仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
原作37、38話です。
「もう、うるさいな!一体何の騒ぎだい?」
「騒ぐのはいいけどもう少し静かにやってくれないかな...」
フィリップと共にガレージで作業していたが、事務所の方があまりにもうるさすぎて注意しに来た。ってか誰だこのおっさん。
「君...どうしてこんな所に⁉︎それに葛城も...」
「え⁉︎」
「あ、いや...」
「アンタ、フィリップと戦兎の事を知ってるのか?」
「いや、知らない!人間違いだ」
「って言うか、あなた誰ですか?」
「人を探して欲しいんだ。10年前に別れた私の家族...」
…この人を前に見たことがある。そんな感覚が、数少ない俺本人の記憶からきていた。
「フィリップ君!最高の笑顔で...!」
「僕はいいよ」
翔太郎が調査に出かけてからしばらくすると、亜樹子が写真を撮り始めた。
「このホームページ作りには、事務所の命運がかかってるの!だから協力してよ...」
「組織にバレたらまずいんだってば」
「ああ、そっか...ううん」
今それ撮る必要ある?依頼人写り込むぞ。
「あ、翔太郎君ならもうすぐ帰ってくるんで、こちらでお待ちください!」
「はい」
「すいません、コーヒー入れてきます」
その時、フィリップのスタッグフォンに着信が入る。
『助けて、フィリップ君!』
「若菜さん⁉︎一体どうしたんです⁉︎」
相手は若菜。しかも何か切迫した様子らしい。
『ずっと誰かに尾けられてるの。怖い...』
「今、どこにいるんですか?」
『風都大橋の上!すぐ来て!』
「もしもし?もしもし⁉︎」
切れてしまったようだ。
「若菜姫に何かあった?」
「若菜?園咲若菜の事か...?」
「とにかく行ってみる」
「あ、君...余計なお世話かもしれないけど、やめた方がいいな」
「何故?」
「あ、いや...」
とっさに止めに入る依頼人。けれど、すぐ引き下がった。何を知っているのだろう、この人は。
「これが、奥さんと息子さんの現在の住所です」
調査が終わったらしく、翔太郎は依頼人に調査報告していた。
「ああ、助かった。ありがとう...じゃあ、私はこれで」
依頼人がそそくさと出て行こうとすると、入り口でフィリップと鉢合わせする。
「あ、フィリップ君おかえり。若菜姫どうだった?」
「ああ、大丈夫」
「ああ...それじゃ」
フィリップや若菜のことが話題に上がると、やはりよそよそしさを増す依頼人。
「待って下さい。あなた、やはりフィリップの事を知ってるんじゃないですか?」
「どういう事だい?翔太郎」
「この人は有名な脳科学者だ...そうですね?山城博士」
「脳科学者...この人が?」
あーだから見覚えあったのかもしれないな。
「しかも、あなたは10年前に死亡したことになっている」
「え?」
「それだけじゃない。当時あなたと似たような状況で、少なくとも8人もの人間が消えている。その全員が...科学者だ。教えてください博士。あなたに何があったんです?」
「言えない...」
秘密にしておこうとする山城だが、照井が現れて話を引き継ぐ。
「だったら俺が代わりに答えよう。あなたはある組織に連れ去られ、強制的に研究をさせられていた...そうですね?」
「...そうだ。私は家族に会いたくて逃げ出してきたんだ。でも、見つかればきっと命はないだろうね」
「博士...あなたを追ってる組織って」
「ミュージアム...すなわち、園咲琉兵衛。琉兵衛だけじゃない。園咲家の血族は全て、組織の中枢を担う幹部。ガイアメモリの流通を取り仕切っている」
「じゃあ、若菜姫も...?」
フィリップにとってこれは、とても辛い真実だろう...
