目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件   作:通りすがりの邪教徒

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100%ぼざろオマージュで書きました。

それではどうぞ!


第七十五話:ファン大感謝祭・春(LIVE)

 

 

 

「皆さん、間もなくですよ」

「はーい!」

 

 舞台横で待機していると、たづなさんが声をかけて、それにツヨシさんが返事をする。いよいよ本番だけど、お客さんどれくらい来てるかな? 前回はオペラオーさん達とか逃げシス目当てのお客さんもいたかもだし……。

 だとしても、今いるお客さんたちを満足させられるように頑張ろう。

 

「よし! 前みたいに皆で手を合わせて円陣しようよ! 今回も手を合わせて「おー!」って!」

「ふぅン。今回はかなりシンプルだねぇ」

「じゃ、左手出して? 直人くんも!」

「はい!」

 

 ツヨシさんに言われ、メンバー全員で左手を重ねる。

 

「よーし! 皆、今日は最高のライブにするよー!」

「「「おー!!!」」」

 

 円陣を組んで、改めてステージ上へと移動する。そして念の為に楽器のチューニング。

 

「prrrrr……」

 

 そして僕は、リップロールを行う。ボーカルが歌を歌うのにウォームアップで1番良いのはリップロールと言われている。こうすると喉が温めるというか、口がうまく回るようにする為らしい。

 

「直人くん。緊張してる?」

 

 クラウンさんが心配そうに聞いてくる。緊張か……いや、むしろ。

 

「緊張よりも、めっちゃ楽しみの方が勝ってますよ!」

 

『只今より、スターリオンによるスペシャルライブが始まりマース!』

『皆さん、是非楽しんでってくださいね』

 

 エルさんとグラスさんのナレーションと共に、ステージの幕が上がって行く。

 大きな拍手と歓声が聞こえ、会場を見ると外部から来たであろうたくさんのお客さん、最前列には姉ちゃんにダイヤ姉ちゃん。出店を手伝ったメンバーやチームスピカの皆。その他知り合いのウマ娘やクラスメイト、それにトレーナーさん達もいる。

 

「「なおくーん!!」」

 

 あっはは、なんだろう。その格好前にも見たことがあるぞ? いや嬉しいけどさ……流石に恥ずかしいって! 隣ではネイチャさんがビデオカメラを構えている。

 

 両手にペンライトを持って手を大きく振っているので小さく振り返す。

 

「おーうい! ツヨシちゃーん!」

「うん?」

「ツヨシちゃーん! 頑張れー! へへっ、あ見て見て、今日は特別にカップ酒ー! カッコいい演奏頼むよー!」

 

 うわっ、お酒くさっ! 誰なんだこの飲んだくれのお姉さんは? 僕はツヨシさんの近くに行って小声で聞いてみた。

 

「あの人が前に言ってた私の先生みたいな人だよ」

 

 えぇ……。マジで幸せスパイラル決めてるきくりさんみたいな感じの人やな。

 一瞬だけ姉ちゃんの顔を見ると若干引き攣ってるじゃないか。

 

「って、あれ? ツヨシちゃん。なんで無視すんの? お姉さんだよー!」

 

 呼ぶんじゃなかった……。とツヨシさんが冷や汗をかきながらボソボソと呟く。

 

「てめぇは! そろそろいい加減にしとけ!」

「せ、先輩。ギブギブっ!」

 

 すると、隣にいた金髪ロングの女性が飲んだくれのお姉さんをプロレス技で締めたのを見て、僕とツヨシさんは苦笑の表情を浮かべる。

 あっ、この人って僕らが下北沢のライブハウスに行った時にいた店長さんだったわ。どうやらクラウンさんが呼んだらしい。

 

「あっはは……。え〜……初めましての方達は初めまして! スターリオンです。短い時間ではありますが、本日はよろしくお願いします。それでは早速いきますよー!」

 

 クラウンさんがドラムのシンバルを鳴らし、僕たちはギターとベースの演奏を始める。最初の1曲目として選んだのは『ギターと孤独と青い星』だ。

 僕の好きなアニメで5話のオーディション回と8話のライブ回の時に歌たわれた曲だ。ぶっちゃけ『ひとりぼっち東京』と迷ったんだよね。

 

 1曲目が終了し、ここで『ギターと孤独と青い星』の次の曲として選んだのは『あのバンド』だ。

 もちろん前奏にぼっちがやったギターパフォーマンスも取り入れたくてツヨシさんが練習してくれました。僕の先生ギターヒーローみたいでマジカッコいいっす。

 

