仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
オリジナル回です。
サブタイトルは少しはっちゃけました。
「なぁ佐藤太郎。俺を呼び出した理由はなんだ」
ある日、この前石動に撃ち抜かれてそのままだった天井の穴から一枚の紙が投げ込まれたのであった。『17時に地図に従って指定の場所まで来い』という簡潔な文章の書かれた紙だ。それに従って今、俺はとある倉庫に来ている。
「その前に、だ。ちゃんとお前一人で来たか?」
「いやちゃんとってお前あの紙に一人で来いとか書いてなかったじゃん。まぁ一人で来たけど」
事務所を出る時に翔太郎に呼び止められたが、適当に材料買ってくると言って誤魔化した。まぁ誤魔化しきれなくてバットショットに監視されていることに倉庫入る直前に気が付いたが。
「ならいいんだ」
「んで呼び出した理由だよ理由。結局なんなんだ」
「ブリザードメモリって言ったらわかるか?」
「ブリザード...あれお前が渡したわけじゃないのか?」
「伊坂だっけか。あいつにメモリを盗まれてな。そのせいでかなり面倒なことになった」
「面倒なことねぇ...おかげでただでさえウェザーだけで手こずっているのにブリザードまで合わせられてたまったもんじゃないよ」
「それで、だ。一旦休戦といこうじゃないか」
「休戦?」
色々と予想していたが、この提案は想定外だ。
「ブリザードメモリが無くて今すぐに困ることはないが、いずれ必要になる。それで実験に支障が出ることは避けたい。ブリザードメモリを取り返すまで共同でやつを叩きたい。協力しようじゃないか」
「協力...か」
本当に想定外だ。
「どうだ、悪い話じゃないだろう?」
「確かに悪い話じゃないけどよぉ...」
協力することで得られるそれぞれのメリットを考える。こっちは伊坂を止めるための戦力が手に入り、一時的にサイエンスとの戦いが止まる。あっちはブリザードメモリを取り戻せ、実験の障害を取り除ける。
「…こっちに都合が良すぎないか?それに誰が取ったのか知ってるならお前らだけでやればいい。わざわざ協力するそっちのメリットはなんだ?」
「こっちの目当てはWとアクセルだ。ブリザードだけならこっちでも倒せるがウェザーは別だ。正直に言うがお前いらない」
「いや、ひでぇなおい」
まぁ確かにそれなら協力を要請する理由も納得だ。ただいらないとか言われるとちょっと癪だ。それに俺のメリットが薄い。ウェザードーパントを止めるのは俺じゃないし、終わったらまたサイエンスと戦うことになるしであまり意味がない。せっかくだからもう少し条件をつけてもらおう。
「協力するのはいいが条件をつけていいか?」
「条件か...頼んでいるのはこっちだ。ある程度は呑もうじゃないか」
「そうだな...」
「…決めてから言えよそういうこと」
「…うん、決めた。報酬としてブリザードメモリを貰おうか」
「えっ...随分と強欲だな」
正直これくらいは言ってもいいと思う。
「んーそうだな。それが嫌なんだったらこれならどうだい?西都の分のメモリ20個を渡すってのは」
「っ...!せ、西都ってどこだい?」
「ああうん今の反応で確信した。西都なんて場所ないのに、そもそも地名だってことすら言ってないのに『どこ』って言うってことは知ってるんだよな」
カマかけ成功だ。
「俺はどんどん記憶を思い出してきている。でも、思い出すたびに違和感が増えていく。なんなんだよ、東都だとか北都だとか西都だとかグリスだとかローグだとかフルボトルだとかネビュラガスだとか。お前、俺になんの記憶を埋め込んだんだ」
「……」
「そうだな、それも条件に含めようか。ブリザードか西都の20個のメモリと俺の記憶について。それを報酬とするなら協力してやろう」
「……チッ」
「どう?まぁ今の舌打ちでなんとなくわかるけど」
「やっぱりこうなるよなぁ...流石にそこまでは呑めない。その条件を撤回しないならこっちから要求を取り下げよう」
「最悪記憶だけでもいいんだけどどう?」
「ダメだね」
「オーケーそれならお前をひっ捕まえて教えてもらうことにしようか」
ビルドドライバーを腰につける。
「それは御免いただきたいね」
『CROCODILE UPGRADE!』
「変身」
『TANK』『RABBIT』
タンク!ラビット!ベストマッチ!
