仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合   作:ダイヤモンドリリー

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12781字。

映画回決着。


AtoZ/運命の歯車が狂う

「これが...エターナル...メモリを無効化しやがった...!」

 

どのメモリも反応しない。ビルドにもクローズにも変身できず、ドーパントやクローズチャージ、グリスにも変身できない。

 

「エターナルのマキシマムは発動すると全てのT2ガイアメモリ以前のメモリを機能不全に陥らせる。永遠にな」

 

「永遠...だと⁉︎」

 

「メモリを持っているのは...あいつか」

 

しまった。奴の狙いは亜樹子の持つT2ガイアメモリ。このままじゃ亜樹子が危ない。

 

「あいつを始末しろ」

 

『了解』

 

どこからともなく青いドーパントが現れる。エターナルの仲間...トリガードーパントだろう。トリガードーパントは右腕の銃を亜樹子に向け、容赦なく発砲した。

 

「まずい!クローズド『CYCLONE』...え?」

 

クローズドラゴンはメモリを使わずに動ける。だから身を挺して守らせようとするが、それよりも前に動いたものがいた。マリアだ。

 

マリアはサイクロンメモリを放り投げると、メモリは自ら動いてマリアのうなじに飛んでいき突き刺さり、ドーパント化させる。サイクロンドーパントはトリガードーパントの放った青いエネルギー弾を風の力で受け止め、跳ね返した。

 

「マリアさんが...ドーパント?」

 

サイクロンメモリはフィリップじゃなくてマリアを選んだらしい。というかどうして今まで黙っていたんだ。

 

『克己、殺す必要はないはずよ。メモリさえ回収できれば...それでいいでしょう?』

 

「ああ、そうだな」

 

サイクロンドーパントは亜樹子からメモリの入ったカバンを奪い取ると、風を纏ってエターナルとトリガードーパントを巻き込んで消えていった。

 

「消えた...マリアはNEVERの仲間だった...?」

 

「ア゛ッ⁉︎思い出した!」

 

「どうした戦兎!」

 

「あの顔...どこかで見たと思ったらあれだ!科学者だあいつ!風都工科大学で遺伝子工学研究してた人だ!名前は違った気がするけど!」

 

「遺伝子工学...まさか不死身の戦士、NEVERを作ったのって!」

 

「ああ、多分...マリアが作ったんだろう。あの傭兵部隊を!」

 

マリアが実は敵の仲間で、T2ガイアメモリは奪われた。仮面ライダーに変身することもできない。

 

俺たちは一瞬で窮地に陥ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「26のメモリのうち奴らが手に入れたのは25。残る一つを持ってきたものには10億やる...か」

 

T2ガイアメモリを手にしたNEVERは、風都タワーを占拠した。そして残る一つを手に入れようとしていた。

 

「最後の一個...それが逆転の鍵になるかもしれんな」

 

「じゃあ探しに行かないとな。探すのは俺に任せてくれ。クローズドラゴンで探せるし、ドーパントがきたとしても一応戦えるからな」

 

善は急げ。NEVERや、一般市民に最後のメモリを拾われてしまうことは避けたい。そう思った俺はすぐさまメモリを探しに翔太郎たちと別れた。

 

「まぁ照井なら生身でも戦えそうだけど...」

 

あのクソ重いエンジンブレードを生身で振る姿が容易に想像できる。

 

「最後のメモリ...見つかってないのはJのメモリか。まさかJOKERのメモリじゃないだろうな...」

 

もしジョーカーメモリなら既に翔太郎が見つけてそうだ。まだ見つけてないということは違うのだろう。

 

「ん?クローズドラゴン何か見つけたのか?」

 

クローズドラゴンが俺を呼ぶような素振りを見せる。メモリを咥えてないからメモリを見つけたわけではなさそうだ。

 

「だとしたら...ドーパントか?」

 

林の中に入っていくクローズドラゴンを追いかける。ひとまず片手で持てるツインブレイカーとマグマナックルを両手に持っておく。こういう時メモリが必要ない武器は便利だ。

 

「さぁ...来るならきやがれ...!」

 

クローズドラゴンの行った先、物音のする方へと一気に飛び出る。そこにいたのはドーパント...ではなかった。

 

「お前...ナイトローグ⁉︎どうして変身できている!」

 

そこにいたのはナイトローグ、佐藤太郎だった。

 

