【完結】ユーディー(偽)のアトリエ──アーウィンタールの錬金術士(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
果たしてユーディットはナザリックから生還できるのか!?
衝撃的最終回!!←
明けて翌日、メイドさんたちにお世話されているとモモンガさんから
「あぁ、よく来たユーディット」
立ち話してるモモンガさん(魔王ロール)と……
「あなたがユーディット・フォルトーネね? 私は守護者統括アルベド。アインズ様のお客様と聞いて、一言、挨拶を、と」
なんですかそのエッッッ……けしからんサキュバスさんは!?
愛らしいお顔に人妻ボディとか……
……誰の作か知らないけど、ナザリックの深い闇が見える……あれ?
「……ご滞在中の短い間ではございますが、どうぞ、よろしく」
ぞわわぁ
何という強烈な『ガソリン女』の気配!?!!
かつてのレイナースさんなんて比じゃないわ……ガソリンの臭いがプンプンする!!
殺気は隠してるつもりみたいだけど、あたしの鼻は誤魔化せないわよ!
これ完全に『あたしに火ぃ付けに来てる』やつじゃない!!
どうしてそんな嫉妬……を……あたし、に……
あたしは『ギギギギ』とぎこちなくモモンガさんに顔を向けた。
モモンガさんは、あたしを見てコテンと首をかしげる。いや、かわいくはない。
(モモンガさんのせいですかぁぁぁ!?)
おそらくはモモンガさんラブ!
となると……
「ではアルベド、また後でな。さぁユーディットよ、中へ」
嫉妬するアルベドさん、対談でモモンガさんと二人きりになるあたし……
……あ、これラスボスは彼女だ。
今日中にアルベドさんを攻略しなければ、あたしは死ぬ!!
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「さて、ナザリックでの一日いかがでしたか?」
「……緊張と興奮と極楽気分で脳がやられるかと思いました」
「ハッハッハッ、それは大変だ! HPが0になる前にルプスレギナかペストーニャを呼ばなくては!」
「あ、ワンコさんにお世話になった際は(立ったまま気絶)お騒がせしました」
あたしたちがソファーに座り、部屋に入ってメイドさんたちが飲み物やお茶菓子を置いて退室すると、対談の時間が始まった。
でもマル秘エピソードとか言ってる場合ではない。
この対談の中で、アルベドさんに関する糸口を見つけないと。
「さてユーディットさん、色々と聞きたいでしょうが、私も聞きたい事がありますので、先にいくつか質問してもよろしいでしょうか」
「あ、どうぞどうぞ。そもそも『この世界の事を教える』とも約束しましたし」
「ありがとうございます。では最初に……」
モモンガさんから『あたしから見た各国の価値観や生活水準』などを
といっても、あたしはほとんど帝国しか知らないし、それ以外だと王国や竜王国、ドワーフの国に少し行った事があるくらいだけど、と前置きしつつ、伝聞なんかも含めて説明した。
モモンガさんは時折メモを書きながら……聞き上手だなぁ。
「では、後は……ユーディットさんの不思議な錬金術について聞きたいですね。ユグドラシルプレイヤーなんですよね? どうして、そんな事が可能なんですか?」
「ぁー……アハハ、なんか恥ずかしいんですが、たぶんフレーバーテキストかと。あたし『ユーディーのアトリエ』っていう古いゲームの、主人公のなりきりプレイヤーなんです」
「フレーバーテキスト! なるほど、ユーディットさん、なりきりプレイヤーだったんですね……と、なると……フレーバーテキストでそこまで具現化されるという事は、転移して来たプレイヤーは、必ずしもユグドラシルプレイヤーだと思ってはいけないのかも?」
「そうですね。なりきりプレイヤー結構いましたし」
「それは怖いな……今回はファンのユーディットさんでしたが、敵対的なイキりプレイヤーとかでユグドラシルの常識が通用しない、なんて、勘弁してほしい」
「今のところ神話とかでしかプレイヤーっぽい人は知りませんけど、いたらイヤですね……変なのいたらお互い知らせ合うのは、どうでしょう。……あ、
……ぼっちだったからねぇ。
「……習得数に余裕ありましたら、魔導書いりますか?
「あ、はい、ありがとうございます……」
習得してない理由を察したのか、ビミョーな空気に……気づかいが傷にしみる……いやいや! もう友達いるし! あの頃とは違うのよ!
