仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
原作29、30話です。
お久しぶりです。
投稿再開だ。
俺たちは風都大学のグラウンドに来ていた。なぜか枕を持って。
「翔太郎、君の枕を持ってきたよ」
「おう、サンキュー」
「ちょっと、何する気?」
「Wに変身して意識を転送した状態で眠れば、僕も翔太郎の夢の中に入れるかもしれない」
なぜこんなことをするのか。それは夢の中に入るナイトメアドーパントを倒すためだ。だからといって、こんな野外で寝なくてもいいと思うんだが...
『CYCLONE』『JOKER』
「変身」
「変身」
サイクロン!ジョーカー!
「じゃあ、ちょっくら行ってくるわ夢の世界に!」
『おやすみ、亜樹ちゃん』
Wへと変身した二人は眠りにつく。なかなかにシュールな場面だ。
「…暇だな。これ俺いる?帰ってもいい?」
「だめ。何かあったら起こさないといけないんだから」
「いやそれ亜樹子だけでできるじゃん」
「ドーパントが直接来たら困るでしょ」
「ミュージアムのドーパント来たら俺何もできないんだけど...」
もし事務所近くのドーパント検査機が反応したら、俺はみんなを置いてさっさと行こうと心に決めた。
そう意気込んだものの、何も起こらず時間は過ぎていく。
「遅いなぁ...結構苦戦してるな」
「そうだね...ん?今の悲鳴は...?」
大学の方から悲鳴が聞こえてくる。
「…一応様子見に行ってこようかな」
『ナイトメアを訪ねて来たのに、面白いものを見つけたぞ?』
「あなたは...!」
この場から離れようとしたその瞬間、ドーパントがこちらに向かって歩いてくる。
『こんな場所で仮面ライダーがお昼寝とは、中々シュールな光景ですね』
「最っ悪だ...」
「ウェザー!」
『じっくり体を調べたい所ですが、君達はこの前、私の楽しみを台無しにした』
こちらに向かって雷を放つウェザードーパント。なんとかWに向かって放たれた雷をクローズドラゴンで弾くも、このままじゃ守りきれない。無駄かもしれないが変身するしかないだろう。
「悪いけど今二人は取り込み中なんでね。俺が遊んでやるよ」
『RABBIT』『TANK』
ラビット!タンク!ベストマッチ!
「変身!」
鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!
「お昼寝の邪魔はいけねぇよな?ほらあっち行こうぜ!」
クローズドラゴンの火球攻撃と共に蹴りをかましてなんとか寝ているWから引き剥がす。
『はぁ、ドライバーを使うだなんてもったいない。前のように直接挿した方がよりメモリの力を引き出せるというのに』
「引き出しすぎて乗っ取られんだよこっちはよ!」
ウェザードーパントの多彩な攻撃を避けながらガンモードのドリルクラッシャーを撃ち込む。
『それはもったいない。ほら、こうやって直接挿せばものすごい力を引き出せるというのに』
『BLIZZARD』
「ブリ...ザード⁉︎サイエンスメモリをどうしてお前が⁉︎」
『それを知ったところで私には勝てませんよ』
ブリザードメモリを首に挿すウェザードーパント。その体がどんどん変化し出し、体から溢れ出る冷気によって周囲の気温が急激に下がっていく。
「この力...!」
ウェザーメモリの天候を操る力。そのうちの冷気を操る力とブリザードメモリが適合したようだ。ドーパントは絶対零度の冷気を出して攻撃を仕掛けてくる。
「ぐっ!体が凍って...!」
冷気を喰らってしまい体のあちこちが凍りついていく。
「こうなったら...マグマだ!」
マグマ!マキシマムドライブ!
マグマナックルにマグマメモリをセットし、ドラゴニックイグナイターを起動してマキシマムを発動する。溢れ出る熱により凍っていた体が溶ける。
ボルケニックナックル!
