週一ってなんだっけ
「んっ、と。良いよムゥ」
「
シロコさんの合図の後にブォンと重い音が車内に響きます。
その後の車内は最初こそ戦車の中が珍しかったのか賑やかでしたが、しばらくすると静かになりました。
ちらりと後ろを見るとお互いに肩を貸しあって皆さんで寝ていました。一人を覗いて、ですが。
「失礼するよ~」
「えぇ、
おじさんはムゥの左後ろ、先生の左側の椅子に座りました。
「いやぁ~、本当にありがとね。来てくれなかったらおじさん達夜通し歩かなくちゃいけなかったよ~……先生が戦車を追いかけていった時はどうしようかと思ったけどね」
詳しく聞けば、戦車の接近に気づいたアヤネさんが警告をしたのですが、先生がムゥのことを呼びながら追いかけていったようです。
アヤネさんが
「その…すいません。通りすぎれしまっれ」
通りすぎてしまったのは
「まぁまぁ、いまこうして楽を出来ているから良いんだよ~、ていうかどうやっておじさん達のこと見つけれたの?」
「それは……先生と連絡がつかなかっ
【声を張り上げてハッキリと言い切る】
「そ、そっか~…」
久々に、ここまで滑舌が回らなくなりました。くそです。
まぁ?何気に戦車がガタガタと揺れて話しづらいですし?
………はぁ……なんでこんなに滑舌が悪いのでしょうね……?
「傷跡、残っちゃったか~…」
話をそらす為か、いきなり尻尾を撫でられました。
まだ着弾場所の鱗は薄いのか、そこだけやけにおじさんの体温を感じます。
いや、本当に暖かいですね?
「……まぁ、そのうち生え変わりますから」
「脱皮するの??」
半年に一回あるかないか程度ですがね。
大変なんですよ。
身体の鱗がポロポロと落ちてきて……なかなか鋭いモノですから寝床の布はボロボロになりますし、ぬいぐるみまで被害が及ぶので油断ならないです。
なので、治るのは確定しているのでセリカさんが気にし続ける必要はないんです。
起きてるの、わかってますから言っておきます。
この怪我は
最初からホシノさん達と連絡を取り合って連携していれば、こうはなりませんでした。
これはシャーレの慢心の結果であって決してセリカさんの、ましてやアビドスの皆さんの責任ではありません。
「………」
「……」
言い切ると、セリカさんは目を伏せました。
こうは言いましたが、納得は出来ていないのでしょう。
「でも、」「私がもっと強ければ」「私が気絶なんかしなければ」「油断しなければ」等の
セリカさんの気持ちは十分に理解できます。
ムゥだって、前世では頭が痛くなるほどに考えましたから。
なので、
「
「……は?」
顔は見れませんが、セリカさんが「なにを言ってるんだこいつは」という顔をしているのは想像がつきます。
……なんですかおじさん、その顔は。
「いやぁ……中々積極的だね?最近の子はすごいね~」
「は?」
何がですか?
まぁ、ヒトの身体を触らせてほしいと言ったので積極的と言えば積極的でしょうが……残念ですが、嫌なら良いのです。
前にワカモのを触ったときも暫く口をきいてくれませんでしたし。
「………ムゥちゃんって結構遊んでるんだね~……最近の子はすごいや」
ムゥの方が年上なのですが??
「ごめん……流石に、ちょっと……」
【セリカが顔を赤くしながら断る】
いえ、本当に良いのです。
無闇に触らせる場所ではないのは承知していますし、ダメ元だったので………それより、まだ到着まで時間が掛かるので寝ていて良いですよ。
「ほら、おじさんもれす」
「うへ?…いやそれこそ怪我人のムゥちゃんがだよ~。おじさんまだ元気だから運転を変わってさ~__おろ、?」
「む……ほら、大人しくしれいてくらさい。そもそもこの戦車はほぼレバーらけで操作するのれ足に負担はありません」
【尻尾でホシノを席に押し戻す】
「おおう……」
なんだ、随分とあっさり……いえ、それだけ気力で踏ん張っていたのでしょう。いい加減に少しくらい気を緩めて休んでほしいのですがね。
ムゥは身体こそ、身体だけは小さいですがあなた方よりも長く、多く生きて来ました。
ホシノ、貴女はまだ18にもなっていない子供なのです。
大人に寄りかかりなさい。
大人の足を引っ張りなさい。
「…………」
「………寝てましらか?」
まぁ、別にいいです。
まだホシノにとっては大人を信じるということは難しいでしょう。
まぁ
『心の中は誰でも部外者』
懐かしい言葉です。
とにかく、ホシノには時間ときっかけが必要です。
ホシノ自身が変わらなければいけません。
それに……
『……ほへぇ……zZ』
先生がそのきっかけになってくれれば……いえ、なるのでしょうね。
あなたは生徒に寄り添う。
あなたは生徒を信じる。
「おひとよし…」
この世界で貧弱なニンゲン
一発の弾丸ですら致命傷になる脆弱な肉体
そんな身体なのに、いつもダレカの為に動く精神
見合ってません。
身の程知らず……ですがまぁ…そのためにムゥとアロナがいます。
会長にも頼まれましたしね。
【握られたレバーからギリギリと音が鳴る】
◻️
◻️
「ふぅ………
あれから安全運転で数時間をかけてアビドス高校へ帰ってきましたが……もうすっかり暗くなってしまいました。
時計を確認すれば【8:43】です。
寝る時間を考えれば、すぐに起こして諸々の身支度をして貰いたいのですが……こう、疲れた表情で寝ているヒトを起こすのは気が引けます。
「うぅん……」
ですが、砂ぼこりでかなり汚くなっていますし、女の子なので綺麗にしてから寝てほしいのですが……うぅん………
【コンコン】
「む?」
今、戦車を叩かれた気が………あ、
「あの……ホシノ先輩~、先生~?」
【戦車のモニターにアヤネが映る】
………いえ別に忘れてなんかいませんでしたよ?
