目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件 作:通りすがりの邪教徒
ファン大感謝の始まりです。
今回は特に新しいウマ娘は出ません
それではどうぞ!
セントライト記念からしばらく経ち、学園内ではファン大感謝祭に向けての準備をしていた。
クラスで模擬店を出すものやそれぞれの所属チームでも模擬店を出すところもあるらしい。
テイオーさんの話では、チームリギルのお店で、会長さんやフジさん達のようなイケメン風ウマ娘達が営む執事喫茶が結構大人気なんだとか。
一方、僕のクラスやチームスピカは特にコレをやろうとは決まっていなかった。
マックイーンさんは今年もゴルシさんの焼きそば売りに付き合わされるんじゃないかと思っているらしい。
そして現在、トレセン学園内の防音室にて、僕の所属するバンド『スターリオン』はライブに向けて毎日練習を頑張っている。
「そういえば、ライブのステージは何処でやるんですか? 体育館とか?」
「じゃあ、私が案内してあげるよ。タキオンさん、クラちゃん、一旦抜けるね」
「行ってらっしゃーい」
ライブをするステージには、ツヨシさんが案内してくれた。
「ここがライブをする為に使う、野外ライブステージだよ」
「凄く綺麗ですね」
ここでは僕らのライブの他にも、オペラオーさん主役のオペラオー劇団ライブをやったり、学園内でも有名? のファル子さんが結成した、逃げ脚質のウマ娘5人が揃ったウマドルグループ『逃げ切りシスターズ』もここでライブをする予定なんだとか。
「逃げウマ娘が5人ですか……うちのチームにはスズカさんがいますけど、まさか入ってたりして」
「直人くんの言う通り、実はスズカさんも入ってるんだよね。残りの3人は、マルゼンさんとブルボンさん、そしてアイネスさんもいるんだ」
「やっぱりメンバーだったんだ。それにアイネスって?」
「フルネームはアイネスフウジンって言うんだけどね」
アイネスフウジンって言ったら、逃げる戦法を取ると一度も先頭を譲ること無くレースレコードで逃げ切り勝利した、マックイーンさんとは同期のダービー馬だったよね。
成程ね……異次元の逃亡者、スーパーカー、サイボーグ、砂のサイレンススズカに風神か……よくこれだけのメンバーをファル子さんは集めたものだ。誕生秘話をいつか聞いてみたいものだ。
「それじゃ、会場も見たし、練習に戻るよ!」
「はい、ツヨシ先生!」
こうして、再び防音室にて戻って練習を再開させた。
姉ちゃんの菊花賞とダイヤ姉ちゃんのデビュー戦の背中を押してあげられるような歌を……そして、これからデビューを控えているであろうウマ娘や夢に向かって頑張っている全ての人たちに、歌を届ける為に全力で頑張ります!
ファン大感謝前夜。明日の本番に備えて、今日の練習は短時間で済ませた。
「お疲れ様でした。明日は最高のライブにしましょう!」
「もちろんさ、ツヨシくん。私は楽しみでゾクゾクしてくるよ」
「それでは皆さん、お先です」
防音室を先に出た僕が校舎内を歩いていると、途中でスズカさん、ブルボンさん、ファル子さんを見かけたので声を掛けることにした。
「どうも、お三方」
「あら、直人くん。今から帰るの?」
「はい、それにしても……ファル子さんとブルボンさんに会うのってめっちゃ久しぶりっすね」
ファル子さんとは学園案内の時に、ダンススタジオで会って以来、ブルボンさんとは皐月賞後に会って以来だ。
「はい、お久しぶりです」
「元気にしてた? それと……そのギターって」
「ああ……僕、ファル子さん達のグループの後に歌うことになってる『スターリオン』です」
「やっぱり! 男の子がギターボーカルをやるって聞いてたけど、直人くんだったんだね!」
「私も楽しみにしています。直人さん」
「逃げ切りシスターズも頑張ってくださいね。それではスズカさん達、僕はこれで」
逃げ切りシスターズの3人と別れた僕は、寮に戻ってギターの調整をしていた。
「よし、異常はないな。明日はいつでも準備万端だ」
すると、部屋からノックをする音が聞こえたので、扉を開けると音也くんがいた。
「よっ。一緒に飯食いに行かね?」
「いいよ。ちょうどお腹ぺこーらだったし」
僕らは、食堂でご飯を食べながら明日の感謝祭の話をする。
「なあ、ライブで何を歌うんだ?」
「ウイニングライブの曲を2曲と僕がリクエストした曲を2曲歌うことになってる」
「あれ、前はリクエスト1曲だけって言ってなかったか?」
「もう一曲歌いたいんです! って言ったら良いよって言ってくれた」
「優しい人たちだな。あのアグネスタキオンもいるのも意外だけどな」
なんの曲かはまだ内緒。リクエスト曲は背中を押す特撮の応援ソングと文化祭のような舞台で歌う曲と言ったらこれでしょってアニソンをチョイスしました。
「それとさ……良かったじゃん。菊花賞に出られてさ」
「うん……でも本番はここからだよ。長距離に耐えられるほどのスタミナをどんどん付けていかないと」
「あんま無理するなよ。当日は俺も見に行くわ」
「ホント!? ありがとう!」
「セントライト記念のキタサンブラック。カッコよかったよな」
「分かる。姉ちゃんはめっちゃカッコいい、自慢の家族なんだぜ」
