仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
原作31、32話です。
ほぼほぼ原作と流れは変わらないです。
「何故、シュラウドはあんな事を...?」
「おいフィリップ、どうした?どっか具合でも悪いのか?」
翔太郎が、フィリップの異変をわずかながら感じ取り質問する。
「...ん?何かついてるか?」
「何でもない」
「だったら、早速検索を頼みたいんだが」
いつのまにか来ていた照井がとある新聞記事を見せてくる。
「野獣人間?...ああ、アレだろ。確か10年前ぐらいから噂になっている都市伝説...ドーパントだってのか?照井」
「ああ」
ちょうどそのタイミングで事務所に一人の男が入ってくる。
「げ!強面おじさん⁉︎ななな、何ですか⁉︎」
珍しく縮こまっている亜樹子は翔太郎を押し付ける。
「わ、ちょっと!...地上げに来た悪徳業者かな?とっとと帰んな!」
翔太郎は強気の対応をとるも、男はそれをデコピン1発で撃退する。
「鳴海荘吉の旦那はいるか?俺は尾藤勇、旦那に世話になってた者だ。10年間ムショに入ってたが、出てきたら会いに来るように言われてた」
まさかおやっさんを知る人がここにくるなんてな。俺は会ったことないが、こんな強面の男と知り合いってことはおやっさんとやらは結構アウトローだったりするのだろうか。
「おやっさんは、もう...」
「父は...父は死にました」
「亡くなったのか?鳴海の旦那が?」
「不慮の事故で...」
流石にガイアメモリ関連の事件で死んだなんてことをありのまま話すわけにはいかない。事故としか伝えようがない。
「い、今は娘のあたしと、この弟子の翔太郎君が探偵やってます!何か、父に依頼でも?」
どこか落胆した様子の尾藤に亜樹子が話しかける。
「いや、調べ物をしてくれてると面会の時に言ってた。それが俺への出所祝いだと」
「尾藤さんへの調査記録...び、び、び...見当たらないですね」
「ならいい」
棚の中には記録は見つからず、さっさと帰ろうとする尾藤。
「ちょっと待ってくれ、アンタ!おやっさんが遺した仕事なら、俺の出番だ。それ以外考えられねえぜ」
翔太郎は尾藤を引き止める。その棚の中身はおそらく『表』の事件の記録のみ。記録がないのならそれは『裏』の事件であり、おやっさんの残した最後の依頼かもしれない。だから引き止めようとしているのだろう。
「半人前に用はねえよ」
尾藤はまたしてもデコピンで翔太郎を一蹴。
「ガーン!会ったばっかりなのに...」
「あ、おい!尾藤さん!待ってくれ!」
めげずに尾藤を追う翔太郎。
「シュラウドは、翔太郎のどこが不吉だと言うんだ...?」
フィリップは少し上の空であった。
「鳴海荘吉、かつて組織と戦った男か...」
照井が資料を漁りながら呟く。
「僕も命を救われ、生き方を教わった」
フィリップが照井の呟きに反応する。
「凄い男だったようだな、会ってみたかった」
「翔太郎の師匠ねぇ...会ってみたいような会ってみたくないような...翔太郎と違ってちゃんとしたハードボイルドなんだろうな」
「お父さん、あの人に何を遺したんだろう?ねえフィリップ君、検索...できる?」
「やってみよう」
困った時はフィリップに頼むに限る。
「まずキーワードは...」
照井が必要なキーワードをフィリップに伝える。
「最後のキーワードは、尾藤勇...絞れた」
「絞れたか。どんなだ?」
「10年前、風都ダム付近で起こった現金輸送車襲撃事件があった。事件直後、尾藤勇は自首をし、懲役10年の実刑判決を受けた」
「それを何故追跡調査したんだ?鳴海荘吉は」
「どうも不透明な部分が多い事件なんだ。輸送車と現金30億円はダム湖に落ち、今だに見つかっていない。襲撃現場にも、人間離れした破壊の跡があったらしい」
「人間離れ...?」
「待てよ、10年前の事件だと言ったな」
「もしかして、それって野獣人間の仕業⁉︎」
そうこうしていると、フィリップの腰にダブルドライバーが巻きつく。
「ドーパントが出たのか」
『CYCLONE』
「変身」
サイクロンメモリをダブルドライバーにセットしてフィリップは倒れ込む。一瞬だが、サイクロンメモリが放電していたように見えたのは気のせいだろうか。
「行くぞ桐生」
「オーケー。ついてくよ」
それぞれアクセルとラビットラビットに変身してからWのもとにたどり着くと、なぜかそこにはドーパントにボコボコにされているサイクロンメタルの姿が。
「だらしないぞ、左!」
「動きが衰えている...?どうした!」
「照井...戦兎...」
『誰だ?』
「こいつが噂の野獣人間か?」
エンジン!マキシマムドライブ!
