仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合 作:ダイヤモンドリリー
原作39、40話。
そこまで大きく内容は変わってません。
「フィリップ、あんまり1人で思いつめんなよな?若菜姫のこと」
やはりまだ少し思い詰めているようだ。
「...問題ない」
「あ!かわゆくないぞ、そういう態度は!今、何か言いたかったんじゃないの?」
亜樹子が若干めんどくさい感じで絡む。
「別に。彼女のことは心の整理がついた。人の心の闇を増幅させるのがガイアメモリの魔力、彼女はそれに負けたのさ。仕方ないさ...」
「でも、相手は家族でしょ?」
「放っといてくれ」
なお執拗に絡んでくる亜樹子。あまり深く踏み込み過ぎると痛いめ見るぞ。
と、そこで呼び鈴が鳴る。
「はーい、開けまーす!どうぞどうぞ」
「調査を...依頼できますか?」
女性の依頼人がやってきた。それを見て、毎度のごとく格好をつける翔太郎。
「あ...依頼の内容は?」
「私、Tジョイ風都に勤めてるんですけど」
「あー!映画館でしょ!知ってる知ってる!あたしよく行く!あなた窓口で見たかも!...で、何があったの?」
「劇場で、覚えのない私の主演映画がかかってるんです!」
「…は?」
俺たちは依頼人、虹村あいの勤めるシネコンへ行った。その中で、突然あいさんソックリの女の子が出てくる映画がかかる。始まったら最後、終わるまで出られないとか。
「ああ、いや...だからその。何と言うかですね...」
「許可できません」
「いいじゃないですか!調査ぐらい!」
「他のお客様の迷惑ですから。お帰り下さい」
支配人に調査をすることを伝えると、断られてしまう。そのまま放置してていいのか?
「ああ、もう先輩。パンフ運ぶときには誰かに声かけるようにって言いましたよね?...またダンマリ?信じられない。フン」
なんかすごい音がしたと思ったら、従業員が盛大にすっ転んでいた。
「透くん!」
「あ...虹村さん」
すっ転んだ従業員のもとに駆け寄るあいさん。
「私も運んであげるから。さ、立って」
「ほぉ...彼、あいさんの事好きなんだ。君、あいさんの同僚?アワアワしちゃって、大丈夫?」
そんな感じでからかう亜樹子。なんか今日はちょっといつにも増してめんどくさい。
すると透と呼ばれた男は何やらスケッチブックを出して、何か書き始めたと思うと...端の方に小さく何か書いてあった。どれどれ...?
『問題ない』
「って、どんだけ人見知りやねんアンタ⁉︎字ちっさ!」
「この人も、本音を溜め込むタイプか...」
「な⁉︎おい、亜樹子。おい!」
「ん?」
「観てえ...風の左平次THE MOVIE!それも3Dだと⁉︎亜樹子!これ観よう、これ!」
時代劇で3Dやるのか...
「今は、どうやって捜査するかっていう大事な問題よ!」
「いや、こっちも大事だぞ!」
「あ...」
亜樹子が何やら閃いたらしい。ささっと必要なものを買ってきて戻ってきた。
「探偵さん!まだ居たんですか!?本当に困...」
支配人に呼び止められるも、今さっき亜樹子から受け取ったものを見せる。
「お客様は、神様です。ほな!」
パンフとチケットを見せつけ、3Dメガネを装着する。潜入調査が駄目なら、堂々と客として入ればいいという魂胆だろうが...目的と手段が入れ替わってないか?調査が映画の二の次になっていそうだ。ってか俺も見るの?
