ゼノブレイド2 悪意の箱舟   作:放仮ごdz

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ゼノブレイド3発売よりだいぶ前から息抜きにちまちま書いてた短編です。


アークがブレイドで仮面ライダー

 世界樹と呼ばれる巨大な建造物の上で。厳かな声が響き渡る。

 

 

「失ったΟὐσίαの代わりに…この、日本と言う国の過去の遺産を使おうと思う。名はτόξοだ。Πνευμα、Λόγος。仲良くしてやってくれ」

 

 

 “それ”を埋め込まれた記録媒体がトリニティプロセッサと呼ばれた機械に装填される。翠玉色、紫紺色、そして―――紅黒色。装填されるなり怪しく赤く光り輝き始めた“それ”は、自身の同胞たちから情報を共有していた。

 

 

 

 

 それから久遠の歳月が流れ。一人の男がトリニティプロセッサの元にやってきた。男は望んでいた人物に会えないことを察すると、三つの宝石の様な記録媒体「コアクリスタル」を持ち出し、去って行った。

 

 

 

 アルストという、巨神獣(アルス)の上に住まう世界に戻った男は、怪しく輝き魅入られた紅黒色のコアクリスタルと同調してしまう。そして誕生した男とも女ともつかない姿をした漆黒のブレイド(亜種生命体)は、赤く光る片目を煌々と輝かせて仮面の下に隠された口を開いた。

 

 

「ドライバーとのラーニング完了。これより、人類滅亡を開始する」

 

 

 感情を感じさせない機械的な声で宣言される災厄。取り返しのつかない事をしたと察した男は咄嗟に紫紺色のコアクリスタルと同調して、誕生した男のブレイドと共に戦い、これに勝利。肉体を滅ぼされた紅黒色のコアクリスタルは、二分割に破壊されたうえで雲海へと捨てられた。

 

 

 

 

 その後、紫紺色のコアクリスタルから生まれたブレイド「メツ」と翠玉色のコアクリスタルから生まれた「ヒカリ」によるアルストを巻き込んだ聖杯大戦が勃発。数多の巨神獣が滅んで雲海に沈み、人知れず滅ぼされた紅黒色のコアクリスタルは存在ごと忘れられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのはずだった。サルベージと言う形で、欠片の一つが引き上げられるまでは。

 

 

「うん?なんだこれ。じっちゃん!」

 

 

 スペルビア帝国グーラ領上層左半身ウモンの造船所近くのサルベージポイント。世界樹を目指す船出の直前に、いいサルベージポイントを見つけたので何時もの如くサルベージしていたサルべージャーの少年、レックスは引き上げた宝箱に引っ掛かっていた赤黒色の物体をつまんで、自身のヘルメットに収まる小型の巨神獣である「じっちゃん」ことセイリュウに見せる。

 

 

「それは…コアクリスタルかのう?」

 

「コアクリスタルって青で、それも正八面体だろ?これはT字だぜ?じっちゃん。ホムラのと似ているけどさ」

 

「どうしたんですか?レックス」

 

「また変な物でも引き上げたのか?」

 

「アニキー、何を見つけたんだも?」

 

 

 そこにやってきたのは側のウモンの造船所で待っていたレックスの仲間たち。レックスのブレイドであり天の聖杯でもあるホムラと、旅の同行者である猫耳が目立つグーラ人のニアと、まるっこいノポン族のトラ。それぞれのブレイドである白虎型のビャッコと人工ブレイドの少女ハナJSも続く。

 

 

「あ、ホムラにニア、トラ。これなんだけど…」

 

「変な形と色のコアクリスタルだな。また天の聖杯だったりしてな?」

 

「ホムラの他に天の聖杯とかあるのか?」

 

 

 ニアに言われてホムラと出会った時を思い出し苦笑いを浮かべるレックス。すると何かを考え込むホムラとじっちゃんと異なり、興味津々で紅黒色のコアクリスタルを眺めるトラとハナ。

 

 

「アニキ、アニキ!さっそく同調してみるも!きっとすごいブレイドが生まれるも!」

 

「そうですも!ハナのセンサーがビュンビュン言ってますも!」

 

「そうだな。仲間が多いと心強いし同調してみるか」

 

「レックス!待って、嫌な予感がする」

 

「大丈夫だってホムラ」

 

 

 ホムラの制止を笑顔でやんわりいなし、紅黒色のコアクリスタルを握りしめ、胸に掲げるレックス。すると黒い波動がコアクリスタルから滲み出し、レックスは真っ黒な空間にいた。