いきなりマキシマムを発動し、Aの字の3連激を仕掛ける。見事命中するも、メモリブレイクどころかあっという間に傷がふさがってしまう。
『馬鹿な⁉︎とんでもない再生能力だ!』
『邪魔する奴は生かしちゃおかねえ...3人ともだ!』
「やめろ!そいつは何も知らねえよ、ハッタリだ!」
尾藤が声を上げる。ドーパントが変身を解除すると、現れたのは一人の男。
「お前は...!」
「マル、やっぱお前か。お前、また野獣人間に!」
「尾藤さん!時代は変わってるんですよ。この街で俺に逆らうと...バーン!」
「貴様...!」
『BEAST』
男は再びビーストドーパントに変身し、アクセルを踏み台にしてそのまま跳び去ってしまった。
事務所に戻った俺たち。
「10年前の事件の真犯人は、メモリを使った有馬だったのね」
「その証拠のヒントが、熊だ」
『FROG』
『ク・マ!』
フロッグポッドで遊んでいる翔太郎。何遊んでんだ。
「熊?熊ってこんな、鮭をこうやったやつ?」
スリッパをくわえて見せる亜樹子。
「汚いからやめなさい」
「木彫りの熊ね、そんな訳...いや待てよ、それどっかで見たような。しかもおやっさん絡みで...あー!!」
「何?あたしまた何かいい事言った?」
「言った言った!思い出した、あそこだ!行こう、明日の朝イチで」
「待ちたまえ翔太郎。今のダブルには問題がある。行動を起こすなら、注意が必要だ」
そこでストップをかけるフィリップ。
「ああ、確かにさっきバランス悪かったよな。でもパワーが妙に強過ぎたのはサイクロンの方だ。お前が合わせりゃ済む話だろ。尾藤さん喜ぶぜ」
バランスが悪かったねぇ...少し怖いな。まるで俺がハザードを使って暴走する直前みたいな...
吊り橋を渡り、何やら山奥へと向かう俺と翔太郎、亜樹子、そして尾藤。
「ここ風吹山に、おやっさんが訳ありの依頼人をかくまってた別荘があってさ。前にも一度来たことがあって、木彫りの熊もここで見た」
しばらく山道を歩いて行くと、目的の別荘にたどり着く。意外と綺麗だ。
「あ、翔太郎君。熊はどこで見たの?」
「ああ、その屋根裏の奥だ」
早速屋根裏に向かう亜樹子。ふと壁を見るとコルクボードがあり、そこには尾藤らの若い頃の写真があった。写真を裏返すと、『愛すべき街の問題児、サム 1999.12』という記録が書いてあるのを見つける。
「旦那、あんたの言った通りだったよ。マルは足を洗っちゃいなかった。今でもベルを泣かしてる...」
「何見てんだよ?はあん...尾藤さん、今でもベルさんの事好きなんだろ?」
「心底薄っぺらいな、お前は。本当に旦那の弟子かよ?」
「何だと?どういう意味だよ」
「10年前...」
尾藤の話を要約すると、あのビーストドーパントの有馬を庇い自首したのだと。
「まさかあんた、それで有馬の罪を被ったのか?惚れた女のために...」
「だから、そういう事を言葉にすんじゃねえよ坊主。旦那はな、ずっと黙っててくれたぞ。俺が出頭するって打ち明けた時も、何も言わなかった。本当の事も、俺の青臭い気持ちもお見通しだったはずなのにさ。あの人は分厚い男だった...」
「そうだぞ翔太郎。あんまり考えなしに物を言うのはやめた方が...」
「坊主、薄っぺらい男の人生は痛え。今にでかいもん失うぞ」
「冗談じゃねえよ。おやっさんよりでかい失くしもんなんか、他にあるかよ...」
ちょうどそこへ、亜樹子が置物を見つけて降りてきた。
「熊みっけ!ほらほらほら!」
「これか、旦那の置き土産は」
「この熊、一体何だろうね?どう見てもただの木彫りの熊だよね...」
出てきたのは、埃を被ったただの熊の置物だ。これがなんなんだというんだろう。
急に別荘の中に冷気が吹き込む。
「ウェザー⁉︎」
急に現れたウェザードーパントは冷気を浴びせ、熊を奪い取る。
「尾藤さん!」
『これですか』
「井坂深紅郎...!フィリップ!」
早速ドライバーを装着し、翔太郎は変身しようとする。
「フィリップ!おいフィリップ!フィリップどうした⁉︎...ああ!亜樹子、尾藤さんを頼む!待てこら!」
フィリップからの応答がないのか、変身せずに突っ込んでいく翔太郎。
「あいつ一人で勝てるわけねぇだろ...!」
『HAZARD』
ハザードオン!
