目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件   作:通りすがりの邪教徒

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模擬レースの相手は誰なのか、お楽しみに!

サブタイトルはダイレンジャーっぽくして見ました。流石にこの小ネタはコアだったかな?

それではどうぞ!


第五十四話:模擬レースだぁー!

 

 

 10月になり、若干は暑い日がありつつも、だいぶ気温的に涼しい日々も続いて秋っぽさが出て来た。最近では太陽が沈むのも早くなって行き、夜になるのが早い。

 こういう所に季節の変わり目ってやつを感じるよね。実家だとこの月でも涼しさよりも寒さを感じる頃だ。

 

 基本トレーニングは春や夏みたいな、太陽が沈む季節だとトレーニング時間は長めになっているが、秋と冬のように太陽が沈むのが早い季節だと、トレーニングを切り上げる時間がいつもより早くなる。

 

「よーし、今日のトレーニングはここまでだ!」

「皆さん、お疲れさんです」

 

 なので、いつもは6時ごろで終了するトレーニングは今の季節だといつもより30分くらい早い時間で終わる。こうなると時間が経つのって早いなぁと思っちゃう。

 

 僕は、トレーニングを終えたメンバーにドリンクとタオルを渡して、それぞれ動かした身体を楽な姿勢になりながら休憩をする。

 

「姉ちゃん、だいぶスタミナついてきたよね。脚の調子もだいぶ良いしな」

 

 そう言いながら、姉ちゃんの脚を優しく触る。

 

「なおくんがトレーニング終わりに、毎日マッサージしてくれてるおかげかな?」

「知らんけど、姉ちゃん自身が成長してるって証拠だと思うよ」

「ええ、周りから最強のステイヤーと呼ばれている私から見ても、キタさんにはステイヤーの素質があると思います」

「ありがとうございます。マックイーンさん」

 

 今月の中旬はついに本番の菊花賞が近づいて来ている。3000mという超巨大な壁を姉ちゃんは突破することが出来るだろうか。

 

「おい、直人。ちょっと相談したいことがあるんだが……トレーナー室に来れるか?」

「はい、分かりました。姉ちゃん、先に寮に戻ってても良いよ」

「分かった。また明日ねー!」

 

 こうして姉ちゃん達と別れてトレーナーさんとトレーナー室へと向かった。話って何だろう……菊花賞のことかな? でもそれだったら、姉ちゃんも一緒の方がいいはずだ。

 僕だけをトレーナー室に呼び出す理由って一体何なんだろう。

 

 そう考えている内に、トレーナー室へと到着した。トレーナーさんから取り敢えず席に座れと言われたのでソファで寛ぐことにした。

 

「それで、話っていうのはな……キタの模擬レースを考えているんだ」

「菊花賞に向けてのですか」

「ああ、そこで相手をしてくれるウマ娘を探してくれないか?」

「だったらスピカの誰かしらとやっても良いのでは?」

「確かにそれも良いんだが、アイツらとは毎日のようにトレーニングをしてるからな。偶には他のウマ娘と練習でレースをしてみると、何かが得られるかもしれないしな」

 

 ああ……言われてみれば、他のウマ娘とのレースから学べることは沢山ありそう。

 

 スペさんのダービー前でも、リギルにいたタイキさんと模擬レースをさせた事があるそうだ。

 スペさん、あの最強マイラーと模擬ではあるけどレースしたんだ。違う世代の、そして前世のレースでは交えなかった夢みたいなレースを見てみたかったわ。

 

 んで、疑問に思ったのだが……模擬レースの相談を何で僕にして来たんだろうか。

 

「そこでだ、お前は過去のウマ娘のレースを幾つか知ってるって聞いてな。ちょうど良い相手を探して欲しって思ったんだ」

「ちょっと、僕が昔のレース知ってるって何処情報ですか?」

「テイオーからだ。それに最近はウマ娘の知り合いが多いとも聞いたぞ」

 

 つまり、ウマ娘脈の広さと過去のレースを知っている僕が、姉ちゃんと対戦できるウマ娘を探してこいと……そう言うことですか。

 

 そうなると、菊花賞を制したウマ娘と走らせた方が良いのかな。

 スピカ以外でと考えて出てきたウマ娘は、ライスシャワー、セイウンスカイ、マヤノトップガン、ビワハヤヒデ、マチカネフクキタル、スーパークリーク……後は三冠を取ったあの3人って所だが……この中の誰かに相手をして欲しいか悩むぞ。

 

 それに快く引き受けてくれるかも分からないし……でも三冠を相手にさせるのは、流石にレベルが高すぎるので、あの3人は除外ですね。

 

「分かりました。頑張って探してみます」

「おお! 期待してるぜ!」

 

 こうして僕は模擬レースの相手を探すために、明日の昼休みは学校中を歩き回ろうと計画するのだった。

 

 

 