目的のシアターの中に入る。客俺らしかいねぇじゃん。
「左平次3D、飛び出してこい!左平次、GO!」
やっぱ映画見たいだけだろこいつ。だけどこれ本当に時代劇?時代劇ってこんなのだっけ。
「…あ?おい亜樹子、これどう見ても3Dじゃねえよな?」
「これよ!これが謎の映画よ!どう見てもあいさん本人じゃん、これ!」
「『ジェシカの彷徨と恍惚 傷だらけの乙女は何故西へ行ったのか 漂流編』...タイトル長っ!」
本編が始まる。
『どこへ行く?ジェシカ』
『どこへ行く?』
『彼方へ...私の道を、切り開く』
「はぁ...独りよがりなムードだ。駄作のオーラが出まくってるぜ。じゃあな」
出て行こうとする翔太郎。
「あ?出口がなくなってる⁉︎」
どうやら犯人は、なんとしてでも俺たちにこの映画を見て欲しいらしい。
「ふわぁ...眠い...」
昨日徹夜で壊れたマシンビルダーを直してたから睡魔が...映画がつまらないのもあり、眠気に逆らうことなんて出来ずに俺は眠りについた。
「あ!ついに来たか⁉︎クライマックス!」
そんな翔太郎の声で目が覚める。いやーよく寝たよく寝た。
「こんなに長いのに未完かよ...?頭来た!」
「未完...?うわ7時間以上経ってる⁉︎そんな長い間やってたのこれ⁉︎」
「おい!責任者出て来い!」
と、翔太郎が怒りを露わにすると、いつの間にか隣にドーパントが座っていた。
「で、出たー!ドーパント!」
慌てて逃げようとするも、どうも動きがぎこちない。出入り口は謎の壁で塞がれているし、これなら変身しなくても追いつける...そう思った矢先、出口の謎の壁を観葉植物に変化させ、それをどかして出て行ってしまう。
「何だあいつ...?今、何をした⁉︎」
翔太郎は、すぐさまフィリップに連絡する。
「フィリップ!」
『壁が植物に?それは興味深い。敵の特徴を教えてくれ。地球の本棚に入る』
フィリップにキーワードを伝える間も、ドーパントを追い続ける。
「この映画泥棒!」
『絞れないな。植物を生物に...?『変換』を『組み換え』にキーワードを変更...見つけた』
「なんのメモリのドーパントだ?」
『犯人が分かった。ジーンというドーパントだ。ジーンとは遺伝子、つまり奴は遺伝子を組み替えて別のものにする事が出来るんだ』
「こいつは相当な変り種だ...」
「ってかどこ行ったあのドーパント?」
追いかけていたが、見失ってしまった。逃げ足速いな。
「いや、まだ近くにいるはずだ」
「…確かに、ドーパントが逃げたにしては騒ぎになっていない。この辺に隠れてる...?」
あんな形のドーパントだが、人前に姿を晒せば少しは騒ぎになるはずだ。それがないということは、だ。
「生体組織に別の何かに加えたりすれば、好きな形に変えることができる。自分の体もな」
そう言いながら支配人の肩をたたく翔太郎。
「全力疾走してきたみたいに汗まみれだな?マネージャーさん。それに、本物はあっちじゃないのか?」
翔太郎の指差す先には、支配人がもう1人いた。あっちが本物だろう。逃げようとする汗だくの方を捕まえて殴ってみると、本来のジーンドーパントの姿に戻る。
するとジーンドーパントは、ポップコーンのカップに何かを加えてかき混ぜると、辺りにそれをばら撒いた。
「あ、何だこれ?痛!」
「なんだこれまきびし⁉︎面倒な!」
こんなことまで出来るとは驚きだ。だけど、逃げ足は遅いし今度は見失うことはなかった。何故か逃げ場のない屋上に逃げてしまったドーパントに追いつく。
「フィリップ!」
『JOKER』 『RABBIT』『RABBIT』
「変身!」 「変身!」
変身すると、逃げ回るジーンドーパント。全く攻撃してこない。攻撃能力はあまりないのだろうか。
「おい!待てコラ!ったく、ジタバタすんな!」
逃げ回るドーパントに追いつき、すっ転ばせる。
「ったく...さあ、観念しな」
ジーンドーパントはまたしてもまきびしを投げて地味な反抗をする。
「痛えな!」
「よっと!」
フルメモリバスターを取り出して遠距離から撃ち込む。サイエンスのドーパントと比べると効果は薄いものの、素の威力が高くなっているため大きく吹き飛んでいく。
『HEAT』
ヒート!ジョーカー!