 2曲目が終了すると、拍手と歓声が会場内に鳴り響く。

 

「はい! 先ずは『ギターと孤独と青い星』そして『あのバンド』の2曲をお送りしましたー!」

 

「きゃー! なおくんカッコいいー!」

「あたしの弟。世界一!」

 

「それではここで、バトンタッチしたいと思います! タキオンさん。出番ですよ?」

「ふぅン……任せたまえ、北くん。次はちょっとしっとりといかせていただくよ」

 

 僕はタキオンさんとポジションを移動させて、準備が完了のアイコンタクトをクラウンさんへと送る。

 

 3曲目はタキオンさんが歌う『カラカラ』だ。アニメの4話〜6話に使われていた曲で、詩の中の「前借りしている命を使い切らなきゃ」って歌詞が特に好きです。

 

 タキオンさんの透き通る様な歌声が体育館内に響き渡る。やっぱりこの人って歌めちゃくちゃ上手いよな。

 

「ふぅ〜。ベースボーカルも中々骨が折れるね。でも意外と楽しかったよ……」

 

「あれ本当にあのアグネスタキオンか?」

「あんな爽やかな笑顔初めて見たぞ……」

 

 皆、普段タキオンさんのことなんて思ってるんだろう? 常に実験室に篭ってるイメージが定着してたら、このライブでその幻想をぶっ壊して欲しいところだ。

 

「さて、タキオンさんの次は……ドラムのクラウンさん。お願いしまーす!」

「はーい! ベースボーカルの次はドラムボーカルよ!」

 

 再びポジションを変えて僕が真ん中に戻り、4曲目に移る。次の曲はクラウンさんで『なにが悪い』だ。

 

 この曲は個人的に作中の曲の中では一番好きな曲で、演奏してる時についEDアニメーションの4人みたいに足だけを躍らせてしまう。

 

 ドラムボーカルはバンドでもなかなか目にしないやつだし、叩きながらの歌は難しそうだと思ったけど……クラウンさんは特に問題なさそうに歌っていたので安心した。

 

「ありがとうございましたー!」

 

「クラちゃーん! カッコよかったよー!」

「直人くん。すっごくノリノリで踊ってたわね。お姉さんもテンションアゲアゲやよ!」

 

「クラウンさん、ありがとうございました。さてさて……続いては我らがリーダーの出番でございます! ツヨシ先生。お願いしまーす!」

 

 我らがリーダーをセンターに移動させて、僕はツヨシさんが元々立ってた位置へ移動。

 

「任せて、直人くん! それでは……ツルマルツヨシ行っきまーす!」

 

 5曲目に選んだのは『転がる岩、君に朝が降る』だ。この曲の元はとあるバンドの原曲を作中のキャラがcoverした曲だ。

 ツヨシさんは一曲くらいならギターボーカル出来ると打ち合わせの時に言ってくれたので、僕は「是非この曲を!」とツヨシさんに頼み込んだらOKしてくれた。

 

 いやぁ〜! 良い曲だよね『転がる岩、君に朝が降る』って。

 「転がる岩」だけだったら、大変なことがたくさん起きてたりとか、今一生懸命転がっている最中っていう意味だけど。「君に朝が降る」って言葉がつくことによって、色んな大変なことがあるけれども朝はやってくるんだよっていう良い言葉になるんですよね。

 

「ふぅ〜……! ありがとうございましたー!」

 

「ツルちゃーん! すっごく良かったよー!」

 

 と、客席にいるスペさん達が大絶賛。取り敢えず、ここで少しだけMCパートを挟むことにした。

 

「え〜……アグネスタキオンさんで『カラカラ』を、サトノクラウンさんで『なにが悪い』を、そしてツルマルツヨシさんで『転がる岩、君に朝が降る』を続けて3曲をお送りしました。皆さーん! 全力全開で盛り上がってるかーい!?」

 

 と、マイクで問いかけると会場は歓声が聞こえて来た。これ、一度言ってみたかったんだよね〜。

 

「ハッハー! 良いじゃないっすかー! それでは名残惜しいいんですけど……次で最後でございます!」

 

「えー! なおくんの歌。お姉ちゃんもっと聞きたいよー!」

「私もー!」

 

 そうそう、ライブで最後の曲って言うと、お客さんから聞こえるお手本のようなリアクションを聞いて次の曲紹介をする。

 

「それでは最後の曲です。『Distortion!!』」

 

 6曲目に選んだ曲は『Distortion!!』だ。シンバルの音を合図に、ギターとベースがそれぞれ鳴り響く。

 ここで一気に爽快感を出して、上げていく。全ては、アンコール後に歌う残り2曲に繋げるためになぁ!

