかれて起き上がる。

 

「何か、いいっすね。こう、ハハハ...いやぁ、ビックリした。流石マジシャン」

 

突然現れた依頼人?の前でも素のまんまだ。もう少しちゃんとハードボイルドを演じろ。

 

「今のマジック、どうやったんだい?」

 

「違うんです、あのマジックじゃなくて...」

 

「おぉ...」

 

おもむろに上着を脱ぎだす美人マジシャンに、翔太郎が反応する。意外に初心なのかこいつ。

 

「その、私...本当に消えるんです」

 

そう言ってリリィが指差したのは...二の腕の生体コネクタ。

 

「ドーパント⁉︎」

 

「はい」

 

まさかドーパント本人が依頼してくるなんてな...いや、ティーレックスの時もそうだったか。

 

「私、どうしても脱出マジックが上手くできなくて...そんな時、透明になれるメモリを手に入れて、これだ!って思ったんです。でも、消えたり出たりが自分の意思でできなくて。メモリも抜けなくなっちゃったんです...」

 

依頼人のリリィ白銀が言うには、能力の制御ができないばかりか抜き差しすらも自由にできなくなってしまったようだ。

 

「メモリが体から出ない?」

 

「それで、この事務所の噂を聞いて」

 

「はぁ...すっかりうちもガイアメモリ駆け込み寺ね」

 

依頼人が来てくれるのは収益的にありがたいが、できればガイアメモリの関わっていない、なるべく物騒じゃない依頼が来て欲しいものだ。

 

「あ、消えた⁉︎」

 

そんなことを考えていると、いつのまにかリリィが消えてしまっていた。フィリップが、デンデンセンサーを起動して暗視スコープのように使うと、確かにリリィはそこにいるのを確認する。本当に消えているようだ。

 

「おかしいな...本来は挿した瞬間に超人形態に変身するはずだ。姿を消す能力を発揮するのは、その後だよ」

 

ドーパントの姿にならずに力を使えている。今までにない現象だ。

 

「じゃあ、リリィさんの姿のまま出たり消えたりしているって事は...」

 

「このメモリは異常だ」

 

「えぇ⁉︎」

 

「バグが発生しているのかも...」

 

「そんな⁉︎お願いします、私を元に戻して下さい!早く...早く元に戻らないと...」

 

焦った様子のリリィ。何か事情があるようだ。

 

「メモリの製造過程を突き止めないと。やっぱり、黒服を着た組織の売人から買ったのかい?」

 

「いいえ?貰ったんです。う~ん...物腰の柔らかい感じの人でした。悩んでる私のところに現れて...」

 

「売人じゃないのか。謎の紳士...」

 

「その男を探し出すしか手は無さそうだな。ま、安心しな。俺は困ってる街の人間を見捨てたりはしない」

 

ハードボイルドぶって指を挿しながら言う翔太郎。

 

「ありがとうございます!」

 

「…そっちか!」

 

翔太郎の指差した方と真逆の方から声がする。締まらないなぁ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの男か?」

 

頷くリリィ。あの後、謎の紳士を追っていた俺たちはとあるレストランによく現れることが多いことを突き止め、途中であった照井とそのレストランに来ていた。リリィがドーパントだと知った照井と軽く一悶着あったが...そんなことはどうでもいい。無事に目当ての紳士を見つけることができた。

 

「警察だ、ガイアメモリ流通の件で聞きたいことがある。立て!」

 

「ちょっ、照井もう少し落ち着けって」

 

「照井?...そうか、照井雄治の息子ですね、君は」

 

「…何故、父の名前を知っている?」

 

「会いましたから、去年の8月」

 

『WEATHER』

 

「Wのメモリ...まさか⁉︎」

 

紳士は己の犯行を喋ったばかりか、あろう事かその場で銀色のメモリを耳に挿してウェザードーパントに変身する。亜樹子は、とっさの機転でその様子をバットショットで撮影していた。なんともたくましい。

 

ウェザードーパントは圧倒的なエネルギーで近くにいた照井を吹き飛ばす。

 

「照井!」

 

さらに強力な冷気を噴出しながらレストランの外へ逃げていく。

 

『JOKER』

 

「変身」

 

サイクロン!ジョーカー!

