仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合   作:ダイヤモンドリリー

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10927字。

テスト終わったので投稿再開です。

原作49話です。


Eにさよなら/新たな依頼

「あいつらは...ハチにエンジンか?二体同時なんて面倒だな」

 

腰にビルドドライバーを巻き付けながら一人呟く。

 

『RABBIT』『TANK』

 

ラビット!タンク!ベストマッチ!

 

「変身!」

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!

 

ラビットタンクに変身する。まずはハチドーパントを狙うことにしよう。

 

「流石に速いなハチ。ヒットアンドアウェイで器用に攻撃してきやがる」

 

まさに蝶のように舞いハチのように刺す。まぁハチの要素しかないけど。

 

「ドリルクラッシャー」

 

ドリルクラッシャーを取り出し、接近してくるハチドーパントにカウンターで斬る。速さならラビットタンクでも負けてない。仮面ライダー歴は1年以上なのだ。今更こんなただのサイエンスドーパントに負けるはずがない。

 

「まずはその針を斬り飛ばさせてもらう!」

 

ハチドーパントの尻にある大きな針。それをハチドーパントの突撃を回避すると同時に斬り飛ばす。

 

「よし、あとはマキシマムを...おっと危ない危ない」

 

背後からのエンジンドーパントの突撃をギリギリで回避する。ものすごい熱量だ。先ほどまで動かなかったのはエンジンを温める必要があったからだろうか。先に狙うべきはこっちだったようだ。

 

「ハァッ!...硬いな」

 

向かってくるエンジンドーパントを攻撃するも、硬くて攻撃が通らない。逆に、蓄えられた熱でドリルクラッシャーが溶けかけていた。

 

「なかなか面倒だなお前ら」

 

ハチドーパントは、針は斬り落としたもののまだ突進くらいはできる。それにちょこまかと動いて撹乱しようとするし、逃げ回られては攻撃が当たらない。エンジンドーパントはある程度の速さもあるが、熱量がバカ高い。攻防ともにこの熱はとても厄介だ。しかも、今もなおその熱量は大きくなっていく。まるでハザードを使った時のように。

 

「じゃあこっちもハザード、行きますか」

 

『HAZARD』

 

ハザードオン!

 

「ビルドアップ」

 

アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!

 

ラビットタンクハザードに変身する。

 

「まずはハチだ!ちょこまかと鬱陶しい!」

 

ハザードメモリの効果により少しずつスピードと力が高まっていく。

 

「まだ、足りない!」

 

三回ほどハザードメモリの入ったマキシマムスロットを叩きつけると、急速に適合率が高まっていく。

 

「まだ!」

 

マックスハザードオン!

 

オーバーフロー!......ヤベーイ!

 

もう一つのマキシマムスロットにハザードのギジメモリを出現させ、オーバーフローさせる。

 

「これなら追いつける!」

 

ラビット!マキシマムドライブ!

 

ドリルクラッシャーにラビットメモリを挿す。

 

ボルテックブレイク!

 

ラビットラビットの初期のスピードと同等レベルの速さでハチドーパントに近づくと、高速回転するドリルクラッシャーで胴体を貫く。ドリルクラッシャーを引き抜くと、ハチメモリが女の体から抜けたのでそれを回収する。

 

「折れちったか。まぁいい。次はエンジン、お前の番だ」

 

折れ曲がったドリルクラッシャーを放り捨て、フルメモリバスターを取り出す。

 

消防車!マキシマムドライブ!

冷蔵庫!マキシマムドライブ!

ドライヤー!マキシマムドライブ!

扇風機!マキシマムドライブ!

 

アルティメットマッチデース!

 

バスターブレードモードで構える。

 

アルティメットマッチブレイク!

 

熱を冷やすことのできそうなメモリを詰め込んだ四本マキシマムは、エンジンドーパントの体を冷やしながら斬り飛ばした。

 

飛び出したエンジンメモリをつかみ取る。

 

「うわちょっとあっつい!熱持ってやがる...」

 

ガイアメモリって熱とか電磁波に弱かったりするのかなとか思いながら変身解除する。

 

「これで西都のメモリも全部か...」

 

フィリップが消えてからほぼ一年。あれから俺はたまに現れるサイエンスドーパントを倒しながら生活していた。

 

「それにしてもハザードメモリ暴走しなくなってきたな。慣れ...なのか?」

 