早速、黒幕について検索をかけようとするフィリップ。
「検索する項目は、『園咲琉兵衛』。キーワードは、『ミュージアム』...っ⁉︎」
「おい、大丈夫か?」
「ああ...本棚がフリーズして弾き出された。園咲琉兵衛に関する情報は、僕には閲覧不可能だ」
「これで決まりだな。琉兵衛の名は何度か捜査線上に浮かんではいたが、奴を追い詰める証拠は何一つ残らない。裏で政治家やマスコミを操ってる可能性もある。とんでもない怪物だ」
これで黒だということは確定したが、逮捕するには証拠が足りない。
「どんなに巨大な悪だろうと、そいつがこの街を泣かせてんなら、俺は絶対に追い詰めるぜ」
「大変!あの博士、消えちゃったよ!」
「何だと?」
「おい亜樹子!見張ってろって言っただろ!」
家族を探しに出てしまったのだろうか。
『HOPPER』
『いただきます』
ホッパードーパントが今まさに山城博士に襲いかかると言う所に到着し、そのままハードボイルダーとマシンビルダーで跳ね飛ばす俺たち。
「フィリップ!」
『ああ、分かった』
『JOKER』 『RABBIT』『RABBIT』
「変身!」 「変身!」
『「さあ、お前の罪を数えろ!」』
「おお...やはり彼らが仮面ライダー」
山城博士今『やはり』と言ったな。やっぱり何か知っているようだ。
Wはホッパードーパントの素早さに翻弄されているも、俺ならその速さに追いつける。Wに襲い掛かるホッパードーパントをフルメモリバスターで斬りつける。
『やるね』
「だったらこっちも全力で行くぜ」
Wはキックの体勢に入ったホッパードーパントをエクストリームメモリで叩き落とし、そのままエクストリームに変身する。
エクストリーム!
「敵の全てを閲覧した。プリズムビッカー!」
全てを閲覧したため、カウンター攻撃もお手の物。ホッパードーパントの動きに翻弄されることもなく返り討ちにしていく。
サイクロン!マキシマムドライブ!
ヒート!マキシマムドライブ!
ルナ!マキシマムドライブ!
ジョーカー!マキシマムドライブ!
『「ビッカー・チャージブレイク!」』
一気に決めようとするが、メモリを4本挿したりと準備している間に隠れていた山城を人質に取られて盾にされてしまう。やはり4本必ずメモリを入れないといけないのは面倒だ。準備に時間がかかりすぎる。
「汚えぞ!」
『ハハハ...私の食事を見てなさい』
「やめろ、化け物!」
『ひど~い!あなたが私を造ったんでしょう?』
「なに⁉︎」
『ミュージアムでさんざん美味しい思いをしたくせに。ほら、そいつの片割れの記憶も消したじゃない!』
「え...?」
『裏切り者、いただきま~す!』
始末されてしまうか、と言うところで割って入るアクセル。
『また食事の邪魔?』
「さっきの礼をさせてもらう!」
アクセルは果敢にホッパードーパントに立ち向かう。それとは対称に、Wは戦意を失っていた。
「あなたがフィリップの記憶を...?本当なのか⁉︎」
「あ、ああ...すまない」
「フィリップ...」
珍しく取り乱し、山城博士に掴みかかるフィリップ。
『僕の記憶を消した...?何の記憶を⁉︎』
「それは...家族の記憶を」
『家族...?』
そう言えば以前『家族』で検索をかけたらページが破り取られていて読めなかったことがあった。あれはいつだっただろうか...そうだマネードーパントの時だ。
『TRIAL』
トライアル!
アクセルはトライアルに変身する。トライアルになったことでホッパードーパントの速さに追いついている。しかし、その分パワーダウンしてしまっているため、トドメを刺すことはできない。
「逃がしたか...」
やはりトライアル一人では倒し切ることができず、逃げられてしまう。
「おお、助かったのか!」
「山城博士...どういう事だよ?あんた、無理やり研究させられてたんじゃないのか?」
「園咲琉兵衛は、私の研究に必要な施設と予算を、全て用意してくれた。科学者としてはね、そんな魅力的な誘いを、断れるわけがない!」
「あんたなあ!」
「君もそうだったんじゃないのか!葛城巧!」
「え...?」
こいつ何を言って...