「オホン! 他に何かありますか? モモンガさん」
「んー、そうですね……洗脳系のアイテムとか作れたりします? アンデッド系にも効くやつ」
「洗脳系ですか……魅了系なら『本来は』作れる『はず』です」
「……ん、んん? 妙な言い回しですけど、どういう意味です?」
「原作ユーディーのレシピとしては、あるんですが、この世界で手に入る素材の品質が低くて……あたしの錬金術は同じアイテムでも品質によって効果が違ったりするんです」
「そうなんですか!?」
やっぱりユグドラシルプレイヤーは驚くわよね。
まるっきり違うシステムだもの。
「はい。複数効果があるアイテムなんかは、素材の品質で効果の組み合わせを変えたりして、まったくの別物になります」
「……面白いし、敵に使われた場合の脅威がハンパないな……」
「ですよね!? わかってくれます!? あたしユグドラシルの錬金術よりこっちの方が好きで」
理解してもらえてテンションが上がる、ものの……
「……でも素材入手の問題で、いまだにコンプできてないんですよね……ユグドラシルの高位素材とか使えたら話は別なのかも知れませんが、そんなの持ってないし……あたしの手持ちは精々が中位素材で、それさえ再入手困難だから、もったいなくて……」
「中位素材? どうして高位素材を持ってないんです?」
「だって40レベル程度じゃ行ける狩り場なんて
「40……ユーディットさんは、こっちの世界に来てからレベルアップしたんですか」
「え?」
「え?」
「……レベルアップって何の話です?」
「だってパn……うちの守護者の一人が『ユーディットさんはレベル90だ』って」
「………………ぇえ!? なんですかそれ!! 聞いてませんよ!?」
「……あ、ユーディットさん、単身だから『ギルド拠点でマスターソース確認』とかできないんですもんね。どうなんです? 感触として。ビルドとか」
「わかんないですよぅ……あたし何の
……まぁ、強いモンスターなんて
うん、諦めよう。
「……えーと、ご愁傷様です?」
「なんで疑問形なんですか!」
「……蘇生費用とか融通するんで死に戻りとかしません?」
「しませんって! 死ぬの怖いじゃないですか!!」
「……あー、そうですよね。ハハハ、いや単なるアンデッド・ジョークですよ。オホン。……つまり、それらアイテムを作った事は」
「……笑えませんて……ないですね。代替素材が見つかれば作ってみたいんですけど」
「……そうですか……」
……骸骨だから読み取りにくいなぁ……今のは落胆にも安堵にも見えて……たぶん落胆でしょ。まぁ、見てみたかったって事ですよね?
「あ、魅了の効果が付いてないバージョンなら持ってますよ? なんせ『未知の遺跡に調査しに来た』はずだったので持ち物は万全に」
「ぅぐ……その節はお騒がせして申し訳」
「ぃやだなぁ! 冗談ですよモモンガさん! 気にしてませんって! アレですよね? ユグドラシルのDQNノリでやっちゃった感じですよね?」
「……ぁー、はい、そうなんですよ(そういう事にしとこ)」
「何か言いました?」
「いいえ! 何も!……あ、そうそう! そろそろユーディットさんも質問したいですよね!」
ぃよっし、チャンス到来!
「そうですねぇ……じゃあ、アルベドさんとの馴れ初めとか聞いちゃおうかなぁ」
「……なれそめ……ぇえ!?……フゥ……な、何故そんな事を?」
「いやぁ、あたしには分かっちゃったんですよ。ズバリ! アルベドさんはモモンガさんラブでしょ!」
「!! なぜそれオフゥ……どうして気付いたんですか」
「女の勘です」
「………………いや違うんですよそもそもアルベドはタブラさんの娘も同然で私は何も」
大錬金術師タブラ・スマラグディナの守護者!?