「変身!」
俊足の無限軌道!タンクラビット!イエーイ!
交渉決裂で両者完璧に戦闘モードだ。
「よっしゃ、いくぜ」
そう言って勢いよく走ろうとする。
「ごふっ⁉︎」
思いっきりすっ転ぶ。
『…何やってんだお前』
「左右反転してバランスが...やり辛えな」
ほんの少しバランスを崩しながらも近づく。
「オラァッ!」
いつも通り左足で蹴りを叩き込む。
『ラビットサイドで攻撃だなんて随分と余裕だな』
「やっべミスった⁉︎」
今左足はラビットだ。慣れってのは恐ろしい。
「もうめんどくせぇ!武器だ武器!」
クロコダイルドーパントの攻撃を転がって避けながらドリルクラッシャーを取り出す。
「オラッ!セヤッ!」
ブレードモードで斬りつける。
『効かない効かない。無駄だよそんな攻撃』
「ほんと面倒な装甲してんなお前!」
ダイラタンシーを利用した特殊装甲はドリルクラッシャーでは突破できない。何度斬りつけようと、何度撃ち込もうとその体が揺らぐことはない。
「だったら削り取る!」
ラビット!マキシマムドライブ!
ラビットメモリをドリルクラッシャーにセットする。
ボルテックブレイク!
高速回転しだすドリルクラッシャーをクロコダイルドーパントに突き刺す。
「こいつも喰らいな!」
ドリルクラッシャーを突き刺しながら右足を押しつける。タンクサイドのタンクローラーシューズのキャタピラが回転し、装甲を削り取る。
「ダイラタンシーは一瞬の衝撃には強い!でも削り取る攻撃には弱いはずだ!」
先程までの攻撃とは打って変わってダメージが通り始める。
『チッ!』
しかしそのダメージも微々たるもので、押し付けている右足を掴んで投げ飛ばされることで攻撃が中断される。削り取った装甲も少ない。まだまだ余裕そうだ。
『ハザードなしで俺に勝てるとでも思ってるのか?』
「わかってるよそんなこと。いちいちうるせぇなそんなに実験遅れるのが嫌なのか?」
『できれば勘弁してもらいたいね』
「じゃあ乗ってやるよ」
『HAZARD』
ハザードオン!
ハザードメモリをマキシマムスロットにセットする。
「ビルドアップ!」
アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!
ハザードフォームに変身し終える。
「うわっと、ハザードなって違和感がさらに増した...さぁ、行くぜ?」
少しずつ、左右反転の感覚を慣らすためにゆっくりと歩く。そして十分だと感じた瞬間急加速して右足で思い切り蹴りを叩き込む。
『んぐっ⁉︎』
「右足で全力で蹴れるってのはいいねぇ...ほらどんどん行くぜ!」
普段はタンクサイドが左なため左足で攻撃をすることが多かったが、今は右側だ。利き足で全力の蹴りを叩き込める。
「オラオラオラオラァッ!」
蹴りを叩き込むたびに、ほんの少しずつではあるが与えられるダメージが増えてきている。ハザードメモリの装甲無効化能力のおかげだろう。
『くっ...邪魔だ離れろ!』
クロコダイルドーパントはトランスメモリーガンを取り出し、連射してこちらの動きを阻害してくる。けれど大した威力ではないため喰らっても問題ない。ほとんど無視して突っ込む。
「ほらほら無駄だぜェ!」
若干ラビットサイドにバランスが傾いてきているが、関係ない。今すべきことはやつを倒すことだ。暴走しても問題ない。
『やっぱり速いな。暴走はさせない!』
暴走はさせまいと、クロコダイルドーパントの攻撃が激化する。けれど、その攻撃はハザードの超加速で全て避け切ることができる。ラビットサイドにどんどん偏っていく以上、速度もそれに比例して増加していく。暴走を止めることなんて、できない。
「くっ、流石にそろそろ限界か。タンクラビットでもラビットに偏るのは変わらないんだな...さぁ行くぞ佐藤太郎。暴走した俺を止めてみな。ハザードメモリを作ったお前なら余裕だろ?」
マックスハザードオン!
