目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件   作:通りすがりの邪教徒

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そろそろ今年も終わっちゃいますね。

それではどうぞ!


第六十三話:Brand New Sunrise

 

 

 

「う〜ん! 久しぶりに実家に帰るな。凄く楽しみだ!」

「そうだね。なおくん、何か飲み物頼む?」

「じゃあコーラが飲みたいな」

「すみませーん! コーラくださーい!」

「はい、ただいまー!」

 

 現在僕ら姉弟とダイヤ姉ちゃんの3人で新幹線に乗って実家に帰るところだった。

 

「私も久しぶりにおかあちゃんに会えるのが楽しみです!」

 

 それともうひとり、実家に帰省する人が同席しています。我らチームスピカの日本総大将。そして北国出身の大飯喰らいスペシャルウィークである。

 スペさんとは駅のホームで偶然会って、目的の駅に到着するまで相席することとなった。

 

「スペさんは年末はどう過ごすんですか?」

「う〜ん……取り敢えず大掃除の手伝いとかして、あとはおかあちゃんと初日の出を見に行くんだ。綺麗に見えるスポットがあるんだよ!」

「それは興味深いっすね。スペさんの家で泊まったりして見れないものか……姉ちゃん」

「それ良いね。お姉ちゃんも見てみたい! ダイヤちゃんは?」

「私もなおくんが見たいって言うなら行ってみたいな〜」

「スペさん大丈夫ですか?」

「もちろん。私は大歓迎だよ!」

「ありがとうございます!」

「じゃあ決まりだね。家の場所や行き方はメールで送るから」

 

 と言うことで、12月31日はスペさんの家に遊びに行くことになった。緑がいっぱいで良いところだと聞いたので凄く楽しみである。でも今だと一面雪で真っ白なんだろうな。

 長い間話し込んでいると、僕ら3人の目的の駅に到着していた。

 

「それじゃあ僕らはここで……。スペさん、連絡お願いしますね」

「うん! またね!」

 

 新幹線を降りて、駅から降りるとダイヤ姉ちゃんが家の車を手配してくれたそうなので、豪華なリムジンに揺られながら実家に向かった。

 

「ダイヤちゃん、車ありがとね」

「大丈夫だよ。また31日にね」

 

 車から降りて、ダイヤ姉ちゃんと別れた僕らはインターホンを鳴らした。

 この街並みも久しぶりだな〜。因みに、父さんや母さんには実家に戻ることを伝えていません。サプライズで帰って来た感じだ。

 

「は〜い! あら、なおちゃんにキタちゃん!」

「「ただいま、母さん!」」

「おかえりなさい。外寒いでしょ? 入って入って」

 

 あれ? もっと驚くと思ったんだけどな……。どうやら僕らが帰ってくるんじゃないかとなんとなく察知していたらしい。母さんってエスパーか何かですか?

 家に入ると父さんはいなかった。何やら年末の歌合戦番組に呼ばれて、1時間くらい前に東京へ向かったとのこと。

 

「入れ違いかよ……」

「仕方ないよ。なおくん、早く入ろ!」

「そうだな」

 

 手洗いうがいを済ませると、リビングで母さんと話をした。どれくらいいるのか聞かれたので1月3日にはトレセン学園に戻ることを決めていた。

 それと同じ学校の先輩の家に遊びに行くことを相談すると、母さんは快くOKしてくれた。ダイヤ姉ちゃんからも連絡が来て両親から承諾をもらったとのこと。

 

 久しぶりの自分の部屋で姉ちゃんと一緒に寛いでいたら、竜也から電話が来た。

 

『もしもし? 元気にしてたか、直人』

「まぁね……。そっちも元気そうじゃん。それで何か用か?」

『今からバトロコに来れないか? 久しぶりにデュエマやろうぜ!』

「いいね。今から準備して行くよ!」

『おう! 待ってるぞ!』

 

 僕は通話を切って、引き出しから今から遊ぶために使う必要な物や財布などをトートバッグに入れて準備を始めた。

 

「あっ、姉ちゃん。今から友達と遊びに行ってくるけど」

「分かったよ。車には気をつけてね!」

「あれ? 珍しく着いて来ないのか?」

「せっかく久しぶりのお友達と遊ぶんでしょ? お姉ちゃんがいると邪魔しちゃうかもだし」

 

 驚きだ。そこら辺の配慮がこのブラコン姉にあったとは……でも、その気遣いに感謝しないとな。

 

「そんじゃ、行ってきます!」

「行ってらっしゃーい!」

 

 

 