……タブラさん……潤沢な素材で錬金術し放題……アインズ・ウール・ゴウンという
そうか、だから
という事は……
「モモンガさん、もしかしてアルベドさんにはルベドとかニグレドとか姉妹がいます?」
「なんで分かったんですか!?」
「いや錬金術士なら常識ですって。いいですか? そもそも錬金術で金や賢者の石を作る
「待って待って待って下さい分かりました居ます姉妹!(この人も同じ口かよ、錬金術師ってのは皆)」
「え、何て」
「いえ! ニグレドが姉でルベドは妹です!!……それで、それが何だって言うんです?」
「姉妹ならアルベドさんの胸の内を聞けるかなぁと思って。モモンガさんは何か隠してるし」
「隠!?……それも女の勘ですか」
「はい」
「……ハァ……まぁ、実際、悩んでは、いるんですよ……相談、という形で、意見を頂けるなら、お話しします」
そこから始まったモモンガさんの『
「……モモンガさん、タブラさんに
「ど、どういう事ですか」
「そういう設定を書いとけばモモンガさんが勝手に書き換えるだろう、とか考えてたのでは? さっき言ったじゃないですか。
あたしが言うとモモンガさん、しばし固まり
「………………は……ハハハッ、そうか! そういう事か!! なんだよ! タブラさんがイタズラすると高度すぎて分からな……(あぁ煩わしいな沈静化!)……ハァ……それにしても、フフッ……タブラさん、どうしてそんな事「まとめサイトを信じるならタブラさんNTRスキーらしいですしモモンガさんに寝取らせようと」……知りたくなかったし別の意味でアルベドの気持ちに応えにくくなりました……」
……失敗した。モモンガさん崩れ落ちてしまった。
「何を言ってるんですかモモンガさん! そりゃあ最初は友達が置いて行った宝物に落書きする感覚だったかも知れま」
「ぐほぁ!!……ユーディットさん、言い方ぁ……」
モモンガは胸を押さえてうずくまった。
「……じゃあ『フィギュアの横に自分の人形を』「おおおお……もう、これ以上は、許して下さい」……」
今度は顔を隠して丸くなった。
おとこのこってむずかしい……
「 と も か く ! 今のアルベドさんは意思を持ってるんですから、逆に責任とるつもりで応えてあげましょうよ」
あたしは立ち上がって力説したけど、モモンガさんは
「そりゃ、分かりますけど……」
モモンガがノソリと起き上がり、そのまま床に座ると
「……俺、骨じゃないですか」
「……はぁ……?」
「なのにアルベド、むしゃぶりついて来るんですよ。明らかに『そういうつもり』って事だし、アイツ、俺なら『偉大なる御方パワー』で子供だって作れるとか思ってるんでしょう。どう応えてやれっていうんですか……」
あたしは、モモンガさんの骨盤辺りを見て思った。
(……これはもしや、ナ ニ も な く な っ て しまった事による自信の喪失なのでは!?)
これはいけない……このままでは通り魔事件を起こす弱者男性のように精神が歪んでしまう……
何より、解決すれば『アルベドさんという脅威』もなくなる!
で、あるならば……
「まぁまぁモモンガさん、そう深刻に考えないでください。男が思っているより、女にとっては精神的な繋がりの方が大事なんですよ。今すぐ結論を出す必要なんてないんですから、どう付き合うべきか、向き合ってあげるだけでも」
「そういうものでしょうか……」
まずはこれでいい。
ウソを言ってるわけじゃないし、モモンガさんがアルベドさんの事を
その後、他にも何やかんや話をして対談は終了した。
「あ、モモンガさん。アルベドさんともお話ししてみたいんですけど、いいですか?」
「アルベド……分かりました。その……それとなく聞いてみてもらえたら」
「はい! まかせてください!」
次は、アルベドさんとの正面対決よ!!
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あたしとの対談をモモンガさんから命じられた時、部屋の外でモモンガさんを待ってたアルベドさんは虚を突かれた様子だった。
でも次の瞬間には、先ほどの比じゃないガソリン臭を……いや引火するから……自然発火するから……
あたしはメイドさんたちを引き連れて去って行くモモンガさんを見送り、トラウマで発狂しそうなのを抑えアルベドさんと二人で部屋に戻る。
二人で席に座ると、アルベドさんが口を開いた。
「意外でしたわ、私と話をしたいなんて。何かお聞きになりたい事でも?」
……微笑んでるけど目が笑ってないのよ……
ホントは泣いて逃げ出したい気分だけど、ガマンガマン。
目的は二つ。
一つは、もう達成できてる、はず。
『モモンガさんと二人きりになったけどモモンガさんの匂いとかしてないでしょ? そういう関係じゃないんですよ?』アピールである。
それなりの長時間二人きりだったのに何もなかったというのは効くんじゃないかと……待って、モモンガさんって匂いするの? 骨よね。
いや! 自然発火するレベルのガソリン臭させるほどモモンガさんラブなサキュバスなら匂いくらい分かるはず! きっと!!
もう一つの目的は言わずもがな……
あたしは対談の目的を切り出す。
「聞きたい事というか、相談したいというか……」
「相談ですか? 私に?」
「実は、さっきお話しさせてもらった時にチラッと出た話題で……どうやらモモンガさん、悩みがあるらしくて」
「!?……詳しくお聞かせ下さいますか?」
よし、食い付いた!
まぁ、そりゃあ、ね?
「お話しする上で確認しておきたいんですが、あたしやアインズ・ウール・ゴウンの皆さん含めた『プレイヤー』はユグドラシルとは違う世界の住人だったのは、ご理解されてますか?」
「えぇ、存じておりますわ。どのような世界かまでは分かりませんが」
「では、あたし達が違う
「……種族まで違うと!?」
oh……やっぱそこから知らなかったのね。
「はい。そして、そこが重要で……つまり、その、男性の『アレ』がなくなったせいでアルベドさんの気持ちに応える自信をなくしているみたいなんです」
「なん……ですって……」
アルベドさんは
よし! アルベドさんに深刻なショックを与えた!
