仮面ライダーW Bの天才/メモリの適合   作:ダイヤモンドリリー

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10629字。


Eの覚醒/2人で1人

バットのブラックロストメモリをエボルトが手に入れること。それを防ぐことが、今俺たちにできるエボルトへの妨害工作だ。

 

「なんとしてでも怪人態になるのを防がないといけない」

 

「でもエボルトがどこでドーパントを作るかわからないだろ。どうやって食い止めるんだ?」

 

確かに、ドーパント探知範囲外でドーパントを作る可能性があるし、もし探知内でも俺たちが辿り着く前に終わってしまう可能性もある。後手に回っては防げない。

 

「大丈夫だ。俺の考えが正しければ、俺たちはバットブラックロストメモリを奪える」

 

「なに...?」

 

「エボルトなら絶対アイツをドーパントにするだろう。先回りするぞ」

 

そうして俺たちはとある場所にやってきた。そして監視して、エボルトがやってくるのを待つ。

 

「なぁ、本当に来るのか?」

 

「ああ、絶対来る。バットメモリだしな」

 

「…なるほど」

 

翔太郎も納得したみたいだ。

 

「………来たぞ」

 

エボルトが通路の奥から歩いてくる。

 

「怪しまれないように花束まで持ってやがる。用意周到だな」

 

「エボルトが中に入ったら突入するぞ」

 

エボルトはキョロキョロと辺りを見てから、部屋の中に入った。

 

「よし、行くぞ!」

 

俺たちも急いで中に入る。

 

「よぉエボルト!ここに来るって思ってたぜ」

 

「チッ、先読みされていたか...」

 

「そりゃあバットメモリだしな。こいつに使うってのはなんとなくわかってたよ」

 

今いるこの部屋は、佐藤太郎の病室だ。そもそもバットロストメモリは佐藤太郎がずっと使っていた物だ。それなりに適合率も高い。

 

あの時、佐藤太郎を背負おうとした時にバットロストメモリがエボルトの方に飛んでいったのは、エボルトの仕業だ。けれど、バットロストメモリを落としたのはエボルトのせいではない。佐藤太郎にメモリ自身が引かれたのだ。

 

サイエンスメモリはT2メモリのように適合するものに引き寄せられる。ロックメモリがキーメモリに引き寄せられたように。ブリザードメモリが井坂深紅郎に引き寄せられたように。バットも佐藤太郎に引き寄せられたのだ。

 

「まぁお前の恨みを買ってそうだなってのも理由だけど」

 

「しょうがない...か。さぁ、メモリ争奪戦と行こうぜ」

 

『BAT』

 

バットブラックロストメモリが寝ている佐藤太郎の首に挿さる。少しずつ体がドーパント化していき、バットドーパントに変身する。これを止められないのは既にわかってた。でも、エボルトより先に倒してメモリを奪えば問題ない。

 

「お前にメモリは渡さない!」

 

『BLIZZARD』『MAGMA』

 

ブリザード!マグマ!ベストマッチ!

 

『JOKER』

 

「変身!」

 

心火爆炎!ブリザードマグマ!イエーイ!

 

サイクロン!ジョーカー!

 

それぞれ変身を終え、窓から部屋を飛び出したバットドーパントを追う。

 

「ハァッ!ハッ!ハァッッ!」

 

ブリザードサイドでバットドーパントの翼を殴る。翼を凍らせて、空を飛んで逃げられることがないようにするためだ。

 

「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るな」

 

『BLACK HOLE』

 

オーバー・ザ・エボリューション!

 

『COBRA』『RIDERSYSTEM』

 

コブラ!ライダーシステム!レボリューション!

 

Are you ready?

 

「変身」

 

ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!

 

フハハハハハハハハ......!

 

エボルトがエボルブラックホールフォームに変身する。

 

「エボルトは俺に任せろ!バットを頼む!」

 

バットの機動力は削いだ。あとはWだけでも十分に戦えるはずだ。なら、今俺がすべきことはエボルの足止め。奴にメモリは渡さない。

 

「ハッ!オラァッ!」

 

エボルの攻撃を避け、両サイドで交互に殴る。それを喰らったエボルは少しよろけるも、すぐに立て直す。そして攻撃するのを止め、俺の攻撃を避けていく。

 

「なぜ攻撃しない...!」

 

「避けられるんだったら攻撃しても意味ないしな。それに...疲れるのを待つ方が楽だからな」

 

エボルトはドーパントで、俺はデータは入ってるもののほぼ人間。体力的に持久戦は俺の方が不利だ。

 

「でもそれでいいのか?この戦いは...」

 

ジョーカー!マキシマムドライブ!