『RABBIT』『RABBIT』
ラビット&ラビット!
「変身!」
オーバーフロー!
紅のスピーディージャンパー! ラビットラビット!
ヤベーイ!ハエーイ!
走りながらラビットラビットの装備を装着していき、翔太郎の後を追う。
「翔太郎!生身じゃ無理だ!」
圧倒的な速さを持って間に割り込みウェザードーパントの攻撃を受け止める。
『君も新しい姿を手に入れたようですね』
『BLIZZARD』
ウェザードーパントがブリザードメモリを取り込む。そして絶対零度の冷気を浴びせてくる。後ろには翔太郎がおり、避けることもできず直撃してしまい体が少しずつ凍りついていく。
「から...だ、が...!」
『フフフ...ついでです、君にもトドメを』
手を此方に向け、冷気を放とうとする。体は凍り付いており全く動くことができない。避けれない。
死を覚悟したその瞬間、リボルギャリーが追突して攻撃を無理やり遮断する。
「フィリップ!お前、何やってたんだよ!」
「選択肢はファングジョーカーしかない。僕の身体をベースにするしか」
「は?...ま、何でもいいか、この際。急げ!」
『JOKER』『FANG』
「変身」
「変身」
ファング!ジョーカー!
フィリップベースのファングジョーカーに変身するも、ファングの側から謎の放電が起こり、まともに動けなくなる。
『何だよこのパワー⁉︎』
どうやら、左右のバランスが取れていないようだ。
「駄目だ!僕の身体を使っても、ファングでも...翔太郎がついて来れない!」
『不調ですね、診察しましょうか?』
『フィリップ、マキシマムで反撃だ!』
「左右のバランスが悪すぎる!きっと衝撃に耐えられない!」
『やられちまったら元も子も無えだろ!』
「…分かった!」
左右のバランスが会わないままマキシマムドライブを無理やり発動させる。
ファング!マキシマムドライブ!
「ファングストライザー!」
『ファングストライザー!』
いつものように回転して蹴りを放とうとするも、あらぬ方向に飛んで行き空中分解するように変身が解除される。
「そんな、ダブルでいられなくなった...翔太郎!」
「何故だ?こうなりゃ俺が...っ⁉︎」
ダブルドライバーから放電が起こり触れることすら出来ない。まるでドライバーから拒絶されてしまっているようだ。
「そんな...ダブルに、なれねぇ」
『ハハハ...!笑わせてくれたお礼に、派手に消してあげましょう!』
凍りついてうまく動けない俺と、変身不能に陥った2人に、トドメを刺そうとするドーパント。そこで間一髪で間に入るのはアクセルガンナーと合体したアクセル。果敢に攻撃を仕掛けるも、アクセルだけでは太刀打ち出来ない。
「照井竜!」
『復讐鬼くんの登場ですか』
「井坂!」
『お忘れ無く!君達1人ずつでは私たちに勝てない!』
「フィリップ!もう一度ダブルに...!」
「もう...君には無理だ。照井竜!」
サイクロンメモリをアクセルに向けて投げ渡す。サイクロンメモリを受け取ったアクセルはそれを迷わずエンジンブレードに装填する。
サイクロン!マキシマムドライブ!
