目が覚めたらキタサンブラックの弟になった件   作:通りすがりの邪教徒

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前回のお話で気合を入れて書いた話だったので感想がからのをワクワクしながら待ってました。読者の皆さん、感想お待ちしてます。

今回は天皇賞・春の後日談です。

それではどうぞ!


第八十三話:買った日の夜は焼き肉っしょー!

 

 

 今日は非常に気分が良い。何てったって、姉ちゃんが『天皇賞・春』に勝ったんだぜ? 凄いだろ! 姉ちゃんと並んだカレンミロティックとの激戦の末、姉ちゃんが見事差し返して1着を獲った。

 

 僕はてっきり負けたか? と、着順掲示板を見るまでは思ってしまったが、本当に勝てて良かったと思った。

 

 この後はウイニングライブまでの時間、姉ちゃんは記者からヒーローインタビューを受けることになった。

 姉ちゃんの活躍について弟の僕からも色々聞きたいとのことだったので、流れで僕も一緒に強制参加させられた。

 

「え〜……それでは、弟さんに質問よろしいでしょうか?」

「まあ、どうぞ。答えられる範囲でならお受けまします」

「ありがとうございます。弟さんは今回のレースを見てどう思いましたか?」

「マジでギリギリの戦いでしたね。見てるこっちはハラハラしましたよ。それでも、最後の最後まで粘ってくれて……これも1ヶ月間、山籠りした甲斐があったって感じですかね」

「1ヶ月間も山にですか……。いったいどのようなトレーニングを?」

「それは内緒です。僕たちだけの秘密のトレーニングだったので」

 

 このことが雑誌に載れば、こぞってウマ娘達が猛特訓にあの場所を使うかもしれないし、何よりもハードトレーニングの内容が知れ渡ると、姉ちゃんが可哀想だなんて他の人から誤解が生まれそうだから、ここはあえて言わないことにした。

 

「それでは、お姉さんのキタサンブラックさんよろしいでしょうか?」

「はい!」

「『天皇賞・春』までの1ヶ月間のトレーニング。如何なものでしたか?」

「毎日辛くて苦しかったですけど、最後までなおく……弟が「何度転んでも僕が手を差し伸べるよ」「姉ちゃんと僕で一緒に勝ちに行こう!」っていっぱい励まされて、何とか乗り越えての1着は、あたしにとって何よりも最高の思い出です。弟には感謝しても仕切れません」

 

 嬉しいことを言ってくれるじゃあないか。これからもっともっと勉強して、姉ちゃんが勝てるように全力を尽くそう。

 

「素晴らしいコメントありがとうございました。素敵な弟さんですね!」

「はい! 次の目標レースは『宝塚記念』なので、精一杯頑張ります!」

 

 こうして数十分間にわたるインタビューを終えて、僕は姉ちゃんと控え室で着替えの時間になるまで談笑をしていると、ダイヤ姉ちゃんが入って来た。

 

「キタちゃん。おめでとう! 良いレースだったよ!」

「ダイヤちゃん、ありがとう。これもなおくんのお陰だよ!」

「僕だけじゃないさ。ブルボンさんやライスさんにもお礼言わないとね」

「私も負けてられない……。次のダービーは絶対に私が勝つ!」

 

 姉ちゃんのレースでダイヤ姉ちゃんにも元気を分けられたなら、嬉しいな。

 日本ダービーか……。あの失速からここまで来るのに苦労した思い出が蘇るよ。

 

「あっ、キタちゃん。そろそろウイニングライブの時間じゃない?」

「そうだった! うんしょ!」

 

 ウイニングライブに気付いて、姉ちゃんは僕の目の前で勝負服を脱ぎ始めた。

 

「って、テメー! 今ここで着替えんなダニ!」

「ダニ?」

「別になおくんに見られても大丈夫だよ?」

「僕が大丈夫じゃない! ダイヤ姉ちゃん、そろそろ出るよ!」

「なおくん。待って〜!」

 

 僕はダイヤ姉ちゃんと一緒に急いでテイオーさん達がいる観客席へと戻った。

 そして外が薄暗くなり、ウイニングライブが行われた。姉ちゃん久しぶりのセンターは最高にキラキラして、まるでお祭りのように……菊花賞の時以上に盛り上がった。

 

「ふぅ〜! 疲れた〜! そしてお腹も空いた〜!」

「お疲れ様。今日は勝利のお祝いだし、どっか食べに行かない?」

 

 そしてレース場から出て、新幹線内で東京駅へと戻る最中。僕は外食にでも行こうかと考えて誘ってみた。

 