さっきもラビットタンクでオーバーフローさせたが、暴走はしなかった。この一年、少しずつハザードを使える時間が伸びていき、ついには暴走することがなくなったのだ。

 

「それにしても、いつになったらフィリップを復活できるのやら...」

 

サイエンスドーパントを倒すのと並行して、俺はフィリップを復活させる方法を探していた。けれど、その方法はなかなか見つからなかった。

 

地球の記憶と繋がれる場所を探したが見つけられず、若菜に頼もうとしたが、そもそもフィリップが消えたことすらしなかったようで頼みづらかった。そして俺の知らないうちに若菜は姿を消した。

 

手がかりが全て途絶えてしまったのだ。

 

「消える前にフィリップの体のデータを調べてバックアップ残すとかしておけばよかった...」

 

しかしそれはもう後の祭り。もうやり直すことはできない。過去に戻るとかしない限りは。

 

「とりあえず事務所戻るか...」

 

メモリは集まったがそれ以外は進展なし。俺は一度事務所に戻った。

 

「ただいまー...あれ?翔太郎は?」

 

事務所に戻ると、翔太郎がいなかった。依頼でも受けてるのか?

 

「翔太郎君はね、ミックの餌買いに行ってるんだけど...帰ってくるの遅いから見に行ってくれる?」

 

「りょーかい」

 

そんなわけで、俺は翔太郎がいると言うペットショップに行くことになった。なんでもサンタちゃんが店長らしい。やっと定職についたんだなあいつ。

 

「兄ちゃん!しっかりこの口で言ったろうが!レジェンド・デリシャス・ゴールデン缶!今日入るって!」

 

「いやいやいや、言ってないですよ!」

 

ペットショップに着いた時、翔太郎はなにやら店員と言い争っていた。ってかすごい名前の猫缶だな。

 

「どんだけ贅沢なモン食ってんだよミック...」

 

「おお戦兎。しょうがないだろ?安いのだと食べねぇんだから」

 

「翔ちゃん、申し訳ない!ピー!ボーン!」

 

そんなことを話していると、サンタちゃんが店の奥から出てきた。

 

「サンタちゃん、頼むよ!」

 

「店長って読んでよ!これでね、許してちょうだい。ニャー!」

 

「ニャー!」

 

「ピー!ボン!ピー!ボン!」

 

「何やってんだあいつら...」

 

「誰なんですか?あの人...」

 

「左翔太郎。どんな危機でも救ってくれる、この街の顔さ!」

 

そんなこんなで俺たちはミックの猫缶を手に入れた。

 

俺はその時、上空から何者かの視線を感じたが、気のせいだと思った。

 

ペットショップ帰り、翔太郎は物思いにふけっていた。

 

「フィリップ...お前が消えてもう1年になるな。風都タワーもようやく再建されたぜ。でもな、俺はお前に合わせる顔が無え...」

 

エターナルの手によって倒壊した風都タワーも元通りとなっていた。ちなみに翔太郎たちにフィリップを復活させようとしていることは話していない。成功確率が低いのに伝えて、無駄に希望を持たせる方が辛くなるとわかっていたからだ。

 

「街の危機は終わる気配が無え。なあ、フィリップ...お前の力が欲しいよ。ハードボイルドじゃないね、ってまた笑われそうだが。俺には今でも、お前がすぐそばにいるような気がしてならないんだ。今も、俺の近くに...」

 

翔太郎も、フィリップを欠いたという虚無感は今だに埋まっていないようだ。しょうがない。彼らは二人で一人の仮面ライダーだ。

 

「…何だ?坊主。うちに...用か?」

 

後ろを振り返ると、少年が後を着いてきていた。様々な場所を長々と寄り道をしてきたのにそれにずっと着いてきていたようだ。

 

「姉さんを...取り戻してくれる?」

 

少年の依頼は、奇しくも最後にフィリップが依頼した姉の救出だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事務所に戻った俺たちは、少年から事情を聞いた。

 

「青山晶君、小学六年生。姉の唯さんが3日前から行方不明、警察からも連絡なし...と」

 

「僕、姉さんがいないと何も出来ないんです」

 

腕組みしながら堂々と宣言する晶に、芸術的にコーヒーを噴く翔太郎。この子達観しているというか...すごいな。

 

「男が胸張って言うな!そんな台詞。いいか?いかなる事態にも心揺れず1人で耐えぬく。それがハードボイルドってんだ」

 

「それって、いい事なんですか?」

 

「何だと...?」

 

「第一、完璧な人間は居ないって言うじゃないですか。僕は子供で、まだ半人前だし。人に頼るのは当然ですよ」

 

Nobody's Perfect。そう鳴海荘吉は言っていたらしい。言っていることは正しいような気もするんだが...ほんと子供が言うことかこれ?

