【完結】ユーディー(偽)のアトリエ──アーウィンタールの錬金術士(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
ブド冷や「アトリエシリーズで言うLP消費とは、オバロで言う疲労や集中力の事だったのだ…つまり武技の使用限界はデニッシュで回復する!」
むちぷり「な、なんだってー!?」
ブド冷や「すなわちデニッシュはEDにも効く!」
むちぷり「な、なん(以下略)
side店主
「おぅマスター、ここで魔法のパンが買えるって聞いて来たんだが」
「いらっしゃい。デニッシュですね。いくつにします?」
「3つほしい」
「お、ついてますね。まとめ買いなら3つごとに銀貨10枚おまけするんだとか」
「マジか。そいつぁいいや。聞いた話だと、アレを食ったら怪我が回復するだけじゃなくて疲労感とか集中力も回復するんだろ? 武技の限界が一戦分増えるのは助かるんで、今回はキツい仕事だし、人数分買う事にしたから出費を覚悟してたんだ」
今日もデニッシュの売れ行きは好調だな。
これで3組目だ。
最初はどうなるかと思ったが、中々どうして悪くない。
「ところで普通のポーションとか解毒剤なんかは扱ってないのか?」
「申し訳ない。鋭意研究中らしく、もう少し先のようです」
「そうか。ま、今日のところはいいや。売り始めたら教えてくれ」
「えぇ、その時は是非。焼き上がりまで少々お待ちを」
……こっちとしても、早く『らしい商品』を出してほしいんだがね。
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「こんにちはユーディー。今日も
「アルシェいらっしゃい! ロバーさんには、ちょっと実験の手伝いしてもらってたの」
ノックして入って来たアルシェは、先客のロバーさんに不思議そう。
あれから3週間くらいかなぁ、フォーサイトには素材集めの依頼を出したりするようになったけど、それ以外の時もアルシェは顔を出してくれる。
さすがにタダじゃ申し訳ないから、売り上げから手間賃は払ってる。
デニッシュの売り上げは好調で、それに
というか、調合依頼の量が増えてきてるから必要な素材も増えて……
そろそろ『素材の持ち込みで割引』とか、他の冒険者やワーカーへの調達依頼とか、考えた方がいいかなぁ……
それはそうと、ロバーさんに手伝ってもらってたのは
「終わりました。これで良いんでしょうか」
「ありがとうございます! さぁて結果は……」
調合の時の素材を
さて、結果は……
「やった! まとめて『清められた』になってる! やっぱり関係あったんだ!」
「お役に立てたようで良かった」
「ありがとうございます! こちら
うやうやしく金貨を2枚ほど。
「いやいやユーディットさん、この術一つで金貨2枚は
「いえ! あたしの錬金術で『清められた』素材は、とっっっても重要なんです! 例えばコレ!」
と、あたしは緑色のポーションを見せた。
「ユーディー、ポーション完成したの?」
「まだ試作品だけどね? 今『経過観察中』なんだけど、あたしの予想では、このポーション劣化しないはずなの」
「「………………ぇえ!?」」
「緑色という事は薬草由来ですよね!?」
「ユーディーは
フッフッフッ、思った通りに驚いてくれちゃって。
「前にアルシェに
回復力は『ほうれんそう』準拠だから、デニッシュほどではない。
でも『祝福された』が手に入ってない今、劣化しない点ではデニッシュ以上。
量産も作り置きも簡単で、材料から見ても『半薬草ポーション』みたいな物だから、値段も銀貨16枚くらいを考えてる。
回復力が強力なデニッシュ、安くて劣化しないポーション……うふ、うふふふふふ……イケる。イケるわ!
おまけにコレ、たぶん『薬材料』として優秀よね。
これから先の調合に夢が広がるわー!
「でもユーディー、あまり安い価格にすると他の薬師に敵視されると思うよ?」
「がふっ!? 銀貨16枚じゃダメなの!?」
「金貨1枚は取った方がいい。むしろデニッシュは安いと思う」
「……じ、17枚!」
「……(金貨)1枚」
「ぐぅぅ……18!」
「……はぁ。ならそれで」
よっしゃー! ギリ金貨切ったー!
「でも本当、気を付けてね? デニッシュで充分に警戒されてるみたいだから」
「大丈夫、大丈夫」
「……もぅ」
もっと稼いで、たくさん採取して来てもらって……そうだ、今度たまに休み取って自分でも希少素材とか探しに行って、レシピも増やして……
まだまだこれからよ!!