「良いねそれ! 何食べに行こっか?」

「何だか気分的に肉が食べたいな……焼肉とかどうよ?」

「お姉ちゃん賛成! ダイヤちゃんも来る?」

「えっ、良いの? 私も?」

「別に僕は構わないよ。それとチームの皆も誘ってみるか……」

 

 僕は早速、テイオーさん達やトレーニングでお世話になったブルボンさんとライスさん、トレーナーさんも誘ったけど、せっかくだから3人で楽しんで来なと気を遣われた。

 たまにはチームの皆で集まってご飯食べたかったけど……まぁ、皆がそう言うならそうしようかな。

 

 

 

 東京、府中に到着して、その場で解散した僕らは何処の焼き肉屋に行くか迷っていた。

 行ってみたいのは叙々苑だけど高いからな……。それに姉ちゃんとかはよく食べるから、食べ放題かつ安価な焼肉屋といったら……きんぐかな? よしっ! きんぐにしよう。

 スマホのアプリでクーポン使えるし、めちゃくちゃちょうど良い。

 

 行くお店が決まって、やって来たのは府中市内にある某焼肉チェーン店のきんぐだ。

 中に入り、番号札を取って空いている椅子に腰掛けていると、他のお客さんが僕らを見てはヒソヒソとしていた。

 

 すると、毛色は青鹿毛かな? 小学生くらいの年齢のウマ娘が僕らのところにやって来た。

 

「あ、あの! キタサンブラックさん……ですよね?」

「うん! そうだよ!」

「今日の天皇賞、テレビで見ました! 凄くカッコよくて……。私もキタサンブラックさんみたいなウマ娘になりたいです!」

 

 ほほう、これはこれは……。姉ちゃんに憧れる将来活躍しそうなウマ娘か? これは未来が楽しみだな。

 姉ちゃんが憧れの対象に見られるって、何だか自分でも嬉しくなってくるな。

 

「そっか……。でもね、勝てたのはあたしだけの力じゃない。この子がいてくれたお陰なんだ!」

 

 そう言って、僕の腕にしがみついて顔を肩に預ける姉ちゃん。側から見たらカップルであります。

 

「このお兄さん……? あっ! 去年の秋の雑誌に載ってたキタサンブラックさんの弟さんですか!」

「そ、そうだよ。まさか君のような小さな娘にも知られてたとは……。雑誌の力、もんげー恐しいずら」

「あの! お兄さんはキタサンブラックさんのトレーナーさんなんですか?」

「いやいや、まだまだ勉強中の身だよ。将来目指す予定なんだ」

「そうなんですか……」

 

 そう言うと、ウマ娘の少女は、もじもじしながら口篭っていた。そして暫くして口を開いた。

 

「あ、あの! 弟さんがトレーナーさんになって、もし私がトレセン学園に入ったら、私のトレーナーさんになってくれますか!?」

 

 何とも予想外な質問だ。僕は頭を人差し指で掻きながら考えた。

 

「う〜ん……そうだな〜。よし、分かった! 僕がトレーナーになれたら、君の担当をしようかな!」

「はぁ〜! 本当ですか!?」

「うん! 一緒に夢を叶えよっか? お兄さんとの約束な。そういえば君の名前を聞いてなかったね?」

「私は……」

「イノちゃーん! 呼ばれたから行くわよー!」

「は〜い! すみません。お母さんに呼ばれたので私はこれで……」

「構わないよ。また何処かで会おうね」

「はい! キタサンブラックさん、また!」

「ばいば〜い!」

 

 そう言い残し、名も知らぬウマ娘の少女は、自分の母親の元へと行き、店員さんに案内された席へと向かって行った。

 

「良かったね。姉ちゃんに憧れてくれるウマ娘がいて」

「うん! なおくんもあの娘のために頑張らないとだね!」

「約束した以上、きっちり守らないとだしな……!」

「ふふっ、なおくんならトレーナーさんに絶対なれるよ。私もいっぱい応援するからね!」

「ダイヤ姉ちゃん、ありがとう!」

「番号札、36番のお客様!」

 

 そんなこんなしているうちに、店員さんに呼ばれた僕らは空いているテーブル席に案内された。

 

 席に着き、パットでの注文を完了して、先に来たドリンクで喉を潤す事にした。

 

「そんじゃ、キタサンブラック。『天皇賞・春』、優勝おめでとう! 乾杯ウィーッス!」

「「かんぱ〜い!!」」

「んっんっんっ……ぷはぁ〜! うまい……!」

 

 このキンキンに冷えてやがるっ! コーラのシュワシュワが、乾いた喉に染みるぅ……染み渡る。これが勝利の味ってやつかな? とにかく最高だ。

 

「さて、先に来た牛タン焼くか」

 