 

「うわぁ...」

 

さすがの亜樹子もドン引きしている。

 

「あー!もう堪えられん!亜樹子、戦兎、こいつを調査に連れて行くぞ!」

 

「うわっ、何するんです?僕は依頼人ですよ⁉︎」

 

「翔太郎君、無茶しないでね!」

 

翔太郎は晶を調査へと引っ張って行った。俺も後をついていく。

 

「唯ちゃんって、嵐ヶ丘高校でしょ?あそこの連中、悪いグループと関わってるらしいよ。名前は確か...EXE」

 

学生の情報ならウォッチャマンよりもクイーンとエリザベスの方が詳しい、というわけで二人にあたったのだが、ほんとよく情報持ってるな。

 

「エグゼ?何だそりゃ」

 

「E・X・EでEXE。ガイアメモリを売買してる若者のグループだよ」

 

この場にはウォッチャマンも混じっていた。

 

「EXEはexecute、実行するを省略した拡張子だ。ガイアメモリ販売を実行する...ってことか?」

 

「ボスはエナジーって呼ばれてるよね」

 

「うん」

 

「エナジー?メモリの名前か?よし...キーワードは揃った『嵐ヶ丘高校』『EXE』相棒に連絡だ」

 

スタッグフォンを手に取る翔太郎。こんなことがこの一年何回もあった。クセというものはなかなか抜けないものらしい。

 

「フィリップ君、海外留学から帰ってきたの?」

 

「あ...いけね。ついクセで」

 

まぁしょうがないところもある。メモリがらみの依頼の時は、いつもフィリップを頼りにしてしたから。

 

けれど、翔太郎は一人でも探偵の仕事をできる。それは、この一年探偵の仕事をできていたことからも明らかだ。

 

翔太郎は自らの調査能力でEXEの溜まり場を見つけ出したのだ。

 

「ここがEXEの溜まり場か、いかにもって感じだな」

 

「使われてない工場か。メモリを作ってるなんてことはないだろうが、たしかにここなら人も寄り付かない。アジトとしては最高だな」

 

中に入ると、高校生くらいの子供が出てきた。

 

「子供のくせにメモリの取引なんかしやがって、お仕置きだぜ」

 

「お仕置きするならこいつからだろ?」

 

少年が指さした先には、晶の姉である唯の姿があった。

 

「晶!」

 

「姉さん⁉︎」

 

「どう言う事だ?」

 

「俺達のメモリ売買はもともと唯が始めた事なんだよ」

 

「そんなの嘘だ!」

 

「ごめん...本当なの晶。一度、偶然見つけたものを売ったら凄い値段で売れて...」

 

「ひどいよ、姉さん!」

 

どうやら唯は自らメモリ売買に手を染めていたらしい。メモリを使わなくても、メモリの魔力には囚われてしまうようだ。それに、ミュージアム亡き今、町中に残っているメモリはどれも貴重品なのだろう。だから、高く売れる。だから、こんな組織が生まれる。

 

「俺たちはミュージアムを継ぐ者。偉大なカリスマも居る!」

 

どうやら全員ガイアメモリ中毒のようだ。気色の悪い薄ら笑いを浮かべている。

 

「カリスマ?」

 

「今は街で静かにしているあの方を迎えるため、俺達は残りのメモリをかき集めるのさ!...再起動の日は近い」

 

そうしてメンバーの1人がメモリを起動する。

 

『ANOMALOCARIS』

 

メモリを起動した少年がアノマロカリスドーパントに変身する。陸の上でそれに変身するなんて...やはり子供だ。メモリの適性や優位になる状況を考えずに使っているのだろう。

 

「どいてろ」

 

『ほら、やっちゃうよ?』

 

フィリップを失った翔太郎が手にするのはロストドライバー。

 

「行くぜ、フィリップ」

 

『JOKER』

 

いつものようにサイクロンメモリが転送されてくるのを待ってしまう翔太郎。

 

「…いけねえ、またクセだ」

 

メモリを持ち替える翔太郎。どこまで行っても綺麗に決まらないのは翔太郎らしい。

 

「はあ?何それ」

 

『RABBIT』『TANK』

 

ラビット!タンク!ベストマッチ!