「くっ!何てパワーだ...!」
エンジンブレードは風をまとい、圧倒的なパワーを引き出す。
「振り切るぜ!」
ドーパントに連打を与え、弾き飛ばされた熊の置物は谷底に落下する。
『何と言う事を!ええい!』
その場を離れるドーパント。熊の置物を探しに行こうというのだろうか。
「助かったフィリップ。このメモリは凄いな」
とだけ言ってサイクロンメモリを返却する。そのまま立ち去ろうとするも、失意の翔太郎を気にかけている様子。
「照井竜なら耐えられるのか...」
一人で考え込んでいる様子のフィリップ。
「まさか、真のパートナーとは...?」
「俺はもう、ダブルになれない...?」
まさかこの二人の関係がここまで引き裂かれることになろうとは..いままで思いもしなかった状況に、俺たちは追い込まれたのであった。
井坂が去った今、まず優先すべきことは負傷した尾藤を病院に連れて行くことだ。そんな時になっても、翔太郎は動こうとしない。それにしても尾藤、すごい凍傷だ。
「ほら、翔太郎君。行くよ!...翔太郎君ってば!何してんの!」
「放っておけ、怪我人が第一だ」
「でも...」
「とりあえず、僕達だけでも下山しよう」
「いつまたウェザーが襲ってくるかもわからんしな」
「う~ん...ちょっと待ってよ!」
翔太郎を心配する亜樹子だったが、結局俺たちに着いてきてそのまま下山した。
「尾藤さん、ごめんなさい。お父さんが尾藤さんに遺したもの、失くしちゃって...」
「お嬢ちゃんのせいじゃねえよ。あの坊主、旦那がやり残した仕事は自分の出番だとか言ったよな。旦那のようには上手く出来ねえか...」
しばらく沈黙が辺りを支配する。その静寂を断ち切ったのは、扉の開く大きな音だった。
「翔太郎君!」
「よう...」
「大丈夫?もう、濡れて...あ、それ見つけたんだ!何か、証拠になるような物だった?」
「いや、ただの木彫りの熊みてえだ...あ、そうだ。この写真と熊、尾藤さんに渡してやってくれねえかな?おやっさんの形見には変わりねえしさ」
翔太郎は置物と写真を渡すと、一度フィリップと顔を合わせる。
「…じゃあな」
けれど、何も話さずに出て行こうとする。
「ちょ、ちょっと!どこ行くの⁉︎」
「ちょっとな」
「傘は?」
「いらねえ」
また沈黙の時がやってくる。翔太郎が出て行ってからしばらく経ち、今度この静寂を絶ったのはフィリップだった。
「照井竜...僕と組む気はあるかい?今の翔太郎の力は弱すぎる。君はサイクロンのパワーにも耐えたし。どうだろう?」
「フィリップ、つまらない質問をするな。俺は1人で奴らを追う」
「ちょっとフィリップ君!今の、ひど過ぎるよ!翔太郎君の気持ちも考えなよ!」
「亜樹ちゃん、彼の力ではダブルが維持できないのは事実だ。君もあの弱々しい翔太郎を見たろう?」
「弱い弱いって言うけど、それは翔太郎君が心の優しい奴だからでしょ⁉︎でもそれって、あいつの良い所じゃん!それに、翔太郎君は戦いの道具じゃないんだよ⁉︎翔太郎君は、ハーフボイルドだからこそ何かやる男なのよ!」
「そうだぞフィリップ。弱いからと言って何もできないわけじゃない。それに、だ。ただ闇雲に強さを求めるだけじゃダメなんだ。弱くたって立ち上がり、正義のために戦う。それがこの町の仮面ライダーだろ?」
「…そうだ!翔太郎がああいう顔をする時、それは決まって、なにか甘い考えで無茶をする時...!」
「二人で1人だってのに独断専行ばっかだなうちの探偵たちは...熊の置物に何もないわけがない。きっと何かあるはずだ」
置物をよく調べると、置物の仕掛けに気づく。
「あああ!お尻が...!」
尻って言うな、尻って。
「やっぱり何かあったようだな...行くぞ。また翔太郎が痛い目見る前にな」
フィリップたちは翔太郎の救助に向かった。検索によるととっくに返り討ちにされて川に落ちたとのことだったので二人に任せて俺は照井のアシストに回ることにした。
「照井!大丈夫か、って二体目のドーパント⁉︎まったく面倒な!」
とっくにラビットラビットに変身を終えていた俺は、一瞬でビーストドーパントに近づきバスターブレードモードのフルメモリバスターで斬りつける。この前やっと完成できたのだ。
『ぐっ⁉︎』
『こいつが貴方の言っていたもう一人の仮面ライダーね。行くわよ!3・7!』
ビーストドーパントの姿が一瞬で消えたかと思えば、背後から強力な斬撃が飛んでくる。
「はや...いや瞬間移動か!」
『そう、これは瞬間移動!』
『俺たちコンビは無敵なんだよ!』
次々と瞬間移動を繰り返しながら俺たちにダメージを与えていくビーストドーパント。先にゾーンドーパントとやらを倒そうとするも、邪魔をされたり光弾が飛んできて狙いが定まらない。なによりも攻撃しようとした瞬間に俺自身を瞬間移動させられて当たらない。速度では瞬間移動に追いつけないのだ。
「ほんと面倒だなこいつら!」
ゾーンドーパントが無理ならとビーストドーパントを狙うも、何回攻撃を与えようとも瞬時に回復してしまう。ただでさえミュージアム製のドーパントには弱いというのに、これではジリ貧だ。
「避けるので精一杯だ...照井⁉︎」
照井がビーストドーパントの連続攻撃を受けて変身解除されてしまう。
「照井!くっ...!」
照井を守るためにゾーンドーパントの範囲内から担いで離脱する。逃がさないとばかりにゾーンドーパントも動こうとするが、その足(足はないが)が止まる。
バイクを降りてやってきたのは探偵たち。ダブルドライバーを装着しメモリを取り出す。
『CYCLONE』『JOKER』
「「変身!」」
サイクロン!ジョーカー!