「博士...僕の家族を知ってるんですか?」
「あ...?」
「どうなんです?」
「...知らない。私はただ...記憶を消しただけだよ。詳しい事は、何も知らない」
「署に連行する。ミュージアムについて知っている事を、じっくり聞かせてもらうぞ」
山城が連行されていく。
「お、おい...さっきの話はいったい...?」
「悪い戦兎、後で話すつもりだったんだ」
「俺が...ミュージアムに?」
「連れ去られた科学者は少なくとも8人、そう言っただろ?そのうちの一人は葛城巧、記憶を無くす前のお前だった」
だから、山城のことを知っていたのだろうか。ミュージアムの中で、知り合っていたのだろう。
「山城みたいに何かやっていたってことか?俺が?」
「過去なんてどうでもいいだろ。お前は桐生戦兎だ。過去は過去、今は今。今仮面ライダーとして人のために戦ってる。それでいいだろ」
…確かにそうなのかもしれない。けれど、そうだと簡単に飲み込むこともできなかった。
「フィリップ君、昨日寝てないみたい。大丈夫かな?」
「急に家族の記憶を消されたなんて言われちゃあ、誰だって動揺するさ。しばらく、そっとしておこうぜ」
俺は寝れたがあまり熟睡は出来なかった。葛城巧のころ、俺は何をしていたのだろう。それだけが頭を巡っていた。
「写真撮ろう!」
「...写真?」
「ねぇ、撮ろう撮ろう!」
「あ、おい!」
「ほら、フィリップ君も戦兎君も一緒に!」
「おい、亜樹子...」
「だって、今まで四人一緒に撮ったこと無いじゃない。それに、私たちだって家族みたいなもんだし」
「...だな。おい、フィリップ、戦兎」
「ああ」
「よし!」
『BAT』
バットショットを起動する。三脚もいらないし自動で撮れるしなかなか便利だ。
「はい、もっと寄って寄って!」
「よし、撮るぜ!」
「はい、チー...うわっ!」
さあ撮るぞと言うところでスタッグフォンが突っ込んでくる。
「ああ...これはひどい!」
一応撮れたが、かなりズレている。
「すまない、電話みたいだ」
飛んでいるスタッグフォンを取り、電話に出るフィリップ。
『フィリップ君』
「若菜さん⁉︎」
『この前の約束、覚えてる?』
「約束...」
『この街から一緒に逃げて...』
「え?」
『どこか知らない場所で、あなたと2人で生きたいの...』
「でも、あれは...」
『今日の午後2時、風都駅に来て...待ってるから』
「あ、若菜さん⁉︎」
電話が切れてしまう。
「フィリップ君、どうする気?まさか、若菜姫と一緒に街を出るなんて言わないよね?」
亜樹子は先程撮った写真を印刷し、それを渡す。
「一緒にいよう?」
どうにかフィリップを引きとめようとする。
「若菜さん...とても真剣だったんだ」
「彼女は、園咲家の人間なんだよ⁉︎悪の組織の大幹部なのよ⁉︎罠よ...行っちゃ駄目!絶対駄目だからね!」
必死に説得をする。
「翔太郎君も戦兎君も、黙ってないで止めてよ!」
「これは...フィリップが決める問題だ」
「フィリップの自由にしてやったらいい」
「…はあ?何言ってんの⁉︎」
「男の仕事の8割は決断。後はオマケみてえなものだ...どうすんだ?フィリップ」
「翔太郎、戦兎、亜樹子ちゃん...君たち3人は、僕の大切な仲間だよ。かけがえのない家族だ。君たちと別れるなんて、有り得ないよ」
「フィリップ君...!」
「でも若菜さんを放っておく事もできない!ああ...!」
「結局、まだ決めてないんかい!」
スパーン!とスリッパの攻撃がフィリップの頭に命中する。
「ああ、どうしよう...どうしよう...!」
ただただ悩むフィリップ。
「あ、もう少しで約束の時間だ!」
「仕方ねえ...とりあえずは、駅まで行くしかねえだろ」
「え⁉︎」
とりあえず駅まで行って、現地で決めればいい。時間を過ぎてから決断しても遅いのだ。俺たちは風都駅へ向かう。
「若菜さん、まだ来ていないみたいだね」
「結局どうするんだフィリップ。若菜と一緒に行くのか?」
「それは...」
そこに、亜樹子から着信がくる。
『翔太郎君!山城さんが、大変なの!病院...戦兎君とフィリップ君に、どうしても伝えたいことがあるって!』