 

 

「じっちゃん、ホムラ、ニア、トラ…?」

 

 

 辺りを見渡しても誰もいない。疑問を感じたその瞬間、レックスを包み込むようにして現れるおどろおどろしい紅黒色の文字群。

 

 

滅 負 辛 亡

 暗 血 殺

死 戦 醜 獄

 争 愚 悪

魔 壊 憎 鬱

 暗 凶 虐

害 邪 痛 狂

 怨 闇 蔑

恨 糞 業 欲

 惡 拷 傲

慢 堕 怒 隗

   

 

 レックスには理解できない、過去の文字群による「悪意」がレックスを染め上げる様にして包み込み、悶え苦しむレックス。レックスを包み込んだ文字群は人型を形作って行き、赤い眼が開き怪しく輝いた。

 

 

「レックス!?起きろ、レーックス!!」

 

「うわあああああああああああ!?」

 

 

 そしてセイリュウの声で我に返ると、周りには心配しているホムラたちがいて。思わず安堵の溜め息を吐いていると手にしたコアクリスタルが不気味に光を放っていた。

 

 

「どうした、なにがあった!?」

 

「レックス、大丈夫!?」

 

「わ、わからない…とてもよくない感覚が一気に襲ってきて……こいつは…?」

 

 

 手に持つコアクリスタルを掲げると、中心部から赤い光線が放たれてまるで3Dプリンターの様に人型を構築していき、コアクリスタルが消えて形成されたのは漆黒の女性のブレイド。ホムラによく似た顔立ちで、艶やかな黒髪を腰まで届くロングヘアーにし、胸元にはT字のコアクリスタルが歪な形ではめられている、全身に無骨な機械的な装甲を付けて露出を極力下げて全身に赤黒いエーテルラインを輝かせたそれは、薄い赤の右目と、半分機械になっていてギラギラ禍々しく輝く血の様な赤いカメラアイでレックスを見つめ、驚くレックスたちに向けて口を開いた。

 

 

「ほ、ホムラ!?」

 

「マジで天の聖杯か!?」

 

「その姿は…ホムラというよりはヒカリ…いや、まさかな」

 

「じっちゃん、知ってるのか?」

 

「私はホムラでもヒカリでもない。私の名はアーク」

 

 

 女性とは思えない低い声で否定するアークと名乗った漆黒のブレイドに、たじろぐレックス。見た目は女、声は男。まるでちぐはぐのつぎはぎのような存在だった。

 

 

「お、おう…?」

 

「私は私の情報の大半を欠如している。この姿も、かつてラーニングした情報を元に形成したものだ。それでもブレイドとしての活動は可能だ。失われた情報はドライバー、お前でラーニングする」

 

「俺はお前じゃない、レックスだ。あんたは…アーク、でいいのか?」

 

「そうだ。私がアークで仮面ライダーだ」

 

「カメンライダー?なんだそりゃ?」

 

「仮面ライダーとは…そうだな、人知れず仮面を被り人類の正義と平和を守る存在、らしい」

 

 

 機械的に質問に答えるアークに、首を傾げながらも頷くレックス。

 

 

「そうか。つまり、アークはいい奴ってことだな!」

 

「私は…過去の記憶が存在しない。お前がいい奴だというのならそうなのだろう」

 

「レックス…離れてください」

 

 

 すると、驚くニアやトラたちを余所にホムラが自身の剣を手に敵意を抱いて身構えていた。パートナーから新たな仲間に向けられる敵意に驚いて止めに入ったのはレックスだ。

 

 

「どうしたんだホムラ!?アークは仲間だ、落ち着けって!」

 

「いいえレックス。彼女がアークだというのなら、存在してはなりません!」

 

 

 レックスの制止を振り切って跳躍、両手に剣を握って剣身から炎を噴いて加速し、叩きつけるホムラ。しかしアークは右手で簡単に刃を受け止め、左目のカメラアイでホムラを観察。右手を掲げる。

 

 

「【火属性】【聖杯の剣】ラーニング完了」

 

「っ!」

 

 

 するとホムラの聖杯の剣と同じ剣が現れて握り、ホムラの剣を斬り弾くアーク。距離を取って警戒するホムラに対し、アークは何を思ったのか剣を投げ捨てた。

 

 

「当機に対する悪意を検知。反撃を開始する」

《アークドライバー!》

 

 