『「さあ、お前たちの罪を...数えろ」』
境界線から火花を発しつつも、なんとか変身は保てているようだ。
『やはり力を抑えるのは難しい...!』
「遠慮すんなフィリップ、お前は全開で行け!」
『翔太郎!』
「俺がついて行くから!こんなバチバチ、何て事はねえ!耐え切るさ!お前が相棒だと思ってくれてるうちは、俺は2度と折れねえぞ!」
Wはビーストドーパントを圧倒するパワーを発揮する。
『なに⁉︎』
そして2人のテンションがピークに達したとき、境界線がまばゆい光を発し、呼ばれるように謎の飛行物体、エクストリームメモリが飛来する。
「あの光...なんだありゃ?ってフィリップ⁉︎」
「う、うわぁー!ななな何じゃありゃ⁉︎な、なに⁉︎」
エクストリームメモリは倒れていたフィリップを吸収すると、ドライバーの2つのメモリの光に乗るようにドライバーとドッキングする。
エクストリーム!
ダブルドライバーを再展開する。
「何だ、この沸き起こる力は?まるで地球そのものと一体化したような...?」
「それだけじゃねえ。俺たちの、心と体も...」
「「ひとつになる!」」
エクスタイフーンから風が巻き起こりつつ、虹色の無数のアルファベットと数字がWを中心に展開していく。そして自ら境界を開き、いよいよサイクロンジョーカーエクストリームに変身する。
「だ、ダダダWが開いた⁉︎しかも中見えた!」
「おお...!」
「Wが...進化した...!」
「このW、及び敵のすべてを閲覧した」
閲覧...まさか、変身したまま地球の本棚の情報を見れるとでもいうのだろうか。
「「プリズムビッカー!」」
『PRISM』
Wは開いて現れた真ん中の部分からプリズムビッカーを呼び出し、プリズムメモリを挿して剣を抜く。
『片付けるわよ。6・5!』
ゾーンドーパントによってビーストドーパントが瞬間移動するが、全てを閲覧したWには意味がない。完全に読み切って迎撃する。
プリズム!マキシマムドライブ!
『5・3!4・5!』
繰り返される瞬間移動に惑わされる事なく、強力な斬撃を浴びせる。
『こんな傷!...傷が回復しねえ⁉︎』
ビーストの超速再生を無効化したようで、今まで一瞬で回復していた傷は一向に治らない。
『マル!この...!』
ゾーンドーパントは何度も光弾を放つも、ビッカーシールドで全て防ぎ切る。
サイクロン!マキシマムドライブ!
ヒート!マキシマムドライブ!
ルナ!マキシマムドライブ!
ジョーカー!マキシマムドライブ!
プリズムソードをビッカーシールドに帯刀し、プリズムビッカーに付いている四つのマキシマムスロットにメモリを装填していく。プリズムメモリにより四本のメモリの力が集約されていき、マキシマムドライブが発動する。
ビッカーシールドから七色の光線が飛び出してゾーンドーパントの9×9の座標がかき消されていく。そしてそのままゾーンドーパントを貫いてメモリブレイクする。
『ベル!』
そのまま四本のマキシマムドライブを発動する。
サイクロン!マキシマムドライブ!
ヒート!マキシマムドライブ!
ルナ!マキシマムドライブ!
ジョーカー!マキシマムドライブ!
