目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件 作:通りすがりの邪教徒
今回はツヨシ師匠のギターを買いに行くまでの日常回です。
それではどうぞ!
『ファン大感謝祭・春』が終わり、お祭りの屋台や模擬店などは片付けられ、いつもの学生たちが行き交う学園に戻通りになった。
今日のトレーニングはトレーナーさんが、感謝祭の疲れを取るために3日間休みだと言っていたのだが、姉ちゃんがどうしても朝から走りたいと言っていたので、僕は付き添いとして姉ちゃんの朝トレーニングに付き合うことになった。
何でも、先日のライブで僕たちから元気を貰って『大阪杯』に向けてもっともっと頑張りたいとのことらしい。
「姉ちゃん。おはよう!」
「おはよう! あれ? そのマウンテンバイクって……?」
「ああ、これね。これなら姉ちゃんにワンチャン着いていけると思って最近お年玉で買ったんだよね〜」
「お、お姉ちゃんのために……。本当に良い子だよぉ〜!」
そう言いながら、姉ちゃんが僕の頭を撫でくりまわす。
「ほら、浸ってないでさっさと行くよ。早くしないと置いてくぞ!」
「ああー! 待ってよー!」
僕はマウンテンバイクを使って、姉ちゃんはもちろん走りで、いつものコースを走ることとなった。
朝トレの時に使用しているコースで走っていると、何時も何かに困ってる人達を見かけては、それをお助けするのが僕ら姉弟の日課のようになっている気がする。
「や、やっちまった〜!」
走っていると、突然叫びが聞こえて来た。これは早速“お助けキタちゃん”の出番だろう。
叫び声が聞こえた方に向かうと、バナナが入ったダンボールをたくさん詰んだ軽トラに着いている片方の後輪がパンクしていた。
あの人は……近くの商店街で八百屋さんを夫婦で営んでいるおじさんだ。
「おじさん。大丈夫っすか?」
「おお、直人くんにキタちゃん。朝からトレーニングかい? 生出るね」
「それにしても……これはかなりヤバいっすね」
「だったら、ここはあたしに任せてください!」
「いいのかい? キタちゃん」
「もちろんです! 何か引っ張るためのロープとかありますか?」
姉ちゃんに言われ、おじさんはパンクや故障した時のための緊急用牽引ロープを出してくれた。
「僕が着けますよ。たしか……ここですね?」
「そうそう。直人くん、物知りだね」
僕は早速、軽トラに着けた牽引ロープを姉ちゃんの腰に巻き付ける。
「でも本当に大丈夫なのか? いくらウマ娘のパワーが強いとはいえ……」
「大丈夫! お姉ちゃんにお任せ!」
そう言い、自信満々に胸を張る姉ちゃん。そういや巨大なタイヤも引きずってたし、今更心配しなくても良いよね。
荷物とおじさんを乗せた軽トラを、力強く引っ張りながら全力で走る姉ちゃんに僕も自転車で着いていく。
「うお〜〜! んぎぎぎ……!」
「はえ〜〜」
おぉ……相変わらずもの凄いパワーだ。あっという間に商店街の八百屋に到着した。
到着して早々に、僕らは軽トラに積んであった大量の段ボールを下ろす手伝いもした。
その時には顔見知りのおばさんも居て、凄く感謝された。
「おそらく、積載重量がオーバーしてパンクしたのかもしれませんね。軽トラってだいたい350kgまでが限界って聞きますし」
「そうなのかい? 今度からはちゃんと重さを測ってから積まないとだねぇ」
「それにしても、助かったぜ2人とも!」
「全然平気です。いい練習になりましたし!」
「本当にありがとね」
「いえいえ、困っている人がいたら助けてあげろ。落ち込んでいる人がいたら隣で笑ってやれ。そしたら皆が笑顔になれるって父さんが」
その言葉、僕も昔から父さんに言われたな。当然姉ちゃんも知っていると。
すると商店街の人々が「さすが、お助け大将!」と言って、僕らのところへと集まって来た。
「姉ちゃんは皆に愛されてるな」
「もちろん直人くんにも助かってるよ。君たち姉弟が揃うと、周りがパッと明るくなるからな」
「ありがとうございます。魚屋さん」
「なおくんもちゃんと皆を助けられて偉い偉い。お姉ちゃんは誇らしいよ」
「おい、皆の前で撫でるなぁ!」
「あっはは! 本当に仲良し姉弟だな!」
この雰囲気、地元とはまた違って僕は結構好きだ。
「ところで今何時っ……姉ちゃん。ヤバいぞ!」