『それは後で説明する。あと、その武器を下ろしてくれ。戦いにきたわけじゃない。ついでに突っついてくるクローズドラゴンも止めてくれると助かる』

 

「戦いに来たわけじゃない...?どういうことだ?あっ、クローズドラゴン戻ってこい」

 

クローズドラゴンを呼び戻す。

 

「それで用件はなんだ」

 

『NEVERを止めて欲しい』

 

「それはこっちでもやろうとしてることだが...変身できないからほとんど不可能だぞ」

 

『確かにそうだな。T2以前のメモリにサイエンスメモリまで含まれるとは思わなかったが...変身ならできる』

 

「…なに?」

 

『俺がどうして変身できているのかわかるか?』

 

「それ俺が最初に聞いたと思うんだけど...」

 

『答えはこいつだ』

 

「…トランスメモリーガン?それを使えば変身できると?」

 

メモリそのものの起動が不可能だというのにどうやって変身しているんだ。

 

『…そうか、そもそもトランスメモリーガンの機構の説明をしていなかったな』

 

「いったいどういう...」

 

『トランスメモリーガンはメモリの起動が必要ない』

 

「起動しない?でもそれじゃ変身が...」

 

『起動しなきゃ変身できない。そんなの誰が決めた?トランスメモリーガンはメモリ内部のデータを無理やり抜き出して使用者に注入する。だからメモリが体の中に入らないし、何人も同時に使うことができる』

 

「無理やり抜き出して...だから今も変身できているのか。あくまでメモリを起動できないだけ。中身のデータは依然として無事だから抜き出すことさえできれば変身できる...と」

 

『こいつを持っていけ』

 

ナイトローグはカバンを放り投げる。何か重いものでも入っているのか、ゴトッという音がする。

 

「こいつは...ネビュラの方か?」

 

カバンの中に入っていたのは、トランスメモリーガンを紫にしたような物と二つのサイエンスメモリであり、それに合わせて銃に付いているスロットは二つになっていた。

 

『そう、名づけるのなら、ネビュラメモリーガン。本来ならトランスは俺たちにしか使えないが、そいつはお前用に作ったものだ。今の融合具合なら...そいつでヘルブロスになれる。多少の拒絶反応は起こるがな』

 

「こいつが有れば...エターナルを倒せる!」

 

『それは無理だ』

 

「…はぁ⁉︎」

 

『そいつで倒せるのはせいぜいエターナル以外のドーパントくらいだ。エターナルと戦えば確実に負ける』

 

「ちょっ、話がちげぇじゃねぇか!」

 

『俺は変身できると言っただけだぞ?』

 

ドーパントを倒せるだけでも大きな前進。けれど、エターナルをどうにかできなければ意味がない。それにメモリブレイクできない以上ドーパントは何度でもメモリを挿して変身するだろう。相手は不死身なのだ。体力の差と人数差でいずれ負ける。

 

「それじゃあどうにも出来ねぇじゃねぇか...」

 

『そいつも違うな』

 

「…なんだよ」

 

まだ、何かあるのか?

 

『俺はエターナルを倒せないとは言ってない』

 

「言っただろ」

 

『ヘルブロスでは無理だと言ったのだ。もう一つ渡すものがある。言わばそっちが本命だ』

 

ナイトローグはサイエンスメモリではない、ただのUSBメモリを放り投げてきた。

 

「これは...?」

 

『そいつには、新しいサイエンスメモリのデータが入っている。お前にはそれでメモリを作ってもらいたい』

 

「…そうか、エターナルが機能停止にできるのはT2以前のメモリ。それより後に作ったメモリなら!」

 

『そういうことじゃない。俺はT1メモリの技術を部分的に流用してサイエンスメモリを作っている。だから今から作ったのを使えば、変身することはできるがまたエターナルのマキシマムを喰らって使えなくなるだけだ』

 

「じゃあ単純にエターナルの効果を受けないように設計されてるってわけか?」

 

『そうだ。俺の持つメモリもエターナルの効果を受けている。そこからエターナルの情報を得ることくらい簡単だ。それなら、いくらエターナルのマキシマムを喰らったところで機能停止はしない』

 

これならエターナルを倒せる。中のデータが何かは知らないが、ここまでお膳立てされているのなら、俺でも作れる...ってあれ?