 

「変身」 「変身!」

 

ジョーカー!

 

紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!

 

「俺は仮面ライダージョーカー」

 

「そして俺が仮面ライダービルド。『創る』『形成する』って意味の、ビルドだ。以後、お見知り置きを」

 

「二人が...」

 

『フン、仮面ライダー?』

 

「じゃあな、頼むなー」

 

アノマロカリスドーパントが襲いかかってくる。飛んでくる歯の弾丸は俺がラビットサイドの速さを活かして叩き落とし、ジョーカーが蹴りを叩き込む。

 

「巨大化もしなければ煙幕も撒かないか...適合率の低さが目に見えてわかるな」

 

本来ミュージアムのドーパントに対して不利なはずの俺の攻撃でアノマロカリスドーパントは大きくよろける。しかもラビットサイドのキックでだ。弱すぎて逆に手応えがない。

 

「おいおい、どうした?そんなもんか?」

 

これまで戦ってきた相手に比べれば赤子も同然だ。

 

「これで決まりだ」

 

ジョーカー!マキシマムドライブ!

 

「ライダーパンチ!」

 

ジョーカーの放ったライダーパンチであっという間にメモリブレイクする。

 

「晶、姉さんを追うぞ」

 

変身を解除して晶を呼ぶ。

 

「…もう嫌です。何も知りたくない、したくない!」

 

けれど、晶はその場を逃げ出そうとする。

 

「おい、晶!殻に籠っている場合か!」

 

「僕は、あなたみたいに強くないんだ!」

 

翔太郎が逃げる晶に追いつき、捕まえる。

 

「いいか、俺は強くなんか無え。お前と同じだ」

 

「え?」

 

「本当は1人じゃ何も出来無えけど、無理やり1人で踏ん張ってるだけさ」

 

「それがハードボイルド?分かんないよ!」

 

「先に事務所に戻ってろ。俺は調べることがある。戦兎、晶を頼む」

 

「了解」

 

晶と共に事務所に戻る。

 

「ただいまーっと」

 

晶を椅子に座らせる。パパッとコーヒーでも淹れようか...と思ったが子供にコーヒー出すのどうなんだ?意外と飲めるのかもしれないが、お茶を入れた方が良さそうだ。

 

「ハードボイルドってなんなんだろう...」

 

晶の呟きが聞こえる。

 

「ハードボイルドねぇ...俺にはよくわからないな。結局翔太郎もハーフボイルドの時の方が多いし。一人になってからはハードになってきたけど...やっぱ二人じゃないと翔太郎らしくない」

 

「二人...翔太郎さんの相棒って戦兎さんじゃないんですか?」

 

「違うよー?フィリップって言う相棒がいたんだ」

 

亜樹子が話に混じってくる。

 

「その人は今どこに?」

 

「あー...うん、ちょっと海外にね。しばらく帰ってこないんだ」

 

「海外に...どういう人なんですか?」

 

「簡単に言えば天才だな。と言っても君が思うような天才じゃない。この世全ての知識を持っている...みたいな。そんなやつだ」

 

「フィリップ君...そうだ!」

 

亜樹子が何かを思い出したようで、フロッグポットを持ってきた。

 

『FROG』

 

『問題ない、亜樹ちゃん』

 

フロッグポットからフィリップの声がする。

 

「声、残ってたのか」

 

「フィリップ!帰ったのか!やっぱりな...いつからだ?俺はな、ずっと気配を感じてたんだよ」

 

あっ。やってしまった。翔太郎が戻ってきてしまった。フィリップが帰ってきたと勘違いして大喜びしてしまっている。

 

「おい、フィリップ?」

 

『亜樹ちゃん、問題ない。さあ、検索を始めよう』

 

亜樹子の持つフロッグポットを見て呆然とする翔太郎。

 

「たまたま、晶君にフィリップ君の話してて、で、フロッグポッドに声が残ってたもんだから、つい!ごめんね?翔太郎君。本当ごめん!どうか、これ、これで1発!」

 

スリッパを手に必死に謝る亜樹子。これで叩けと言っているのだろうか。けれど、翔太郎は黙ったままアジトへと引っ込んでしまう。

 