「うあぁぁぁぁあ!! もう直ぐで学校が始まっちゃう!」
ここから寮に戻って、制服に着替えたとして朝食を食べる時間もあまり無い。完全に時間を忘れてお助けをしてしまった。
商店街から姉ちゃんのスピードで走れば問題かもしれないが、僕の場合は結構キツいかもしれない。
「なおくん。お姉ちゃんの背中に乗って!」
「でも、自転車どうするよ……?」
「だったらウチで預かっておくよ。学校が終わったら取りに来れば良い」
「おじさん。ありがとうございます!」
「そうだ! 助けてもらった礼に、これを持ってって!」
「「ありがとうございます!」」
そう言われ、八百屋のおじさんからバナナを貰った。
「ささ、なおくん。早く行くよ! セイヤァ〜!」
「行け行けー! キタサンブラック号!」
「大阪杯。頑張れよー!」
こうして僕は姉ちゃんの背中に身を任せて、全速力で寮へと戻って着替えを済ませ、一緒に貰ったバナナを食べながら急いで学園へと向かった。
校門を通ると、ダイヤ姉ちゃんが待ってくれていた。先に行っちゃっても良かったのにと言うと。
「サトノ家には、朝からなおくんの顔見ないと、発作が起こるジンクスがあるの」
「それ絶対にダイヤ姉ちゃんが後付けしたやつでしょ。それだったらクラウンさんや他のサトノも、僕の顔見ないと発作が起こるじゃねえか!」
「テヘペロッ♪」
「かわいこぶんなよ……この嘘つき口め〜!」
「ご、ごめんなひゃ〜い!」
僕はダイヤ姉ちゃんのほっぺを両手で摘んで、軽く引っ張ったりわしゃわしゃした。
「ぐふっ! 姉弟とはまた違った尊みっ! 朝からありがとうごじゃいま〜す!」
「で、デジタルちゃーん!」
なんだ? やけに騒がしいなと思ったら、ピンク髪のウマ娘が鼻血を吹き出してうつ伏せ状態で倒れているのが見えた。
大丈夫か? と心配だったけど、予鈴が鳴ってそれどころはなかったので、僕らは急いで教室へと向かった。
「はぁはぁ……何とか間に合った!」
「今日は遅かったじゃん?」
「音也くん、おはよ。姉ちゃんの朝練の付き合いしててさ。んっんっ……たはぁ〜! コーラうんまっ! キンキンに冷えてやがるっ!」
「唐突なカイジやめろ」
僕は道中に置いてあった自販機で買ったコーラを飲んで一息吐く。
それとお腹が空いて来たので、前にタキオンさんから貰ったラムネを数粒口に入れる。1時間目の授業が終わったら購買部にでも行くか。
授業中。先生が黒板の方を向いた瞬間、こっそりラムネを摘んでは空腹を紛らわす。
「さて、そろそろ阪神レース場で大阪杯が開催されます。その阪神レース場で開催される大阪杯の他のGⅠレースは? 北島くん」
「ふぁっ!? 桜花賞、宝塚記念、阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティステークス、あと天皇賞・春もです!」
「模範解答。正解です」
あっぶね〜! 咄嗟に向いてくるから、ビビってラムネを溢しそうになったじゃあないか。
それにしてもその問題、僕にとってはイージーですね先生。もっと骨のある問題をプリーズですよ。
「へぇ〜。春の天皇賞って阪神レース場でもやるのか……」
「そうだよ。だいたい京都レース場でやるイメージだけど、ごく稀に阪神でやるんだよ。因みに最後に阪神で開催された天皇賞・春を制したのがビワハヤヒデさんだ」
「あの頭が大きくて縁が赤い眼鏡を掛けている……あの?」
「おい、本人の前で頭大きいとかデカい言うなよ? ブチギレるからな!」
「おっ、おう……気を付ける」
今年の天皇賞・春は京都レース場でやる事はもう分かっている。
ここで授業終了のチャイムが鳴って、1時間目が終了したので購買にパンを買いに行くことにした。
「いっそげいっそげ!」
ウチの学園の購買部はコンビニ並みのラインナップが揃っていて、おにぎりやパンの他にも、お菓子やアイス、ウマ娘関連の雑誌など。カフェテリアとはまた違った良さがあるのが高ポイントだ。
偶に購買部限定のにんじんパンや季節限定スイーツなる物もあるらしいのだが、僕はどちらかと言うとカレーパンの方をよく買っている。
普通、購買部はお昼ご飯の時間に行くイメージだけど……今はお腹空いてるし良いよね。
「おや、直人じゃないか」
「オグリさんだ。どうも〜」
「直人も何か食べ物を買いに来たのか?」
「朝ごはんです。訳あって朝はバナナ一本だけだったので、お腹空いちゃって……」