 

「どうしてお前が作らないんだ?」

 

『そいつは俺には作れない。桐生戦兎であり、サイエンスメモリとの適合率が最高で...ハザードレベルの高いお前にしか作れない』

 

「…よくわからんがこいつを完成させてワンサイドで変身すればいいんだな?」

 

『使うのはビルドドライバーだ。もう一つ、こちらでメモリを作る。これは石動にしか作れないものだ。完成したら、石動に届けさせる。それまでの間、ヘルブロスで戦うんだ』

 

「なるほど...やっと話が見えてきた。助かったよ佐藤太郎。というか、どうしてそこまでしてNEVERを止めようとしているんだ?T2メモリが揃ったらまずいことでもあるのか?」

 

『風都市民全員がNEVER化する』

 

「…は?」

 

今、なんて言ったんだこいつは⁉︎

 

『このままだと、風都市民全てがNEVER化する。ガイアメモリから市民を解放するという大道克己の目的を果たすために、奴は歪んだ方法を取ったんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は事務所に戻った。いち早くサイエンスメモリを完成させ、大道克己の凶行を止めるために。翔太郎が椅子に座りながら何やら悩んでいる様子だったが、それを無視してガレージに入る。

 

「完成...させないと」

 

データは既に用意されている。スパークリングメモリを作った時よりも完璧な状態のデータがあるため、前よりも時間はかからないはずだ。

 

「メモリデータをこっちの基盤に移して...ビルドドライバーに入るように外装を作って...メモリ端子を作って...」

 

佐藤太郎からは、メモリデータ以外にも基盤や外装などの材料も渡されていた。ここまで用意してくれるのはありがたかったが、俺にしか作れないというのだけはすっと引っかかっていた。

 

「できた...けどこれってラビットメモリじゃ...?」

 

メモリのイニシャルはR。データ的にも赤い塗装的にも、どう考えてもこのメモリはラビットメモリだった。

 

「これが切り札になるのか...?」

 

今はまだわからないが、もう一つのメモリとやらと合わせれば、絶大な力を発揮できるのだろうか。ラビットだから相方はおそらくタンクだろう。

 

「後は風都タワーに乗り込むだけ...って何か忘れてるような」

 

なんだっけ?

 

「あっ、最後のT2メモリ忘れてた!探すって言っておいて探してねぇじゃん!」

 

メモリ作ることに意識を集中しすぎて頭から抜け落ちていた。探しに行かないと。

 

「最後のメモリはJ...ジョーカーだったら翔太郎が見つけてるだろうし他のJのメモリ...ダメだ、ジョーカー以外に思いつかない」

 

他にもJのメモリはあるのだろうが、見慣れてるジョーカーメモリが真っ先に思いついてしまう。

 

「もし本当にジョーカーだとしたら...っ!あの天井の穴!まさか!」

 

俺の推測が正しいとしたら、あの穴はジョーカーメモリが落ちてきた時にできた穴。もしあの穴が石動の悪戯とかだったらぶん殴る。

 

「翔太郎!最後のメモリの場所がわかっ...ヒートドーパント⁉︎」

 

急いでガレージから事務所に戻って翔太郎にメモリのありかを伝えようとしたその時、翔太郎はヒートドーパントに燃える足で押さえつけられていた。

 

「くそっ、どけっ!」

 

ネビュラメモリーガンをヒートドーパントに撃ち込み、そのまま突進して翔太郎から引き剥がす。

 

「戦兎!助かった!」

 

「翔太郎!最後のメモリはジョーカーだ!天井を突き破ってここに落ちてきている!」

 

翔太郎は思わず上を見る。すでにある程度塞がれているが、天井に空いた穴が見えた。

 

「探せ!こいつは俺が引き止める!」

 

『GEAR ENGINE』

『GEAR RIMOCON』

 

ファンキーマッチ!

 

二つのメモリをネビュラメモリーガンにセットする。

 

「注入」

 

深呼吸の後、ネビュラメモリーガンを首筋に当てて引き金を引く。

 

その瞬間、何かが自分の体に入り込むような違和感と、高圧電流でも流れたのかと勘違いするほどの鋭い痛みと熱が走る。

 

「こんな痛み...乗り越える!」

 

コブラメモリを入れられた時よりも何倍も楽だ。こんな痛み。乗り越えられなくて何が正義のヒーローだ!

 

フィーバー!

パーフェクト!