『テメェ...!』
ビーストドーパントが怒りに燃えて走りだす。Wはプリズムソードを引き抜き、向かってくるビーストドーパントを一刀両断。メモリブレイクする。
「やった!」
「新しいダブルになった...俺、お前について行けたんだな」
「ああ、翔太郎。君と僕が、完全に一体化した姿だ。サイクロンジョーカーエクストリーム」
エクストリームメモリが離れ、変身が解除される。翔太郎とフィリップが分離し、その場で二人が現れる。本当に融合していたようだ。
「行くぞ」
手錠をかけ、ドーパント夫妻を連行していく照井。こうして、一つの大きな事件が、俺たちの今後を大きく左右することになる事件が終わったのであった。
「有馬鈴子の犯罪が発覚し、事件は幕を閉じた。だが、それは尾藤さんにとっては最も辛い結末だったはずだ。俺は何と言ったらいいのか...」
「しけた面すんな!」
尾藤にデコピンされる翔太郎。
「痛!...何すんだ!」
「味が落ちんだろ!」
「そうだよ翔ちゃん、甘さが逃げちゃう!ねぇ?」
「って言うか、何であんたらがりんご飴売ってんの?」
尾藤はテキ屋の親分に戻ったようだ。けれど、ほんとなんでそこにクイーン&エリザベスが加わっているのだろう。
「尾藤さんと一山当てるのよ。CDの次はりんご飴をプロデュース!」
「恐るべき女子高生だ...」
「フィリップ君が食べないなら、私が貰ってあげる!」
フィリップはりんご飴を奪われてしまう。そんなにりんご飴食べたら腹壊すぞ。
「こんな所でCD売っちゃ駄目だよ⁉︎」
ガヤガヤと賑やかだ。ますます翔太郎の目指すハードボイルド像から遠ざかっていく...
「いいか、事務所潰したらいかんぞ。後が無い」
またもデコピンを打ち込む。
「あ痛!...おお」
「おい、お前がくれた旦那の形見。大事にすっからよ」
形見ってのは写真と熊のことだろうか。そういえばいつのまに尾藤回復したんだろう。元気に帰っていった。
「俺とフィリップは新しい力を得た。これからも俺は必死で走るしかなさそうだ。追いつかれれはいけない人が、たくさんいるからな...」
「そういえば翔太郎!あれはいったいなんだ!二人が一人に合体⁉︎かんっぜんに物理法則を無視している!いや精神だけ飛ばすとかも意味分かんないけど!全て閲覧したんだろうフィリップ!説明してくれ!」
「ん?なんの話?」
「ちょっと戦兎!こっちこいこっち!」
無理やり翔太郎に引っ張られる。
「なんであそこでWの話する!クイーンとエリザベスがいるじゃねぇか!バレたらどうする!」
「やっぺ忘れてたごめん!」
「合体ってなんの話?あっ、わかった!」
「「やべっ⁉︎」」
「なんかのアニメの話でしょー!あっ、それとも特撮?とかいうやつでしょ!意外と子供じゃーん!」
「………」
俺たちは必死でそっち方向に話を逸らそうと、アイコンタクトを取った。
「なんかWが進化したようだぜ?」
「らしいな」
「随分と人ごとだな」
「だって関係ないし」
「まぁそりゃそうか」
「まぁエクストリームでこっちがやられる可能性を考えないといけないのはちと面倒だがな」
「でもなんかメモリ解析して能力無効化するらしいぞ」
「…まじ?」
「マジだ」
「……多分大丈夫だろう。サイエンスのメモリの情報は地球の本棚には無い。解析できなければ無効化できない。あくまで解析が本体のようだし、解析できなければスペック差でごり押せる」
「なるほどね。サイエンスのメモリのデータはお前の中にあるからな」
「心配しなくていいだろう。まずすべきことは、ブリザードの奪還だ。ビルドを強化して倒してもらおう」
「頑張れよ」
「お前こそ人ごとみたいに...もういねぇし」
神出鬼没の石動の姿はもうない。
「いつのまにか消えてるし何してんだよあいつ...今度発信機でも付けとくか」
今もどこで何をしてるかわかったもんじゃない。あいつの手綱は最後まで握っておかなければ、計画は完成しない。
「この地球は、絶対に破壊させない」
XTREME de chikyu to tsunagatta W.
Soredemo science no memory no kiroku wa yomukotoga dekinakatta.
Wのエクストリーム回はあまり改変したくなかった。
いつかプリズムビッカーの四本マキシマムとフルメモリバスターの四本マキシマムを同時に撃ち込んでみたい。