目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件   作:通りすがりの邪教徒

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今年最後の投稿です。

今回は新しい子の視点オンリーで話が進行します

それではどうぞ!


第六十七話:きさらぎ賞

 

 

 皆さんには今大切にしている事ありますか? 大切な人はいますか? 私にはあるしいます。

 

 突然変な質問をしてすみません。私の名前はサトノダイヤモンドと言います。名家サトノ家に生まれ、お父様とお母様から愛情たっぷりに育てられたウマ娘です。

 

 先程の質問のひとつ。先ずは私が今大切にしている事、それはサトノのウマ娘として、初のGⅠ勝利を獲得すること。

 皆さんはご存知ですか? 「サトノのウマ娘はGⅠに勝てない」というジンクスがあるという事を。世間では悔しい事に、結構有名になっているみたいです。

 

 私の前にも、同じサトノのお姉さん達がGⅠと言う大きな壁を前にして次々と敗北したのを何度も見てきました。

 去年も同じサトノのウマ娘であるクラちゃんことサトノクラウンは年内でGⅠレースを獲ることができなかった。

 

 このままじゃ、サトノ家のウマ娘として悔しい。今後、私の後を走るサトノのウマ娘にもこのジンクスを破る役目を押し付けたくはない。

 だから私が、必ず年内でGⅠレースを制して、2度と「サトノのウマ娘はGⅠに勝てない」と言うジンクスを打ち破りたい。

 その前に、2月に開催される『きさらぎ賞』に勝って、クラシック三冠レースである『皐月賞』に勝つ! 先ずはそれが私の第一目標です。

 

「ダイヤさん。あと一周で休憩しましょう!」

「はい!」

 

 私にそう指示を送ったメイド姿の女性は、私が所属している『チームカペラ』のトレーナーさんです。

 私はトレーナーさんの言う通り、残り一周で戻ってくると、クラちゃんがお水を渡して来てくれた。

 

「お疲れ、ダイヤ!」

「ありがとう、クラちゃん」

 

 ふぅ……お水が美味しいですね。

 

「それじゃあ、休憩が終わったら併走付き合ってくれる?」

「いいよ。残りも頑張ろう!」

「気合いが入ってますね、ダイヤさん」

「もちろんです!」

「もしかして、あの子のためだったりする?」

「う、うん……」

 

 私にとって、サトノのジンクスを破ることは一番大事な事だ。

 クラちゃんの言う通り、私がレースを頑張るもうひとつの理由は、最初に質問した最後のひとつ。私がこの世界で一番大切な人のためなんです。

 

「ああ、あの子ですか。キタサンブラックさんと一緒にいた!」

「そうですよ。ねっ、ダイヤ〜?」

 

 私の大切な人。その人を紹介するのは、トレーニングが終わってからにしますね。

 

「それじゃ、行くよ! クラちゃん!」

「うん!」

 

 こうして私達はトレーニングを再開し、日が暮れるまで走り込みをした。

 そしてトレーニングが終了し、私は先に着替えて学園の敷地内を歩く。

 

「あっ、み〜つけた♪」

 

 私は、見覚えのある後ろ姿を確認すると、背後から優しく抱きしめた。

 

「おっ!? ダイヤ姉ちゃん!」

 

 そう、彼が私がさっき言っていた世界一番愛している大切な人です。

 彼の名前はなおくんこと、北島直人くん。私の幼馴染で良きライバルでもあるキタちゃんことキタサンブラックの弟である。

 

「なおくん、偶然だね。私はさっきトレーニングを終わらせて帰ってたところだよ〜!」

「そ、そうなのか。お疲れ……っていつまで抱きついてんの!?」

「寒い日が続いてるでしょ? こうして人肌で温めないと」

「その温め方、恥ずいんだが……」

 

 あらあら、顔を赤く染めちゃって。なおくんは照れ屋さんだなぁ。

 そういえばキタちゃんが一緒じゃないね。いつもは一緒なのに。

 

「姉ちゃんなら張り切ってロードワークに行ったんだ。先に帰ってて良いよって言われたから」

「そうだったんだ。あっ、そういえば!」

「何だ?」

「転科試験、合格おめでとう! キタちゃんから聞いて私もすっごく嬉しかったんだ!」

「そうなのか、ありがとう」

 