 

『ヘルブロス、参上...!』

 

執念と根性でヘルブロスに変身する。

 

『どうして変身できる!』

 

『人に聞く前に自分で考えてみな!』

 

ヒートドーパントの放つ蹴りを避けて引き金を引く。

 

「ここに来ていやがったのか...!」

 

翔太郎がメモリを見つけたみたいだ。予想よりも深く刺さっており、床を突き破りガレージにまで到達しかけていたそれを拾い上げると、こっちにゆっくり歩いてくる。

 

「どうやら切り札は、常に俺の所に来るようだぜ」

 

『JOKER』

 

ロストドライバーを腰につけた翔太郎は、ジョーカーメモリを入れるとポーズを取る。

 

「変身」

 

ジョーカー!

 

ロストドライバーを展開すると、黒い仮面ライダーが誕生する。

 

『お前は⁉︎』

 

「仮面ライダー...ジョーカー」

 

珍しくハードボイルドだ...

 

『行くぞ翔太郎。さっさとこいつを倒して、風都タワーに行くぞ』

 

「そうだな」

 

ヒートドーパントの蹴りやパンチを避け、ジョーカーがカウンターの蹴りを放つ。俺もネビュラメモリーガンを撃ち込み追撃する。

 

『ここじゃちと狭い。外に追いやる!』

 

窓を開け放ち、そこからヒートドーパントを放り投げる。そこからしばらくせめぎ合いが続き、用水路のようなところに落下する。

 

「締めと行こうか」

 

ジョーカー!マキシマムドライブ!

 

ファンキードライブ・ギアエンジン!ギアリモコン!

 

ジョーカーはマキシマムスロットにジョーカーメモリを挿し、俺はメモリを一度抜いて再度挿し、マキシマムを発動させる。

 

「ライダーキック!」

 

ジョーカーは水平に跳び、ヒートドーパントにライダーキックを叩き込む。

 

ファンキーフィニッシュ!

 

大きく後ろに吹き飛ばされていくヒートドーパントに照準を合わせ、引き金を引く。赤い歯車と青い歯車が展開して噛み合い、間から赤と青のエネルギー弾が放たれ、ヒートドーパントに直撃する。二つのマキシマムを喰らったヒートドーパントは地面を数回バウンドして転がっていき、メモリが抜け落ちた。

 

『ヒートは倒した。風都タワーに乗り込むぞ』

 

「もう遅いわ...」

 

「なに?」

 

「フィリップとかいう子は既に捕らえたわ...もうすぐ克己の計画は完成する...!」

 

「フィリップが⁉︎」

 

『急ぐぞ。このままだと風都市民全員がNEVERにされちまう』

 

「ちょっと待てなんだその話!行き道で聞かせろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風都タワーに向かうまでの道で照井と合流した。そして俺たちは風都タワーの前までやってきた。風都タワーの前は多くの人でごった返しており、ほとんどの人がなんらかのガイアメモリを掲げていた。

 

『全員10億円狙いってわけか。照井、あいつらの顔覚えとけ。後で全員しょっぴけ』

 

ガイアメモリを持っているのは罪になる。事件が終わっても大変になりそうだ。

 

「死ぬなよ...照井」

 

「知らないのか?俺は死なない」

 

『そうだったな』

 

「所長。夜までには終わらせる。花火を見よう」

 

『よし行くぞ。突撃だ!』

 

バイクで風都タワーに突撃する。すると、ルナドーパントが現れてマスカレイドドーパントを放ってくる。なのでバイクを乗り捨て、バイクだけ突っ込ませる。

 

『マスカレイドか。面倒だな』

 

遠くにいる奴は俺がネビュラメモリーガンで撃ち、近くに寄ってきた奴はジョーカーが蹴り飛ばし、生身の照井がエンジンブレードで片っ端から斬りつけていく...あいつのフィジカルおかしくね?生身でどうしてドーパントと戦えてるんだよ。想像ついてたけど。

 

「左!桐生!上を目指せ!」

 

「照井!おまえ大丈夫なのか?」

 

「俺に質問をするな!」

 

『…そうだったな!』

 

照井が行けと言うのならと俺たちは風都タワーの中に入っていく。今のやつなら1人でも、生身でも安心だ。

 

『この上にフィリップと大道が...っ⁉︎』

 

階段を登り切った瞬間メタルドーパントの男に襲われるが、なんとかギリギリでガードして弾き返す。

 

「次はテメェか...」

 

男は上着を脱ぎ捨てると、ポーズを取り筋肉を見せつける。

 