 

翔太郎はすぐに変身し、冷気から亜樹子とリリィを守る。

 

「待ちやがれ!」

 

ウェザードーパントを追いかけて外に出て攻撃するも、相手はかなりの強敵のようだ。まるで歯が立たない。

 

『HEAT』『METAL』

 

ヒート!メタル!

 

冷気には炎と、ヒートメタルにチェンジするも、結果は同じ。

 

「やってくれるじゃねえか!」

 

メタル!マキシマムドライブ!

 

「メタルブランディング!」

『メタルブランディング!』

 

マキシマムを発動して強力な火炎を浴びせようとするも、それ以上に強力な冷気でもって打ち消されてしまう。それどころか、反撃を喰らいダメージを受けてしまう。

 

「こいつ...マキシマムが効かねえ⁉︎こうなりゃ、もう1本マキシマムだ!」

 

ヒートメモリの方にも手をかけようとすると、右腕がひとりでに動き阻止する。

 

『無茶は止せ、翔太郎!ツインマキシマムは危険だ!』

 

「じゃあどうするんだよ!あ?」

 

ジェット!

 

アクセルが加勢する。

 

エンジン!マキシマムドライブ!

 

アクセルは初っ端からマキシマムを発動する。

 

「振り切るぜ!」

 

「やめて!」

 

しかし、その間に割って入るリリィ。

 

「ふざけるな、どけ!」

 

「お願いです、私のメモリがおかしくなっちゃったんです!ちゃんと使えるように直して下さい!」

 

「は?何言ってるの⁉︎元に戻りたいんじゃなかったの⁉︎」

 

「使えなきゃ困るんです!」

 

『分かりました、体を見せてもらいます』

 

ウェザードーパントは雷を操り、目くらましをして逃走。

 

「しまった!」

 

残された竜は路面を破壊する。

 

俺は、暴走する恐怖から戦うことが一切出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクセルはウェザードーパントと一人で戦っていた。

 

「フィリップ!戦兎!」

 

『ああ、照井竜と共闘だ!』

 

「…わかった」

 

『JOKER』 『DRAGON UPGRADE!』

 

「変身」 「変身!」

 

サイクロン!ジョーカー!

 

それぞれWとクローズチャージに変身し、加勢しようとする。

 

「邪魔だ、どけ!」

 

「何しやがる⁉︎」

 

『んぐっ⁉︎』

 

あろう事か、アクセルは俺たちにも攻撃してくる。

 

「手出しをするな!こいつは俺が倒すんだ!」

 

『力を合わせなければ、敵う相手じゃない!』

 

「後ろ!」

 

亜樹子の声がする。いつのまにかウェザードーパントが後ろに立っていて背後からWとアクセルを捕まえる。そして高熱攻撃を浴びせたかと思えば、今度は冷気を放つ。

 

『ENGINE』 『HEAT』

 

ジェット! ヒート!ジョーカー!

 

「野郎、メモリチェンジが追いつかねえ!」

 

Wとアクセルは能力の属性を変更して相殺するも、今度は雷を放ってくる。

 

『TRIGGER』

 

ヒート!トリガー! エレクトリック!