その隙にWはハーフチェンジをして、熱でまきびしを焼きながら近づきジーンドーパントを捕まえる。
「痛えなコラ!どうだ?熱いだろ?」
直接熱を流し込もうとするWだったが、ジーンドーパントは落ち葉をWの右手に当てると、その能力により右手が牛のぬいぐるみに...へ?
「うわー!手がー!ててて手がー!うしくんに⁉︎やっべー!」
『翔太郎!落ち着いて!』
「あんなことまでできるのか...すごいな。質量保存とか色々と無視している」
「俺の手が?手がうしくんに?手が牛?手⁉︎ああ!」
それにしても取り乱しすぎだろ。
『翔太郎!メモリチェンジだ!』
『LUNA』
ルナ!ジョーカー!
牛の手のまま器用にメモリを起動すると、そのままハーフチェンジをする。ソウルサイドがルナに変わる時に、牛の手も元に戻っていた。
「あいつコッソリ逃げようとしてるぞ。とっ捕まえてやれ」
コッソリと逃げようとするジーンドーパントをルナの伸びる腕でひっくり返し、ひっぱたいてやると変身解除する。
「お前...!」
ドーパントの正体は、従業員の...透とか呼ばれてたやつだった。
「君だったのね、犯人は!没収!」
「か、返せ!」
メモリを没収することができた。あとはこれを壊せば万事解決だ。
「そんな、河合くんが...怪物?」
あいは困惑するが、無理もない。こんな人があんなことするなんて普通思わない。
『上映館のナンバーを偽装して、使っていない試写室に誘い込んだんだ。そして、壁を作って閉じ込めて自分の映画を見せる』
「ちょっと待って!まさか、あの映画のあいさんは...」
『そう、彼が自分を組み替えて演じてたんだよ』
「え~⁉︎じゃあ、あの映画って監督も、主演女優も、撮影も全部君1人って事なの⁉︎」
「どういう事なの⁉︎河合くん」
「それは...」
「引っ込み思案にも程があるよ!そんなの、あいちゃん本人に頼めばよかったじゃん!」
「やれやれだ、後は照井の仕事だ」
『そうだね。メモリに心を奪われた人間には、もう何を言っても無駄だ』
「ちょっと待って!」
「え?」
「私、考えがある!だから警察に連れて行くのは待って!」
なんかすごい嫌な予感が...
「どこへ行く、ジェシカ」
「どこ行くんすか⁉︎」
「彼方へ!私の道を、切り開く!」
「…カット」
「監督はもっと腹から声出せー!」
「え、カッ!...ト」
「はぁ...最っ悪だ...」
俺たちは、なぜか映画を撮らされていた。ほんとなんで?