「オラアッ!」
マグマナックルでドーパントを勢いよく殴り抜く。
「…手応えが鈍い!」
『その程度の熱、無意味ですよ』
マグマナックルがドーパントに命中するその直前、溢れ出る冷気でマグマの熱量を完全に無効化しきってしまったのだ。
「くそっ火力が足りない...!」
『DRAGON』
ドラゴンメモリをクローズドラゴンに挿し、超特大の火球を放つ。けれど、その火球すらもドーパントの冷気によって無効化されてしまう。
「やってみるしか...ないのか!」
『DRAGON』『MAGMA』
ドラゴンメモリとマグマメモリを起動し、ビルドドライバーにセットする。
ドラゴン!マグマ!
「クローズマグマ...変身!」
ドライバーを展開する。
「…変身できな、っ⁉︎ガァッッ!!」
身体中に物凄い熱が流れる。一瞬クローズの姿に変身するも、溢れ出る熱によりクローズの体が融解してしまう。
「体...が...」
『自滅ですか。やはりドライバー越しでは力を出せないようですね』
「ちく...しょう!」
ドーパントは首からブリザードメモリを引き抜く。どうやらブリザードメモリを挿している間はあの絶対零度の冷気しか出せないようだ。
ウェザードーパントは寝ているWに近づくと、雷を浴びせる。それによりWの変身が解け、フィリップが覚醒する。
「伊坂深紅郎⁉︎」
起きたら目の前にウェザードーパントが立っているのだ。流石のフィリップも驚く。
『私は楽しみの邪魔をした人間を、絶対許さない主義でしてね』
生身のフィリップたちに雷を流し込むウェザードーパント。それを防ごうとファングメモリが飛び出し、フィリップを守る。
『やるね。なら、これも防げるかな?』
ウェザードーパントは竜巻を放つ。それによってファングメモリが吹き飛ばされて引き離されてしまう。
「ファング!」
『まず自分の心配をしなくちゃあ』
ファングメモリを失ったフィリップは背を向けて逃げ出す。ウェザードーパントはその背中に雷を放つ。直撃を喰らったフィリップは吹っ飛ばされて意識を失ってしまう。
「フィリップ君!フィリップ君?フィリップ君!!」
「フィリップ!くそっ、ウェザー!!」
「フィリップ君、フィリップ君...死んじゃ嫌だよ!」
「何だよあれ...?」
翔太郎が夢の中から戻ってきたようだ。
『お目覚めですか?丁度今から、君の片割れにトドメを刺す所です』
「おい、やめろ!」
「やらせねぇ!」
『CROSS-Z DRAGON』
翔太郎がウェザードーパントを止めようとするが間に合いそうにない。俺はクローズチャージに変身してすぐさま間に割り込もうとする。けれど、先ほどの無茶な変身によるダメージが大きく体が思うように動かない。
雷が発射される。視界がスローモーションになる。発射された雷がゆっくりとフィリップの元に近づいていき...謎の飛行物体に直撃した。
『…は?』
謎の飛行物体はウェザードーパントの雷を跳ね返してしまうとともに、フィリップを吸い込んでしまう。
「え⁉︎」
「何だ...あれは?」
『おい待て!そいつは私の獲物だ!』
ウェザードーパントは引き続き雷を撃ち込んで攻撃するもフィリップを取り込んだ謎の飛行物体にはまるで通用せず、必殺の竜巻すらも跳ね返され自分が吹っ飛ばされてしまう。
「これって、夢じゃねえよな...?」
あまりの事に、夢と区別がつかない翔太郎。これがドーパントの作り出した夢だったらどれほど良かったことか。
「あ痛!夢じゃない...か」
亜樹子にスリッパでしばかれ、ようやく現実であると理解する翔太郎。
「フィリップ君どこ行っちゃったの~⁉︎」
「さあ...?さっぱり分からねえ」
亜樹子がショックで泣き出す。
「あの鳥みたいなやつはなんなんだ...?人一人消えるだなんて完全に物理法則を無視している」