 

『これほど多くの能力を、同時に発揮できるとは...』

 

およそ何の予備動作もなく発せられる属性攻撃に、2人は防戦一方。さらに今度は竜巻をぶつけられ、為す術も無く吹っ飛んでしまう。

 

『なんであいつ俺に攻撃してこないんだ...』

 

俺はウェザードーパントに攻撃するも、ひらりと避けられてしまう。しかし、反撃はしてこない。

 

『人とメモリは引かれ合う...1つの能力では満足できない私は、多彩なパワーのウェザーに出会いました。だが、まだ足りない!研究の末、私は様々なメモリの能力を吸収して進化していく事が出来るようにもなりました。もうすぐ、透明にもなれるようになる...』

 

『まさか、リリィ白銀は⁉︎』

 

『そう、実験動物です。あのインビジブルメモリは、体内でロックされるように私が調整しておいたのです』

 

抜けないと言うのはメモリの故障でもなんでもなく、この男が仕組んだ機能だったようだ。

 

『彼女は、このまま命の全てを消費して死ぬ。そして、私が使える仕様となったメモリが残る。私は、それが欲しいだけなんです』

 

「ふざけるな!そんな真似、絶対させねえ!」

 

『無理ですよ。メモリブレイクしても死にますし』

 

『死...⁉︎』

 

死ぬ...死...

 

体が硬直してしまう。

 

「無茶だよ、竜君!」

 

アクセルはやけになったか、バイクに変形して突撃する。けれど、やはり通用せず、反撃をもらってしまいとうとう変身解除してしまう。

 

『きれいなガイアメモリですね。こんな純正化されたメモリやドライバーを使っているような者が、私に勝てるはずが無い。家族と同じ死に方をプレゼントしましょう』

 

「奴が目の前にいるのに...!」

 

己の無力さを噛みしめ、叫びながら遂に涙を零す照井。

 

「照井...」

 

トリガー!マキシマムドライブ!

 

照井を見た翔太郎は覚悟を決めてマキシマムを発動する。

 

『無駄な事です。この攻撃は防げない!』

 

『HEAT』

 

『何をするんだ⁉︎やめろ、翔太郎!ツインマキシマムは不可能だ!そんな事をしたら君の体は...翔太郎!』

 

「もう...手はこれしか無えんだよ!」

 

『やめろ!やめてくれ!!』

 

ヒート!マキシマムドライブ!マキシマムドライブ!マキシマムドライブ!

 

壊れたかのように続く電子音声と共に、Wのボディが火を噴き出す。トリガーマグナムからは猛烈な火炎が放出され、それはウェザーに直撃する...Wもツインマキシマムの負荷によりそのまま変身解除。翔太郎はもうボロボロで、そのまま倒れてしまう。

 

「Wが⁉︎翔太郎君!」

 

『翔太郎!』

 

相打ち...かと思えばウェザーの方はまったくの無傷。

 

「倒せてないじゃん...あたし聞いてない!」

 

『無駄だと言ったでしょう。純正化されたメモリでは私には勝てません』

 

「くっ...!」

 

『それと比べると、君のメモリはとても面白い。ミュージアムとは違い、純正なメモリにも関わらず毒素を出し、ドーパントとなって戦う。君にドライバーは似合わない。どうですか?私についてきたら、もっと強い力を与えましょう』

 

『…いらねぇよ...力なんか...』

 

『そうですか。なんともったいない...』

 

まさに絶体絶命。翔太郎は倒れ、照井は動けない。戦えるのは俺だけだが、俺にはミュージアムのドーパントは倒せない。といったところで、見覚えのあるドロドロが川底から出現する。

 

「この感じ...あの敵の根源⁉︎」

 

「はっはっはっはっ!」

 

高笑いとともにテラードーパントが現れる。

 

『何の御用でしょう?』

 

『見て分からんかね?お茶の誘いだよ、井坂君』

 

怖い怖いこわいこわい怖い怖いこわい怖いこわい怖い怖い!!