 なおくんは最近、トレーナー学科に移るための試験をやって、見事合格を掴み取った。

 昔、将来はトレーナーになりたいって私にも言ってたもんね。

 

 これから、なおくんは夢に向かってどんどん進んでいくんだ。

 なおくんの影響でキタちゃんがますます強くなって行くと思うと、レースでぶつかる時は凄く強い強敵になるんだろうな。

 

「キタちゃん良いなぁ〜。私もなおくんにトレーニング見てもらいたいなぁ〜」

「ライバルの弟に何言ってんのよ?」

 

 それはそう。いくら仲良しでも、レースの時は真剣勝負だし勝利はもちろん譲れない。でも、キタちゃんとなおくんがもっと仲良くなると、なおくんが私のことを見てくれないと思っちゃって、つい口走ってしまった。

 でも、なおくんにトレーニングを見てもらって、サトノの悲願であるGⅠレースに勝ったところを見てもらいたいと言う我儘は本当だ。

 

「でも……ダイヤ姉ちゃんも僕にとって大切な存在だからな。ダイヤ姉ちゃんが本当の本当に困って途中で躓きそうな時になったら見ても良いけど?」

「なおくん……!」

「あっ、これ姉ちゃんには内緒な? また面倒になるからさ」

「うん、約束する♪」

 

 なおくんってば、なんて優しい子なんだろう。ますます彼のことが好きになってしまう。

 

「あっ、そうだ。ダイヤ姉ちゃん今月の30日空いてる?」

「うん、トレーニングもお休みだよ」

「じゃあさ、ちょっと遊びに行かない?」

「私と? 2人きりで一緒に?」

「うん……。その日はダイヤ姉ちゃん誕生日でしょ?」

 

 確かに1月30日は私の誕生日だ。もしかしてなおくん、私と2人っきりでデートを!? 嬉しいけど、なおくんから誘ってくるなんて珍しい。

 

「日頃から世話になってるし、僕なりのお祝いさせて欲しいと言うか……」

「そうなんだ。じゃあ私も、なおくんが合格したお祝いするよ。お互いにお祝いっこだね!」

「だな……」

 

 私は彼に何をしてあげようかな。

 

 

 

 私は途中でなおくんと別れて、急いで部屋に戻って30日のデートの支度をした。

 当日は気合い入れてお洒落しないとだね。なおくんって何が好みかな? 当日がすごく楽しみだ。

 

「ふぅ〜! 疲れたぁ〜!」

「キタちゃん、おかえり!」

 

 準備中。ルームメイトのキタちゃんが帰ってきた。

 

「ただいま、ダイヤちゃん。その荷物は?」

「なおくんと30日にお祝いっこをする約束してて、その準備だよ」

「そういえば、なおくんがダイヤちゃんの誕生日をお祝いしたいから2人でお出かけしたいって言ってたなぁ」

 

 私が陽気に鼻歌を歌いながら、バックに荷物を入れたり、着るお洋服を考えている途中。キタちゃんに両肩を掴まれた。

 

「ダイヤちゃん、忠告するけど……なおくんに変なことしないでよね?」

「そんな、私達親友でしょ? 信頼してよ〜」

「ダイヤちゃんなら何かやりかねないと思うんだよねぇ〜」

 

 キタちゃんってば、なおくんの事になると疑り深くなっちゃうんだよね。お互いに大切な人は譲れないってことです。

 

 そして来る1月30日。なおくんとデートの日が楽しみすぎてキタちゃんより先に起きた。

 寝ているキタちゃんの方を見ると、寝言でなおくんと何か楽しそうにしている事を口にしていた。

 

「えっへへ、なおく〜ん……がっつきすぎぃ……そこはらめぇ〜」

「キタちゃん。何の夢見てるの……?」

 

 夢の中でなおくんと何してるか気になるけど、書き置きをして取り敢えず先に行こう。

 私はパジャマからデート着に着替えて「先に行ってるね」と書いた紙をベッドの上に置いて食堂に向かった。

 

「おはようございます。ダイヤさん」

「マックイーンさん、おはようございます」

 

 私に挨拶をしてくれたウマ娘さんは、私が昔から憧れているメジロマックイーンさんです。

 

「今日は随分とお洒落ですね」

「はい! なおくんとお祝いっこするデートなので、気合入れました!」

「そう言えばダイヤさんの誕生日でしたね。おめでとうございます」

「ありがとうございます」

 