空いているマキシマムスロットにハザードのギジメモリが挿さる。
その瞬間、俺の意識は途絶える。
「っ!があっ⁉︎」
「いっっつ!...なんとか相討ちに持っていけたか」
変身が解除され、意識が戻る。どうやら必殺技同士がぶつかり合い、相討ちになったようだ。佐藤太郎も人間の姿に戻っていた。
「あっ!メモリ取るんじゃねぇお前!」
先ほどの変身解除はメモリが外れたことによるものだったのだろう。近くにはラビットメモリが転がっており、遠くに吹き飛ばされていたタンクメモリはちょうど佐藤太郎に拾われるところだった。ラビットメモリは取られまいと急いで回収する。
「悪いね。なんか石動のやつから取ってきてくれと言われてたから。恨むなら石動を恨んでくれ」
「逃すかよ。もう一回戦付き合えよ」
『TAKA』『GATLING』
タカ!ガトリング!スーパーベストマッチ!
「変身!」
アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!
すぐさま変身を終えて佐藤太郎のもとに走り、拳を振るう。
「生身の人間にハザードで殴ろうとするとか正気かお前⁉︎」
『CROCODILE UPGRADE!』
拳をギリギリで避け、クロコダイルメモリを首に挿す佐藤太郎。やっぱり避けられるか。
『暴走しても俺には勝てない!ましてラビットタンク以外のベストマッチで俺に敵うと思ってんのか!』
「思わないね。でも、少しは削れる...だろ?手数で勝負さ」
ホークガトリンガーを取り出し、リボルマガジンを回転させる。
「ほら喰らいな!」
30発の特殊弾丸をクロコダイルドーパントに向けて発射する。ハザードの力のこもった特殊弾丸がダイラタンシーの装甲を削り取る。
「これなら普通に撃った方が効率良さそうだな」
リボルマガジンを回転させずに、単発で何度も撃ち込む。ラビットとタンクの組み合わせ以外では暴走のまでの時間が短い。ほんの少しの時間のロスも許されない。
「ほらほら次行くぜ?」
『PHOENIX』『ROBOT』
フェニックス!ロボット!スーパーベストマッチ!
「ビルドアッ...いちいち言うのめんどいなこれ」
ブラックハザード!ヤベーイ!
背中のエンパイリアルウィングから炎の翼を生やして倉庫内を飛び回り、トランスメモリーガンの弾丸を避けながら炎を放つ。フェニックスメモリの攻撃予測能力のおかげで避けることは容易い。
「ほらほら当てて見せろ!」
『当たらないのなら当たる環境を作るまでだ』
『MAGNET』
マグネットメモリを首に挿す。メモリ内部のデータが体表面を駆け巡り、両手に集まる。
『ここは倉庫だ。いろんな物が置いてある。金属だって大量に、な」
「マグネット...っ⁉︎」
フェニックスの攻撃予知が発動する。マグネットの力で操作された大量の鉄製の物がこちらに向かって飛散してくる。
「避け切れるか...?」
攻撃予知を活用しながら飛んでくる物を避け、炎で溶かし尽くし、ロボットサイド頭部のアームフェイスモジュールの対空砲で撃ち落とす。
「ぐっ!...耐え切ったか」
弾き返してもまたすぐにこちらに向かって飛んでくるため、全て焼き尽くすことになった。何度か喰らってしまったが、ハザードで強化されたフェニックスの回復力でなんとか再生する。
「うおっと、そろそろ限界か。回復まで持ってくれて助かったぜ」
フェニックスメモリの力が落ちていく。ロボットサイドで着地した俺はすぐに次のメモリを取り出す。
『WOLF』『SUMAHO』
ウルフ!スマホ!スーパーベストマッチ!
ブラックハザード!ヤベーイ!