変身解除しながら考える。そもそもフィリップは変身の時に意識が転送されていたりする。何か特別な理由があるのだろうか...いや、それは翔太郎もだ。彼だけの特別性といったら地球の本棚だ。普通の人間とは違う何かがフィリップにはあるのだろうか。
「フィリップ、俺の声が聞こえるか?」
ここで翔太郎はドライバーを通じての呼びかけを試みる事にしたようだ。
「あいつの意識を感じた」
「本当⁉︎」
「フィリップは死んじゃいない、生きてる」
「良かった...だったらもう泣いてる場合じゃないよね」
何故か翔太郎のネクタイで涙をぬぐう亜樹子と、それをさりげなく阻止する翔太郎。
「姫香ちゃんに危機が迫ってる...今回の事件の真相が何となく見えたぜ」
あれから、亜樹子の活躍によりナイトメアドーパントの正体を突き止めた俺たちは、福島ハジメの変身するナイトメアドーパントを倒した。これで眠り病となってしまった照井や亜樹子も起きた。
「事件は終わった。これで雪村姫香はぐっすり眠ることができ、いい夢を見るだろう。それにしても気になるのは...」
「私がね、ジョーカーをしたわけよ。そう!でね、何て言ったと思う?お前の罪を数えろって言ったんだ~!」
フィリップに一方的にまくし立てる亜樹子。というかドーパントの影響を受けていたとはいえよく夢の内容をはっきりと覚えていられるな。
「ああ、なあフィリップ、お前あの鳥と一緒にどこ行って何してたんだ?」
「体が取り込まれるだなんて普通じゃない。何があったんだ」
フィリップは戻ってきた。ナイトメアドーパントを倒すためにWに変身しようとした時、あの鳥のような飛行物体から姿を現したのだ。
「今は...まだ言えない。でも、これだけは言える。僕のパートナーは...翔太郎、君1人だ」
その言葉に翔太郎は、一瞬呆気に取られたような顔をする。
「...今更何言ってんだよ、お前」
「あ~!もしかして、照れてる?」
「馬鹿!そんな訳無えだろ!」
「完っ全に照れてるな」
「うるせぇ!」
「でも真っ赤じゃん!」
「こら亜樹子!お前...おい!」
顔真っ赤。ますますハードボイルドから遠くなってるような...
「そういえばフィリップ。怪我は大丈夫か?」
「大丈夫さ。もう治っている。君はどうなんだい?」
「俺か?クローズチャージに変身したおかげでほぼほぼ治ったよ。流石にまだクローズマグマにはなれないみたいだ。どうすりゃなれるかな」
「クローズマグマ?なんだそれは」
「クローズの最終形態だな。マグマメモリを使うんだが...制御どころか変身すら出来なかった」
「そう...なのか。じゃあまた何か作るのか?」
「したいのは山々なんだが...何を作ればいいのかまるでわからないんだよなぁ...」
マグマナックルを変身用に改造するのもありだが、そうなると武器として上手く使えなくなる。いっそ二つ作るのもありだな。
「まぁ今はハザードをなんとかする方が先だな。クローズマグマになれてもハザード使われて暴走したら困る」
「それもそうだな。それはそうと...誰だ?イタズラしてやがるのは」
先ほどからずっと窓に石を投げつけてくるやつがいる。コツコツと何回も鳴ってちょっとうるさい。翔太郎が窓を開けて確認しようとする。
「嫌な予感が...翔太郎危ない!」
こんなことする奴らなんてあいつらしかいない。俺は翔太郎が窓を開けると同時に突き飛ばす。その瞬間、発砲音がして弾丸が空いた窓を通り、天井に穴が開く。
「あっ!天井が⁉︎」
「そんなこと気にしてる場合か!敵襲だ!」
ビルドドライバーを腰につけながら外に出る。外には、ビルドドライバーを腰につけトランスメモリーガンをその手に持った石動惣一が立っていた。
「石動ィ!何しに来やがった!」
「避けられちまったか。ちょーっと怪我してくれたらよかったんだが...まぁいい。実験を始めんぞ」
『HAZARD』
ハザードオン! ハザードオン!