 母さんにも友達と遊ぶことを伝えて、僕は自転車に乗ってバトロコに行くことにした。

 到着すると竜也の自転車が駐輪場に置いてあったのを確認して、隣に自転車を置いてお店の中に入った。

 

「お待たせ!」

「待ってたぞ。久しぶりだな!」

 

 早速椅子に座ってハイタッチを交わし、僕らは机の上にプレイマットやデッキの入ったストレージなんかを広げた。

 トレセン学園に入ってからもカードを買ってないので今は何が強いのかが分からない。

 

「そう言えば今月に出た新弾は開けたか?」

「最近、レースとかで忙しくて新シリーズのやつ買えてないんだよね。今は何が強いんだ?」

 

 ふぅ〜ん……最近だと革命チェンジが帰って来たんだ。メクレイドとか全然分からねえな。

 取り敢えず、デュエルしようと言うことでゲームをしながら姉ちゃんの活躍の事を話すことになった。

 

「そう言えば見たぜ菊花賞。お前の姉ちゃんカッコ良かったぜ」

「だろ? 来年からシニア級だからね。次はどんなレースに出ようか考えていたんだけど、もうとっくに考えているんだ」

「なるほどな……。トゥインクルの記事にお前が載ってたときはマジで衝撃的だったぜ」

「その話は掘り起こすな! ボルシャック・NEXでダイレクトアタック!」

「げっ、古のカードに負けた! もう一回だ!」

「よかろう」

 

 そう言い竜也は別のデッキを出してきたので、僕も違うやつで対戦することにした。

 

「7マナ。手札を全部捨てろ!」

「お前、ロスト・ソウルはダメだって! 僕のモルトNEXTがぁ……!」

「ドルファディロムでダイレクト! あっ……雪降って来たな。てか今何時だ?」

「あらら、もうこんな時間か……惜しいけど今日はここまでだな」

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、竜也の腕に付いてる時計を見たら16時近くを回っていた。

 窓の外を見ると雪も降って来て、ここから激しくなるのを避けたいのでテーブルの上を片付けてお店を出た。

 

「さぶっ! じゃあ竜也。また遊ぼうな」

「おう、またな!」

 

 途中でスリップして転ぶのを想定して自転車を押しながら帰ってる途中のスーパーから姉ちゃんが出てくるのを確認したので声をかけることにした。

 

「おーい! 姉ちゃーん!」

「あ、なおくん。友達と久しぶりに遊べてどうだった?」

「楽しかったよ。姉ちゃんは母さんの手伝い?」

「うん! 今晩はなおくんの好きなカレー鍋だって」

「やった! その荷物自転車のカゴに入れれば?」

「大丈夫。お姉ちゃんウマ娘だから、これくらいへっちゃらだよ!」

 

 えっへん! と胸を張る姉ちゃん。「むふ〜」と言ってる時のフリーレン様みたいで可愛いな。

 家に着いて、久しぶりの母のご飯を味わった僕らは、お風呂沸いてるから入って来ちゃいなさいと言われたので先に僕から入ることにした。

 

「ふぅ……実家の風呂はいいなぁ〜。外寒かったし余計だわ」

 

 僕はアレ◯サと連携させた防水スピーカーから音楽を流して、陽気に歌いながらお風呂に入っている。

 

「さてと、体でもあらおうか……」

「なおくーん! 久しぶりにお姉ちゃんが背中流してあげるー!」

「おい、入ってくんなー!」

 

 何だかデジャヴだ。前にもこんな事があった気がする。しかもまたタオルを巻かずに凸って来たので慌てて湯船に戻ってしまった。

 てか、身体洗おうとしたタイミングで来たよこんのブラコンウマ娘。絶対に狙って来やがっただろ。

 この後は姉ちゃんに無理矢理浴槽から出されて、されるがままに背中を洗われた。前は何とか必死で阻止することができた。

 

「なおくんが退院した時以来だね。こうして一緒に入るのは」

「そ、そうだっけ……」

「あ、今回は前向いてくれるんだ」

 

 下を見なければいい問題だ。姉ちゃんの顔をジッと見てれば良い。

 

「ね、姉ちゃん。来年のレースなんだけどさ……大阪杯とか挑戦してみたいと思ってるんだけど」

「大阪杯か……」

「うん。来年初のGⅠレースにするのにピッタリかなと思ってな。その次に天皇賞・春とかに挑戦出来ればと思ってるんだ。どう?」

 

 2年目始動として大阪杯。そして天皇賞・春を制して、その次は6月末にある『宝塚記念』を獲れば、春シニア三冠の称号を得られるプランを頭の中で練っていた。

 