スマホウルフハザードフォームに変身して攻撃を仕掛ける。右腕のウルフェイタルクローをファングジョーカーのアームファングのように使い、何回か斬りつける。
「うーん...スマホサイドの機能とても戦闘用だとは思えないんだけど...お前なんでこんな機能つけたの?」
盾は使えるが、スマホいじる機能とかスマホ使用の負担軽減とか正直いらない。変身しなくてもこの機能が使えたらいいんだけど。
『そんなの知るか。作ったやつに聞け』
「オメェだろうが!」
スマホサイドの機能は一切使わずにウルフの爪で斬りつける。
「ぐっ、なんでこっちのこんだよふざけんな!」
スマホサイドに偏り始める。ウルフならまだしもこっちが残るのはちょっと許せない。どうやらスマホメモリの方が適合率が高かったようだ。
「もういいや。次だ次ィ!」
『GORILLA』『DIAMOND』
ゴリラ!ダイヤモンド!スーパーベストマッチ!
ブラックハザード!ヤベーイ!
ゴリラモンドハザードフォームに変身してすぐに拳を振るう。
「ワンチャン即死効果でやられてくんねぇかな」
『それだけはやめてくれ...!』
ハザードのおかげで普段の鈍重さが嘘のように速く動く。
「オラァッ!当たれ!」
『あぶね⁉︎』
『JET』
クロコダイルドーパントはギリギリで俺の拳を避けると、ジェットメモリを首に挿して飛翔する。
「おーい!降りてこい!」
『そんな自殺行為してたまるか!』
「なら落ちろォ!」
巨大なダイヤモンドを創り出し、それを思い切り殴りつけて大量の破片を弾き出す。面の攻撃だったため避け切ることができなかったようでいくつか命中する。
『っ⁉︎ジェットが!』
「エンジン破壊!これで終いだオラァッ!」
先ほどのダイヤモンドはダメージを出すための攻撃ではない。背中のジェットエンジンをバードストライクの要領で破壊するためだ。空を飛ぶクロコダイルドーパントを叩き落とした。
『くそっ!』
『OBAKE』
「遅い!」
おばけメモリを首に挿す直前に真っ黒に染まったサドンデストロイヤーで殴り抜く。
「くっ、メモリが!」
装甲を無視した即死能力が発動しクロコダイルメモリが排出される。
「くそ退け!」
佐藤太郎は俺を突き飛ばす反動を利用してメモリのもとに走る。
『CROCODILE UPGRADE!』
「…メモリを奪わないと何度でも復活する...か。メモリブレイクできないってのも面倒だな」
『次は当たらない』
『OBAKE』
おばけメモリを首に挿す。それを止めようと走り出し殴りかかるが、一歩遅く拳がクロコダイルドーパントの体を通り抜ける。
「物理無効かよ!」
『流石にゴリラはやばいな。没収没収と』
「ちょっまっ!」
ゴリラメモリがビルドドライバーから抜き取られ、変身が解除される。
「返せメモリ!タンクもゴリラも!」
『…お前はいつまでそうしているつもりだ。わかっているんだろう?次にすべきことを。俺たちが望んでいることを』
「………」
『これは実験だ。お前は俺たちが作ったヒーロー、仮面ライダーだ。ちゃんと成長してもらわなければ困る』
「…どうしてそこまで実験にこだわるのかわからねぇけどよ」
おばけメモリの効力の切れたクロコダイルドーパントに向かって言う。
「お前わざと倒されにくるとかMなのか?」
傍目から見てわかるほどに吹き出すクロコダイルドーパント。
『な、何言うんだお前ェ!』
マックスハザードオン!
ハザードのギジメモリを出現させる。
「まぁいいや。お前の実験に乗ってやるよ。安心して倒されな」
『RABBIT』『RABBIT』
二つのラビットメモリを起動する。
「戦兎!」
倉庫の中に翔太郎たちが入ってくる。
「おっ、来たか」
『どうしてここが...お前嘘をっ!』
「嘘はついてねぇぞ?一人で来たのは本当だ。ガジェットの監視はあったけどな」
ラビット&ラビット!
メモリを挿していき、変身待機音が流れ始める。
ドンテンカーン! ドーンテンカン! ドンテンカーン! ドーンテンカン!
「その音...まさかハザードを!しかも2本で!」
「止めろ!暴走したら...!」
「大丈夫だ。暴走しない」
ビルドドライバーを展開する。
ガタガタゴットン! ズッタンズタン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン!
「変身!」
マキシマムスロットを叩きつける。
オーバーフロー!
