目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件 作:通りすがりの邪教徒
お待たせしました! いやお待たせしすぎたのかもしれません!
チームカノープス全員集合します!
それではどうぞ!
夏合宿が始まってから1週間が経った。
これまで、時々トライアスロンのようなトレーニングなどをしては、疲れてもう動けないよー! と言う皆の脚をマッサージしてあげたりして、いつものトレーニングとはちょっと違う感じの奴が出て来てホッとした。
「うーん! 今日もハードだったな〜!」
「明日は普通にトレーニング休みだし、普通にバカンスでもしよっか!」
「そうだね! テイオーさんも誘って良い?」
「もちろんさ! 皆で遊ぼう!」
現在は、お風呂から上がって大部屋に向かっている最中だった。
途中の売店でコーヒー牛乳でも買って飲もうと思いながら歩いていると、卓球場からやけに盛り上がっている声が聞こえてきた。
きっと他のチームのウマ娘なのだろう。声の中には聞き慣れたのもあった。
「喰らえネイチャ! ターボスマーシュ!」
「やるじゃんターボ! でも、まだまだ……って直人くんにキタサンじゃん!」
「ぶへっ!?」
気になった僕らが卓球場を除くと、ネイチャさんとダービーで一緒に観戦していたチームらしきのウマ娘達がいた。
ネイチャさんが僕らに気づくと、青髪ツインテールのウマ娘が必殺技らしき名前を叫んで放った勢いのあるピンポン球が、後ろのベンチで座っていた帽子が破けているウマ娘の鼻に直撃して、鼻血をドクドクと出していた。
「びえ〜!!!」
「わわっ! 大丈夫ですか!?」
「な、なんですか? この状況は?」
そんな事よりもと思った僕は、慌てて鼻血を出しているウマ娘の所に駆け寄って、ティッシュを取り出して鼻血が出なくなるまで拭き取ってあげた。
止血をしている途中で、飲み物を持ちながらやって来た丸眼鏡のウマ娘がこの状況を見て困惑していた。
「ふぅ……やっと止まった〜。ありがとね〜ってあれ? 君どこかで……」
「あ! 思い出したぞ! ダービーで疲れ切ったキタサンをおぶって行ったやつだ!」
「そういえば……レース場に慌てて入って行った子ですね?」
「もしかしてキタサンの彼氏か!?」
「いえ、違い「はい! そうです!」おい!」
「まぁ、側から見たらカップルなのは間違いないよね〜」
「ネイチャさんまで……」
こうして揶揄われてしまった僕らは、まだ名も知らないウマ娘達に姉弟であるとちゃんと説明をしました。
そして暫く落ち着いた僕ら姉弟は、コーヒー牛乳を買って、ネイチャさん達と卓球場で一服することにした。
このウマ娘達はやっぱりネイチャさんが所属していたチームメンバーだった。名前は「チームカノープス」だそうだ。
ネイチャさんがチームメンバーをそれぞれ1人ずつ紹介してくれた。
先ずは青髪ツインテールとギザギザの歯が特徴的なウマ娘。
「ターボは、ツインターボだ! よろしくな!」
「はい、よろしくお願いします!」
ツインターボ。確か常に後続を引き離す大逃げ戦法を取るって言われてて、勝つ時は圧勝するし、負ける時は急激な失速からの大惨敗で有名な奴だったな。
続いて紹介されたのは、帽子が破れていて、その破れている所に片方の耳を通して被っているウマ娘。
「マチカネタンホイザです! さっきはティッシュありがとね〜!」
「いえいえ! 鼻血が止まって良かったですよ!」
マチカネタンホイザも聞いたことがある。昔のレース映像で、ミホノブルボンやライスシャワー、トウカイテイオーと一緒にレースに出ていたあの競走馬か! 名前の響きが好きだったので、謎に記憶に残っている。
最後に紹介されたのは丸眼鏡が特徴的なウマ娘だ。見た目からしてインテリ感が凄い……あとその眼鏡どうやってかけてるんですか?
「イクノディクタスです。よろしくお願いします」
「ご丁寧にどうも!」
イクノディクタスは中央の現役時代で51戦ものレースを一度も故障せずに走り続けて、「鉄の女」なんて呼ばれていたあの牝馬だったよな。
そして僕が元いた世界ではメジロマックイーンのお嫁さんである。
「そしてこのアタシ、ナイスネイチャを加えたこの4人が、チームカノープスだよ!」
なーほど。GⅠを制してはいないものの、どの名前も聞いたことのある有名なやつばかりだ。
「それじゃあ僕も……北島直人。よろしくお願いします!」
自己紹介を済ませた僕らは、卓球を一緒にやろうと誘われたので、姉ちゃんとペアで組んでネイチャさん達と対戦することにした。
確かに走りやパワーでは君たちウマ娘には遠く及ばないだろう……。だが! 卓球ならどうだ? 卓球に必要なのは、俊敏性や瞬発力などが必要と言われている。
相手の動きを予想しながら集中をする。そしてダブルスとなるとチームワークも必要不可欠になってくる……。僕はこの勝負で人間代表として、ウマ娘に勝ってみせる!