 

『それは光栄です。お供しましょう』

 

ドロドロの中に姿を消すウェザードーパント。

 

「何でこんな無茶したのよ⁉︎」

 

倒れた翔太郎に駆け寄る亜樹子。

 

「照井の泣き顔見たら、体が勝手に動いちまってさ...こいつも今じゃ、俺たちの仲間だしよ」

 

「自業自得だ。手出しをするなと言ったのに、余計な真似を」

 

「後は頼んだぜ...照井、戦兎。リリィの事、助けてやんなきゃな。俺たちは...この街の...仮面ライダーなんだからさ」

 

翔太郎はボロボロになった帽子をかぶると同時に意識を失う。

 

「翔太郎君!」

 

「ドーパント女の心配まで...バカが!」

 

怖いこわいこわい怖い!!

 

俺は、あのドロドロを見てから、震えが止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレージに戻ると、フィリップは照井とつかみ合いの喧嘩になる。

 

「ちょっと!そんな事より翔太郎君の手当てが先でしょ⁉︎」

 

「ガイアメモリのダメージは、普通の医学では治療できない!...本人の回復力を信じるしかない」

 

「そうなの?...って言うか、何喧嘩してんのよ!」

 

「さっき検索を完了した。井坂が仕掛けたメモリの罠から、リリィ白銀を救う方法が1つだけある。それを実行できるのはアクセルだけだ。だが、彼はそれを断った!」

 

もしリリィがドーパントの姿になっていたのなら、俺のマキシマムでメモリを取り出すことができただろう。メモリブレイクしたら死んでしまうのなら、メモリブレイクできない俺のマキシマムなら、安全にメモリを取り出すことができる。

 

しかし、ドーパント化していない以上、その方法は取れない。生身にマキシマムを当てるわけにはいかない。

 

「そんな事より、井坂の居場所を検索しろ」

 

「誰のせいで翔太郎が倒れたと思っている⁉︎この街でミュージアムに立ち向かえる仮面ライダーは、今君1人なんだぞ!」

 

「俺の復讐が先だ...!」

 

「なあ、君にとって仮面ライダーとは何なんだ⁉︎」

 

照井はフィリップを殴る。

 

「俺に、質問をするな」

 

照井は去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレージには寝ている翔太郎と、俺だけが残った。

 

「力...力さえあれば、俺は誰も死なせずに済んだのかな...」

 

俺はウェザードーパントを突き放した。でも、それが正しかったのかどうか、全くわからなかった。

 

「力は...あればあるだけいいってわけじゃねぇ」

 

「翔太郎⁉︎目を...!」

 

目を覚ました翔太郎がポツポツと話す。

 

「仮面ライダーは誰かを守るものだ...だから、力は誰かを守れるだけあればいい」

 

「翔太郎...」

 

「もう答えは出てるはずだ。戦兎、力を恐れてる暇はねぇ。暴走だなんて気にしなくていい。ハザードドーパントだってお前のせいじゃない。倒すべき敵を見誤るんじゃねぇぞ」

 

「俺のせいじゃない...?でも!俺を強くするために石動はハザードドーパントを作り出した!俺がいなければ!犠牲者は出なかった!」

 

「それは違うな...お前がいなければ、今までお前が救ってきた人たちはどうなる?お前はずっと愛と平和のために戦ってきた。その事実だけは変わらない」

 

「……」

 

「科学は使い方次第で兵器にも、平和にも使える。お前は、どっちだ?」

 

翔太郎はそれだけ言って、眠りについてしまった。

 

「俺は...」

 

怖がっている場合じゃない。

 

「悪かった。行ってくるよ」

 

俺はマシンビルダーを起動して、フィリップたちのいるところへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「位置情報からするとここら辺のはずなんだが...」

 

フィリップに連絡を取った俺は、マシンビルダーを走らせて現場へと向かっていた。

 

『ENGINE』

 

エレクトリック!