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「……と、言う事らしいですぜ? 陛下」
sideジルクニフ
《皇帝執務室》
「……負傷のみならず疲労や集中力……武技の使用限界までも回復するとは」
事実であるなら使わない手は無いな。
エ・ランテル占領の予定を早める事さえ可能となるかも知れない。
どうせ王国との戦いは、いつも最初から日程が決まっている。日持ちしない事は何の問題にもならない。
「現物は確認したのか?」
「いえ、まだ。試しに買って来やしょうか?」
「……その錬金術師は若い娘という話だったな? ならニンブル、行って来い」
「はっ」
もし効果が『本物』だったなら、王国への流出を
ガゼフになど使われては目も当てられん。
好印象を与えておけば引き込む事になった時の布石になるだろう。
場合によっては私が直接会ってやるのも良いか。
ふふふ……
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と、いう事で今日はアトリエを休んで素材集めに『トブの大森林』へ来ました!
もちろん護衛はフォーサイトに依頼。
デニッシュもジャンジャン売れるようになったから、一人あたり金貨10枚の大盤振る舞いよ!
店主さんにも『あとは焼くだけ』のデニッシュ生地を大量に(アルシェに頼んで
売り切れ御免!
「それにしても、やっぱり森って色々なモンスターいるね。さっきの
と、あたしが感心してるとイミーナさんが
「って言ったって杖のフルスイングで秒殺だったじゃん」
と苦笑い。
他のみんなも
「
「
アルシェは『すごい』と言ってくれるけど、ヘッケランさんは『護衛の意味とは……』なんて表情。
「いやいや、それでもイミーナさんみたいには探知したり『蜘蛛の糸を矢で切る』とかできないし、魔力は温存しなきゃ」
と、あたしが言ったらヘッケランさんが
「いや、一発で当てたのは『まぐれ』だろ」
「うっさい!!」
ヘッケランさんのお尻にヤクザキックするイミーナさん。
夫婦喧嘩は犬も食わないねぇ……たぶん『そういう仲』なんだろうけど。お幸せに(パルパルパルパルパルp……)
いいもん、あたしにはアルシェがいるもん、なんつって。
もちろん冗談だし、そんな事言われたらアルシェだって困るよねぇ?
……なんて視線を向けたらアルシェの頭上の枝からスライム!?!?
あたしは慌てて杖を向け、
「フレイムフォーゲル!」
……ぇ、今あたし何を……
焼かれて蒸発するスライム。
「きゃっ」
アルシェは驚いて姿勢を下げた。
そこに何か小さい物が降って来た。
「アルシェ大丈夫!?」
「うん、驚いただけ。ありがとう」
良かったぁ……
「今のはヤバかったな……」
「お怪我がなくて何よりです」
胸をなでおろすヘッケランさんとロバーさん。
「ごめんアルシェ。スライムかぁ……こいつと蛇は音出さないからムズいのよね……」
「ううん、大丈夫……あれ? 足元に何か……」
落ちて来た何かをアルシェが拾い上げ……ぇ!?
「それ見せて!」
受け取った『何か』は……
「これ『ぷにぷに玉』だぁ!!」
「知ってるのユーディー? こんなの初めて見た」
スライムなんて、ユグドラシルのモンスターだと思ってたのに……どうして?
もしかして、あたしが『ユーディーの技』で倒したから?
……。
………………。
ま ぁ い い や !
ともかく、これでもっと色々なのが作れる!!
ヒャッホーイ!!!
これがあれば……何つくろうかなぁ……ひとくちだんご? みがわり人形? 生きてるナワも捨てがたい……うふふふ」
「ユーディー、楽しそう……」
……は!?
アルシェに生暖かい目を向けられてる!?
他、みんな引いてる!?
無意識に声に出てたみたいだけど『いっそスライム養殖してやろうか』なんて事まで言う前に気付けて良かった……
「と、とにかく劣化する前にポシェット入れなきゃ!」
「……本当に便利だよね、そのポシェット。入れた物の時間が止まるなんて」
まぁアイテムボックスも同じだし、たくさん入るからポシェットより便利なんだけどね。
ただ、出し入れする時に『中空に手を突っ込む』っていうのが異様すぎるから、人前では使えないよね……
と、いそいそ収納してると目の前の
飛び出して来たのは、
「リザードマン!?」
一気に張り詰める空気。
ヘッケランさんが呟く。
「あれはヤベェ……やり合ったら
あたしも戦力に含めて『その評価』という事らしい。
そりゃ、本当にヤバくなったら『もったいない』とか関係なく各種ポーションも毒もバラ撒くけど、やりたくはない。
ジリジリ後退するしかなさそう?