 

「先にメモリを取った方の勝ちだぞ?」

 

「『ジョーカーエクストリーム!』」

 

俺の背後でWがバットドーパントに向かってマキシマムを放つ。

 

「そうだった...な!」

 

エボルがトランスメモリーガンをバットドーパントに向けて撃つ。それによってバットドーパントの位置が少し変わり、Wのマキシマムが当たらなくなる。そしてエボルが走り出した。

 

「まずい!エボルトより早く倒せ!」

 

Wが急いですぐ近くのバットドーパントに蹴りを放とうとする。しかし、後ろに重力で引っ張られる。もう追いつけない。メモリを奪われる...!

 

『BLACK HOLE』

 

「…へ?」

 

エボルは持っていたトランスメモリーガンにブラックホールメモリを装填すると、バットドーパントの首に当てて引き金を引いた。

 

「いったい...何を...」

 

「お前まさか⁉︎」

 

嫌な想像をしてしまった。外れて欲しい。

 

「戦兎、お前の想像通りだよ」

 

ブラックホールメモリは、エボルトリガーの役割を担っている。そしてエボルトリガーはハザードトリガーのオリジナルだ。さて、ハザードトリガーの役割を担っているハザードメモリを入れられたドーパントはどうなっただろうか。

 

「この世界で、ビルド世界で起こったいろんなことを再現してきたが...一個だけ、重要なことを再現してなかったよなぁ?」

 

「そんな...死ん、だ?」

 

ビルド世界で起こって、この世界で起こってないこと。それは、佐藤太郎の死だ。

 

『そんな...』

 

「倒すのはやめだ...」

 

Wの近くに寄って小声で話す。

 

「ハザードスマッシュはジーニアスで浄化して安全に倒すことができた。ハザードドーパントも同じなら、なんとかして保護してジーニアスに変身できるようになってから...!」

 

ブラックホール!マキシマムドライブ!

 

しかし、エボルがそれを許さない。

 

Ready Go!

 

「止めろおおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

ブラックホールフィニッシュ!

 

エボルのライダーキックがバットドーパントに突き刺さる。バットドーパントはその場で崩れ落ち、メモリだけを残して塵となって消えた。

 

「ふぅ、なんの意味もないがスッキリしたぜ」

 

「なんの...意味もない...?」

 

なんでエボルトはそんなことを言った?考えろ。何か、違和感がある。それはなんだ?

 

「………あっ」

 

ビルドの世界でブラックロストフルボトルを作るには、ロストフルボトルで作られたスマッシュを倒し、漆黒に染まったそれらを黒いパンドラパネルに装填する必要がある。順序が違うが、この世界でエボルトがブラックロストメモリを使ってドーパントを作り、倒してたのはそれのためだろう。

 

けれど、例外があった。四本のロストフルボトルはそのまま黒いパンドラパネルに装填してブラックロストフルボトルに変化した。

 

そのボトルは、コブラ、シマウマ、ハサミ。そして、バットだ。

 

もしこの法則が当てはまるとしたら、バットメモリはドーパントを生み出さなくてもブラックロストメモリとして使える。

 

つまり、エボルトはする必要もないのにわざわざバットメモリを佐藤太郎に挿れたのだ。佐藤太郎を殺す、ただ、そのためだけに。

 

「くそ...」

 

「本当にスッキリしたぜ。あとはお前らだけだ」

 

「この!クソ野郎がア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

 

ブリザード!マグマ!マキシマムドライブ!

 

ボルテックフィニッシュ!