【少し急いで戦車から顔を出す】
「すいませんアヤネさん。遅くなりました」
「わゎっ!?む、ムゥちゃん!?___そ、そういえば今日退院っ」
「しぃ~、れす。今皆さんが寝てしまっているので……別に退院のころは気にしなくれいいのれす。それより___」
【起こすか悩んでいることを伝える】
「……それなら、ノノミ先輩かセリカちゃんを先に起こせば大丈夫かと、ホシノ先輩を起こすのも慣れてますから」
成る程、というかセリカさんおじさんを起こすの慣れてるのですね………想像はつきやすいです。
では、まずセリカさんから起こして__っ
「いっ……ッはぁ…」
「だ、大丈夫!?」
そう言えば、まだ足治っていないのに梯子を上ったり下りたりしてましたね……すいません、今日はもう足が限界なので皆さんを起こしていただけますか?
「当たり前です!急いで起こしてくるので動かないでください!」
そう言ってアヤネさんはタッタッタッと梯子を登って戦車へ入っていきました。
「………ふぅ…」
戦車の車体の上によじ登ってごろんと寝そべると中から声や振動が届いてきます。
主な内容はおじさんがなかなか起きないことや先生が寝ぼけている、といったものです。
寝ぼけた先生は少々厄介ですが、まぁなんとかな……よく考えれば先生だけは起こす必要は無いのでは?
皆さんを
………というか、星が綺麗です。
言ってしまっては悪いですが、アビドスが廃れて廃棄ガスやら有害物質、そして光がないからこう綺麗に見えるのですかね。
「……
つい最近会ったばかりですが、こうも日常が濃いと疲れてしまいます。
ちょっと…いやかなり早いですがアビドスの問題が解決したら、また休暇を貰って帰りましょう。
「くぁ……さむ…」
ちょっと眠くなってきました。
星が綺麗なのは良いのですが、寒いのは堪えます。
さっきまでエンジンの熱で暖かった車体も今ではもうヒエヒエです。
あぁ、そういえば加熱機構を……おろ、身体が思うように動きませんね。ちょっと気づくのが遅かったです。
この身体は冷えると動けなくなります。
それも指の一本も。
代わりに暑いと自分でもびっくりするくらい動けますけど発汗作用が無いので身体がオーバーヒートしてしまいます。
……我ながら本当に爬虫類のような身体です。めんどくせぇですね。
「ふぁ~…て、ムゥちゃん?」
はいムゥです___とはいえ、声も出せないのですがね。
て、そのおじさん、あまり揺らさないで欲しいのですが……いや、死ぬ訳じゃないですし、そんなに慌てなくても…
『ホシノ、ステイステイ……こんなに冷えちゃって』
【ホシノからムゥを引き剥がす】
『えっと………これか』
ふぅ………身体が動かないだけで意識ははっきりとあるので、助かりました。
先生が加熱システムを起動してくれたお陰でだんだんと身体の感覚が戻ってきました。
『ん~と……ムゥってね実は爬虫類なんだよ』
自分でも
説明するならしっかりと説明しやがれ、です。
皆さん何言ってるんだって顔をしていますよ。
『身体が冷えすぎると本当に動けなくなるんだよ。前にエアコンを付けっぱなしにしてたら本当に動けなくなってた』
付けっぱなしにしたのはあなたですがね。
起きた瞬間に冬の実家に帰ってきたのかと思いましたよ。
次にやったらハッカ油を原液で首と脇に塗ってやります。
それでガタガタと縮こまればいいんです。
……まぁハッカ油はおいおいやるとして、だいぶ身体の感覚が戻りましたが…なんというか、動くのが面倒になりましたね。
先生を足にしてこのまま寝てしまいましょうかね?
ですが
◻️
◻️
うちの子の情緒どうなってんやろ……
脈絡おかしいところがあるかもですがご容赦ください