「あのさあ!何で俺、こんな事してんの⁉︎」
「はーい!ボキも暇そうに見えて、暇じゃ無いんだけどな~!」
「おい亜樹子、こりゃ一体どう言うつもりだ?何で...痛!」
あちこちから亜樹子への非難が聞こえてくるが、スリッパ攻撃で一蹴。
「亜樹子プロデューサー!あるいは、可愛らしく亜樹Pと呼ぶこと!」
「亜樹P?」
皆いっせいに首をかしげる。
「いい?これはね、映画製作を通じた透くんの社会復帰計画なの。彼ね、センスは良いと思うんだ。だから、みんなで未完の映画を完成させてあげて、ガイアメモリの魔力に打ち勝つ心を作るの!」
「この映画でか?」
そう言いながら台本を出す照井。
「『聖戦士・ジェシカ』...?」
「ヒロイック・ファンタジーの決定版よ。無駄なシーンは全部省いて、理想の映画尺、90分にまとめ直したわ!」
7時間超を1時間半に、って相当圧縮したな。その才能普通にすごいわ。
「『問題ない。内容はとても良くなった』...でしょでしょ!あいちゃん本人に出てもらって、アクション・ギャグ・お色気も2倍増しよ!ね?」
透監督も納得しているらしい。
「ああ...ちょっと恥ずかしいけど、頑張ってみます!」
主演女優のほうも意外とノリノリだ。
「よし!じゃあ2人は、先にちょっと向こう行ってて!」
「はい、じゃあ移動~」
けれど、他スタッフ・キャストにはやる気がまったく感じられない。俺もだが。
「待って!みんな、協力して!実はこれは、ラブラブムービー大作戦でもあるのよ!」
「ラブラブムービー大作戦...?」
「うん!今はろくに人と話せない透くんだけど、憧れのあいちゃんとこの映画を完成させれば...!」
『はい、以上をもちまして河合組オールアップ!』
『やったー!』
『虹村さん、お疲れ様。それと...好きです』
『河合くん...』
「ってなるのよ!」
「絶対ならねえ」
「何故、そんな余計な世話を焼くんだ?」
「言いたいこと言えない誰かさんみたいな子は、放っとけないんです!」
「う...誰のこと?」
「それにしてもなんで俺まで手伝わされているんだ...?」
そんなことを言っているのは、俺の横でレフ板を持っている佐藤太郎だった。
「いやだってちょうど人手が足りない時に来たし...」
「地雷だったか...来なければよかった」
二人でぼーっとしながらレフ板を持つ。
「なぁ、あれからずっと考えてたんだけど...聞いていいか?」
「あれからってのがいつのことかはわからないが...なんだ?」
「ほんとなんで飛び跳ねながらタンクタンクに変身するの?どれだけ考えてもわからないんだけど」
「お前それ蒸し返すか普通...ほら、アレの勢いを生かして高く跳びはねたりとかな、色々活用方法はあるだろ?」
「んー...そういうもんなのかな。そういえばいずれお前もやることになるってどういうことだ?」
「言葉通りだよ」
「意味がわからん」
………話題がなくなって無言の時が過ぎる。一応敵同士だから馴れ合うなんて出来ないし...ああ、逃げ出したい。
「それよりもいいのか?」
「…何が?」
「もう誰もいないけど」
「………へ?」
辺りを見渡す。確かに誰もいない。
「はぁ⁉︎いつのまに⁉︎ってか気づいてたならなんで教えてくんなかったんだよ!」
「このままいけば俺帰れるし...」
「そんな帰りたいならさっさと帰れ!」
佐藤太郎を放って走る。耳をすましてみればちょっと遠くから戦闘音のような音が聞こえてきた。なんで気づかなかったんだ俺!