 

怒りのままにマキシマムを放つ。

 

「よっ」

 

しかし、軽くあしらわれる。避けられ、横から蹴りを叩き込まれる。ドライバーが外れ、変身が解ける。

 

「ぐっ、クソォッ...!」

 

エボルはそのままWのもとに一瞬で移動し、蹴り飛ばして変身解除に持ち込む。

 

「っ!」

 

翔太郎とエボルの間に立ち塞がる。

 

「まだ戦えるってか。仲間を守ろうとするだなんてけなげだねぇ...」

 

「お前は絶対に倒す...!」

 

「まぁいい。俺の進化を見ておきな。冥土の土産ってやつだ」

 

エボルが、メモリを取り出す。

 

「なんだ...そのメモリ...!」

 

「やっとこれを起動できるぜ...」

 

『BAT』

 

エボルがトランスメモリーガンにバットブラックロストメモリを装填すると、取り出したそのメモリに銃口を突きつけ、引き金を引いた。メモリにデータが流れ込む。

 

「まったく、財団Xも不完全なメモリ作りやがって...」

 

「財団X...?まさかそのメモリ⁉︎」

 

『EVOLUTION』

 

「T2メモリだと⁉︎」

 

エボルがエボリューションのメモリを前に放り投げる。すると、独りでにエボルの方に飛んでいき、胸部分から中に入り込んだ。エボルの体が変化していき、怪人態へと姿を変えていく。

 

「27本目の...T2メモリ...?」

 

「それを使ってブラックホールやブラックロストメモリを作ったのか!」

 

『そうだ。メモリ一本じゃ俺の力は収まりきらなかった。ビギンズナイトの日に作られたエボリューションのメモリは、俺の記憶と人格、フェーズ1までの力しか内包しなかった。だから、二本目のメモリを財団Xに作らせた」

 

「力を取り戻すために...そうか、ロストドライバーも財団Xから手に入れたのか!」

 

『おお、よくわかったじゃねぇか』

 

これまでわからなかったことが、全て繋がった。この、最悪な状況で。

 

『さぁ、またゲームを始めようじゃないか!ルール説明は要らないよな?』

 

「…10分ごとにブラックホールで日本の一部を飲み込んでいく...!」

 

『あー、やっぱやめた。ルール変更だ』

 

「なに?」

 

『1分で一回だ。1分経つごとに飲み込むことにするよ』

 

「そんな⁉︎」

 

『じゃあ行くぞ。今からゲームスタートだ!』

 

無慈悲なゲームが始まる。早く、なんとしてでも止めなければ。

 

「この地球は破壊させない!」

 

腰にギャクサイドライバーを取り付ける。そして、一本のメモリを取り出した。

 

『BUILD』

 

『…なぜそのメモリを持っている!壊したはずだぞ!』

 

「お前と同じ、2本目のメモリだよ。佐藤太郎が遺してくれた...最後のサイエンスメモリだ!」

 

ビルドメモリをギャクサイドライバーに挿す。そして展開した。

 

ビルド!

 

Are you ready?

 

「変身!」

 

体にビルドの装甲が装着されていく。赤と、青の装甲が。

 

『そ、その姿は...!』

 

それは、ラビットタンクであった。けれど、今までのラビットタンクとは違う。左右でくっきり分かれているのではなく、混ざり合ったような姿。

 

本来の、仮面ライダービルドの姿だ。

 

「ハァッ!」

 

左足のホップスプリンガーで一気に跳び、右足のタンクローラーシューズの無限軌道でエボルの装甲を削り取る。

 

「っ!」

 

エボルの反撃を避けながら、俺はホークガトリングの姿を思い浮かべる。すると、スナップライドホルダーが現れ、ビルドの姿をホークガトリングに変える。

 

『メモリを変えずにフォームチェンジだと⁉︎』

 

ホークガトリンガーを持ち、エボルに向かって乱射する。エボルもトランスメモリーガンを撃ってくるが、ソレスタルウイングを展開し、空を飛んで弾丸を避けていく。

 

ガトリング!マキシマムドライブ!

 

100(hundred)!フルバレット!

 

一気にリボルマガジンを回転させ、100発の弾丸を装填する。

 

ボルテックブレイク!