 居酒屋でいうお通し枠? なのか知らんけど、先に出て来た牛タンを焼く。早く肉に合う白いライスさん来てほしいな。

 

 牛タンを焼きながらさっきの娘の話をダイヤ姉ちゃんが持ち出して来た。

 

「それにしてもあの娘。昔のキタちゃんみたいだったね!」

「そ、そうかな〜?」

「うん! テイオーさんに向けてた時の眼差しとかもそっくりだったよ?」

「そっか……懐かしいな〜。昔のあたしはテイオーさんに夢中だったからな〜!」

「それが今となっては、憧れの立場で見られてると……嬉しいか?」

「もちろんだよ。これからも、応援してくれる人のために、お姉ちゃん頑張る!」

 

 牛タンが焼きあがり、網から出すと、注文した肉や白ライスが次々と出て来た。

 

「やっぱ牛タンはレモンだよなぁ〜! 姉ちゃん、じゃんじゃん焼くよ!」

「分かった!」

「私も焼くのやってみたいかも。なおくん、トング取ってくれる?」

「はいよ。これは焼く用に使ってな」

「分かった!」

 

 肉を焼き、焼き終わったやつを次々と小皿に移して平等に分ける。

 因みに、豚はよく焼かないとダメみたいだから、そういう面倒を避けるために牛肉と鶏肉しか基本的に頼んでいない。

 

「姉ちゃん、焼けたよ!」

「ありがとう。う〜ん……おいひぃ〜! 久しぶりの焼き肉は最高だね!」

「キタちゃん、このお肉そろそろ良いかな?」

「うん、もう頃合いだよ。ほらほら、なおくんもいっぱい食べて!」

「おう、ありがとう。豚はよく火を通してね」

 

 焼けた肉をタレに潜らせ、白ライスにワンバウンドさせて食べる。こうする事で、白ライスにタレがついて美味しくなるのだ。

 このやり方をする人の中には「ご飯を汚したくない」とか思っている人もいるらしいが、なんでも美味しく食べれるなら良いと個人的に思ってます。

 

 あっ、食べながら思い出したけど、この前の福引で当てた温泉旅行の話でもしようかな。

 うちのチームも数日休みがあるし、ダイヤ姉ちゃんのチームカペラは休み入れてたりするかな? 取り敢えず聞いてみよう。

 

「ねぇ、ダイヤ姉ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」

「うん? なぁに?」

「この日からこの日って、トレーニングか何かで予定あったりする?」

「特にないよ。GWだし、トレーナーさんがお休み入れてくれてるんだ」

「ちょうど良いや。実はさ、強化合宿の時に買い物して、その時に福引で2泊3日の温泉旅行チケットゲットしたんダニ!」

「お、温泉!? 因みに何処の温泉なの!?」

 

 温泉と聞いて、子供みたいに目をキラキラさせる姉ちゃん。温泉で食いつく姉ちゃんも可愛いですな。

 

「ふっふっふっ……聞いて驚け? なななななんと、沼津の内浦にある十千万旅館をモデルにしたあの旅館だ!」

「沼津ってAqoursがいるあの沼津だよね!? なおくん、こんなの凄いの当てちゃうなんて……すっごいラッキーだね!」

「沼津かぁ……。私、初めて行くかも」

「帰ったら事前に調べて、行く場所とか計画組まないとだな。あらかじめ出かける準備しておいてね」

 

 ついでだし、皆にお勧めの美味しいご飯が食べれるお店の場所とかも聞いてみようかな。一応ウマッターで予告ツイートだけでもするか。

 

 沼津といったらやっぱ海鮮系のやつだよな。あとはハンバーグが美味しい有名なお店もあったよね? 確か……「あざやか」だっけ? これも調べとくか。

 

 後はスピカやスターリオンの皆に買うお土産とかも考えておかないと。

 

「分かったよ! お菓子とかいっぱい用意しなきゃだね!」

「楽しみだね、キタちゃん!」

「必要最低限のやつもな。着替えとか寝巻きとか歯ブラシとかその他もろもろ」

「分かってるって! あっ、なおくん。ご飯のおかわり頼んでくれる?」

「私はそろそろお腹いっぱいになりそうだから、〆の野菜スープお願い」

「おっけー!」

 

 こうして、姉ちゃんの『天皇賞・春』優勝おめでとう会で豪遊した僕らは、残りの時間も焼肉を堪能してお店を出た。

 

「はぁ〜! 大満足!」

 

 そういや姉ちゃん、めっちゃ食ってたな。強化合宿の影響か、最近では食べる量が増えた気がする。

 まぁ、たくさん食べてたくさんトレーニングしてぐっすり寝る……。とても良い事だと思います。

 