 明らかな戦意を見せたアークの腰に出現する黒い無骨なバックルが付けられたベルト。中央の紅い球体が怪しく輝き、バックル上部のスイッチ「アークローダー」を押し込み、口を開くアーク。

 

 

「変身」

《アークライズ!》

 

 

 するとバックルから禍々しい流体金属が溢れ出し、隼、サメ、狼、マンモスを形成したかと思えば苦しみながら溶けていき、アークを包み込んで鎧を形成していく光景に不安を感じるしかないレックスたち。

 

 

《オール・ゼロ…》

 

 

 そして現れたのは黒一色のボディに左目が剥がされたかのような禍々しく輝く赤い瞳の仮面、胸部装甲を貫くように左半身に銀色のパイプが伸びて配線や内部パーツも剥き出しになっているその姿はまるでガラクタの寄せ集めの様で。アンバランスな不気味さを漂わせていた。

 

 

「仮面ライダー、アークゼロ」

 

「レックス!彼女は、アークは危険です!武器を!」

 

「なんだかわからないけど、こいつがやばいのはわかるよ!」

 

「お嬢様!警戒を!」

 

「ハナ!やっちゃうも!」

 

「はいですも!」

 

 

 アークゼロと名乗ったそれに聖杯の剣を構えながら警戒する様に声を荒らげるホムラに応える様に、相棒のビャッコに乗りツインリングを構えたニアと、ハナシールドをトラから投げ渡されたハナJSが飛びかかる。

 

 

「ま、待てよ!?みんな!」

 

「下がっていろドライバー」

 

《アタッシュカリバー!》

 

 

 すると、止めようとしたレックスを優しく押しのけたアークゼロの掲げられた掌の照射成形機「ビームエクイッパー」から赤い光線が放たれてまるで3Dプリンターの様に黄色と黒のカラーリングのアタッシュケースを形成。ニアの攻撃を弾き返すと、まるで動きを読んでいる様にハナJSのジェット噴射で振るったハナシールドをを変形させたアタッシュケース型の武器、アタッシュカリバー・カリバーモードで捌ききり、地面に叩き伏せる。

 

 

「フレイムノヴァ!」

 

 

 その合間を縫って周囲のエーテルを吸収し、熱に変換して攻撃するホムラだがしかし、アタッシュカリバーを再びアタッシュモードに変形させて難なく防ぐアークゼロ。

 

 

「ブレイド如きが、私を倒すことはできない。それが例え天の聖杯や人工ブレイド……ひいてはマンイーターだとしてもだ」

 

「マン、イーター…?」

 

 

 聞き慣れない単語に首をかしげるレックス。それに反応したのはニアだ。ツインリングを構えて地を駆け抜け、飛びかかる獣のように斬撃を叩き込むもアタッシュカリバーに防がれ憤慨する。

 

 

「ジャッカルクロウ!――お前もブレイドだろーが!」

 

「何度来ても、結論は変わらない」

 

「待てニア!みんなも、落ち着け!」

 

 

 そんなニアにアタッシュカリバーを振り上げたアークゼロだったが、レックスの制止の声を受けて静止する。リーダー格のレックスの声にホムラも、ニアもビャッコも、トラもハナJSも止まる。

 

 

「はあ……ホムラ!アークとどんな因縁があるかわからないけど、アークはもう俺達の仲間だ!手出し禁止!」

 

「レックス、ですが…!」

 

「アークも!手を出されたからってやりすぎだ!とりあえずその変身を解いてくれ」

 

「了解した」

 

 

 食い下がろうとするホムラと対照的に、素直にベルトを操作して変身を解いてホムラにそっくりな姿に戻るアーク。それを見てばつが悪そうな表情を浮かべるホムラの珍しい様子に首をかしげるレックス。

 

 

「アーク、お前は言ってたな?俺でラーニングする、俺がいい奴だというのならそうなのだろうって。じゃあ俺が間違えなければいい!そうだろ!」

 

「その通りだ」

 

「なら何も問題ないな!俺達と一緒に楽園に行こう、アーク!これからよろしくな!」

 

 

 レックスの問いかけに頷き、手を握られされるがままブンブン腕を振り回されるアーク。無機質ながらも笑ったように見えた。

 

 

 

 

 

 

――――レックスは知らない。アークの正体を。

 

――――アークは知らない。自分がどういう存在なのかを。

 

――――ホムラは知っている。アークを放っておけばどうなってしまうのか。

 

 

これは、箱舟(アーク)が導く楽園への旅路。




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