俺の体をハザードフォームの装甲が包む。そしてどこからともなく赤いウサギが飛び跳ねてくる。
「なにあれ...?」
赤いウサギは五つのバーツに分解し、空中に浮く。
「割れた⁉︎そして...くっついた!」
独りでにパーツが体に装着されていく。
紅のスピーディージャンパー! ラビットラビット!
ヤベーイ! ハエーイ!
「さぁ行くぞ佐藤太郎。やられる覚悟は済んだか」
一気に駆け出し、クロコダイルドーパントを殴りつける。
『ぐぅっ⁉︎」
オーバーフローモードの装甲無効化がうまく効いているようだ。
「あの速さは...どう見てもラビットタンクの暴走時を遥かに越している!でも、戦兎の意識も保てている、どうして!」
「これがお望み通りなんだろ!佐藤太郎!これが正義の力!これが桐生戦兎の力だ!」
虚空に手を伸ばす。
「フルメモリバスター!」
ドライバーからフルメモリバスターが出現し、それを掴む。セレクトランサーを操作してバスターキャノンモードに変え、刀身の左右に二つずつ付いているマキシマムスロット、クアッドフルメモリシリンダーにラビットメモリをセットする。
ラビット!マキシマムドライブ!
「ハァッ!」
フルメモリブレイク!
ブレイクマッチトリガーを引くと、赤いエネルギー弾が発射される。クロコダイルドーパントはそれを右手で弾こうとするも、エネルギー弾は装甲を貫いてダメージを与える。
ラビット!マキシマムドライブ!
パンダ!マキシマムドライブ!
ジャストマッチデース!
今度はラビットに加えてパンダメモリもセットする。
ジャストマッチブレイク!
再度ブレイクマッチトリガーを引くと、今度は赤と白の混ざったエネルギー弾が発射され大きなダメージを与える。
ラビットマキシマムドライブ!
パンダ!マキシマムドライブ!
タカ!マキシマムドライブ!
ミラクルマッチデース!
さらにタカメモリも加えてマキシマムを発動させる。
ミラクルマッチブレイク!
赤と白と、タカの橙色の混ざったエネルギー弾が発射される。クロコダイルドーパントも負けじとトランスメモリーガンを撃ち込むが、当然敵うはずもなく貫通して大きく吹き飛ばされる。
ハザード!マキシマムドライブ!
フルメモリバスターを消し、腰のマキシマムスロットを叩きつける。
ハザードフィニッシュ!
大きく飛び上がると、空中で静止して片足がクロコダイルドーパントに向かって伸びる。直前で止まるとでも思ったのだろうか。反撃することなくその場で立ち止まっていたので、伸ばした足で一回蹴りを叩き込む。
『んぐっ⁉︎』
ラビットラビットフィニッシュ!
伸ばした足を軸に、伸びた体が戻る反動を利用して強烈なライダーキックを叩き込む。直撃を喰らったクロコダイルドーパントは倉庫の壁を突き抜けてそのまま爆発する。
「メモリ回収しねぇとな」
全力で駆けると、一秒もかからずに変身解除された佐藤太郎のもとに辿り着く。あたりには盗られたタンクメモリとゴリラメモリが転がっており、うつ伏せになっていた佐藤太郎がクロコダイルメモリを掴んでいたところだった。
「チッ、一歩遅かったか。でもこっちは返してもらうよ」
ゴリラメモリを回収し、タンクメモリに手を伸ばす。
「んっ、悪あがきはよしたらどうだ?佐藤太郎」
トランスメモリーガンを何回か撃ち込まれる。
「嬉しいよ。ちゃんとビルドは進化していっている。これからも強くなってくれよ。お前は桐生戦兎で、正義のヒーローで、仮面ライダービルドなのだから」
バット!マキシマムドライブ!
スチームブレイク・バット!