俺のビルドドライバーにハザードメモリが出現し、石動もマキシマムスロットにハザードメモリを挿す。
「待っててくれ翔太郎。暴走したら止めてくれよな」
後ろからついてきた翔太郎にそう告げてからメモリを起動する。
『RABBIT』『TANK』
ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!
『TANK』『RABBIT』
タンク!ラビット!スーパーベストマッチ!
「変身!」 「変身」
アンコントロールスィッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!
左右の反転した二人の黒く染まったビルドが相対する。
「ハァッ!」
お互いのラビットサイドのホップスプリンガーが起動し、超高速で蹴りが交差する。
「へっ!こっちの方が少し速いみたいだなァ石動よぉ!」
蹴りやパンチが何度もぶつかり合う。利き手利き足の右側がラビットサイドな分タンクラビットよりも不利だが、それを有り余るほどの適合率で押し切る。ラビットサイドでも石動のタンクサイドの攻撃を受け止めることができる。
「なら頭を使うだけだ」
石動はトランスメモリーガンを取り出し撃ち込んでくる。
「頭使ってなんとかなるわけねぇだろ!」
「お前それでも物理学者か⁉︎」
石動は適度に距離をとりながらトランスメモリーガンを撃ち込んでくる。それを弾きながら近づこうとするも、なかなか距離が縮まらない。速度自体はこちらの方が少し速いが、弾くたびにほんの少し減速してしまうため近づくことができなかった。
「ならこっちも遠距離でやるだけだ!」
ビームモードのツインブレイカーを取り出して左手に装着する。これで飛んでくる弾丸をうまく撃ち落としながら近づいていく。
「ほらほら頭使うってのはなんだったんだァ?」
「チッ!」
『HAZARD』
スチームアタック・ハザード!
ハザードの力が込められたドス黒い弾丸が発射される。その弾丸に向かって何回か撃ち込むも撃ち落とせない。
「まず⁉︎」
ギリギリで転がって避けながらガトリングメモリを取り出す。
ガトリング!マキシマムドライブ!
シングルフィニッシュ!
走って黒い弾丸を避けながら黄色い弾丸をガトリングのごとく連射して撃ち落としていく。弾丸同士は当たるが、お互いあまりに速すぎて直接相手に当てることができない。
「「まずは動きを止めるのが先か!」」
お互い考えることは一緒のようだ。石動はコブラメモリを取り出しトランスメモリーガンにセット、俺は消防車メモリを取り出して空いているスロットにセットする。
スチームアタック・コブラ!
ガトリング!消防車!マキシマムドライブ!
石動はコブラの曲がる弾丸を連射して逃げ道を塞いでくる。それを俺は急ブレーキをとってから石動に向かって走り出し、飛び越える。
ツインフィニッシュ!
消防車メモリの放水で石動を怯ませ、ガトリングメモリの無数のエネルギー弾を浴びせて後ろに石動を吹き飛ばす。コブラの弾丸の飛んできている方へ、だ。
「んぐっ⁉︎」
「頭を使うってのはこうやるんだよ」
まだ石動の変身は解けていない。けれどあともう一撃、マキシマムを当てれば倒せるはずだ。
「さーて、次で終わりだ」
「終わんのはテメェだ!」
『HAZARD』
スチームアタック・ハザード!
ドス黒い弾丸が飛んでくる。
「まーた引っかかってくれたな。それ待ちだ」
ハザードメモリの入ったマキシマムスロットを連続で叩きながらドス黒い弾丸を喰らう。
「これでもっと強くなれる、だろ?」
ラビットメモリの力が爆発的に上昇する。
「俺はもう暴走を恐れない。それにさ、暴走するなら強い方がいい。それで敵を倒せるのならなァ!」
徐々にラビットサイドがタンクサイドを侵食していく。
「さぁ行くぜ。止められるもんなら止めてみな」
その言葉を残して俺は意識を失う。
マックスハザードオン!
オーバーフロー!......ヤベーイ!