 

ホークガトリンガーの特殊弾丸が100発放たれる。いくつかは撃ち落とされるも、全てを撃ち落とすことなんて不可能だ。半分以上がエボルに命中する。

 

「次!」

 

ライダーズクレスト型のスナップライドビルダーが出現し、ベストマッチリキッドが内部に充填される。装甲が、ラビットタンクスパークリングに変化する。

 

「ふっ、ハァッ!」

 

ラビットバブルを破裂させ、エボルの周囲を高速で旋回する。そして辻斬りのように、すれ違い様にインパクトバブルを破裂させながら右足で蹴りを叩き込む。

 

『ぐぅっ...無駄だ!』

 

重力がエボルを中心に反転する。

 

「ならこいつだ!」

 

ハザードライドビルダーが出現し、押しつぶされる。次の瞬間には、タンクタンクに変化していた。

 

『こいつ地面を⁉︎』

 

脚部のダッシュマッシュレガースを地面に押し付ける。そのままでは地面と並行にエボルの反対側に落ちるだけだが、背部のキャタタンクマニューバーは、ハザードの強化剤を利用したスラスター装置が組み込まれた機動ユニットなのだ。その機能を使って壁のようになった地面を駆け抜ける。

 

タンク!タンク!マキシマムドライブ!

 

フルフルマッチデース!

 

フルメモリバスターにタンクメモリを挿す。

 

フルフルマッチブレイク!

 

青い巨大なエネルギー弾がエボルの体を貫く。その威力は凄まじく、エボルを軽々と吹き飛ばしていく。重力が、元に戻る。

 

『な、なんなんだそのメモリは!』

 

「ビルドだよ。佐藤太郎が作り上げた、俺の適合率を最大限に活用するための真のビルドだ!」

 

今度はラビットラビットに変化し、エボルに急接近する。エボルの放つパンチを避け、蹴る、蹴る、蹴る!

 

「エボルトはビルドには勝てない!一度決まったその事実が!お前を負かすんだ!」

 

ラビット!ラビット!マキシマムドライブ!

 

フルフルマッチデース!

 

フルフルマッチブレイク!

 

バスターブレードモードでエボルを連続で斬りつける。

 

「さぁ、次で終わらせるぞ」

 

最後に頭に思い浮かべるのは、もちろんあの姿。金と銀の、2人の力の結晶だ。

 

『ラビット...ドラゴン!』

 

「お前を倒すならこれだよなぁ?」

 

『…いや待て。今のお前はゴールドラビットとシルバードラゴンを持っていない。その姿にはなれてもマキシマムは使えない!』

 

「そうだな。で?それのどこが問題なんだ?」

 

『それに、だ。忘れたのか?お前のマキシマムじゃ俺のメモリは破壊できない!』

 

「確かにそうだけど、メモリを体から排出させることはできる。体から取り出してから、普通に握りつぶすかWに壊して貰えばいい」

 

『くっ...そうだ、万丈だ!俺のメモリの中には万丈龍我の意識がある!俺を殺せば万丈も死ぬぞ。それでもいいのか!』

 

「そういえばそうだったな」

 

『万丈の命が惜しけりゃここは!』

 

「時間稼ぎに付き合うつもりはない」

 

こうやって話しているうちにも、どこかの町がブラックホールに飲み込まれている。それを許すわけにはいかない。

 

『お、おい待て!』

 

エボルに向かって走る。そして俺はエボルに蹴りを叩き込む...

 

のではなく、エボルに見えないように持っていたトランスメモリーガンをエボルの首筋に突きつけ、引き金を引いた。

 

『ぐっ⁉︎』

 

勢いよく跳ね除けられる。でも、目的は達成した。

 

『何を入れやがった...?』

 

エボルが俺の持つトランスメモリーガンを見る。

 

『白...無?へっ、ハッタリか。なんの記憶も入ってないクズメモリを俺に入れてどうなるってんだ』

 

そう、トランスメモリーガンに入っていたのは、佐藤太郎が遺していたもう一つのメモリ。あの、なんの記憶も入ってない白いメモリだ。

 

「クズメモリ...か。確かにそうだ。今は、な」

 

『なに...?』

 

白かったメモリに、少しずつ色がついていく。

 

「トランスメモリーガンはただメモリデータを挿れるだけの道具じゃない。中に入っているメモリを調整し、時には停止させたりできる」

 

佐藤太郎が、俺にやってきたことだ。知識だけ残して桐生戦兎の人格を落としたり、逆に元に戻したり。トランスメモリーガンを使えば、外から内部のメモリに干渉できる。

 

「なら、特定のデータだけを吸い出すこともできるはずだ」

 

『お前...まさか⁉︎』

 

完全に変化しきった、青と金のメモリをトランスメモリーガンから引き抜く。そして一度変身を解除してギャクサイドライバーを取り外すと、ラビットラビットの時に気づかれないように回収していたビルドドライバーを腰につけた。

 

「万丈は返してもらった。これでもう人質はいない!」

 

『CROSS-Z』『BUILD』

 

「さぁ、実験を始めようか!」

 

クローズビルド!