「ぶっ潰してやる」

 

「おぉ...?ホワァーッ!」

 

ジョーカーも何故かポーズ取ってた。

 

「行くぜ?マッチョマン」

 

『ああ、翔太郎は上に行ってろ。こいつの相手は俺がやっとくから。さっさとフィリップ助けてこい』

 

「でも...」

 

『いいから。まだメモリ届いてないから先に進んでも意味ないし』

 

「お、おう...わかった。気をつけろよ」

 

『心配しなくても問題ない。すぐ追いつく』

 

ジョーカーが風都タワーを登っていく。

 

『待たせて悪かったな。来い』

 

『METAL』

 

男がメタルドーパントに変身する。メタルドーパントは鉄の棒を振って攻撃してくるが、離れてネビュラメモリーガンを撃ち込み続けていれば負けることはない。

 

『ふむ、さすがの防御力だな。負けることはないけどこのままじゃ勝てない...か』

 

マキシマムならいけるかもしれないが、遠距離では弾かれるか威力減衰で倒しきれない。近づくしかない。

 

『うおおおおおっっっ!』

 

『うわ無理やり突っ込んできやがった!グフッ⁉︎』

 

メタルドーパントは自慢の防御力で攻撃を受けながら近づいてくる。そして棒で脇腹を勢いよくぶん殴られる。

 

『クソッ...だが、ただではやられない』

 

攻撃された瞬間鉄の棒を握り、なんとかもぎ取る。

 

『一か八か...勝負と行こうか』

 

ファンキードライブ・ギアエンジン!ギアリモコン!

 

メモリを抜き差しする間にメタルドーパントが近づいてくる。

 

『オメェが近づくなら...こっちから!』

 

メタルドーパントのパンチをギリギリで避け、銃口を首筋に当てる。

 

『終わりだ』

 

ファンキーフィニッシュ!

 

弾丸が発射された瞬間着弾し、大きな爆発を生む。俺も吹き飛ばされるが、メモリを弾き出すことには成功した。

 

『倒せたか...そこで寝てな』

 

急いで上の階に向かう。まだメモリは届いていないが、時間を稼ぐまでだ。

 

「これで26のメモリが揃った」

 

『翔太郎、フィリップ...エターナル!』

 

俺がそこに辿り着いた時には、すでに翔太郎は敗れメモリが盗られるところだった。

 

『悪いけど付き合ってくれよ?ちょっとだけでいいからさァ!』

 

エターナルに向けてネビュラメモリーガンを撃ち込む。

 

「ドーパントか...面白い」

 

しかし、放った弾丸はエターナルのマントで全て受け止められてしまう。なら直接当てるだけ。狭い部屋の中をダッシュで駆け抜けエターナルに近づく。

 

ユニコーン!マキシマムドライブ!

 

「気をつけろ戦兎!」

 

エターナルの拳にドリル状のエネルギーが集まる。それを見た俺は先ほどメタルドーパントの拳を避けたようにギリギリで避け、首筋に銃口を当て引き金を引く。マキシマムではないが、少しは効いたはずだ。

 

「まだだ戦兎!マキシマムは終わってない!」

 

『んな⁉︎』

 

拳に溜まっていたエネルギーがいつのまにか足に移動しており、マキシマムのキックが俺の首に突き刺さる。体の中に入っていたメモリデータが消滅し、変身が解除される。

 

「ガァっ、ぐっ、クソッ!」

 

「これで邪魔者は消えたか。終わりだな」

 

「終わって...ねぇよ」

 

「笑わせるな。これ以上何ができる」

 

「まだ...希望は残っている」

 

なんとか立ち上がる。全身に痛みが走るが、まだ立てる。

 

「まだ...メモリが...ある!」

 

『ほーら戦兎、待たせたな』

 

ブラッドスタークがふらっと現れる。

 

「お前...何者だ?いつからここにいた」

 

「おせーよ石動!早くメモリを!」

 

『へいへい、ほれ』

 

ブラッドスタークからメモリを投げ渡される。

 

「これが有れば...ってドラゴン?タンクじゃないのか?」

 

渡されたメモリは、銀色のドラゴンメモリだった。

 

「ラビットとドラゴン...っ⁉︎」

 

「なに⁉︎」

 

持っていた赤いラビットメモリが突然光出す。そして少しずつ、ラビットメモリが変化しだす。

 

「これは...金色の...!」

 

手元に揃ったのは、金色のラビットメモリと、銀色のドラゴンメモリ。

 

「有機物と有機物...そうか、思い出した」

 

『RABBIT』『DRAGON』

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

ラビット!ドラゴン!