「ふっ、やっぱりシスコンだな」
「そこは家族想いって言ってよ!」
音也くんに茶化されながら、お皿に残ったご飯を食べて明日に備えてベットの上で横になり、明日のことを考えていた。
いいライブにするぞ。ただそれだけを考えて。
『これより、秋のトゥインクルシリーズ。ファン大感謝祭を開幕します。心行くまで、お楽しみください』
「カイチョーの声だ! 直人くん、ちょっと行ってくるね!」
「えっ、ちょっとー!」
「カイチョー! 今年も世界一カッコいいわー!」
そして『ファン大感謝祭・秋』当日がやって来た。僕はチームスピカの皆と校門前で待ち合わせをして、学園内の模擬店をいくつか見に行く約束をしていた……のに、憧れの会長さんの声に釣られたのか、テイオーさんはそそくさと先に走り出していった。早いなぁ……。
「よーし、今年も稼ぎまくっぞ。キタ弟が作ってくれたサンドウィッチ弁当もな。看板娘、今年もよろしくな!」
「やっぱり今年も私を!? 今年こそは皆さんと楽しく回りたかったのにー! 離しなさい、ゴールドシップ!」
マックイーンさんは孫のゴルシさんに引きずられて僕が朝早くから作ったサンドウィッチ弁当の入った箱と共に、別行動となってしまった。
「なあスカーレット、今年もどっちが先に全部の模擬店を回るか勝負しようぜ」
「望むところよ。吠え面かくんじゃないわよ」
「やってやるぜ!」
「えぇ! 今年もですか!?」
次はウオスカの2人が、全力で走って行くのを止めようとしたスペさんだったが、声は届かず、ウオスカの2人も別行動となってしまった。
「早くも散り散りに……。どうする? 姉ちゃん」
「お祭りは楽しんだもの勝ちだよ。と、言うわけで……スペさん、スズカさん。あたしはなおくんと2人っきりで回って来ますね!」
「分かったわ」
「行ってらっしゃい。2人とも!」
「ささ、お姉ちゃんと一緒に行こうね〜♪」
「分かったよ……」
姉ちゃんは僕を離さないように、がっしりと腕組みをして来た。
「先ずはどこに行こうか」
校門を通って暫く歩いていると、パシャパシャとシャッター音が聞こえて来た。
「そうだな……ねぇ、あの女性だらけの人だかりはなんだろう?」
「あれがテイオーさんが言ってたリギルの執事喫茶だよ」
「カイチョー!」
「あ、テイオーさんの声が聞こえるよ。行ってみない?」
「分かった。どんな感じなんだろう」
そう心を踊らせながら女性だらけの人混みの中を、姉ちゃんとすり抜けて行く。
「あ、キタちゃんに直人くんだ。見て見て、カイチョーすっごくカッコいいよ!」
「お嬢様……ロイヤルアールグレイでございます」
「ほほぉ……流石は無敗の皇帝様だ。貫禄が違うにぇ」
他にもオペラオーさん、フジさん、エアグルーヴさんもいた。
こいつは……アレだ。イケメン系女の子が好きな女性はたくさんいそうだね。
でも、そのクールさとは裏腹に可愛らしいギャップがあるのが良いんだよね。オタクの僕には分かるでござる。
「おや、直人くんにキタサンブラック。姉弟揃って来てくれたのか」
「どうも、会長さん」
「遠慮せずに入ってくれ、テイオーもね」
「やったー! カイチョーありがとう!」
「「お邪魔しまーす」」
他の女性客は撮影目的で来ていたため、会長さんに通されて3人で席に座った。メニューは、シナモンたっぷりのアップルパイが美味しそうだな。飲み物は、紅茶系が多いな……コーヒーが一つもないだと!? カ、カフェインが欲しい……けど、仕方ないな。
「すみませーん!」
と、呼んでやってきたのはフジさんだった。
「お待たせしました。ご注文はお決まりでしょうか? ご主人様」
「シナモンたっぷりアップルパイとロイヤルミルクティーでお願いします(おぉ……あまりの美しさに僕の中の何かがときめきそうになったよ)」
「あたしも同じでお願いします」
「ボクも!」
「かしこまりました」
こうして注文して暫くすると、アップルパイとロイヤルミルクティーが来た。味の方はめちゃくちゃ美味しかった。
このアップルパイは調理場で料理をしているヒシアマさんが作ったそうだ。あの人、料理上手だったんだね。
「会長さん、もし落ち着いたら、僕らのライブ見に来てくださいね!」
「ああ、もちろんだとも。ツヨシから君がバンドに入ると聞かされた時から楽しみにしていた。いい演奏と歌を期待してる」
無敗の皇帝様にそこまで言われるとめちゃくちゃやる気が沸いてくるぜ。
「それじゃ、オペラオーさんの劇も楽しみにしてますからね!」
「ああ、僕の華麗なショーに釘づけにならないようにね!」
こうして執事喫茶を出た僕と姉ちゃんは、テイオーさんも加えて、学校内の模擬店をあちこち回ることにした。
『さあ、今年の第35回大食いグランプリも大詰め! 今年もオグリキャップが勝つのか!?』
外を歩いていると、イナリさんの声が聞こえてきた。聞こえた方を見ると、オグリさんとクリークさん、そしてタマさんが大食い対決をしていた。
『今回の優勝商品、どら焼き巨大縫いぐるみを手に入れるのはどいつだ!?』
おお! なんと激アツな勝負なんだ。タマさん少食なのに無理矢理口に突っ込んで食べる理由はなんなんだ? もしかして、縫いぐるみのために頑張って食べてるのかな?