 

 今まで歌ってきた曲。そしてこの後に歌う曲は、ファンフェス秋の終了後移行。完全再現の為にメンバー達でぼざろのアニメ視聴回をしたり、全ての曲を何回も聴いたり、楽器店でお金を出し合って楽譜を購入したり、その後はもちろん血の滲むような練習を時間の許す限りして来た。

 

 これまでの練習期間、凄く楽しかった。色々あったけど、こうしてちゃんと皆の前で歌えて……最っ高に楽しい。

 

「ありがとうございましたー!」

 

 一礼をすると、照明が暗くなり僕達は舞台横に移動してひと休憩する事にした。

 アーティストの人たちってアンコールの間は違う着替えたりなんだりするかもだけど……僕らは普通に休憩だ。

 

「ふぅ〜……後は2曲だけね。直人くん、残りもバッチリよろしく頼むわよ!」

「はい! それにしても、クラウンさんのドラムボーカル凄かったですよ」

「ありがとう。練習した甲斐があったってものよ」

「直人くん。『なにが悪い』の時ノリノリで踊ってたね」

「アニメーションの演出とかも取り入れて、映えを狙いたかったものだね」

 

 確かにそれはそうだよなぁ。僕たちスターリオン版のアレンジアニメーションとか入れたかった。

 でも、制作費とか依頼料とかその他諸々の出費も重なりそうだったし、今回は導入することができなかったと。

 

『アンコール! アンコール!』

 

 これまでの歌った曲たちを振り返っていたら、大きな声のアンコールが聞こえて来てきた。

 

 僕は今まで、色んなライブ(主にアニメ関係)のを見てアンコールをする側の人間だったけど、アーティストさんたちはこうやって皆の大きなアンコールを聞いて、またステージに行くんだなぁ。

 

「よし……行きますか!」

「ええ! 最後に一気に盛り上げましょう!」

「ふぅン……もう一踏ん張りだね。ツヨシくんは……ツヨシくん?」

「ツヨシさん。何か考え事でも?」

「ううん、何でも無いよ! それよりも皆が待ってるし、早く行くよ!」

 

 考え込むツヨシさんを心配しながらも、暗がりのステージに戻り僕らはポジションに着く。

 体育館内に鳴り響くアンコールのコールは大きな歓声に変わり、それと同時に照明が明るくなっていく。

 

「「なおくーん!」」

 

 僕は、ステージ下にいたエルさんとグラスさんに向かってサムズアップをする。

 

「皆さん、アンコールありがとうございまーす! 最後の最後まで全力で盛り上がる祭りをする準備は出来てるかーい!?」

 

「そんなのもちろん出来てるYO!」

「私もー! なおくん愛してるー!」

 

「それではアンコール一発目の曲です。この曲で、このライブを皆さんの忘れられない思い出にしたいと思います。お聴きください……『忘れてやらない』」

 

 僕はクラウンさんの方を見て頷くと、バチ同士を弾く合図と共にツヨシさんのギターとタキオンさんのベースが鳴り響き、僕はアニメの再現で最初に手拍子をして演奏に移る。

 

 この曲はアニメ最終回の文化祭回で一曲目に流れた曲だ。つまりは、最後にやる次にやる曲はあれしか無い。

 

 爽やかな青春ソングのようにに聴こえて、詩はぼっちなのが好きやで。

 

「い、今なおくん。あたしにウィンクした!」

「いや私にだって!」

「それにしても楽しくて良い曲だね。ライス、歌詞にちょっと共感しちゃうなあ……」

 

「ありがとうございましたー!」

 

 7曲目が終了して最後の曲を歌う前にMCパートでお話タイムだ。

 

「ねぇ、直人くん。最後の曲の前に何かメッセージとかあったりする?」

「そうっすね……。去年の秋も今回の春も最高のライブが出来て凄く良かったのとお客さんもいっぱいで、色んな人の前で歌うのやっぱり楽しかったので、またライブする機会があったら皆さん是非お越しください! 今よりももっと上手くなって皆さんに元気を届けたいと思います!」

 

 ふふっ、我ながら良いコメントをした。

 