 私はマックイーンさんとそのまま、食堂で一緒に朝ごはんを食べる事になった。

 

「直人さんの合格を聞いた時、私も感動いたしました。メロンパフェが効いたのでしょうか?」

 

 マックイーンさんが大好きなメロンパフェをなおくんに!? なんでも試験の励ましになれればと思い、なおくんにあげたんだそうです。

 

「そうなんですね。なおくんも喜んでたと思いますよ」

「そうだと嬉しいですわ」

 

 朝ごはんを食べ終えて、荷物を取りに部屋に戻ってみるとキタちゃんは夢の中で、なおくんとまだ何かしています。

 邪魔してはいけないと思った私はそっと部屋を出て、待ち合わせ場所へと急いで向かった。

 

「なおくん。お待たせ!」

「そんじゃ、行きますか……。その前に送信っと」

 

 こうして私は、なおくんと一緒に電車に乗ってデートをする場所へと向かう。今日はお台場周辺で遊ぶ事になりました。

 お台場には私のグループが運営している屋内型遊園地「東京ジョイポリス」もあります。

 

「あっ、言い忘れてたけど……今日の服装すっごく可愛いね。めちゃ似合ってるよ」

「ふふっ、ありがとう」

 

 デートと言えばやっぱりこれだよね! 気合いの入れた服装を好きな人に褒めてくれるやつです。なおくんに言われると胸がキュンキュンしちゃう。好き! 今すぐ押し倒したい。

 

 電車に乗ってしばらくすると、東京テレポート駅に到着。まず最初にダイバーシティ東京でショッピングをする事にしました。

 

「なおくん、何か欲しいものある? お祝いっこだから遠慮ぜずに言ってね!」

「う〜ん……ゲーミングチェアとか欲しいかな。最近、椅子の調子が悪くて」

「うん、いいよ」

 

 なおくんが欲しいと言っていた椅子を雑貨屋さんに行って購入した後に、なおくんに似合いそうなお洋服なんかも見に行って買ってあげました。

 なおくんがもし生活に困ったら私に言ってほしい。なおくんの欲しいものはサトノの力で何でも買ってあげるからね。

 

「ダイヤ姉ちゃんは何が欲しい?」

「う〜んとね。なおくんが欲しいなぁ……ごめんなさいなんでもありません!」

 

 なおくんが欲しいと言ったら冷たい視線を向けられた。本当のことではあるが、真面目に答えないとキタちゃんに怒られそう。でも昔から欲しいものは両親から貰っていましたが……。

 因みに、私がいつも右耳に着けているリボンは、昔なおくんがプレゼントしてくれた物でなんす。私の中では、お父様から貰ったジュークボックスと同じくらい大切なものです。

 

「別に私は大丈夫だよ」

「えっ、でも……」

「私にとって、なおくんと一緒にいられることが最高のプレゼントだからね」

「う〜ん……嬉しいんだけど、なんか釈然としないなぁ……。ならせめて昼ごはんだけでも奢らせてくれよ!」

「ふふっ、ご馳走になります♪」

 

 こうして私はなおくんとお昼ご飯を食べた後にジョイポリスへ遊びに行き、様々なアトラクションやゲームを満喫しました。

 私の得意なクレーンゲームでは、なおくんが欲しがっていたVtuberさんのフィギュアを取ったり、なおくんが新しく出たマックイーンさんの縫いぐるみを獲ってくれて、とても楽しいデートができた。

 

「ダイヤ姉ちゃん、そろそろ帰ろうか」

「そうだね。あれ、晩ご飯は?」

「それは……帰ってからのお楽しみな」

 

 そういえば、待ち合わせの時にメールを送ってたけど……それと何か関係があるのかな? 取り敢えず楽しみってことにしましょう。 

 

 なおくんの手に引かれながら、私は栗東寮の中へと入って行く。食堂に入ると、年末の忘年会の時にも見覚えのある光景が広がっていた。

 

「ダイヤちゃん、誕生日おめでとう!」

「「おめでとー!!」」

 

 キタちゃん、クラちゃん、シュヴァルさんがクラッカーを鳴らした。テーブルにはケーキや豪華な料理が並んでいる。

 