そう思っていたらリザードマンが口を開いた。
「……お前達、一つ
「スライム? さっき倒したやつ?」
あたしがアッサリ答えるとリザードマンは……なんだろう……鳩が豆鉄砲を食ったような? 感じで聞き返した。
「………………は? 倒した? お前達が?」
「“達”っていうか、こいつが」
と、ヘッケランさんが軽く
「そ、そう、なのか……うーん……お前達は、ここで何を? 俺はスライムを追ってただけだ。あんなのに住み着かれては漁が危険になるからな。お前達が我々の縄張りを荒らさないなら、正直戦う理由がない」
『引き下がるなら追わない』と。
これなら一安心、かな。
「あたし達は素材を集めに来ただけで……あ、そうだ、さっき漁って言いましたよね? 水辺があるんですか? 何か薬とか毒とかの素材になりそうな」
「……ユーディー……」
……はっ、そうだった、撤退を優先するべきなのに。
みんな『ぇえ……』って顔。
リザードマンにまで同じような顔された!?
「なるほど、お前は薬師か何かか……あー、俺はシャーマンじゃないから詳しくないが、集落近くで穫れる薬草は、ここらと変わらないし、沼でも何か特別な物が取れるとも聞いた事がないぞ」
遠回しに『お前らが来る意味はない』と言われている。
沼か……水深が深ければ『地底湖のたまり』みたいなの期待できないかなぁ、なんて思っちゃうけど。
あとは、魚とか貝とか?
「あのぅ……沼って深いです? あと、どんな魚とか捕れるのかなぁ、なんて」
やっぱり気になるのが諦められず訊ねると、ゲンナリした感じで答えてくれた。
「ハァ……北側の水深は深いらしいが、強いモンスターが生息しているから近寄らない。捕れるのは小さいカニや貝、魚は主食になるイーラと泥臭いバグラ、毒があって食べられないヌル……森の外でも見た事あるやつばかりだ」
……どうしても集落には来てほしくないらしい。
魚の特徴を聞く限り、マスとナマズとウナギっぽい。
ウナギ……リアルでは富裕層ですら食べた事がない絶滅種。
無茶苦茶おいしいらしい……錬金術と関係なく気になる……
「そのヌルとかいうやつ、知ってるのと同じなら焼いたら食べれますけど」
「何!? 焼くと毒が消えるのか!」
「同じなら、ですけどね? 現物を見てみないと、何とも……」
「むむむ……わかった。スライムを仕留めてくれた事もあるし、まぁいいだろう。少しここで待て」
やったー!!
みんな呆れた顔してるけど、美味しい物は重要!
しばらく待ってると、水も滴るいいリザードマン。
「これだ。どうだ?」
逃げられないよう首を折ったらしく、グッタリしてるけど間違いなくウナギだ(昔ネットで見た画像が事実なら)
「間違いないです。実際に食べて見せましょう」
リザードマンはジト目で『お前ホントは食べたいだけじゃないのか』と……いや証明って大事じゃん!(力説)
あたしはウナギを受け取ると、ポシェットからナイフを取り出しウナギを『加工』した。
……『料理』と意識すると失敗するの謎なんだけど。
開いたウナギを適当な枝に刺したら、ポシェットから魔法式ランプ(別にランプの精が出て来たりはしない)を取り出し点火。
焼きながらリザードマンさんに
「焼き魚って食べないんですか?」
「火を使うのは祭祀の時だけだ。だが、悪くない使い方だろうな。食料が増えるのは良い」
焼けてくると香りがヤバい……よ、よだれが……
リザードマンさんも
生魚そのまま食べるっぽいから塩味は余計なんだろうし、半分にだけ塩(調合素材)をかけて……
「できたー!」
“ウナギの白焼き”調合に成功した!
「あ、半分どうぞ」
「ん、おぉ、済まない」
あたしの様子に嘘がないのは気付いたんだろうし、何より香りが……という事で『毒見』という建前は吹っ飛んだ。
二人して
……うますぎてあたまがばくはつするかとおもった。
バタバタと足踏みする奇っ怪な生き物と化してしまった。
「おいしいよぅ……ほらアルシェも」
「う、うん」
などと回し食いでイチャイチャしてる一方で、
「……な、なんだこれは……なんだこれは!?」
リザードマンさんも脳内革命が起きてたらしい。
その後『ヌル(ウナギ)は回遊魚のはずだから、海で繁殖して川を
祭祀の時だけ振る舞う特別な魚にするらしい。
リザードマンさん(ザリュースさんというらしい)とは『今後あたし達が採取に来ても、いきなり襲いかかったりしない』と約束してもらい、その場を後にした。
帰って調合しなきゃ!!
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歌う林檎亭に帰ると、店主さんが教えてくれた。
「お。帰ったかいユーディット。デニッシュ160個は完売だ。品切れで断ったのが5件。それと……聞いて驚け? 四騎士の『激風』が一個買って行ったぞ!」
周りではフォーサイトのみんなが『ぇえ!?』と驚いてるけど、
「……えーっと、四騎士って何です?」
みんな
アルシェの解説によれば皇帝陛下の側近らしい。
「四騎士から『
そう店主さんは言うけど、逆に
ロバー…実験の手伝い…うっ頭が