「山城が戦兎とフィリップに?」
『風都中央病院に今すぐ向かって!』
「分かった。フィリップ、行くぞ」
「…ああ」
もうすぐで約束の時間だ。もしここで入れ違いになったら最悪だ。けれど、呼ばれてしまったからには仕方ない。風都中央病院に急いで向かった。
受付で山城の病室の場所を聞き、中に入る。
「亜樹子!博士は?」
「遅いよ!先生、来ました」
「葛城...フィリップ...」
山城の近くへ寄り、話を聞く。
「山城博士...」
「私は、本当に自分勝手な人間だった。許してくれ...」
「僕に伝えたいことって何ですか?」
「それと俺に伝えたいこともだ。なんなんだいったい」
「さっきは...すまなかった」
「…なに?」
「君は私とは違った...無理やり連れ去られて...強要させられていた...それでも君は抵抗し続けていた...」
「…そうなのか?」
「そしていつのまにか君はいなくなっていた...大事なクライアントとやらに引き抜かれたとかいう噂を聞いて、死んだと思っていた...生きていてよかった...」
「山城博士...」
「そしてフィリップ...君の、君の本当の名前は...園咲...来人」
「それじゃ、フィリップは...」
「園咲琉兵衛の...実の...息子」
それを告げた瞬間、力を失う山城。
「山城さん⁉︎」
「僕は、園咲...来人...」
「フィリップ君...」
「僕は決めた。若菜さんと...この街を出る」
「フィリップ...それが、どれだけ大変で、どれだけ危険な事か。分かった上での決断なんだな?」
「ああ。彼女は苦しんでる、僕が支えてあげなくちゃ。だって、家族だから」
「…なら、俺は何も言う事は無え。さあ、早く行ってやれ」
フィリップの決断を尊重する翔太郎。
「家族との再会、楽しんできなね」
フィリップにとっては、久しぶりの家族との再会だろう。俺らがそれを止めることはできない。
「さよならなんて言わないから」
悲しいながら受け入れようとする亜樹子。
「亜樹ちゃん...じゃあね」
フィリップは駅へと走っていった。
「フィリップ君、今頃どうしてるかな?」
「そりゃ、お前...電車の中だろ」
「だよね...」
送り出したはいいが、やっぱりいなくなってしまうと悲しくなってくる。けれど、フィリップの出した選択だ。引き留めたくはない。
「フィリップがいないということはWになれないということ...俺とアクセルだけで戦うことになるのか」
俺はミュージアムのドーパントには勝てない。そこをどうにかしなければ、Wの代わりは務まらない。
「フィリップ?...どうした?」
いつのまにかフィリップから電話が来ていたようだ。どうしたのだろう。
『翔太郎、変身するよ!』
「おい、何があった?」
『いいから!』
「分かった」
ドライバーを装着し、変身の体勢へ。
『JOKER』
「変身!」
「いったい何が...行くしかないか!」
マシンビルダーを起動して急いで駅へと向かう。多分、そこにいるはずだ。
『RABBIT』『RABBIT』
ラビット&ラビット!
「へんし...ん⁉︎」
走りながら変身しようとドライバーを展開し、ハザードメモリの挿さったマキシマムスロットを叩こうとした瞬間、少し先の地面に何かがぶつかり粉塵が舞う。ギリギリで急ブレーキが間に合うも、横転しマシンビルダーから投げ出される。
「いつつ...今のってトランスメモリーガンか?」
「ご名答」
トランスメモリーガンを構えた佐藤太郎がこちらに向かって歩いてくる。
「悪いな、今こっちは急いでるんだ。さっさと消えてもらうよ」
ガタガタゴットン! ズッタンズタン!ガタガタゴットン! ズッタンズタン!
「変身!」
オーバーフロー!
紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!
ヤベーイ!ハエーイ!
ウサギ型の赤い装甲が独りでに自らの体に装着されていく。
「逃がさないよ」
『TANK』『TANK』
タンク&タンク!
「変身」
オーバーフロー!
鋼鉄のブルーウォーリア!タンクタンク!
ヤベーイ!ツエーイ!