『北島直人・キタサンブラックペアVSナイスネイチャ・ツインターボペアVSダークライ! 今ここに開幕だよ! 実況は私、マチカネタンホイザ。解説はイクノディクタスさんでお送りします!』
『いや、ダークライは関係ないと思います』
僕がさっき見たターボさんが放ったあのスマッシュは凄い威力だった。あれを跳ね返せるかがポイントになりそうだけど……ネイチャさんはどうだ?
「なおくん、お姉ちゃんがサーブするね!」
「頼んだぞ」
姉ちゃんが球をサーブすると、ネイチャさんが力を込めて打ち返して来た。
僕はその球を瞬時に見抜こうとしたが、球はギリ見えたので、ヤケクソでラケットを動かしたら偶然あたって、ネイチャさん達の陣営へ。
「そこだー!」
「しまった!」
「あたしに任せて! セイヤー!」
隙をつかれて、ターボさんに打ち返されたが、姉ちゃんがなんとか凌いでくれた。
そしてターボさんから打ち返した球をネイチャさんがスマッシュしようとしたが、カスってこちらに一点が入った。
「あちゃー! ごめんターボ」
『さすがは姉弟でしょうか!? 見事な協力プレーで凌いで一点を取ったー! どうですか? 解説のイクノディクタスさん!』
『はい……息ぴったりですね』
ヤバい……腕がピリピリする。これがウマ娘のパワーなのか。
卓球でならなんて思ったけど……これは相当ヤバいっすね。でも……男にはどうしても譲れない勝負があるんだ! 諦めるもんか!
そして数十分後。僕のペアは10点で相手は9点で、お互いに汗だくになりながらも、激しく、そして激アツな攻防が繰り広げていた。
僕の手首や腕はまだ球を打ち返して行くたびにビリビリと痺れていく。よく考えたら、ウマ娘相手によくここまで出来るな……。
「なおくん、大丈夫?」
「ああ……なんとかね」
姉ちゃん1人に戦わせる訳にはいかない! 2人で連携を取り続けないと、あの2人には勝てないぞ。
「もらったー!」
ネイチャさんの力がこもったスマッシュが炸裂し、弾が床に落ちそうになった。
このままじゃ同点になって2点差を付けるまで勝てない……。っし! 根性決めてやるか!
「これが男の……引き際だー!」
球を何とかギリギリ打つと、球は中を舞いながらネイチャさんペアの陣へ。ヤバい! 打ち返される!
「これで同点だー!」
「もうダメだ……」
すると、不思議なことが起こった。
「なおくんが繋いでくれたこの球。お姉ちゃんが決める! 必殺! お姉ちゃんスマーッシュ!」
ターボさんの球を姉ちゃんがスマッシュで打ち返して、11対9となって僕らのペアがこの勝負を勝ち取りました!
「やった! 姉ちゃん凄いよ!」
「なおくん、ハイタッチ!」
「「いえーい!」」
『いや〜。良いゲームでしたね! 同点になるかと思いましたよ! ね? 解説のイクノさん!』
『はい、そうですね。ですが、お互いを信頼してプレイする姿はとても輝いていました。北島直人さんとキタサンブラックさんペアに拍手を!』
ん? 拍手? そう思い卓球場の廊下側を見ると、他のチームのウマ娘達が僕らのゲームを見ていたそうだ。
「直人くん、凄かったよー!」
「ええ、良いコンビプレイだったわ。私も見てて熱くなっちゃった!」
中にはスペさんやスズカさんもいた。いや、いつの間にいたんですね。集中してて気付きませんでした。
「同点にできると思ったのに! 負けたー!」
「いやぁ……負けちゃったな〜! でも、また今度やろうね!」
「すみません、もう勘弁してください」
「うぇええ!? 何で!?」
ハッキリ分かりました。僕はもう……今後ウマ娘達に勝負を挑むのやめたいと思います。
この後は卓球でかいた汗を流すために、もう一度お風呂に入り直しましたとさ。
チームカノープスを全員出しましたがいかがだったでしょうか?
と、いう訳で……直人や。ウマ娘に勝負は挑むもんじゃないぜ? もしスポーツ以外でも負けたら完全に舐められますんで……。
それではまた次回!