ここまでで
だって、あたしの『主観的な推測』だからねぇ。
あと遠回しに『モモンガさん相手に
「そこで!!」
あたしはアルベドさんに解決策を提示する。
『あたしは味方ですよー!』と。
「何かのアイテムとかで一時的な種族変更をするしかないと思うんです!……まぁ、ナザリックの所有アイテムを知らないので具体的に何を使えるのか提案はできないんですが、飲食が可能な種族にさえなればコレも使えると思うので」
あたしはレヘルンクリームを差し出した。
アルベドさんは
「これは、あなたの調合アイテムよね。これが一体、何だと……」
「あたしも最初は知らなかったし、副次的な効果なんですが、どうやら精力が付くらしいです!」
「!!」
……なんか、いつの頃からか戦闘以外の目的で購入するお客さんが現れ始めたのよね。
で、周りに
まぁ、リアル世界のティラミスなんかも『そういう効果がある』と言われていたらしいし(ネット情報だし現物なんて食べた事ないから真実は知らんけど)
半信半疑だけど口コミこそが事実なのだろうと思うので、アルベドさんにも提供する事にした。
「アイテムボックスに入れておけば溶けませんから、どうぞ」
「種族変更はナザリックのアイテムで何とかするとして、これをお召し上がり頂けばモモンガ様の
これで味方アピールは問題ないとして、興奮するアルベドさんの様子に不安を感じ……
「アルベドさん落ち着いてください! まさか襲いかかるような痴女プレイをしようなどとは思ってないですよね!?」
「……何が言いたいのかしら」
……この反応、まさか図星なんじゃあ……
知的美女に痴女プレイさせるなんてタブラさん、やっぱり闇が深い性癖なのね……
あたしはセミナー講師のように諭した。
これでも人を見る目とか交際テクの知識については自信が……いや、リアルでは役に立たなかったけども……
「いいですかアルベドさん。モモンガさんは『自信』を失ったんですから迫ったら逆効果です。モモンガさんに襲ってもらわなきゃ」
「モモンガ様に襲われ……くふー!? それもイイわ! と、なれば作戦は……」
「やっぱり酔い潰れてみせるのが一番セオリーじゃないでしょうか。一緒に食事という口実で……『ナザリック内デート』とか、どうでしょう」
あたしがニヤリと提案すれば、アルベドさんは
「イケる! イケるわ!!
立ち上がり翼バサバサ、鼻息荒く目はハートマークのアルベドさん。
これであたしが消される事はなくなったと思いたい。
「ユーディットさん」
「は、はい」
ニッコリと笑顔を浮かべるアルベドさんに、内心ハラハラドキドキ……ガソリン臭は感じられない。
「有益な情報ありがとうございます。これからも『色々と』よろしくお願いしますね♪」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
ミッションコンプリート!……とはいえ今後も助言とか必要な感じかなぁ、これは……
ともあれ、こうして色々と有意義な対話を(各アイテムについてとか「モモンガさん世界征服するんですか?」「え?」とかetcについて今は割愛!)して、あたしは無事ナザリックから生還を果たすのであった。
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「……色々と、規格外だったね、ユーディー……」
帰りの道中、おもてなしを受けたはずなのに逆に疲れ果てた様子でつぶやくアルシェ。
他のメンバーもボーっとしてたりして……えーと、大丈夫?
ロバーさん「神よ……」って、まるで巨人が進撃して来たみたいな顔になってるし……
「すごかったよね! あたしにとっては楽しかったけど?」
「……やっぱり一番の規格外はユーディーかも知れない……」
うーん……こっちの人には刺激が強すぎた?
また遊びに来てねって言われてるけど、その時は一緒に来てもらって大丈夫かなぁ……
「何にせよ、これで代替素材の発見も捗りそうだし、ますます楽しくなるわ!!」
今後も、いろんなお客さんや友達との出会いがあったり、将来的にはユーディー以外のアイテムにも挑戦したいし……
さぁ……天才錬金術士ユーディットの活躍は、これからよ!!!
と、いう事で今回も打ち切りマンガみたいなラストとなりました。
新しいシリーズのネタは今のところありませんし、今後は割愛した話とかを(『おおかみ』の方も合わせて)オマケとして書いてく予定です。
まぁ、物語の終わらせ方って「主人公が死ぬまでを追い続ける」か「こんな感じの未来になってくんだろうなと想像の余地を残して打ち切る」の2パターンしかありませんから、それなら打ち切りパターンの方が私は好きです。