青い戦車型の装甲が浮き上がり、そこに向かって飛び跳ねるように装着していく佐藤太郎。
「…なんでそんな無駄な動きしてるんだ?」
「お前もいつかするようになるよ」
なるわけないと思う。勝手に装着されていくのにわざわざ自分から着けに行く意味ないし。っととそんなこと考えている場合じゃない。さっさと倒してフィリップのところにいかなければ。
「フルメモリバスター!」
「フルボトルバスター!」
お互いに全く同じ武器を取り出す。
「…こっちじゃメモリか。ボトルって言っちゃうの癖だな」
「お前もそれ作ってたのか。じゃあいくぞ!」
一気に近づき、バスターブレードモードで斬りつける。ただのキックやパンチではタンクタンクの装甲に太刀打ちできない。武器で関節部分の装甲の薄いところを重点的に狙うしか、タンクタンクを倒す方法はない。
「ハッ!オラッ!!」
「流石に速いな。全て避けられるか」
近づきすぎるとカウンターが飛んでくるも、高い機動力を活かして避け切る。弱点一点狙いでヒットアンドアウェイで着実に相手にダメージを蓄積させていく。こっちは紙装甲。一撃喰らえば終わりだと思え。なら全て避け切る!
ラビット!マキシマムドライブ!
タカ!マキシマムドライブ!
ジャストマッチデース!
カウンターを上手く躱しながらメモリをセットしていく。
「ハァッ!!」
ジャストマッチブレイク!
ラビットメモリとタカメモリの力で大きく跳躍し、タンクタンクの首を狙う。
「跳んだのは間違いだったな!!」
タンクタンクはフルメモリバスターをバスターキャノンモードに変え、装甲に付いている砲台と合わせて射撃する。跳び上がっている俺はそれを避けることはできない。誰かに守ってもらえない限りは。
「クローズドラゴン!」
背中のスロットにそれぞれドラゴンメモリとマグマメモリをセットしたクローズドラゴンが、飛んでくる弾を燃やし、溶かしつくす。メモリをセットする時に二つのメモリを背後に放り投げておいたのだ。クローズドラゴンたちは自分でメモリを装填し、守ってくれる。
「セイヤーッ!!」
首めがけて勢いよくフルメモリバスターを振り抜く。しかし、すんでのところで腕を間に割り込ませられたようで、受け止められてしまう。
「っ!」
タンクタンクは受け止めたフルメモリバスターを掴み取り、俺の頭めがけて蹴りを放つ。
「あっぶね⁉︎」
フルメモリバスターをバスターキャノンモードに変えて持ち手を下ろすことで、頭の位置を下げてなんとか蹴りを避ける。そしてそのまま引き金を引き、掴む手を無理やり離させる。
「なぁ、ひとつ聞いていいか?」
「なんだ」
斬りつけながら質問をする。
「葛城巧はミュージアムに捕らえられて無理やり何かの手伝いをさせられていた。けれどしばらくするといなくなってしまったそうだ。大事なクライアントとかいうやつに引き抜かれたらしい。その大事なクライアントとやらはお前らのことか?」
「そうだ」
「なぜそんなことをした!」
「そりゃあお前が必要だったからな。ミュージアムで使い潰されちゃたまらん」
「俺に仮面ライダーになってもらうためにか!」
「それは手段に過ぎん。目的は、とある男を倒すため」
「…なに?」
想像していなかった答えに一瞬体が硬直する。でもそれも一瞬で、すぐさま攻撃を再開させる。
「でもそれはまだ先の話だ。お前にはもっと強くなってもらわなきゃなんない。さぁ、俺を倒してみろ!」
「お前の目的なんて知ったこっちゃない。だけど!お前はこの町を害する存在だ!ミュージアムもサイエンスも!全部潰す!」
ラビット!マキシマムドライブ!
パンダ!マキシマムドライブ!
タカ!マキシマムドライブ!
ミラクルマッチデース!
バスターキャノンモードに切り替えてタンクタンクを狙う。
マグネット!マキシマムドライブ!
タンクタンクもモード変更し、マグネットのマキシマムを発動させてこちらに銃口を向ける。
ミラクルマッチブレイク!
フルメモリブレイク!