「ボキの大事なカメラちゃんが...」
「え、何この状況」
なんとか追いついたが、状況が掴めない。カメラが壊れてウォッチャマンが嘆いていることだけはわかる。
「ジーンを返せだなんて、駄目だよ透くん!メモリなんかに頼らなくても、みんなで頑張れば映画を作れる!あいちゃんにだって、気持ち伝えられるようになるよ」
透を叱咤する亜樹子だったが...透はスケッチブックに文字を書き始める。
「ん...?『勘違いしないで、彼女に対する恋愛感情は無い!』...えー⁉︎」
おいおい、根本から亜樹子の作戦が崩れたぞ。どうすんだこれ。
「プロデューサー亜樹子による河合透の映画作りに、意外な妨害者が現れた。園咲若菜...彼女の目的は何なのか?しかし、それでもあいつはまだ諦めていなかった」
「ってかよくもう1回観る気になったな、そのクソ長い映画」
「何か透くんの心の中を掴めると思ったんだけど...間違いないのは、ジェシカが透くんの理想の女性だって事」
「でも、あいさんに惚れてる訳じゃ無えんだろ?」
「う~ん...分かんないよ。またジーンが無きゃ駄目だなんて言い出すし。このままじゃ透くん、変われないよ...」
「亜樹ちゃん...」
「でも...やっぱり彼の心を開けるのは、映画作りしかない!...よし!撮影続行よ!」
「河合透を変えるなんて、絶対に不可能だ」
やる気満々の亜樹子と対照的に、『誰かを変える』という事に関してすっかり諦めが入り、ひねくれてしまっているフィリップ。
「お前はまだ、うちの所長様の凄さを理解してねえよ」
まぁあれでも所長だしな。やるときやるし。基本から回るけど。
そうして、また映画撮影が始まった。
「彼方へ!私の道を、切り開く!」
「...カット」
「ノッてない!何が不満なのよ!?く~!」
再開してはみたものの、相変わらずテンションの低い透に亜樹子のストレスが溜まっていく。『やったろか』と書かれたスリッパを取り出すも、ぎりぎりで止める。あれいつもどこから出してるんだろ。
「いかんいかん!スリッパは当分封印よ。心に訴えかける事が大事なんだから」
うーんうーんと考え込む亜樹子。
「こうなったらちょっと荒療治しかないわ...竜君!!」
何か思いついたようだ。またしても悪い予感がする。
「何だ?所ちょ...亜樹P」
わざわざ言い換えるなんて結構ノリノリだったりするのか?照井。
「次、ジェシカとカカシのキスシーンに変えるから」
「何...だと...?」
カカシ役は照井だ。ものすっごい困惑してる。
「透くんの、あいさんへの思いを刺激しないと!」
「監督は恋愛感情は無いと言っていた筈だ」
「恋する男の子はみんなそう言うのよ!さあ、振り切れ!こう、ガバーッと!ブチューっと!行け!」
「…絶望が俺のゴールだ...!」
ダッシュで逃げていく照井。なんかトライアルの音が聞こえた気がするけど気のせいか?
「あ!逃げた!あたし聞いてない!追え、マッキー!奴を捕らえろ!」
「え、俺⁉︎」
「確保ー!」
「はい!待ちなさい!止まりなさい、そこのカカシ!照井警視!逃げるんですか⁉︎」
もう現場は崩壊寸前だ。収集がつきそうにない。
「『亜樹P、二人だけで相談が』...キタキター!うん、行こう行こう!」
透が亜樹子にそう伝えると、亜樹子はすっかり舞い上がってしまう。
「翔太郎君!じゃあ代わりに撮れる所から進めといて!風景とか」
「俺監督⁉︎」
翔太郎にメガホンを押し付けて透とどこかに行ってしまった。
「どうすんだ?」
「適当に撮っておくか...」
翔太郎の指示のもと、風景を撮り始める。しばらくすると...
「はいカット、カットカットカットカットカット...う~ん、違うなフィリップ。葉っぱのツヤが気に入らないな」
「やれやれ...こうかい?」
おい適当に撮るとか言ってたやつはどこのどいつだ。めっちゃノリノリだな。
「見逃してくれ!」
あっ、照井捕まってる。
「さあ!2人でキスシーン行こう!」
「河合透に見せないと意味ないんじゃあ?」
勝手に進めてていいのかな。監督もプロデューサーもいないけど。
「河合君!」
ちょうどいいところに監督が戻ってきた。
「透!亜樹Pはどうした?」
…なんかあたふたしてる。書くもの探してるのかな。
「ひょっとして、所長に何かあったのか?」
それを聞いて何かを思い出したかのような動きを見せる透。そして。
「いい加減にしてよ虹村さん!イメージが違うんだよ!君は、君は元気良すぎるんだよ!ジェシカはもっと、ダークなイメージなんだよ!」
言いたいことを、自分の声で話せていた。
「...言えた、やっと本人に」
「そんな事なの?私に言いたかった事って...」
「うん...言えなかった。勝手に姿使って、ごめん」
「河合透が変わった...亜樹ちゃんが変えた?」
「そうだ!亜樹Pが危ないんだ!」
「ちょっ!それ先に言ってよ!」
ジェシカ云々よりそっちが先だ。透の案内に従ってスタジオに走る。なんだあれ、なんか光ってる?