 そして翌日の昼休み、僕は模擬レース相手を早めに見つけたいと思い、今日の昼ごはんはカフェテリアには通わないで、購買でスペシャルドッグや他のパンを買って済ませることにした。

 

「つっても……僕って知り合ってはいても、他のウマ娘の連絡先とか知らないからな。この広い学園内で探すのも一苦労だぞ……」

 

 そう思いながら、昼ごはんを食べる場所を探しながら中庭付近を歩いていると、いとも簡単に菊花賞ウマ娘を見つけた。

 

「よっしゃラッキー!」

 

 そう叫んで、中庭の芝の上で猫のようにのんびりと寝転がって、気持ちよさそうに昼寝をしている芦毛のウマ娘を発見した。

 

「スカイさーん!」

「おや、直人くんじゃん。今日はカフェテリアじゃないんだね」

「はい、ちょっと事情がありまして……。隣、失礼します」

「どうぞどうぞ〜」

 

 僕はスカイさんが寝ている隣の芝に座り込んだ。にしても、今日は暖かい陽気だな。微かに秋の風も吹いてて最高の外ランチ日和である。

 

「あ、それってスペシャルドッグだよね。私も好きなんだ〜」

「僕も好きですよ。あの……スカイさん、相談があるんですけど」

「ん〜? なになに? 直人くんがこのセイちゃんに頼み事とは珍しい」

 

 僕は姉ちゃんの菊花賞に向けての模擬レースをして欲しいと、スカイさんに交渉した。

 最初はこの人を模擬レースの相手に思いついた時に、頼むかどうかを迷っていた。何故なら彼女は気まぐれに練習をサボっているという噂を聞いたことがあるからだ。

 

 でも、ウマ娘のセイウンスカイが走った過去のレース動画をいくつか見て分かった。彼女は裏で努力をするタイプなんだと。

 必死に努力をしなければ、皐月賞も菊花賞も制していないし、ちゃんと結果として残っているんだ。

 

「う〜ん……どうしようかにゃ〜」

「お願いします! 僕、姉ちゃんの力になりたいんです!」

「ちょちょ、土下座までして頼む勢い!? 菊花賞、本気で勝ちたいんだね」

「はい、僕ら姉弟の夢なので!」

「……分かった。そんな本気の目でお願いされて断るって雰囲気じゃないしね。キタちゃんと模擬レースするよ」

 

 ヨッシャ! 交渉成立だ。心強い相手が見つかってよかった。

 

「あ、ありがとうございます!」

「ところで、模擬レースの相手は私だけ?」

「今のところは……トレーナーさんは2人くらいいても良いって言ってました」

「そっか……頑張ってね。直人くん」

 

 僕は残りのスペシャルドッグを食べて、スカイさんと別れた。模擬レースの相手は決まったら、トレーナーさんに伝える。

 そうすれば、それぞれ付いてる担当トレーナーにもお願いしてくれるそうだ。

 

「さて、次はどんなウマ娘にしようかな……」

「おや、直人くんじゃないか」

「オペラオーさん、どうも!」

「どうしたんだい、そんな考え事をして?」

 

 そう聞かれたので、僕はオペラオーさんに模擬レースの事を話した。

 

「なるほど、君のお姉さんの菊花賞に向けての模擬レース相手を探していると」

「はい、そうです……っは!」

 

 テイエムオペラオーって確か世紀末覇王と呼ばれる以前は、99年代のクラシック3強なんて呼ばれていた時期があったよな。その時代で活躍していた菊花賞を制したやつと言ったら……会ったことはないし、いるかどうか分からないけど、ダメ元で聞いてみるか……。

 

「オペラオーさん、頼みがあります。あなたの同期で───って名前のウマ娘はいますか?」

「ああ、もちろん居るよ。彼女の事を知っているのかい?」

「名前と実績だけですが、合わせて貰えないでしょうか?」

「分かった。直接連れて行ってあげよう。さあ、僕の後についてくるがいい!」

 

 こうして僕は、オペラオーさんに連れられて、菊花賞ウマ娘の元へと行くことになったのだった。

 

 そして、そのウマ娘と交渉が成立したので、昼休みが終わるまでにトレーナー室を訪問した僕は、模擬レースの相手を話した。

 

「ほほう……お前、良い奴ら揃えてきたな。分かった。このウマ娘のトレーナー達に掛け合って来る」

「ありがとうございます!」

 

 そして、模擬レースの開催日は週末の土曜日、時間は午前中で場所はいつものレース場にて開催することに決定した。

 

 

 

 ー キタ視点 ー

 

 

 

 今日は土曜日。トレーナーさんから模擬レースをする話を前日に聞かされた。相手のウマ娘はなおくんが選んでくれだみたいなんだけど、誰が相手になるのかはまだ聞いてない。

 

「なおくん、あたしの為にありがとう」

「僕は姉ちゃんの力になりたかったからね。それに他のウマ娘とレースをして、色々吸収してくれると嬉しいよ」

 

 なおくんってば本当に頼りになる。もう弟しか勝たないです!