「もちろん出走するよ。だってゴルシさんを超えるって決めたんだもん!」

「そうだよな……。よし、それで決まりだ!」

 

 次に出る予定のレースが決まった。トレセン学園に戻ってトレーナーさんに会ったらたくさん相談しなきゃな。

 

「じゃ、じゃあ先に出てるよ?」

「うん、分かった!」

 

 お風呂から出た僕は暖房が効いた自分の部屋で、冷たいコーヒー牛乳を飲みながらパソコンで姉ちゃんが今まで出ていたレースの動画を見ながらゆっくり寛いでいる。

 

「な〜に見てるの?」

「ッ!? 姉ちゃん、いきなり声かけるとビビるんだが」

「ごめんごめん! あ、この前の菊花賞だ。あれから少ししか経ってないのに昨日の事のようだね」

「そうだな……。それよりも、持って帰って来た菊花賞の盾、姉ちゃんじゃなくて僕の部屋に飾って良かったのか?」

「うん! これからもGⅠで勝ったら、なおくんの部屋にたくさん飾るからね!」

 

 ははっ……これから実家に帰るたび、いったい幾つの盾が僕の部屋に飾られるのやら……。それはそれで嬉しいけどさ。

 

 姉ちゃんとレース動画を見てると、スペさんからメールが来ていた。成る程な……結構山に囲まれてる場所にあるのか。

 取り敢えずダイヤ姉ちゃんにも共有して、スペさんにお礼のメールを返信っと。

 

「姉ちゃん、防寒対策のために今から準備だ!」

「分かった。貼るカイロとかもあった方がいいかな?」

「念の為に入れとこう。日の出を見るときに凍え死にたくないからな」

 

 他にもお泊まりセット一式とヒートテックなんかも入れた。まるでスキーに行く時の準備をしてるような感じだった。

 そして準備をし終えた僕は姉ちゃんとこのまま同じベッドで寝ることとなった。

 

 

 

 そして12月31日の当日。ダイヤ姉ちゃんが家の車を手配してスペさん家に直接送ってくれるとの事だったので、電車に乗る必要が無くなった。交通費浮くからめっちゃ助かるわ。

 

「スペさーん!」

 

 家の前に到着した時、スペさんが外で雪掻きをしていたのを見かけたので声を掛けた。

 

「あっ、皆いらっしゃい!」

 

 スペさんは雪掻きを一旦中断して、家の中に入れてくれた。

 

「外寒かったでしょ?」

「はい……もうヤバいっすね」

「おっ、君たちがスペの後輩達かい?」

 

 家に通されると、金髪のポニテに野球帽を被った女性がやって来た。この人はなんとスペさんのお母さんだそうだ。

 ん? スペさんはウマ娘だけど母親が人ってどういうことだ? 取り敢えずこの疑問は置いといて、自己紹介を済ませるとスペさんが雪掻きに戻ろうとするのを見て、手伝いたくなった。

 

「スペさん1人じゃ大変ですよね? 僕が手伝いますよ!」

「そんな、お客さんに悪いよ!」

「あたしにも手伝わせてください! 日頃からトレーニングに付き合って貰っているお礼として!」

「私もお手伝いします!」

「本当にいいのかい?」

「今まさに、お助けキタちゃんの出番です!」

 

 と、言うわけで……スペさん家の雪掻きの手伝いをする事になった。

 小さい頃からよく家で手伝っていたので、手慣れてはいる。

 

「ふぅ……こんなもんかな?」

「皆のお陰で早く終わりそうだよ。直人くん、ありがとう」

「いえいえ、スペさん何だか凄くご機嫌ですね」

「だって、初めて家に友達が遊びに来たから、すごく嬉しくて」

「初めて……って、ここら辺にスペさんと同年代の子とかは?」

「いないんだ。私はトレセン学園に入るまで、おかあちゃんや山の動物たちとずっと過ごして来たから」

 

 僕らが来ることをスペさんがお母さんに話したら、大歓迎だと言ってくれてた。きっとスペさんと同じく、自分の娘が初めて友達を連れてくるのが嬉しかったのだろう。

 

 そして雪掻きが終わり、道具を片付けて一休みをした後に晩ご飯をご馳走になった。

 

「そう言えばなおくん。初日の出の時間は?」

「だいたい6時半過ぎくらいかな。スペさん、初日の出スポットはここからどれくらいなんですか?」

「全然遠くないよ。せいぜい歩って10分か15分くらいだし」

「ダイヤ姉ちゃんは防寒グッズ持って来たの?」

「もちろん! 明日が楽しみだね!」

 