「バナナ一本だけ……!? 私だったら耐えられない……」
オグリさんの場合はそうなんでしょうね。オグリさんは小腹を空かせて買いに来たそうだが……案の定、量が多かった。
相変わらずの大食漢だな……カフェテリアでも山盛りのご飯でテーブルひとつが埋めつくされるなんて光景はもう見慣れた。
僕はカレーパン2つとコーヒー牛乳購入したら、オグリさんに「それで本当に足りるのか?」と言われた。昼ごはんもあるし、あまり食べ過ぎたく無いんですよ。
「やっぱ美味いなぁ〜!」
「そういえば、この前のライブ凄く良かった。タマの他にも、クリークやイナリも盛り上がっていたよ」
「喜んでくれて何よりです」
「それとオムライスも美味しかった。また私に作ってくれないか?」
「良いっすよ。機会があればですがね」
オグリさんは味を思い出したかのように、涎を垂らしながら目をキラキラとさせていた。
いっぱい食べる女の子って可愛いけど……オグリさんは食べ過ぎですわ。でもそう言うのも好きです。
そういや姉ちゃんも朝ごはん食べてないはずだが……購買には来ないのかな。
「それでは僕は先に行ってますね」
「ああ。またな」
そして残りの授業を何とか乗り切ったお昼休み。姉ちゃんとダイヤ姉ちゃんと合流してカフェテリアへと向かってお昼ご飯だ。
「姉ちゃん。朝はバナナ一本で良く耐えたな」
「実は、今日の1限目の家庭科で調理実習が運良くあって、そこで何とか凌いだんだ!」
な、何だってぇ!? そっちはお金を払わずして腹を保ったと……羨ましいぞ。
「あっ、これ調理実習で作ったクッキーだよ。なおくんにあげるね!」
「私からもあげるよ。はい、なおくん♪」
「あ、ありがとう!」
カフェテリアの受け取り口で、姉ちゃんと同じにんじんハンバーグ定食(大盛り)を受け取って席に着いて食べる。
「私も相席して良いかしら?」
「クラちゃん!」
「よいしょっと……。直人くん、今日の放課後はメンバー全員で御茶ノ水に行くの忘れてないわよね?」
「もちろんですよ。ツヨシさんのギター探しのお手伝いですもんね」
そう、今日はライブ中に壊れてしまったツヨシさんのギターの代替機を探しに行く日だ。
「良いのが見つかると良いですね」
「楽器屋といったら御茶ノ水だし、絶対に見つかるわよ!」
たしか御茶ノ水って歩けば秋葉原に行けたよね……。楽器店見たら序でに、カドショ何軒か寄って行こうかな。
全ての授業が終わり、僕は急いで後片付けを済ませて商店街で預けていたマウンテンバイクを回収。全力で漕いで、クラウンさんと府中駅へと向かう。
「「お待たせしました!」」
「おっ、来たね。じゃあ早速行こうか!」
「君たち、電車がそろそろ来てしまうよ」
僕らは取り敢えず電車に乗って御茶ノ水へと向かった。
「わ〜! お店がたくさんあるんですね」
「楽器店なら最近は渋谷もお勧めだよ」
「そうなんですか、ツヨシさん? 渋谷にそんなイメージ無いですね」
「楽器店が密集してたり、楽器村なんてものがあって、ここ数年で結構力入れてるんだよ」
「ほへぇ〜。それにしても、何でこんな楽器屋さんがあるんでしょう?」
「そ! れ! は! 明治時代に日本で最も古い歴史を誇る……(以下略)」
タキオンさんって普段こんなに流暢に話す人だったっけ? いつもは陰のオーラ放ってる系だと思ってたのに、音楽関連になると妙にオタクみたいな早口口調になる。
「ここら辺のお店に入りましょ!」
クラウンさんに言われて、店内の中に入る。ツヨシさんがギターを探している合間に、僕らはストラップやピックなんかを見る。
「このストラップの柄、カッコいいですね!」
「直人くんのギターの色に合いそうだし、気分によって変えてみたら良いんじゃないかしら?」
「すまない、店員くん。このベースは試奏することは出来るだろうか?」
「大丈夫ですよ〜」
「タキオンさん、もう今月のお金ないっていってたんじゃ?」
タキオンさんはちょっと気になったから軽く弾きたいだけらしい……この人まさか!! 予想通り試奏で本気出してドヤっていた。
「まぁ、すごい適当に弾いたが……結構いいベースだねぇ」
嘘つけや。僕は今持ってるエレキの他にアコースティックギターが欲しいなと見ていると、クラウンさんが羨ましいそうな顔をする。
「これがドラマー孤独問題か。私もギターかベース買っちゃおうかしら」