 

Are you ready?

 

「変身!」

 

ラビット! ドラゴン! Be The One! クローズビルド!

イェイ! イェェーイ!

 

金と銀の複眼。ラビットラビットとクローズ、二つの姿が混ざり合い、融合したような姿に変化する。まさに、クローズビルド。

 

『こんな姿...初めて見た。ビルドにこんな姿が⁉︎』

 

「そうだな、俺も驚いてるよ。行くぞエボルト。お前を倒す」

 

そう宣言し、左足のCBラビットフットシューズに付いているCBディメンションスプリンガーを最大まで収縮させ、一気にエボルのもとに跳ぼうとする。しかし、体は思ったように動かなかった。

 

「…おかしい、どうして動かない?」

 

『んあ?なんだこれ』

 

…幻聴か?この場にいるはずのない声がする。

 

『えっ⁉︎あいつエボルトじゃねぇか!なんでまだピンピンしてやがんだ⁉︎』

 

エボルトが声真似でもしてんのか...?いや、万丈の記憶は抜き出した。エボルトにこの声を出せるわけがない。

 

『ってかなんだこの姿!うまく動けねぇし...何がどうなってやがんだ!』

 

となると、考えられる可能性は一つしかない。

 

「が...」

 

『が?』

 

「合体しちゃったー‼︎⁉︎」

 

万丈が俺の中に⁉︎なんでどうして!

 

『戦兎か⁉︎ どーゆーことだよ戦兎!説明しろよ!』

 

「クローズメモリを変身に使ったから?いやでも変身して意識が繋がるだなんて...あっ」

 

『どうしたんだよ戦兎』

 

「これ、Wと同じだ」

 

『あ?』

 

メモリに意識を飛ばして、2人で1人の仮面ライダーに変身する。これは、Wの変身方法と全く同じであった。

 

「なるほどそういうことか...」

 

『一人で納得してんじゃねぇよ!なんなんだこの状況は!なんであいつが!新世界はどうなったんだよ!』

 

「説明は全部後でする!今はこいつを倒すぞ!」

 

『…ああ!』

 

エボルに向かって2人で走る。そしてここでエボルに左足で蹴りを...うわっ⁉︎

 

「ちょっ、何やってんだ!」

 

『今はこっちだろ!』

 

万丈が右足で蹴ろうとしたため両足が地面から離れてしまい、倒れてしまう。急いで転がって避けようとするも、お互いに反対に転がろうとしたため動けない。

 

『バカで助かったぜ...おらよっ!』

 

「『危ねぇ!』」

 

左足で勢いよく地面を蹴って緊急離脱する。

 

『そんなことしてる間にも、ブラックホールが発生してどこかの町が飲み込まれてるんだぜ?そしてほら!』

 

エボルの腕が巨大化する。ブラックホールで町を飲み込んで力に変えているのだ。

 

『早く倒さねぇと!』

 

早くエボルを倒す。そう思って踏み出した一歩。しかし、両足を同時に出してしまったため、また倒れてしまう。

 

「呼吸合わせろお前!」

 

『お前だよ!』

 

「『ぐぬぬぬぬぬ...!』」

 

まずい、いつまで経ってもちゃんと動けない。Wはどうやってこの状態でいつも戦っているんだ?二人の呼吸が合わないと身動き一つちゃんと取れないってのに!