「これは……」

「なおくんに準備しておいてって、メールで頼まれたんだ」

「そういうこと……。なおくん、私のためにありがとね!」

「良いってことよ。取り敢えず食べようぜ? さっきから腹減っててさ」

「うん! そうだね!」

 

 こうして私たちは、忘年会の時のようにご飯を食べて、その後はキタちゃん達からもプレゼントを貰いました。

 

「ダイヤ姉ちゃん、少しはリフレッシュ出来た? 近いレースの為の活力になれたらとも思ったんだけど」

「うん、なおくんのお陰で気分が解れたよ」

「そりゃ良かった。来月の『きさらぎ賞』最前列で応援するよ」

 

 なおくん、本当にありがとう。『きさらぎ賞』に勝って、絶対に……君のお姉ちゃんに追いついてみせるから。

 

 

 

 誕生日から一週間後。私にとって今年初、そして3戦目のレースである『きさらぎ賞』の日がやって来た。

 場所は京都レース場、芝1800m(マイル)右・外のGⅢレース。天気は晴れ、バ場も良で最高のコンディションだ。

 

「ダイヤ姉ちゃーん! 頑張れー!」

 

 なおくんの声が! 私が声の聞こえた方を向くと、なおくんが大きく手を振って応援してくれた。

 

「ダイヤちゃん! あたしも応援してるよー!」

 

 なおくんの隣にはキタちゃんもいる。あんなに仲良さそうに抱きついて……このレース、早く勝って終わらせないとね。

 

「そしてなおくんに褒めてもらうんだぁ……ふふっ♪」

 

『おおっと!? サトノダイヤモンド、不適な笑みを浮かべている。一体何を考えているのでしょうか!』

『きっと、とっておきの策があるのでしょう。非常に楽しみですね』

 

 おっと、つい表情に出てしまいましたね。なおくんの事を考えると自然と顔がニヤけちゃうんですよね。

 いつの間にか他のウマ娘はゲートインが完了していて、私が最後にゲートに入った。今はなおくんの妄想よりもレースに集中しないと。

 

『各ウマ娘ゲートイン完了。春待ち遠しい『きさらぎ賞』スタートしました。サトノダイヤモンド好スタートを切りました!』

 

 よし! スタートは順調だ。私はキタちゃんのように最初から前に出るのではなく、後方からスタートして後半の直線速路やレース後半で一気に仕掛けるスタイルで走って来た。

 

 だから今はまだ仕掛けない。タイミングは私の目の先にいる4人のウマ娘達のスピードが落ちる時か? いや、まだです。

 

『先頭は5番のオンザロックスです。サトノダイヤモンドは中段で、まもなく前半の1000mを通過。59秒から1分、予想よりは早いペース、予想よりは早いペースで流れています』

 

(第3コーナーに入った。ここからじわじわ仕掛ける)

 

『さぁ何処から動くサトノダイヤモンド。ロイカバード、直線を抜く! 先頭はオンザロックス!』

 

 この直線で一気に仕掛ける。私は絶対に勝ちたい。サトノのため……そして、大好きな彼の……なおくんのために!

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

『額に光るダイヤの印、サトノダイヤモンドが上がって来た! 外からロイカバードも上がってくるが、先頭は抜けた! サトノダイヤモンド! これぞ煌めく逸材だ! サトノダイヤモンド完勝!』

 

 やった……! 勝った! 次はいよいよクラシックレースだ。次のレースも勝ってみせる。私の夢を叶えるために!

 

「私の走り、これからも見ててね。なおくん」

 

 

 こうして『きさらぎ賞』はサトノダイヤモンドの3バ身差という圧倒的な結果で幕を閉じた。

 

 





今回はダイヤちゃん視点で進行しました。

ここからはダイヤちゃんも(時々になるかも)加えた3人の視点を使い分けて、物語を進行していきたいと思います。

次回はバレンタインデー回になります。なおくんはいったい、何人のウマ娘からチョコを貰えるのか楽しみにしてください

最後に、今年から始めたキタちゃんの弟になりたいと思った妄想で書いたこの小説。たくさんの人にお気に入り登録や感想を貰って凄く嬉しかったです。来年も頑張りますので応援よろしくお願いします!

展開に困れば、僕はアニメやゲームを利用するでしょう。それでも引き続き読んでくれると嬉しいです。

過去のお話の感想もお待ちしております! 

それではまたお会いしましょう! サラダバー!
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