「「えっ!?」」
僕はタキオンさんはクラウンさんがギターかベースでドラムを叩く様を妄想してしまった。
「普通に弾くようでよ! じゃあ今度はドラム専門店に行きましょう! 秋葉原にあるんだけど……」
「だったら僕、このあと秋葉にも行こうと思ってるので、良ければお店出たら行きません?」
「ホント!? 直人くん。ありがとう!」
暫くすると、ツヨシさんがギターを持ってやって来た。
「YAMAHAのPACIFICA611だよ。見た瞬間、ビビッと来たんだ!」
「ツヨシさん。お金はあるんすか?」
「もちろん! 結構お金は持ってるんだ!」
そう言い、30万円くらいの札束を見せて来た。どうやらこのお金は、ツヨシさんがギターの弾いてみたの動画配信から収益化して得たものだそうだ。
「直人くんも動画配信とかしてみれば? 歌も上手いし、見てくれる人とか沢山いると思うよ!」
動画配信か……確かに僕は、Vtuberみたいに雑談とかゲーム配信とか〇〇を歌ってみたとかの動画投稿やりたい時期もあった。
まだバイトできる歳じゃないけど、配信なら行けるんじゃね? 思い立ったら、近いうちにやってみよう。
そしてツヨシさんの新しいギターを購入。ツヨシさんとタキオンさんとは店前で別れ、クラウンさんと秋葉原へと歩きで向かった。
電車での移動も考えたが、距離もそんな遠くないし電車賃も無駄にしたく無かったので歩きになった。
「あの、クラウンさん。神田明神に行ってもいいですか?」
「良いわよ。キタサンの『大阪杯』に向けてお祈り?」
「まぁ、そんなところです。それと……ダイヤ姉ちゃんが無理しませんようにとクラウンさんが今年中にGⅠレースを勝てますようにって」
「あら、君のお姉ちゃんのライバルを応援しちゃっても良いのかしら?」
「僕は、頑張っている皆の夢は例えライバルだとしても応援したいんです。同じバンドメンバーとしても、僕達に勝利を見せてください。でも、姉ちゃんとぶつかった時は、全力でキタサンブラックの方を応援しますよ?」
「ふふっ、ありがとう。それに……望むところよ! 私はいつか絶対に、キタサンに勝つ!」
その後、神田明神でお参りをして人々が行き交う秋葉原へとGoした僕とクラウンさんは、先ずドラム専門店を見に行った。
何処を見ても他のドラム以外の楽器は一切なく、ドラムに必要な関連のグッズもあって結構充実していた。
「この黄色のスティックケース買おうかしら。あっ、このスティックのデザイン可愛いわね……これも買っちゃおうかしら」
クラウンさんもサトノのウマ娘。ダイヤ姉ちゃん同様にお金持ちだったわ。
「良い買い物が出来たわ。次は直人くんのに付き合うわよ?」
「ありがとうございます。じゃあ、ラジ館にでも行きますかぁ!」
そしてラジ館内のカードショップを見て、その中でもカードラボにて気になった、先月出た特殊弾のBOX付きオリパを2つ購入して府中へと帰ることになった。
そして翌日の放課後、まだ誰もいないスピカのチーム部屋にて。僕は昨日カードラボで購入したオリパを開けることにした。
「何が出るかな〜♪」
1パック目は光り物だらけのハズレだった。光ってないノーマルだったら、大当たりのチャンスの法則だってどっかで聞いたことあるしなぁ…….。
「ま、そんな簡単に大当たり出ないよな……って、これはぁ!?」
光ってないノーマルカード。これは大当たりの予感か? ゴクリと唾を飲み込み、裏向きのカードをくるっと表向きにした。
「やっば……神アートのガイアッシュ引いちゃったー!!」
アニメに出てくる商店街の人たち、良いキャラしてるよね。この小説ではキタちゃんと直人くんが色んな人のお助けをしていく中で、次第に「お助け姉弟」と呼ばれるようになります。
デジたんの残りライフはあとどれくらいだ? 彼女は3人の薄い本的なのをいずれ描く事になるだろう。
天皇賞・春以外にも別のレース場を使ってレースをするGⅠも当然あります。例えば皐月賞は東京で、宝塚記念は京都でやる事もあります。
そういえば、神田明神ではポニーを飼ってるんだけど、めちゃくちゃ可愛かったです。機会があれば見に行ってみては如何でしょうか? カドショの開店時間までの時間潰しに神田明神は最適だと思います。
次回は本格的に大阪杯書いていきます。お楽しみにしててください、
それではまたお会いしましょう!