 

『弱い奴ほどよく吠える...ハァッ!』

 

好機と見たエボルがこちらに迫ってくる。

 

「『あ?』」

 

急いでうつ伏せになり、地面を手で勢いよく押す。

 

「『ふざけるな!』」

 

近づいてきたエボルに向かってドロップキックを放つ。

 

『ぐうっ...⁉︎』

 

「動けた...!」

 

『行くぞ戦兎!』

 

「お前が仕切るんじゃないよ万丈!」

 

高速でエボルに近づき、ラビットサイドで超高速のジャブを叩き込む。内部へと直接響くパンチに、エボルが若干よろめいたところを右腕のCBファングオブレイドで斬り裂く。

 

『ぐっ、うゔっ...なんなんだこの力は...!』

 

「お前を倒す!その思いが!俺と万丈2人の思いが!」

 

『俺たちに!スッゲェ力を!』

 

ラビットサイドの効果によって二倍になった反応速度でエボルの蹴りを避け、同じく二倍になった速度で殴る。

 

『お前らなんかに...このエボルトが負けてたまるか!』

 

トランスメモリーガンを乱射する。反射速度上昇と、ドラゴンサイドの回避率補正を合わせても避けきれないほどの弾幕を体で受ける。装甲が一部破損する。

 

「こんな傷...」

 

『すぐに治る!』

 

その言葉通り、ベストマッチシグナルにより損傷した装甲が再生していく。傷が治ったのを確認してから、エボルに再度突っ込んでいく。

 

「『攻撃なんて効かない!』」

 

エボルの蹴りが刺さるも、装甲は貫けない。クローズヘッドアーマーの効果だ。攻撃を受けるたびに、装甲の耐久力が上昇していくのだ。

 

『行くぞオラァッ!!』

 

感情が昂る。装甲が溶けそうになるくらい、熱量が高まる。その熱量を持って、ドラゴンサイドでエボルを連続で殴る。

 

「いいぞ万丈!このままエボルを倒すぞ!」

 

『言われなくたってそのつもりだ!』

 

息が完璧に合ってきた。このままいけば、エボルを倒せるかもしれない。エネルギーとして消費するしかなかった前とは違う。二人の力が合わされば、無敵だ。

 

『どこからそんな力が...今も俺の力は倍増されているというのに!』

 

「前に言っただろ。俺と万丈は、最っ高の、コンビなんだよ!」

 

『お前そんなこと言ってたの⁉︎恥ずかし⁉︎』

 

「そんなこと言ってる場合か!」

 

エボルが攻撃してこようとするが、クローズドラゴン・ブレイズとよく似たベストマッチドラゴンと、黄金のラビットラビットアーマー、ベストマッチラビットを召喚して応戦する。ベストマッチドラゴンに噛み付かせ、ベストマッチラビットに自身を蹴らせ、超高速で蹴りを叩き込む。

 

『なんだこいつら⁉︎』

 

「自分達で出しといて驚くなよ...」

 

『急に出てきたらびっくりするじゃんか...』

 

「はぁ...いくぞ」

 

『おお、そっか武器か。アレだろアレ』

 

「フルメモリバスター!」

『フルボトルバスター!...え?』

 

フルメモリバスターを取り出す。

 

『メモリってなんだよ?』

 

「それも説明は後!フルボトルが全部メモリになってるって思っとけ!」

 

『お、おう...』

 

バスターキャノンモードに切り替え、エボルに向かって射撃する。その殆どが撃ち落とされるも、一発命中してエボルがよろける。

 

『剣の方が良くね?これも使おうぜ!』

 

バスターブレードモードに戻し、空いた右手にビートクローザーを持つ。そして動きの鈍くなってきているエボルに二つの剣を叩き込む。主に、左手のフルメモリバスターが効いているようだ。CBラビットショルダーのおかげで武器を振る速度が上昇しているからだろう。

 

『おかしい...力がいつまで経っても増えない...!』

 

確かに、エボルが少し弱くなっている気がする。初めて見る力なせいで対応力が働かないのはわかるが、それにしても弱い。

 

「万丈のせいだろ、それ」

 

『お、俺?』

 

「お前の力は、お前の知らないところで万丈に支えられていたんだ。万丈を失った今、お前のメモリは弱体化した!」

 

ビルドの世界でのあの最終決戦の日。赤い裂け目の中でエボルトは、万丈を取り込んで力を取り戻したのだ。なら、万丈を取り除けば力を失うのも道理。フィリップを失ったグレイドールエクストリーム並みの機能不全には陥らなかったようだが、ここまで弱体化すれば倒せるはずだ。

 

「マキシマム、行くぞ万丈」

 

『マキシマムってなんだよ?』

 

「必殺技だ必殺技。あと、2人の息を完璧に合わせないとマキシマムは使えない」

 

『完璧に...?難しくねぇか?』

 

「Wは必殺技の名前を叫んでタイミングを合わせていたな。適当に考えてくれ」

 

『…こんなのどうだ?』

 

「いいね、俺たちにピッタリだ」

 

ブラックホール!マキシマムドライブ!