「…怒んないの?亜樹子ー!って...」

 

「ハハッ、何だ。相棒が居なくなってメソメソしてるなんてカッコ悪!僕のこと、偉そうに言えないじゃないか」

 

「それ以上言うな。それ以上の侮辱は許さない」

 

「だって、外国に行ったぐらいで...」

 

「…あれ嘘。本当は、この世から消えちゃったの」

 

「え...?」

 

「フィリップ君は、翔太郎君の大事な相棒だったの。君にとってのお姉さんと同じ。居てくれないと、何も出来ないぐらい2人で1人だったの」

 

「死んだわけじゃない。だけど、消えた。そして翔太郎はフィリップにこの風都を託されたんだ。だから、あいつは一人で頑張ってる。ずっとやせ我慢してな」

 

「やせ我慢...それが、ハードボイルド...?」

 

その時、晶の携帯にメールが来たようで、通知音が鳴る。メールを見たらしい晶は、そのまま事務所を出てどこかに行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亜樹子の機転によって付けられたスパイダーショックの発信機のおかげで、晶の場所はすぐにわかった。俺たちが追いついた時、唯と晶はドーパントに追い詰められていた。けれど晶は、バッグを振り回して唯を守ろうとしていた。

 

「翔太郎さん!どうしてここが⁉︎」

 

「念のため!」

 

晶の足首に付けられた発信機を呼びさす亜樹子。

 

「よう晶。1人で踏ん張ったんだな?見直したぜ」

 

「勇気あるなお前。初めてあったころと大違いだ」

 

「翔太郎さんも、1人で踏ん張ってるから!」

 

「行くぜ」

 

『JOKER』 『RABBIT』『TANK』

 

「俺、変身!」 「変身!」

 

ジョーカー!

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!

 

『仮面ライダー?』

 

照井もやってきて他のEXE構成員と生身で戦う...ドーパントじゃないとはいえ変身はしないんだな。ってかやっぱ強い。警察とはいえ生身でそのスペックはやばいって。

 

「何だ?お前」

 

「俺に質問するな」

 

「大丈夫?」

 

晶と唯を避難させる亜樹子。依頼人の避難は亜樹子がよくやっていることだが、やはり手慣れているな。こっちもやることやらないと。

 

コックローチドーパントを二人で圧倒する。ちょっと素早いだけでそんなに強くはない。ジョーカー一人でも簡単に倒せそうだ。

 

「さあ、お片づけだ」

 

ジョーカー!マキシマムドライブ!

 

「ライダーキック!」

 

あっさりと、コックローチドーパントにライダーキックでトドメを刺す。それを見た他の少年たちは取り乱し、メモリを使おうとするものの使う前に取り押さえる。

 

「出番が無かったな、エナジーさんよ」

 

ジョーカーがリーダーっぽいやつにデコピンする。普通にデコピンしたら多分相当吹っ飛ぶだろうから相当手加減したんだろうな。そしてメモリも踏み潰した。これにてEXE壊滅だ。

 

「左」

 

「あ?」

 

「後は任せろ、俺の仕事だ」

 

「任したぜ」

 

後の処理は警察の仕事だ。少年たちを引き渡した。

 

その後、姉弟を含み、風都タワーを背に仲良く帰路に着く俺たち。

 

「ありがとう、晶。あんたがあんな勇気出すなんて」

 

「覚えたてのハードボイルド、だよ」

 

「この野郎!ったく、調子のいい奴め!」

 

「一人で突っ込みすぎるのもダメだからな?協力するときは協力するんだ。独断専行しすぎるとこいつみたいになるぞ」

 

「俺が独断専行?そんなことするわけないだろ」

 

「結構してるけどな...あっ、でも亜樹子の方がやってるわ」

 

そんなことを話していたら、一人の男が立ち塞がった。

 

「何だお前?...あ!ペットショップの!」

 

なんか微妙に見覚えがあると思ったら、その男はペットショップで餌の仕入れにダメ出しをされていた店員だった。

 

「偉そうに。何が街の顔だよ!」

 

『ENERGY』

 

「エナジー⁉︎」

 

「下がってろ!」

 

エナジードーパントへと変身する男。

 

「逃げろ!」

 

変身する間もなく、俺たちを逃がそうとする翔太郎。そしてエナジードーパントの放ったレールガンが翔太郎の背中に迫った。

 