戦兎がオーバーフローモードに入る。
「どうするフィリップ。止めるか?」
「いや、まだいい。止めるのは石動を倒してからだ。今は戦兎を信じよう」
戦兎は左手のツインブレイカーを放り捨て、直接殴りに行く。ラビット単体になったおかげで得た速度で石動の弾丸を全て避け切り、放たれた回し蹴りも避けて側頭部を殴り飛ばす。
「チィッ!」
マックスハザードオン!
オーバーフロー!......ヤベーイ!
石動もオーバーフローして対抗する。けれど左右のバランスを崩していないためタンクの混じったままだ。そのためラビット単体の速さには到底追いつけない。
「くそっ、これでもダメか」
防戦一方となる石動。ラビット単体のため威力は低いようだが、こうも連続で攻撃されればいくらオーバーフローでも傷ついていく。石動からの攻撃は全て避けられ、戦兎の攻撃は急所に的確に当たる。狙う場所がわかってると言っても避けられるわけではない。
「ドーピングするしかねぇ...か!」
『HAZARD』
ハザードメモリをトランスメモリーガンにセットし、首に注入する。変身中であるため体に直接入らず、ビルドの装甲にハザードメモリのデータが駆け巡る。
「加速した⁉︎」
傍目から見ているだけでわかる。石動は明らかに加速しだして戦兎の動きに追いついてきている。今はまだ受け止めるだけだが、このままだといずれ戦兎よりも速く強くなりカウンターを成功させるかもしれない。
ハザード!マキシマムドライブ!
時間をかけるのはまずいと思ったのか、戦兎はマキシマムを発動させる。
「ここでかよ...⁉︎」
ハザード!マキシマムドライブ!
一手遅れて石動もマキシマムを発動する。
ハザードフィニッシュ!!
同時にマキシマムが発動する。
戦兎は超高速で動き空中から石動に蹴りを放つ。
石動は立ち止まり戦兎の来る方を見てから回し蹴りを放つ。
二人のハザードビルドの放った二つの蹴りは、完璧に同時に命中した。
お互いのドライバーに。
「がぁっ⁉︎」
「んぐっ⁉︎」
お互いドライバーからメモリが外れ、メモリを撒き散らしながら吹き飛ばされる。二対のラビットメモリとタンクメモリ、それとハザードメモリが一つ、一箇所にまとまって落ちる。
先に拾い上げた方の勝ちだ。
俺も石動も、メモリを拾い集めるために最初から全速力で駆ける。距離的にはほぼ同じ。勝敗を分けるのは純粋な身体能力だ。
「勝った!届く!」
石動がほんの少しだけ速くメモリにたどり着き、拾い集めようと屈む。
「ふっ!」
屈んで低くなったその頭に勢いよく蹴りを放つ。石動は鼻血を出しながら転がる。
「ぐふっ⁉︎」
「蹴りやすいところにいたんだ。そりゃ蹴るよなぁ?」
メモリを回収するなら競争をするよりも相手を叩き潰してから悠々と拾い集める方が楽だ。以前の石動ならしていたことだろう。今回は気が動転していたのかやられる側になっていたが。
「くそ...が」
「その手離してくれない?最後の一個が取れないだろ」
4つのメモリは回収し終えた。残るは石動がすんでのところで掴み取ったタンクメモリだけだ。
「離すもんかよ」
「離さないのなら...もう一発いくぜ!」
足を勢いよく振り上げ、踵落としを放つ。
「うわっ⁉︎」
その瞬間軸足を掴まれて転倒してしまう。
「お前ほんとそういうところバカだよなぁ」
「いてて...でもハザードは奪わせてもらった」
『HAZARD』
ハザードメモリを解除する。すると、ビルドドライバーについていたハザードのギジメモリが消滅する。
「あとはお前をとっ捕まえるだけで終わりだ」
『それは勘弁してもらおう』
真上から声が響いた瞬間、クロコダイルドーパントが降ってくる。
「なんだなんだ?お前も捕まりに来たのか佐藤太郎。それとも本当のハザードの力を試す実験台になってくれるのか?」
『HAZARD』
ハザードオン!