 

「どうして起動できる!T2メモリ以外は使えないはずだ!」

 

「変身!」

 

ベストマッチ!

 

「勝利の法則は決まった!」

 

ラビット!マキシマムドライブ!

ドラゴン!マキシマムドライブ!

 

ジャストマッチデース!

 

フルメモリバスターを取り出し、マキシマムを発動する。

 

ジャストマッチブレイク!

 

バスターブレードモードでエターナルを斬りつける。

 

「新しくメモリを作ったのか。なら、もう一度機能停止させるまでだ」

 

エターナルは俺の攻撃をマントで受け流しながらコンバットナイフにエターナルメモリを入れる。

 

エターナル!マキシマムドライブ!

 

「無駄だっ!」

 

「なぜ変身解除しない⁉︎」

 

「エターナルは俺には効かない!」

 

コンバットナイフに入っているエターナルメモリ目掛けてフルメモリバスターを振るう。

 

「削り取る!」

 

「ぐっ、貴様ァッ!」

 

エターナルは俺の剣を無理やり押し返し、腰のマキシマムスロットにメモリを入れ替える。俺もフルメモリバスターを投げ捨て、ビルドドライバーのマキシマムスロットに入れる。

 

エターナル!マキシマムドライブ!

 

ラビット!ドラゴン!マキシマムドライブ!

 

エターナルの足先にエネルギーが集まり出す。俺もマキシマムで対抗するが、狭いここでは高く跳べない。威力は落ちるが、普通のライダーキックで対抗する。

 

ボルテックフィニッシュ!

 

「「ハアァァァァッッッ!!」」

 

エターナルの跳び回し蹴りと俺のライダーキックが交差する。

 

「ハアァァァッ、ア゛ア゛ッガァッッ!」

 

押し負けてしまい、壁に叩きつけられる。

 

「クソッ!やられたっ!」

 

辺りに壊れたメモリが散らばる。エターナルではない。ラビットとドラゴンだ。

 

「倒し...きれなかった...!」

 

新しく作られたラビットメモリとドラゴンメモリは、サイエンスメモリではあるが壊れる。本来ならサイエンスメモリには、メモリブレイクされることを防ぐ防護機能がある。しかし、エターナルのマキシマム封じにメモリデータを圧迫されてしまい、防護機能を入れることが出来なかったのだ。

 

「終わりだ」

 

ゾーン!マキシマムドライブ!

 

部屋の中心にある装置に、ゾーンメモリを突き刺す。すると、残る25本のT2メモリが飛び交い、装置に刺さっていく。

 

アクセル!マキシマムドライブ!バード!マキシマムドライブ!サイクロン!マキシマムドライブ!ダミー!マキシマムドライブ!エターナル!マキシマムドライブ!ファング!マキシマムドライブ!ジーン!マキシマムドライブ!ヒート!マキシマムドライブ!アイスエイジ!マキシマムドライブ!ジョーカー!マキシマムドライブ!キー!マキシマムドライブ!ルナ!マキシマムドライブ!メタル!マキシマムドライブ!ナスカ!マキシマムドライブ!オーシャン!マキシマムドライブ!パペディアー!マキシマムドライブ!クイーン!マキシマムドライブ!ロケット!マキシマムドライブ!スカル!マキシマムドライブ!トリガー!マキシマムドライブ!ユニコーン!マキシマムドライブ!バイオレンス!マキシマムドライブ!ウェザー!マキシマムドライブ!エクストリーム!マキシマムドライブ!イエスタデイ!マキシマムドライブ!