 これからクラシック級で頑張るウマ娘、シニア級に移ってたくさんのレースに挑戦するウマ娘、そしてこれからデビューして夢に向かって頑張るウマ娘や色んな人の背中を押せるように最後も全力で歌うぞ。

 

「それでは、これが本当の本当に最後の曲です。聴いてください『星座になれたら』」

 

 ファン大感謝祭・春。スペシャルライブの最後を飾る曲は『星座になれたら』だ。

 僕はクラウンの方を向いて、またバチの合図と共に演奏をする。この曲もかなり難易度が高くて苦戦したんだよなぁ。

 

 ここで2番のサビに入って間奏になろうとした瞬間。ツヨシさんのギターに思わぬハプニングが起きた。

 

「あっ! ツルマルさんのギターの弦が!」

「こ、これ流石にマズいんじゃない? 楽器のこと知らないボクでも流石に分かるよ」

「あれじゃ2弦も使い物にならないな」

「あっ、酔っ払いのお姉さん。そうなんですか?」

「これじゃあソロパートが来ても無理だぞ……」

「そんな……」

 

 僕は、横目でツヨシさんの1弦目のギター弦が切れる瞬間と絶望する顔を目にし、覚悟を決めた。

 ツヨシさんがやる筈のソロパートを、この僕が引き受けると。

 

 アドリブとして、必死に覚えたソロパートをツヨシさんなら弦が一本切れたとしても、最後までやると信じながら演奏をした。

 

 すると、ツヨシさんはステージ上に偶然置いてあった空のカップ酒を手に取り、スライドバーの弦に接触させて何とか乗り切った。

 

「ツルマルさんがやってるあれって……?」

「この土壇場でボトルネック奏法か……」

「あれなら、チューニングズレてても関係ないもんね〜。頑張れー! ツヨシちゃーん!」

 

 そして、まさかのToLOVEるはあったものの、何とか最後の曲を歌い切った僕らはたくさんの拍手と歓声を前に、メンバー全員で一礼をする。

 

「それでは最後にメンバー紹介をします。先ずはベース:アグネスタキオン!」

「やぁやぁ、最高のライブ。また皆で作り上げようじゃあないか。今日は最後まで付き合ってくれて感謝する」

 

「そしてドラム:サトノクラウン!」

「皆さーん! 本日はお集まりいただき、ありがとうございました。次も絶対に見に来てくださいね!?」

 

「さらにギター:ツルマルツヨシ!」

「最後はハプニングあったのですが、直人くんのフォローのお陰で無事に乗り切ることが出来ました。皆さん、今日は本当にありがとーう!」

 

「そして最後は、ギターボーカルの北島直人です。僕らにとって最高の祭をすることが出来て本当に楽しかったです。またいつか、お会い出来る日を楽しみにしています!」

 

 そして、僕らは休憩所へと向かい暫く休むことにした。

 

 

 

「いやぁ……それにしても、見事に切れちゃいましたね。どうします?」

「そうだねぇ……。このギターはお父さんからの貰い物で、もうあれから暫く経ってるしね。でもペグが故障しただけだし」

「ペグが壊れただけなら修理費もそんなにしないんだがね」

「でも、ちょうど良い機会だし自分だけのギターを買っても良いかも」

「じゃあ今度、皆でツヨシさんの新しいギターを買いに一緒に行くのはどうですか?」

 

 と、クラウンさんが提案してきた。ツヨシさんは1分くらい考え込んで、トラブった時にすぐ対応出来るようにとツヨシさんは新しいギターを買うことを決めた。

 

「なおくん。お疲れ様ー!」

「私もいるよ! なおくん、クラちゃん。お疲れ様♪」

 

 僕らがツヨシさんたちとギターを買いに行く計画を立てている途中に、姉ちゃんたちが休憩室の中へと入ってきた。

 

 この後は感謝祭お疲れ様回をするために模擬店へとスターリオンのメンバーも連れて一緒にパーティーを楽しみ、ファン大感謝・春が幕を閉じたのであった。

 

 





皆さんはぼざろのキャラクターは誰が好きですか?
僕は虹夏ちゃんです。

皆さんはぼざろの曲で好きなのはなんですか?
僕は「なにが悪い」です。

皆さんのぼざろのアニメで好きな回はなんですか?
僕は「江ノ島エスカー」を個人的に推してます。

何を書くか……そろそろ大阪杯の話も書いていきたいです。

次回から新章『春シニア編』お楽しみに!
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