「翔太郎!」

 

「翔太郎さん!」

 

「翔太郎君!」

 

「左...!」

 

膝をつき、倒れる翔太郎。

 

「ハハハ...!誰も知らない、この街で俺が一番強い事を。EXEの真のヘッドだと言うことを!」

 

人間の姿に戻る男。

 

「翔太郎君...翔太郎君!翔太郎君!」

 

呆然とし、殺人犯を逮捕しようという発想すら出てこない俺たち。クローズドラゴンの防御すら間に合わなかった。けれど俺には、何かが飛んできて翔太郎を守ったのが一瞬見えた。

 

そして、死んだかと思ったら普通に目を覚まし、立ち上がる翔太郎。

 

「翔太郎さん...?」

 

その背には、エクストリームメモリがあった。フィリップとともに消えたはずのエクストリームメモリ。これが復活したと言うことは...!

 

「フィリップ...?」

 

「フィリップ君⁉︎」

 

エクストリームメモリから、フィリップが出てくる。

 

「やあ、翔太郎」

 

「何でだよ...?」

 

フィリップが戻ってきたことは喜ばしいが、何が起こったのか分からず、唖然とする俺たち。

 

「1年前、若菜姉さんが僕に体をくれたんだ」

 

「若菜が...?」

 

「体を復元しながら、僕はずっと君を見ていた」

 

「気のせいじゃなかったんだ...」

 

度々感じていた空からの視線。それは、エクストリームメモリからこの世界を見ていたフィリップのものだった。

 

「あたし、聞いてない...!」

 

「あなたがフィリップさん?翔太郎さんの相棒...」

 

「やあ、青山晶君。君のことはすでに検索済みさ。よく頑張ったね、僕たちの仲間になれるかもしれないね」

 

「うおー!フィリップ!!」

 

翔太郎が歓喜の雄叫びをあげながらフィリップに抱きつく。

 

「翔太郎!相変わらず全然ハードボイルドじゃないね」

 

「翔太郎君は、完成されたハーフボイルドだからね!」

 

「んな完成、したかねえ!ハハハ...うおー!」

 

亜樹子がどさくさに紛れて照井に抱きついていた。なんでさ。

 

「こらー!さっきから何だ!無視すんな!」

 

本当にこいつにカリスマがあるのか?言動から漂う小物臭がすごい。

 

「おっと、いけねえ...忘れてたぜ。さあ行こうか、フィリップ」

 

「ああ、相棒」

 

『ENERGY』

 

男はエナジードーパントに変身する。それに対して、ダブルドライバーを腰につけ、メモリを構える二人で一人の探偵たち。俺の出る幕はない。

 

『CYCLONE』

『JOKER』

 

「「変身!」」

 

サイクロン!ジョーカー!

 

Wに変身し、倒れるフィリップの体を亜樹子が支える。

 

「おおー!これこれ!やっぱこれよ!!」

 

「だな!」

 

久しぶりのWの変身にみんなノリノリだ。

 

Wはエナジードーパントに向かって走り、飛び蹴りをかます。その後も、サイクロンジョーカーのいつもの戦闘スタイルである蹴りでエナジードーパントを押していく。

 

『LUNA』『TRIGGER』

 

ルナ!トリガー!

 

ルナトリガーにハーフチェンジし、曲がる弾丸で動きまわるエナジードーパントを迎撃する。

 

『HEAT』『METAL』

 

ヒート!メタル!

 

今度はヒートメタルにハーフチェンジして、メタルシャフトをぶつける。振り回してぶつけたり、引っ掛けて投げ飛ばしたり、いつもの戦い方を一年ぶりに見せる。

 

『CYCLONE』『JOKER』

 

サイクロン!ジョーカー!

 

「どんどん行くぜ!」

 

ジョーカー!マキシマムドライブ!