 

26本のT2メモリが装置に突き刺さり、膨大なエネルギーが風都タワーに集まり出す。

 

「はぁ、はぁ、か、克己...」

 

ちょうどその時だった。ヒートの女が苦しそうにしながら、この部屋に入ってきた。

 

「いったい...何が...」

 

女の体は少しずつボロボロになっていっていた。

 

「NEVERはマキシマムの威力に耐えきれない。マキシマムを喰らったお前は細胞分裂が加速して崩壊する」

 

「なんだって⁉︎」

 

「おまえの代わりは幾らでも作れる」

 

「ひどいよ...」

 

女はそれだけ言い残し、消滅した。

 

「ははははははは、いい気分だ!もう実験台の化け物は、俺だけじゃない!みんな俺と同じ、生ける死者になれ!!」

 

大道は装置、エクスビッカーを発射しようとする。しかし、エクスビッカーは動かない。

 

「こんな奴に...風都を滅ぼさせはしない!」

 

「フィリップ⁉︎」

 

フィリップがエクスビッカーのプログラムを書き換えて強引にその発動を止めているのだ。そしてフィリップはさらにエターナルのマキシマムを解除させようとする。それを阻止しようと動く大道。その時。

 

マリアが何かを大道に打ち込んだ。それに激昂した大道がマリアを拳銃で撃つ。

 

「お前...実の母親を!」

 

エターナルのマキシマムの解除がもう少し早ければ、マリアを救うことはできたのかもしれない。いや、実際にはもっとかかるはずだったのが短縮されてなお間に合わなかったのだ。

 

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本来、サイエンスメモリは他のメモリをメモリブレイクすることができない。これは、自らのメモリブレイク防護機能によるものだ。自らのメモリブレイクを防ぐと同時に、相手のメモリをメモリブレイクすることも防いでしまっていたのだ。

 

けれど、防護機能のないラビットドラゴンであれば、メモリブレイクすることができる。メモリブレイクされるというデメリットを負い、メモリブレイクできないというデメリットを克服していたのだ。だから、対エターナル用として作られた。

 

フィリップは頑張った。ラビットドラゴンが傷付けたエターナルメモリの傷を押し広げる形でマキシマムを解除させた。けれど、運命は変わらなかった。

 

大道は細胞崩壊に苦しみながらもエターナルのメモリを手にし、風都タワーの最上階へ向かう。そしてフィリップは倒れたマリアに駆け寄る。

 

「ありがとう坊や...あなたの存在が、あたしに、過ちを気付かせてくれた...あなたの、母に、なりすますうちに...昔なくした、我が子の夢を...重ねていたのね」

 

「安心してください...大道克己は...僕が、止めます」

 

「ありがとう...フィリップ」

 

「さよなら...母さん」

 

願いは託された。あとは大道克己を止めるだけだ。

 

「君は悪魔だ。僕が止める!」

 

フィリップか叫ぶ。

 

『ETERNAL』

 

エターナル!

 

エターナルへと変身する大道。

 

「俺たちは人間を捨てた、魔物同士だ!」

 

「いや、今なら確信が持てる。僕は悪魔じゃない!他人の痛みを感じられない、哀れな君とは違う。この胸には、マリアさんが残した心がある!僕は人間で、探偵で、そして...仮面ライダーだ!!」

 

「相棒、それを言うなら、僕たちは、だろ?」

 

「ああ。行くよ、翔太郎、戦兎」

 

「死人を地獄に送り返してやろう。地獄を楽しむのはお前だ!」

 

『CYCLONE』『JOKER』

 

『RABBIT』『RABBIT』

 

「「「変身!」」」

 

サイクロン!ジョーカー!

 

紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!

 

2人で1人の仮面ライダーはサイクロンジョーカーへと変身する。フィリップが倒れながら翔太郎の肩に手を置いた。俺も痛む体を、限界をとっくに越している体を動かしてラビットラビットに変身する。

 

「「『さあ、おまえの罪を数えろ!!』」」

 

「今更数えきれるか!」

 

最終決戦が始まる。そう思ったのも束の間、ルナドーパントがエターナルを助けに現れ、俺たちを捕らえて近くのビルの屋上へと引っ張っていく。

 

「クソッ、面倒な!」

 

「翔太郎!フィリップ!ここは任せろ!お前らはさっさとエターナルを倒してこい!」

 

「『ああ!』」

 

Wが風都タワーへと跳んでいく。それを妨害しようとするルナドーパントをフルメモリバスターで斬りつける。

 

「邪魔はさせないぜ、おっさん」

 

『お、おっさん⁉︎言ったわねッ⁉︎あんたレディーに対して最ッ底の侮辱をッ!!ムッキー!!!アッ痛ァい!!言ったわねェん⁉︎』

 

なんか怒ってるが構わず斬りつける。やっぱちょっと動きが気持ち悪い。

 

『私はレディーよ!取り消しなさい!』

 

「ちよっ、うわっ⁉︎」

 

怒ったルナドーパントの腕が伸び、俺の体を掴んで締め上げる。

 

『おっさんって言ったこと!後悔させてやるわ!』

 

「へぇ、そうかい。とりあえずその腕外してもらうよ!」

 

上から、掴まれる直前に放り投げたフルメモリバスターが降ってきてルナドーパントの腕を斬り飛ばす。

 

『アッー!切れちゃった!』

 

「ならもっと斬り飛ばしてやるよ!」

 

ラビット!マキシマムドライブ!