 

「この音...何をして⁉︎」

 

マシンビルダーを降りて急いで走る。見えてきたのは、エンジンブレードを構えるアクセル。

 

「何をするんだ⁉︎」

 

「死んでもらう!」

 

「止めろ!」

 

何をするかと思えば、アクセルは躊躇なくリリィを斬りつける。リリィの体からインビジブルメモリが抜け落ち、実体化する。

 

「し、死んだ...」

 

そこで、アクセルはエンジンブレードの峰をリリィの胸部に近づけ、軽く放電する。すると、リリィは息を吹き返す。

 

「生き...帰った...⁉︎」

 

「ああ...リリィ!」

 

「私...生きてる?」

 

『何をしたのです!?死なない限り排出されないメモリが...⁉︎』

 

どこからか現れたウェザードーパントが困惑したように言う。

 

「彼女は一度死んでいる。逆転の発想さ、殺さずにメモリを抜く方法がないなら、死ぬのを前提に考えればいい。一度心臓を止め、メモリに『彼女が死んだ』と認識させ、体外に排出させた」

 

『まさか...!』

 

「そして電気ショックで再度、心臓を動かす」

 

「ちょっとした大魔術だろう?井坂...!」

 

目の前でインビジブルメモリを握りつぶしてみせるアクセル。

 

『持ち主を殺すほどの力を宿したメモリ、それを我が身に挿す実験が私の楽しみだったのに...許せん!』

 

激昂するウェザードーパントと、それに立ち向かうアクセル。戦う二人はそのままどこかへと行ってしまった。

 

「まさかあんな方法を取るだなんて...」

 

「君も乗り越えたみたいだね。亜樹子がタダ券を手に入れたって騒いでいたのに一切耳に入らないほど落ち込んでいたんだから。さぁ、行くよ」

 

「…ああ!」

 

ウェザードーパントは1人で倒せるほどやわな敵じゃない。俺たちはアクセルたちを追う。

 

『最早、凍らせて砕くなど生ぬるい!塵となれ!』

 

「まずい!行けクローズドラゴン!」

 

ウェザードーパントは電撃鞭でアクセルを追い詰める。それをファングメモリとクローズドラゴンが守る。

 

『FANG』 『RABBIT』『TANK』

 

ラビット!タンク!ベストマッチ!

 

「行くよ、相棒!戦兎!」

 

『ああ...フィリップ!』

 

「俺はもう迷わない...行くぞ!」

 

「変身!」

 

ファング!ジョーカー! 

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!

 

「左!目が覚めたのか!」

 

『そういう事だ、照井』

 

「僕も驚いたよ。大丈夫なんだろうね?翔太郎」

 

「心配するならとっとと終わらせようぜ」

 

『そうだ。俺の身を案じるなら、とっとと片付けて休ませろ!』

 

「ハハッ、了解した!」

 

アームファング!

 

トリプルライダーによる連携攻撃。それぞれの持つ力と隙を理解し合っているおかげで、お互いを補い合いながらウェザードーパントを追い詰める。

 

しかし、ここでウェザーが雷と巨大竜巻を組み合わせた大技を放つ。

 

『おっと、またヤバそうなのが来るぜ』

 

「アクセル、ビルド、マキシマムで行こう。行けるよね?」

 

アクセルは無言でエンジンを吹かし、俺は二つのメモリをマキシマムスロットに入れ、これに応える。

 

アクセル!マキシマムドライブ!

 

ラビット!タンク!マキシマムドライブ!

 

「そう来なくっちゃ!」

 

ファング!マキシマムドライブ!

 

『いいか、タイミング合わせて、ライダー・ツイン...いや、トリプルマキシマムだ!』

 

「俺もか⁉︎」

 

「お前もだアクセル。行くぞ!」

 

「今こそ呪われた過去を...振り切るぜ!」

 

ボルテックフィニッシュ!

 

「ライダー・トリプルマキシマム!」

 

タイミングを合わせたトリプルキックにより竜巻が三つに割れる。そしてウェザードーパントめがけて跳ね返す!三つの竜巻が直撃し、しばらくして竜巻が霧散する。

 

「やった...のか?」

 

「井坂もウェザーメモリも見つからない...逃げたか?」

 

「だが、リリィ白銀は救えたよ。君のお陰だよ、照井竜。あの危険なメモリ摘出方法を、躊躇なく、しかも正確に行うとは...凄い男だよ、君は」

 

『んだよ、寝てる間に...また、妙に仲良くなりやがって』

 

逃してしまったが、とりあえず事件解決といったところか。全員メモリを抜き変身解除する。

 

ハザードオン!