 晩ご飯を食べ終えて、お風呂にも入れさせてもらい後は明日に備えて寝るだけだ。

 寝る前に僕はトイレに行って客室に戻る途中、スペさんの声が聞こえて来た。

 

「おかあちゃん、私の友達が初めて遊びに来たんだ。素敵な後輩さんなんだよ!」

「スペさん?」

「な、直人くん!?」

「声が聞こえたので……その写真のウマ娘って」

 

 僕は仏壇に置いてあるウマ娘の遺影を見て、恐る恐る聞いてみた。

 

「私を産んだおかあちゃんだよ」

 

 そういえば思い出した。スペシャルウィークの母親はスペシャルウィークを産んだ5日後くらいに亡くなったと聞いたことがある。

 まさかこの世界でのスペシャルウィークもレース史実だけじゃなくて生い立ちまでもが一緒とは……。今のスペさんの親が人間なのも納得がいく。

 

「なんかすみません……。不味いところ見たり聞いたりしちゃって」

「そんな、思い詰めないで? 私は大丈夫だから!」

「お気遣いありがとうございます」

「ほら、それよりも明日は早いんだから早く寝るよ!」

「そうですね」

 

 スペさんにそう言われ客室に戻ると、布団が敷かれており、姉ちゃんとダイヤ姉ちゃんが僕を真ん中に寝かせようと待ち構えていたのだ。

 

「なおくん。こっちにおいで」

「キタちゃん! 今回はお互いにくっ付いて寝るんだから、独占は無しだよ!」

「どっちでも良いからさっさと寝るぞ」

 

 こうして僕はウマ娘湯たんぽに包まれながら眠りについた。一緒に寝る事に対して、何を言っても無駄なので諦める事にした。

 

 そして目を閉じてから暫く、セットしておいたアラームの音楽で目を覚ました。

 

「ん? もう朝?」

「おはよう姉ちゃん。あ、ダイヤ姉ちゃんもおはよう」

「おはよ、なおくん」

 

 その音楽に反応して姉ちゃん達も目を覚ますと、スペさんがやって来た。

 

「スペさん。おはよう御座います」

「おはよう! それと、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 姉ちゃん達もスペさんに新年の挨拶をし、初日の出を見に行く準備に取り掛かった。

 

「なおくん。貼るカイロってどこらへんに貼った方がいいの?」

「えっと……たしか、首の付け根とみぞおち、あとは肩甲骨の間とかの太い血管があるところに貼って、上からマフラーやダウンを着込むと効果的だったはず」

「そうなんだ。じゃあ私の背中にカイロ貼ってくれる?」

「うん、分かった」

「なおくん、お姉ちゃんにもお願い!」

「はいよ。その後は僕にもお願いね」

 

 カイロも貼り終わり、準備万端な僕らはスペさんとスペさんのお母さんの後に続いて、日の出スポットまで歩いて行く。

 それにしても今日は雪が止んで良かった。今年は綺麗に見える天気になると天気予報が当たってラッキーだったな。

 

「うぅ……寒い……」

「なおくん、お姉ちゃんとくっ付こ!」

「あ、キタちゃんズルい! 私も!」

「あっはは、3人とも仲がいいんだね」

「いつもあんな感じなんだ。3人とも、そろそろ着くよ!」

 

 着いたところは、見晴らしがよく初日の出を見るにはちょうどいい場所だった。

 そして数十分後、太陽が少しづつ昇って来た。

 

「綺麗だ……。日の出は皆で見ると最高だな」

「そうだね……。なおくん、改めて今年もよろしくね!」

「ああ、お互い頑張ろうぜ! ダイヤ姉ちゃんもクラシックのGⅠレース、応援してるから」

「なおくん。ありがとう!」

 

 

 こうして新しい年が幕を明けた。これからどんな物語が僕たちを待ち受けているのか……。ま、レースどうこうの前に……先ずは試験に集中しなきゃな。

 

 

 





キタサンブラックの史実レースを調べて衝撃的だったのが、キタサンブラックが初めて走った大阪杯がGⅡレースだったということです。その翌年に2017年からGⅠに昇格したんですよね。

でもアニメの2期でテイオーが勝負服着て出走してたので、ウマ娘会の大阪杯はテイオーの頃からGⅠって扱いなのかな? と思いました。

なので次にキタサンブラックが出走する大阪杯はGⅠレースという扱いにします。

それではまた次回!
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