ラビット!マキシマムドライブ!

 

フルフルマッチデース!

 

「終わりだおっさん!」

 

『また言ったわね⁉︎』

 

フルフルマッチブレイク!

 

バスターブレードモードに赤いエネルギーを纏わせ、怒って近づいてくるルナドーパントを強力な斬撃で斬り飛ばす。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

ルナドーパントは倒した。でも、流石にもう限界だ。

 

「エターナルを...倒さないと...」

 

残る力を振り絞って跳び風都タワーに向かうも、目の前で変身が解除される。

 

「くそ...届かねぇ...!」

 

「せ、戦兎君⁉︎大丈夫⁉︎」

 

亜樹子が心配して近寄ってくる。

 

「Wは...?」

 

その時目に映ったのは、風都タワーの風車と共に落下するWの姿だった。

 

「エターナルには...勝てない...のか?」

 

諦めかけたその時。

 

「仮面ライダーーーー!!」

 

亜樹子が叫ぶ。

 

「仮面ライダー!」「仮面ライダー...!」「仮面ライダー!」「ライダーーーーー!!」「頑張って仮面ライダー!」 「仮面ライダー!」「「仮面・ライドワあーーーーーー!」」「お願い!」「仮面ライダー!」

 

亜樹子の叫びを皮切りに、戦いを見守っていた風都の人々が落ちゆくWに声援を送りだす。

 

「みんな...!」

 

「ほら、戦兎君も!」

 

「…そうだな」

 

大きく息を吸い込む。今ここにいる全ての人よりも大きな声を出す為に、翔太郎とフィリップに届くように。

 

「負けんじゃねぇぞ仮面ライダーーーッ!この風都を泣かせるな!!!」

 

俺が叫んだ瞬間、何かが変わった。

 

「これは...風?」

 

風都に風が吹き始める。とても暖かい風だった。それはまるで、Wを...翔太郎とフィリップを祝福しているかのようだった。

 

「黄金の...W?」

 

風都の風がWに力を与えた。三対六つの羽を生やし、中心を黄金に変えたWが風都タワーの頂点に立つエターナルに向かって飛んでいく。

 

Wはエターナルの放った緑色の巨大なエネルギーの塊を蹴って消し飛ばすと、そのままの勢いでエターナルを蹴り飛ばす。

 

そして、地上から見てわかったのは、大道克己が二度目の死を迎えたことと、26本のT2ガイアメモリが粉々に砕け散ったことだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風都全てを巻き込んだ事件は終わりを迎えた。

 

大道克己も、目的は善なのだからそれを達成するための方法さえ正しければ、仮面ライダー足り得たのかもしれない。

 

けれど、この事件は避けられない運命だった。

 

もうきっかけは、数年前には起こっていたのだ。

 

部外者が混じり、運命が変わったのは、せいぜい一年ほど前。

 

それより前は、変わらない。

 

運命が変わったのは、彼らのビギンズナイトの日。

 

翔太郎たちがフィリップを救い出す少し前。

 

運命の歯車がずれ始めたのはその時から。

 

それより前は、変わらない。

 

もう一度言おう。

 

この事件は避けられない運命だった。

 

けれど、過程や結果は変わった。

 

そしてもう一つ、変わったものがあった。

 

事件は終わった。

 

けれど、その影響は続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…見つけた」

 

真夜中、とある男は立ち入り禁止の線を越えた中にいた。

 

「まさか風都タワーの風車に刺さってるだなんてな。エターナルが壊してくれなきゃ見つけられなかったぜ」

 

風都タワーから落ちた風車。そこに刺さっていたものを、男は拾い上げる。

 

それは、2()7()()()()T()2()()()()()()()

 

部外者により変わった運命。

 

その存在は、メモリを作った財団Xの幹部と、メモリの入ったカバンの二重底の奥に隠した人間と、この男しか知らない。

 

そのイニシャルは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

E




映画編は終わり。

次回、テラー回。
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