 

変身解除直後、ハザードメモリがマキシマムスロットに挿さる。

 

「…今更遅いっての。戦いは終わったんだ」

 

「終わってない。実験の始まりだ」

 

佐藤太郎がこちらに向かって歩いてくる。

 

「それにしてもさっきの男はなんだったんだ...?ぶつかってきやがって...まぁそんなことはどうでもいいか。行くぞ」

 

『CROCODILE UPGRADE!』

 

「アップグレードだと⁉︎」

 

「もともと2個作ってたからな。変身!」

 

佐藤太郎はクロコダイルドーパントに変身する。

 

「…ローグ!」

 

『実験だ実験。変身しろ戦兎』

 

「言われなくてもやってやるよ!」

 

『RABBIT』『TANK』

 

ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!

 

「二人は帰ってな!こいつは俺一人でやる!変身!」

 

アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!

 

「オラァッ!」

 

変身すると同時に駆け出し、思い切り殴り抜く。

 

『…効かねぇな』

 

「なに⁉︎」

 

何度も蹴る殴るを繰り返すも、全く効いている手応えがない。

 

「硬すぎる...!」

 

『そんなもんか。ハザードもまだ大したことねぇな。それじゃあこっちから行くぜ!』

 

機敏な動きで攻撃してくるクロコダイルドーパント。ハザードで強化されたラビットの速さでもギリギリ避けきれず、タンクの硬さでも受けきれない。

 

「この速さ...あの硬い装甲でこんな動きできるはずがない!」

 

『硬い?こんなの硬くもなんともねぇじゃねぇか。馬鹿なこと言うなお前』

 

自分の体を押し込むクロコダイルドーパント。まるで中身が液体かのように、装甲が凹む。

 

「液体...まさかダイラタンシー⁉︎」

 

ダイラタンシー現象を利用しているのなら、この身軽さと装甲の硬さは両立する。そして、それは物理攻撃はほとんど意味がないことを意味していた。

 

「くそっ、だったら...オーバーフローさせるしかない!」

 

ハザードメモリの入ったマキシマムスロットを何度も叩きつける。その度にメモリの力が増幅され、左右のバランスが崩れていく。

 

「オーバーフローならお前の装甲を無効化できる!」

 

暴走を恐れるな。こいつを倒すことだけに集中しろ。後のことは仲間がなんとかしてくれる。

 

『チッ!させない!』

 

少しずつラビットメモリに侵食されていく俺を見て、焦ったように走り出す。そして俺の目の前で飛ぶと、俺に噛み付くように両脚で挟み蹴りを繰り出し、そのまま回転して吹き飛ばす。 さながらワニがするデスロールのようだった。

 

「ガァッッ!」

 

メモリが弾かれ、変身が解除される。

 

「やっぱり直接ハザードメモリを使っていないから効力が弱いのか...俺を倒したいなら石動からハザードメモリを奪うんだな」

 

佐藤太郎はそう言いながら変身解除する。

 

「これでも...喰らってろ!」

 

『MIKE』

 

マイクメモリを起動し、フロッグポッドに挿す。

 

「マイク...まさか⁉︎」

 

ボタンを押して放り投げると、指向性を持ち、今までよりも爆音と化した形容したがき音が佐藤太郎に向かって発射される。

 

「      」

 

あまりの爆音に気絶する佐藤太郎。反響音で俺も耳がやられる。

 

ああ、二人を返さなければよかったな。

 

そう思いながら俺も全身の痛みで意識が飛んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたとき、すでに佐藤太郎は姿を消していた。自分の方が先に起きていたら。そう思うと少し悔しい。