地面に向けてマキシマムドライブを撃ち込み、地面が爆発したように捲れ上がる。後ろから追ってきたみんなを飛んでくる瓦礫から守りきった頃には、佐藤太郎は消え去っていた。
「逃げられた...か。まぁタンク回収できたからよしとする....か?あれ?どこ言ったタンクメモリ⁉︎」
いつのまにか足元にあったはずのタンクメモリが綺麗さっぱり消えてしまっていた。
「くそっ、いつのまに取られてたんだ...」
「おい戦兎!オーバーフローしてて大丈夫なのか?」
「ん?ああ問題ない。この形態なら暴走する危険性は全くない」
ビルドドライバーに挿さっているラビットメモリを指差す。
「ラビット二つ...?」
「ビルドドライバーでのハザードの暴走の原理覚えてるか?」
「確か...二つのメモリの適合率の差がハザードメモリで大きくなりすぎることでバランスが崩れて暴走する...だっけか」
「そうそう。なら、同じ適合率を持つメモリ同士を使えばバランスが崩れることは決してない。なぜか二本ずつ存在しているラビットメモリとタンクメモリなら、問題なくハザードメモリを使うことができるってわけだ」
ワンサイドライバーではできない、ビルドドライバーの性質が生んだ解決策。ビルドドライバーの、メモリ同士がお互いを抑制しあって変身するこの性質が無ければ、この方法は取れなかった。
「まぁわざわざメモリ二本用意してたあたり、全部計画通りってのが癪に触るけど」
「そうだ。あの...フルメモリバスター?だっけか。あれすごかったな。四つまでメモリ使ってマキシマムできんのか」
「まだ完成途中なんだけどね。バスターキャノンモードしか使えないし」
まだバスターブレードモードは完成していないのだ。今日ぶっ通しで作業していたなら完成していたが、佐藤太郎に呼び出されてしまったため途中で切り上げていた。
「ちゃんと完成させてタンクタンクに対抗できるようにしないとなぁ...」
「タンクタンク?」
「やつにタンクメモリを奪われたからな。多分戦うことになる」
ラビットラビットの速さで、タンクタンクの攻撃力と防御力を上回ることができるか。それにかかっている。
「絶対にタンクメモリを取り返す。だからちょっとフルメモリバスター完成させるの手伝ってくんね?」
「それはいいけど...それより前に天井の穴塞ごう」
「あー...忘れてたわ」
今後もあそこから何か入ってくるのは御免被りたい。仮でもいいからとりあえず塞ごうと決意するのだった。
「悪い石動。タンクメモリ回収し損ねた」
「お、あんな事言っておいて回収しようと頑張ってただなんてツンデレか?」
「お前次は眉間に撃ち込んでやろうか?」
「勘弁してくれ...ほれ、タンクメモリ」
「…なんでお前が?」
「お前が瓦礫ばら撒いた時に回収した」
「お前ほんと神出鬼没だな...さすが、めざといな」
「それはどうも」
「褒めてねぇ」
「そういえばお前本当に協力する気あったのか?俺たちだけでも取り返すだけならできなくはないだろ?」
「できたらの話さ。そんなに期待していたわけでもない。それよりも、お前ちゃんと次負けろよ?」
「わかってるって...やっぱやめた。もうビルドやりたくない。お前やれ」
「は?お前がタンクタンクやりたいつったからタンクメモリ回収しようとしたんだぞ。俺の努力はなんだったんだ...」
「まぁいいじゃねぇか。元々ビルドは俺には合わないんだし。タンクなら俺よりもお前の方が適合率上だろ?」
「そうだけど...わかったよ。しょうがない。久しぶりにやってみるとするか」
「がんばれー」
「人ごとかよ」
トランスメモリーガンを石動に向けようとするが、いつのまにか消えていた。
「いつのまに...ほんとしょうがねぇな」
机の上に置かれていたタンクメモリを掴む。
「振り回されてばっかりだな俺...絶対に成功させないと」
メモリを掴む手が力む。
「ここまで多くの人を巻き込んだんだ...絶対にエボルト、お前を倒す」
HAZARD no chikara yo kokuhuku shita Sento.
Naze Isurugi ga bousou shinainoka wa nazonomamada.
ビルド本編でもしゴリラとダイヤモンドのフルボトルが盗られていなかったらゴリラモンドでローグ倒せたんだろうか。
書いてて気になってきました。
フルメモリバスターとかいう無理矢理のネーミング。
四本マキシマムはプリズムビッカーと似てて本当にビルドとWの親和性が高いと再確認しました。