手に入れたハザードメモリをマキシマムスロットにセットする。
「さぁ、行くぜ」
『RABBIT』『TANK』
ラビット!タンク!
「変身!」
ドライバーを展開し、マキシマムスロットを叩きつける。
「…あれ?ちゃんと押したよな。なんで変身出来ねぇんだ?」
「……なるほど、そういうことね!」
石動が真横から飛び出してきて俺のビルドドライバーからタンクメモリを掠め取ろうとする。
「んなあっぶね⁉︎」
「チッ取り損ねたか...お前はハズレのタンクを引いたみたいだな。いや、この場合は俺が当たりを引いたのか」
「当たり外れ?」
「じゃあな戦兎。こいつまで奪われるのは御免だからな。ほら行くぞ。連れてってくれ」
『…その前に言うべきことがあるんじゃないか』
「なんだ?」
『…トランスメモリーガンを盗み出して勝手に使った件はあとで説教な』
「……やべ、バレてた」
『JET』
「ちょっ、逃すか!」
『TAKA』『GATLING』
クロコダイルドーパントはジェットメモリを起動して首に挿し、背中からジェットエンジンを展開して大空に飛び立つ。
俺が空を飛べるメモリを起動する時には、もう見えないところまで飛び去っていた。
「逃げられちまったか...」
「大丈夫か戦兎」
「問題なし。怪我もないしハザードメモリは手に入ったしね。代わりにタンクメモリ一個持ってかれちゃったけど。ってかなんでさっき変身できなかったんだ...?」
「それは石動が持っていたタンクメモリだったからではないかな。ほら、君が元々持っていたタンクメモリよりも若干色が薄いだろう?」
「よくそこまで見てんなフィリップ」
確かに、よくよく見てみればほんの少し色が薄いような...違いが微妙すぎてよくわからん。ちゃんと実物見て比較しないとわからないぞ。
「手に入れたのはラビットメモリ2個とタンクメモリ1個。ラビタンになれないのは辛いな。タンクラビットならまだ...ん?2個?...そっかぁ。いいこと思いついた」
「なんか悪いこと考えてる顔になってんぞ戦兎...」
「…石動惣一。彼はいったい何者だ?鼻血が一瞬で治っていたような...」
そんなフィリップの呟きは、誰の耳にも届かなかった。
「どうしてトランスメモリーガンを持ち出した。必要なかったはずだ」
「いやいや、なかったら俺死んでたぞ?あれで無理やりドーピングしたから相討ちまで持って行けたんだ」
「こっちとしては死んでくれてもよかったんだがなぁ...」
「それよりも、だ。やつはラビットメモリ二つ手に入れたんだ。お前次で負けるぞ」
「想定済みさ。というかそれが目的だ。やつにはローグを倒してもらわないといけない」
「自分がやられることを計画に入れるなんて狂ってるねぇ...」
「こちとら悪魔の科学者だぞ」
「…そうだったな」
「ローグが終わったら今度はお前だぞ」
「またわざと負けないといけないのか?」
「どっちでもいいが、いずれはタンクメモリを返す必要はあるな」
「へいへい」
「それと...トランスメモリーガンはちゃんと返してもらうぞ」
「あっ、ちょ⁉︎」
「まったく...隠してたのにどうやって見つけ出したのやら」
「さてなんでかなー」
「なにニヤニヤしてんだお前」
報復の意味を込めて二、三発撃ち込む。
血飛沫が舞うも、数秒経つと傷は綺麗さっぱり消え去る。
「あっ、そうだ。やりたいことあるからもう一つタンクメモリが欲しいなぁー」
「お前よくその立場でお願いできるな」
イラついたのでもう一発撃ち込んだのであった。
Blizzard no chikara wo tenishita Izaka.
Yatsu wo tomeru niwa magma shika nai.
はいウェザー戦ハードモード入りました。
どうやって倒そうかな...
あと最近、時間がなかったり文字数も増えてきて執筆ペースが落ちてきているので、これからは3日おきの投稿とさせていただきます。