 

「事件は終わり、リリィ白銀は救われた。まだあの危険な男は見つかっていないが、照井の中で何かが一歩進んだ気がする」

 

いつも通りタイプライターを打つ翔太郎。ちなみに照井はメモリを使用したリリィを被害者として、逮捕しないまま開放したらしい。

 

「それが、俺たちの一番の収穫だ」

 

「こら!ベッドでタイプなんて打つな!」

 

亜樹子にタイプライターを取り上げられてしまう。

 

「おい!返せよお前!何すんだよ!おい、勝手に打つなよ!壊すなって!」

 

「こんにちは!」

 

リリィが事務所に入ってくきて辺りを見渡す。誰を探しに来たのだろう。目当てはナチュラルに馴染んでいる照井だろうか。

 

「あ、いた!お礼に来ました!」

 

敬礼をするリリィ。

 

「おお、リリィ。俺なら大丈夫だぜ。何しろ、鋼の名探偵...ハードボイルド左翔太郎だからな。ハハハ、リリィ...」

 

リリィは軽く翔太郎をスルーして照井のもとへ。

 

「…そっちか!」

 

「あなたは命の恩人です」

 

そう言って照井の頬にキスをする。その光景に驚く一同。メモリガジェットたちも囃し立てている。

 

「素敵な刑事さん、私のハートが逮捕されちゃいました。テヘッ!」

 

「軽い...やはり、軽すぎる!」

 

「興味深い...今のは、どういう行為なんだ?」

 

「俺に...俺に質問するなー!」

 

なんだこいつ。照井がものすごい面白キャラになった瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなんだあのガジェット...まだ耳がキーンとする...」

 

「おうおう、どうしたんだい?」

 

「イタチの最後っ屁で変なガジェットに耳をやられた」

 

「そりゃ大変だったな」

 

「まったくだ。酷い目にあったよ」

 

「そうは言ってもよお前、最後っ屁ってことは勝ったってことだよな?」

 

「そうだ。オーバーフローさえされなければあの装甲は破れないしな。暴走する前にボコしたよ」

 

「おお、さすがローグ。俺もあいつには手痛い一撃貰ったしな」

 

「そうだそうだ。俺を倒したいならお前からハザードメモリ奪えって言っちゃったからお前頑張れよ」

 

「は?何言っちゃってんのお前。俺にやられろつってんのか?」

 

「必要なことなんだからいいだろ。計画に含まれてることだ。諦めて認めろ」

 

「はぁ...めんどくせぇなぁ。お前がやりゃあいいのに」

 

「それでもいいけどさ。お前のタンクラビットと戦ってもらいたいんだ」

 

「タンクラビットと?あー...なるほど。完璧に理解した。じゃあ片方はもらってもいいんだな?」

 

「別にいいぞ」

 

「よっしゃ!言質とったからな。ちゃんと覚えとけよ!」

 

そう言って石動は去っていく。

 

「…やつを乗せるのは大変だな...」

 

佐藤太郎は自らが持つメモリの数を確認する。

 

「……足りない?おかしいな。どこかに落としたのか?」

 

一つ、メモリがなくなっていた。

 

「違うな。落としたわけがない。ならどうして...」

 

今日何があったのか思い返す。

 

「まさか...あの野郎スリやがったな!絶対取り返す!」

 

ぶつかってきたあの男。必ず見つけ出し、取り返さなければならなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sento ga ROGUE to yonda aratana "DO-PANTO".

 

Taosu niwa hazard no chikara ga hissu da.




やっぱり鬱っぽいこと書けなかったわ。
一話にして戦兎くん復帰。

井坂がサイエンスメモリを手に入れたので、原作よりも強敵になると思います。

あと、定期試験があるのでしばらく投稿が止まります。
次の投稿は23日です。
しばらく時間が空きますが気長にお待ちください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。