 

 模擬レースの内容は、菊花賞と同じ3000mに設定して行う。相手のウマ娘が来るまで、あたしはなおくんにストレッチの相手をしてもらっている所だ。

 

「直人くん、お待たせ〜」

「あ、あなたは……セイウンスカイさん!」

「やっほ、キタちゃん。今日はよろしくね〜」

 

 よろしくってことは、模擬レースの相手はセイウンスカイさんだったのか。皐月賞と菊花賞を制した二冠ウマ娘。

 

「はい、今日はよろしくお願いします!」

「それと……もう1人来るんでしょ?」

「そうなんだ。なおくん、誰に声かけたの?」

「それはね……あっ、来たよ!」

 

 なおくんがそう言い、顔を向けた先には真ん中分けのミディアムボムが特徴的なウマ娘で、セイウンスカイさん同様、菊花賞を制したナリタトップロードさんだった。

 なるほど、菊花賞には菊花賞ウマ娘を……なおくん考えたね。

 

「お待たせしました。直人くん」

「今日は来てくれて、ありがとうございます」

「なおくん、トップロードさんとも知り合いだったの?」

「まあ、模擬レースを頼まれた日が初対面でしたけどね。キタちゃん、今日はよろしくお願いします」

 

 セイウンスカイさんにナリタトップロードさん。相手にとって不足なし……なおくんが頑張ってあたしの為に集めてくれたんだ。その期待に応えてみせる。

 

 あたし達はスタートの位置について、改めてストレッチをする。スタートとゴールはなおくんが仕切ってくれるみたい。

 

「それでは、準備は良いですか?」

「いつでも良いよ〜」

「私も準備万端です!」

「なおくん、あたしもOKだよ!」

「行きますよ? レディ……ゴー!」

 

 なおくんが旗をあげると、あたし達は一斉に走り出した。

 快調にスタートし、先頭に立ったのはスカイさん、2番手があたし、3番手がトップロードさんという順番だ。

 

 あたしは、スカイさんが走っている後ろの風を感じながら走る。

 

(キタちゃん、すごい気迫だ。直人くんのために勝ちたいって気持ち伝わって来るよ)

(2000mくらいを超えましたが、凄いスタミナです。ダービーで失速したと聞きましたが、信じられませんね)

 

 あたしはセントライト記念を思い出しながら、第4コーナーのカーブを通過したところで、トップロードさんが上がってスカイさんと並んだ。

 

(残り1000m。あたしを抜いたトップロードさんの僅かに内側が空いてる……ここを狙って最後の直線で仕掛ける!)

 

 ゴールの先には両側でゴールテープを掴んでいるテイオーさんとマックイーンさん、そして旗を持っているなおくんが見えた。

 そうだ……いくら距離が長くても、あたしのゴールを信じて待ってくれる大切な家族が目の前にいるんだ。その為にあたしは……あたしは……絶対に……。

 

「絶対に負けられない! セイヤァァァァ!」

「「ッ!?」」

「ゴール!」

「はぁはぁ……結果は……どうだった?」

「ほぼ同着っぽかったから映像を見てみよう。念の為に撮影してた」

「どれどれ〜?」

「ああ……僅かですが、ハナ差でキタちゃんが先頭に出てます。このレース、キタちゃんの勝ちですよ!」

「わ〜お! 凄いよキタちゃん。3000m走り切れたじゃん」

 

 や……やった! あたし、3000m走れた。息はまだ上がってるけど、走り切れたんだ。

 

「キタちゃん、私たちも全力で応援しますね。先程の素晴らしい走り、期待してます!」

「レース、見に行くよ。絶対に勝ってよね〜」

「はい! 今日はありがとうございました!」

 

 あたしが2人にお礼をすると、なおくんがドリンクを持ってきてくれた。

 

「スカイさんとトプロさんもどうぞ」

「ありがと〜。こんなに優しい弟くんを持って、キタちゃんが羨ましいですな〜」

「そうですね。素敵な家族だと思います」

「なおくんは……あたしのお助け大将ですから!」

 

 

 こうして模擬レースを終えたキタサンブラックは、今日のレースの感覚を身体の中に刻み込み、菊花賞に向けてのトレーニングをチームの仲間達と励んでいくのであった。

 

 でも、あたしの心にはちょっとだけ引っかかっている事があった。

 

 





購買に売られているスペシャルドッグはグリッドマン好きの店員さんが完全再現したメニューである。

模擬レースの相手をセイちゃんとトプロにした理由

セイちゃん:侑ちゃんと彼方パイセンの中の人繋がり、これはオタクの願望からこうなりました。ネイチャすまない!

トプロ:普通に最近アニメで活躍してたし、キタちゃんと似ている部分もあったから選んだ

同着にしても良かったけど、やっぱりギリギリでも勝って自信をつけさせたかったので、勝たせました。

次回は菊花賞本番です。

お楽しみにしてください。
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