「誰か、助けて~!」
「亜樹ちゃん⁉︎」
「フィリップ君、大変だよ!若菜姫が、透くんに何かさせて、グニューン、ピカーって!」
「そうか、ジーンの能力を使ってクレイドールに新しい力を加えたのか!」
「よく今のでわかったなおい!」
『その通り。今、完全に馴染んだわ』
あってるのか。
「行くぜ、フィリップ、戦兎、照井」
「ああ」
『CYCLONE』『JOKER』
『ACCELE』
『RABBIT』『RABBIT』
「「変身!」」
「変...身!」
「変身!」
サイクロン!ジョーカー!
アクセル!
紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!
ヤベーイ!ハエーイ!
ライダー三人がかりで挑むものの、なかなか決定打を与えられない。それどころか、こちらが逆に押され始めている。三対一という人数差があってもだ。
「確かに強くなってやがる...!」
『押し切るしかない!』
エクストリームメモリを呼び寄せ、フィリップの体を吸収する。
エクストリーム!
「「プリズムビッカー!」」
『PRISM』
プリズムビッカーで攻撃を重ねるW。流石のクレイドールドーパントも、エクストリームには押されている。
「あいつ...笑ってやがる」
「今度こそメモリブレイクだ!」
プリズム!マキシマムドライブ!
「「プリズムブレイク!」」
プリズムビッカーで斬りつける。たしか、あの攻撃にはメモリ能力の無力化があったはずだ。これなら再生能力も発動しないはずだ。あっさりと粉砕する。
「メモリは...?」
おかしい。再生能力を潰したはずなら、こんな粉々になるのではなくメモリが抜けて人間に戻るはずなのに。
「そんな...これでブレイクできない筈はない!」
クレイドールドーパントが、元の姿に戻っていく。
『残念ね、来人。私、変わったの。見せてあげる。お姉様はそこでよく見てるといいわ』
クレイドールドーパントの中央部に亀裂が入り、そこから圧倒的な緑の光が放たれる。
『エクス...トリィィーム!』
放たれる緑の光は徐々に禍々しい形を形成し、巨大なクレイドールエクストリームへと変貌する。
「な、なに...?」
『NASCA』
『何てパワー...!』
冴子は反射的にナスカへと変身するものの、圧倒的なパワーの差がありすぐに吹き飛ばされていく。
「何だこいつは⁉︎圧倒的すぎる!」
「どうすりゃいいんだ?こんな相手!」
「防戦一方...だなっ!」
フルメモリバスターで撃ち込むも、効果が薄い。
「こうなりゃマキシマムを...っ!危ない!」
流れ弾が亜樹子らの方に飛んでいく。
「亜樹子!透!」
「危ない!」
亜樹子を助けたのは透。まだ少ししか付き合っていないが、前では考えられなかった行動だ。
「河合透...」
『消えるがいい...!』
クレイドールエクストリームは、さらに力を溜めて巨大なエネルギー弾を生成しだす。
「おい、とんでもないのが来るぞ!」
「だが、彼らを守らなければ!...」
「照井竜!2人を運べ!」
「俺にも考えがある!行くぞ照井!」
『TRIAL』
トライアル!
消しゴム!マキシマムドライブ!
「ほら、行くよ!」
ラビットラビットとトライアルの超高速移動で亜樹子たちのもとに瞬時に移動し、消しゴムメモリのマキシマムを発動させる。その効果により姿を消して、見えないように移動する。
サイクロン!マキシマムドライブ!