赤、白、橙色が混ざった大きなエネルギー弾が発射される。対するタンクタンクは、青いエネルギー弾を放ち、そこから磁界を発生させて、周囲の金属製のものを引き寄せて盾にする。大量の金属の壁を貫き、エネルギー弾がタンクタンクの目の前まで飛んでいく頃には、もうほとんど威力を失っており二、三発撃ち込めば相殺することができた。
「ギリギリ耐えれたか...」
タンクタンクは辺りを見渡す。けれど、どれだけキョロキョロと見渡しても、見えるのは先ほど盾に使い、爆散した金属壁のみ。
「……まさか、逃げられたか」
「逃げ切れたか...」
タンクタンクがマグネットメモリでマキシマムをしようとしていたのを見て、俺は瞬時に意識を切り替えた。倒すのではなく逃げる。マグネットを使った時点で、金属の壁を作られて防がれるのは明確だった。あの攻撃では、タンクタンクを倒せない。
そもそも、俺の目的はフィリップのもとに向かうこと。すでにサイエンスを潰すと大見えを切っていたので、偶然だが逃げる選択肢を取らないと佐藤太郎に錯覚させることができていた。ラビラビの機動力ならば逃げる事は容易。金属の盾で俺の姿が見えなくなるうちに俺はさっさとその場所を離脱していたのだ。
俺は走って駅に向かう。マシンビルダーは乗り捨てたままだ。そもそもマグネットに巻き込まれているだろうから使えるかわからない。後で戻って修理しないといけなさそうだ。
ファング!マキシマムドライブ!
「あれか!」
俺が到着した時、マキシマムでマスカレードドーパントを一掃し、クレイドールドーパントと向かい合うWの姿があった。
「教えてくれ。何があったって言うんだ⁉︎」
『私の使命を理解しただけよ!』
そのまま攻撃を加えてくるクレイドール。前に戦った時よりもパワーアップしているようで、ファングでも受けきれず変身解除させられてしまう。
『来人...あなたも自分の使命を思い出しなさい』
それだけ言って去っていく。
「フィリップ...」
フィリップはただ、慟哭の叫びを上げるばかり...
「フィリップは、またここに戻った。でも、奴にとって状況は全く変わってしまった。受け止めるには、その現実はあまりに過酷で...」
いつものように報告書をまとめる翔太郎だが、少しテンションは落ち込んでいる。それとは対照にテンションの高い亜樹子。
「出来た~!ついに、ホームページを立ち上げたわよ!これで、依頼倍増間違いなしね!」
「んなー⁉︎全くハードボイルドじゃねえ!」
ハードボイルド関係なくこのホームページは使いたくない...俺がやった方が何万倍もいいと思う。
「本当はこの写真、使いたかったんだけどね」
「お前、これ撮るの失敗してんじゃん」
めっちゃブレまくってるぞこの写真。
「いい写真じゃない!いかにも、うちの事務所らしくて」
「まあな...」
「ハーフボイルド感がうまい具合に出てるな」
「ハーフじゃねぇ!」
「フィリップの本当の名前は、園咲来人。でも俺が葛城巧じゃなくて桐生戦兎だというように、俺たちにとって、やっぱりフィリップはフィリップだ」
「お前それ俺が言おうとしたこと...」
過去がなんだろうが、今は今。この仲は、誰にも引き離せない。
「あれっておかしいのかな...」
「なんの話してんだ?」
「タンクタンクになる時に飛び上がるの無駄だって言われた」
「無駄だろ。最後に変身した時走りながら装着してただろ?あれでいいだろ。わざわざ飛び上がる必要性なくね?」
「あれを利用して高く飛び上がるとか色々活用方法あるんだよ」
「でもそれって普通に変身する時にはしなくて良くね?」
「………」
「黙っちゃったよこいつ...」
「いいじゃん別に。どうせあいつもいつかやり始めんだ」
「いや無駄なのには変わりないし。まぁやりたいってんならいいけどよぉ。て、ん、さ、い、さん?」
「くっそ煽ってきやがるこいつ...」
そんなに悪いことかな...とか思う佐藤太郎だった。
Sukoshi zutsu omoi dasarete kuru Katsuragi Takumi no kioku.
Hutatsu no kioku wa dochira ga hontou no ore no kioku nanodarou.
あんまり原作と変わらないけど、セリフが7人から8人になってたりとところどころ変えてます。
葛城がいたら絶対ミュージアムに連れてかれると思うけど、協力は多分しないと思う。
戦兎がラビラビorタンクタンクなる時自分から装着しに行くのって何か理由あるんだっけ?