「私もあの焼肉屋さん気に入っちゃった。安いのにあんなに美味しいの凄いよね!」

 

 いっぽうダイヤ姉ちゃんは普通の量だった。日本ダービーに向けて体重調整とかしてるのかな? あまり深くは聞かないようにするが。

 

「じゃあ、なおくん。おやすみ〜!」

「旅行の計画決まったら、お姉ちゃんに教えてね〜!」

「おう! 分かった!」

 

 

 

 寮の前で姉ちゃん達と別れ、常盤寮の中へと入り、部屋の中に入った僕は、スーツケースに旅行に必要な必需品を入れた後に、僕の誕生日の日にプレゼントしてもらったパソコンを起動させた。

 

「えっと……。おっ、もう何人か待機してくれてる。そろそろ始めるか」

 

 カメラの位置とマイクの位置は大丈夫かな? 取り敢えず待たせちゃ悪いから、配信始めますか。

 

『おっ! 始まった!』

『なおさんこんばんは〜!』

 

「ちょいと待ってください? あー! あー! 音声大丈夫ですか?」

 

『ちょうど良い感じ!』

『1ヶ月間、待ってたぜ!』

 

「ははっ……長らくお待たせしてすみませんね。最近忙しかったもので……はい〜」

 

 僕が今やっているのは、生配信だ。

 

 3月にパソコンもらってから速攻始めてみたけど、強化合宿で1ヶ月間も出来なくて、前日にいきなりの活動休止を報告したらかなり驚かれたのは記憶に新しい。

 現在登録者は、雑誌のトゥインクルでの知名度のおかげか、一週間でいきなり5000人くらいになっていて、天皇賞が終わった後には1万人くらいになっていた。

 

 個人でこの伸びは普通にエグいです。ここまで来たら銀の盾が欲しいところだ。

 因みに、生配信はひろ○きっぽいスタイルでお届けしています。

 

『キタサンブラックの天皇賞、良かったよ!』

『あの激戦すごかったよね〜!』

 

「ですよね! いや〜……あれは本当に良かった。まぁ、姉ちゃんのトレーニング関係で休んでてすまない。多めに見てくれると嬉しいっす!」

 

『別に構わないよ〜』

『お姉ちゃん思いのなおさん素敵です』

 

 温かいコメント欄に、僕の心はほっこりしていた。リスナーの人たちが優しすぎてコメントを見ていたら、衝撃の人物からコメントが来た。

 

『夏色ch:今日もキタちゃんカッコよかったよ〜!』

 

「えっ!? 夏色さん本人か!? やっべぇ……」

 

 まさかまさかの、いつも生配信を見ているVtuberさんからのコメントが来て、コメ欄がめっちゃザワついた。

 

『えっ!? ガチィ!?』

『マジで本物か?』

『スパナマークもあるし本人だコレw』

『本人巡回してて草』

 

「あっはは……まぁ、取り敢えず今回の雑談の本題に入りますね。実は……」

 

 僕はコメントの人たちに、沼津のお勧めスポットや美味しいお店の情報を色々聞きながら調べることにした。

 

「へぇ〜! ここも面白そうですね。深海魚水族館なんてのもあるのか……ありがとうございます!」

 

『勇者デジたん¥10,000:これで姉達と美味いものでも食べて来な!』

 

「おお! 勇者デジたんさん、スパチャてんきゅ。大事に使わせていただきます!」

 

『赤スパないすぅ!』

『¥5,000:自分も投げますっ!』

 

「またスパチャだ。ありがとうございます!」

 

 因みに、親の許可で収益化はされている。多少は稼げるだろう。

 

「また配信はね、お休みするんですけども……旅の様子を【旅Vlog】みたいな感じで編集した動画をアップしようと思うので、楽しみにしててくださ〜い!」

 

『オッケー牧場ダ〜ヨ!』

『楽しんできてね〜!』

 

「それでは配信閉じたいと思います。それではまたお会いしましょう! さよならリスナーよ!」

 

 こうして小1時間程の生配信を終えた僕は、早速パソコンのパワポで『沼津旅のしおり』を作成する事にした。

 

 

「やっぱ初日は内浦付近かなぁ〜?」

 

 





インタビューで始まり、生配信で終わりました。

はてさて、今回出て来た謎のウマ娘少女。きっと未来でめちゃくちゃ活躍するんだろうなぁ〜。主人公の将来担当するウマ娘ですかね? 笑

皆さんは焼き肉でタレをつけた後にご飯にワンバウンドさせて食べますか? 僕はします。だって美味しいから……。

直人くんがお別れの「さよならリスナーよ」は北島三郎さんの「さよなら妹よ」を元にしました。

次回は旅Vlog沼津をお届けします、お楽しみ!
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