 

エボルがマキシマムを起動する。やられる前にやる。そのつもりだろう。

 

「行くぞ万丈。メモリをスロットに入れて叩くんだ」

 

『これで...いいのか?』

 

クローズ!ビルド!マキシマムドライブ!

 

「上出来だ!」

 

Ready Go!

 

エボルが跳び上がってライダーキックを放とうとする。しかし、それを妨害するように下からベストマッチドラゴンが突撃し、マキシマムを中断させる。

 

そしてベストマッチラビットの後ろ足に乗ると同時に蹴り上げられ、金と銀の二重螺旋で拘束されているエボルのもとにたどり着く。

 

Are you ready?

 

「『ラブ&ピースフィニッシュ!』」

 

両足でのライダーキックがエボルに突き刺さる。エネルギーがエボルに流れ込み続ける。

 

「『ハアァァァァッッッ!!!』」

 

二重螺旋の最終点を突き破り、マキシマムが終了する。

 

『やったか!』

 

「それ言っちゃダメなやつってフィリップが言ってた気が...」

 

蹴り飛ばされたエボルが変身を解除しながら転がっていく。コブラが、ライダーシステムが、ブラックホールが、二つのエボリューションが、ドライバーが、辺りに散らばっていく。

 

「た...」

 

『倒せた!』

 

エボルトを変身解除に追い込んだ!やっと、やっと!!

 

『やったぞ戦兎!状況よくわかってねぇけど!』

 

「い、いやまだだ!」

 

急いで動こうとするも、万丈が動かないため少しも動けない。

 

『なんだよ。どうしたんだそんな慌てて』

 

「メモリを押さえろ!あれを使われたら何回でも再生する!」

 

『おいマジかよ⁉︎』

 

体がつんのめる。急に動こうとしたため連携が取れなかった。

 

「掴んだ...まだ終わりじゃねぇぞ!」

 

『EVOLUTION』

 

T1メモリの方のエボリューションを起動し、首の後ろに突き刺す。

 

「くそっ、遅かったか!」

 

『BLACK HOLE』

 

オーバー・ザ・エボリューション!

 

『COBRA』『RIDERSYSTEM』

 

コブラ!ライダーシステム!レボリューション!

 

Are you ready?

 

「変身」

 

ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!

 

フハハハハハハハハ......!

 

『EVOLUTION』

 

エボルに再び変身したエボルトは、もう一つのエボリューションメモリを起動して胸に挿す。怪人態へと逆戻りだ。

 

『どうすんだよ戦兎!もう一回やるか?』

 

「もう一回...か」

 

もし次も変身を解除させられれば絶対にメモリを押さえて変身を防げる。けれど、その次をできる未来が見えない。二回目をエボルトが許すはずがないのだ。

 

「どうすれば...あれは⁉︎」

 

視界の端に映るそれを見て、俺は次すべきことを考える。

 

「万丈、エボルトを牽制しながらあそこのアレを回収するぞ」

 

『ああ、わかった』

 

フルメモリバスターをバスターキャノンモードに切り替え、撃ち込みながら少しずつ移動する。

 

「あと少し...」

 

『もうすこし...』

 

「『掴んだ!』」

 

落ちていたそれを掴み取る。

 

『っ⁉︎いつの間に!』

 

「さっき落としたみたいだな」

 

『ちょっ⁉︎』という万丈の声を無視しながらビルドドライバーを取り外す。

 

「返してもらったぞ...ワンサイドライバー!」

 

ギャクサイドライバーを腰につけながら、俺はエボルに向かって叫んだ。




佐藤太郎戻ってきたと思ったらセリフ無しで死んだ。
どうあがいても死ぬ運命なんやなって。

クローズビルドを書いててWに似てるなーと思った。
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