 

『さあ、行くよ翔太郎』

 

「ああ、ハードボイルドに決めるぜ!」

 

『「ジョーカーエクストリーム!」』

 

久しぶりにみる半身分離からの両半身でのキックが炸裂する。『無理無理無理!』と言いながら逃げようとしていたエナジードーパントは、マキシマムを喰らってメモリブレイクする。

 

『決め台詞は、忘れてないだろうね?翔太郎』

 

「当たり前さ、フィリップ。街を泣かせる悪党に、俺達が永遠に投げかけ続けるあの言葉...」

 

『「さあ、お前の罪を数えろ!」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーフィリップが戻ってきてくれてよかったよほんと」

 

「一年も待たせてくれちゃって!この、このっ!」

 

「俺にくらい知らせてくれればよかったのに。復元作業が速くなったかも知れなかったのに。というかもう解決してたなら俺の努力はなんだったんだ...」

 

「君が色々と努力しているところも見ていたよ。ガイアスペースを探そうとしたり、若菜姉さんに頼もうとして諦めたり...僕を取り戻そうとしていたんだよね。ありがとう」

 

「ちょっと待て戦兎。それはどう言うことだ?」

 

「ああごめん、黙ってて。あれから俺もフィリップを復元するために色々やってたんだ。なんとか地球の記憶と繋がれるところを探して、そこから地球の記憶の一部となったフィリップのメモリを作るなりして復活させようとしたりとか。全部失敗したけどね」

 

「それならそうと言ってくれれば...!」

 

「できるかどうかわからなかったから言い出せなかった。もしそれで淡い希望を持たせるのもどうかと思ってしまったんだ」

 

「まぁそれはいい選択だったと思うよ。それを言っていたら翔太郎はまた一人で無茶していただろうからね」

 

「そうそう、そう思ったから言わなかったんだよ」

 

「お前らほんと俺のこと勘違いしてんじゃねぇよ、いつ俺が独断専行したんだ」

 

「……」

 

「…ちょっと待てなんだその目は。無言で俺のことずっと見るんじゃねぇ!」

 

やっといつもの翔太郎か帰ってきた。フィリップと一緒に戻ってきたようだ。事務所にも、賑やかさが戻ってきた。やっぱりこいつらがいないと味気ない。

 

「そういえば戦兎、サイエンスメモリはどれだけ集まったんだい?この一年何回も戦ってたみたいだけど」

 

「そっかそれも見てたのか。今のところ...えっと、何個だ?数えるか」

 

今持ってるメモリを机の中に並べていく。

 

「まず東都、北都、西都のメモリそれぞれ二十個で六十...いや、ロボットメモリがないから五十九だな。そしてスパークリングが一つに、ハザードが一つ、ラビットとタンクがもう一つずつあって、マグマメモリが一つ...ああ、あとギアエンジンとギアリモコンがあったな。俺が今持ってるメモリはこれで全部だ。六十六個か。」

 

「すごい数あるねぇ...」

 

「あれ?あれはどこに行ったんだ?」

 

「あれってなんだ?」

 

「ほら、金のラビットと銀のドラゴンだよ。風都タワーで変身してただろ?」

 

「ああ、あれのことか。あれはあの時メモリブレイクされてしまったからね。回収もしてないから、風都タワー改修工事の時にどこかに捨てられてると思う」

 

「なるほど」

 

「これだけあると持ち運ぶのに面倒なんだよな。要らないのは事務所に置いていったりしてるけど」

 

使う頻度の多いものを選んで持ち歩いているが、それでも結構邪魔になる。今度マシンビルダーにメモリホルダーでも付けて持ち運びやすくするとしよう。

 

「俺が持ってないメモリは...ロボットにバットにコブラ、もう一つのハザードにブリザードとかだな」

 

「ん?バットはもう持ってるじゃないか」

 

「西都の分のバットメモリはな。俺が言ってるのはロストフルボトル...こっちで言うならロストメモリと言ったところか。ナイトローグに変身する時に使ってたやつだな」

 

記憶にあるロストメモリの数は十個。他にもメモリはいくつかあるはずだ。

 

「あとどれくらいメモリがあるのかはわからないけど...出てきたやつは倒すだけだ」

 

そうだな、とみんなが頷いた時、突然事務所の入り口のドアが開く。また、事件がやってきたのだろうか。みんながドアのほうに振り返る。

 

「緊急の依頼だ...!」

 

「お、お前!」

 

「聞きたいことは全部話す。だから、俺の依頼を受けてくれ...!」

 

なんでこいつが、今更ここに来るんだ。

 

「エボルトを...倒してくれ!」

 

突然舞い込んできた依頼。

 

その依頼主は、佐藤太郎だった。




これにて原作パート完結。
次回からは完全オリジナル回になります。
散らばしてた伏線の回収をやっとできる...

ラビタン久しぶりに出たなと思って数えてみたら、12話ぶりだった。
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