「ん? ツヨシさんからだ……もしもし」
『あ、直人くん。もう直ぐで音合わせの練習するから防音室に来て』
「わっかりました。姉ちゃん達に伝えてから行きます」
『うん、分かった』
大食いの結末を最後まで見たかったけど、ここは一旦抜けますか。
「姉ちゃん、僕はそろそろツヨシさん達と合流しないとだから」
「分かったよ。頑張ってね!」
姉ちゃんとテイオーさんに見送られて、僕は防音室へと向かった。
因みに、どら焼き大食い対決の結果を後で聞いたら、オグリさんが勝って、勝ったオグリさんがタマさんにどら焼き縫いぐるみをプレゼントしたそうです。
「皆さん、お待たせしました」
「おっ、来た来た。さっきまでキタサンといたの?」
「はい、テイオーさんも一緒でした」
「北くんにとっての初めての感謝祭だったね。色々回れて楽しかったかい?」
「はい! リギルの執事喫茶とかにも行ったりして」
防音室に入って、軽く雑談をしてから、僕らは音合わせを始めた。
ー キタ視点 ー
いや〜! オグリさん達の大食い対決は見てて凄く楽しかったな。
この後はどうしようかなと思いながら、あたしはテイオーさんと一緒に学園の中を歩いていいたら、ダイヤちゃんに偶然会った。
「ダイヤちゃーん!」
「キタちゃん、それにテイオーさんも!」
「ヤッホ、ダイヤちゃん。そう言えば、直人くんのライブって何時からなの?」
えっと確か、なおくんにライブのプログラム表を渡されたんだった。それを思い出したあたしは、ポケットから紙を出した。
「えっと……オペラオーさんの劇が13時半から、スズカさん達の逃げ切りシスターズが14時からで、なおくん達のスターリオンが14時半からです」
「逃げシスじゃん! ボク、あのグループの曲結構好きなんだよね〜」
へえ〜。逃げ切りシスターズって結構有名なんだ。
「取り敢えず、野外ライブステージに行きましょう! あたし、早くなおくんの歌が聴きたいです!」
「そうだね。出来るだけなおくんの近くが良いなぁ〜」
「だったら早めに行って席取っちゃおうよ。他にもボクの知り合い全員に声かけたからさ!」
テイオーさん、なおくんのためにそこまで……。あたしの憧れの人はやっぱり頼りになるなぁ……。
誰がくるのかを聞いたら、カノープスのメンバーやライスさん、BNWの人たちなどにも声をかけたんだそうだ。
「テイオーさん、ありがとうございます!」
「良いの良いの! それに、直人くんのライブ皆楽しみにしてたし!」
そう言い、テイオーさんがニカっと笑う。
あたし達は校舎を出て、ライブ会場に行くと、スズカさん以外のスピカメンバーが全員揃っていた。
「皆さん、いつから来てたんですか!?」
「ついさっきですわ。いやはや……今年も疲れましたわ」
「ま、早めに完売できたし、これでキタ弟の晴れ舞台もちゃんと見れるってもんだぜ」
「アタシ達も早めに全部回れたわ!」
「オレの方が早かったけどな!」
「いや、絶対アタシの方が早い!」
「オレだってば……ってこんな所で言い合いしてる場合じゃないぜ」
「そうだったわね。早く席取っちゃいましょ!」
皆、なおくんのために……良い人たちに会えて良かったなと改めて思う。
『皆様。これより野外ライブステージにて、スペシャルライブを開催します。是非ご覧ください』
たづなさんの放送で呼びかけで、続々と大勢の人たちがやってきた。
そしてライブ会場の幕が上がり、ブザー音が鳴り始めた。
「頑張ってね……なおくん」
長文を読んでいただきありがとうございました。
次回は感謝祭の後半をやります。
別のウマ娘小説を始めたので、気になる方は読んでくれると嬉しいです
それではまた次回お会いしましょう。ばいばい!