ヒート!マキシマムドライブ!
ルナ!マキシマムドライブ!
メタル!マキシマムドライブ!
「「ビッカー・ファイナリュージョン!」」
Wはマキシマムでどうにか攻撃を防ぐ。クレイドールエクストリームは追撃せず、空を飛んでどこかに飛んでいってしまった。
「翔太郎君!フィリップ君!大丈夫⁉︎」
「ああ、何とか。防御に徹したメモリの組み合わせで耐え切れた...」
いつもはジョーカーメモリのところをメタルメモリに変えたのは、それが理由だろう。俺もマグネットとかがあれば防御できたんだがなぁ...
「透くん...」
思考から現実に戻ると、透がジーンメモリを亜樹子に渡すところだった。
「もういらない。仲間がいるし」
「ああ、よし...」
亜樹子からそれを受け取ったWは、それを握りつぶして破壊する。自発的にメモリを手放すなんてそうそうない。本当に変わったのだろう。
これからも、そんな人たちが増えて欲しい。そもそもメモリを手に入れることがないのが一番なのだが。
「事件は終わり、透は随分変わった。最近あいさんやシネコンの仲間たちと、新しい映画を撮り始めたらしい。今度こそ完成しそうだな、90分ぐらいのキリのいい、ヒロイックファンタジーがさ」
「あたし達、意外と未来の名監督を救ったのかもよ?」
「完成したらみんなで観に行こうか」
「ああ...」
そんなことを話していると、照井が事務所に入ってくる。なぜかその手にDVDを持って。
「おう照井。どうした?何か新しい事件か?」
「俺に質問をするな。覚悟を決めてきたぞ、亜樹P」
うわなんのDVDかと思ったら恋愛映画かよ。ってかなんで?
「あの時、逃げてしまった自分が許せない。研究を重ねた...どんなキスシーンでも受けて立つ!今度こそ振り切るぜ!いや...振り切らせて下さい!」
亜樹子の肩をガッチリと掴み、キスの体勢に入る照井...っておいおいおい!
「りゅ、竜君⁉︎」
「おい落ち着け!亜樹子だぞ⁉︎」
「いやその言い方ひどくね?ってそれどころじゃない止まれ止まれ!」
止めようとすると、標的を俺らに変える...うそだろ。
「ちょっ!ほんとにやめろ!おまっ、や、やめろーーっ!!」
振り切るのはいいがネタ方向に振り切るのだけはやめてくれ!!!
「酷い目にあった...」
「随分と楽しそうだったな」
「お前見てたのかよ...あれ見て楽しそうに見えるってお前の目は節穴か?」
「いやーあれは面白かったね。お前が映画のてwつwだwいとwかww」
「何笑ってんだお前。楽しんでんのお前だけだろ」
「そういえば大丈夫なのか?なんかミュージアムの土人形が変なことなってたけど」
「クレイドールか...あの感じだとエクストリームとやらにたどり着いたんだろう」
「Wと同じってわけか」
「適合率的にはWよりも上だろうね。地球の本棚もクレイドールの方が使いこなせるだろう」
「へー」
「興味なさそうだな」
「だって俺らには関係ないだろ?」
「まぁな。俺らが何もしなくてもWがなんとかしてくれるだろう。ガイアインパクト寸前とかになったら流石に介入せざるを得ないけど。お前もそうなったら困るだろ?」
「まぁ地球が滅ぶまで死なない人間とか面白そうだけど、ちと面倒だな」
「まぁお前なら滅ぼせそうだけど」
「今は無理だがな」
「今は...ねぇ...」
XTREME no chikara wo eta CLAYDOLL.
Moshi hoshi no hondana nimo haireru to shitara kensaku ga tsukaenakunaru kamo shirenai.
戦兎なら映画撮影結構ノリノリでしそうだなぁ...