「っ!ヒフミ!」
「え……マーケットガード!?み、皆さん此方へ!」
「え、わわ!?」
ヒフミがおじさんを引っ張って路地裏に身を隠すと、皆さんは何事かとそれを追って着いていってくれました。
そして、ちょうどそのタイミングでムゥにマーケットガードが銃口を向けてきました。
それも、生身の目の方に。
「おい、ここで何をしている」
「……買い物です」
「…………………………………そうか。彩雲がいる、周囲の警戒を強めろ」
……行きました、ね。
正直ちょっと拍子抜けですね。さっき……4~5時間前の騒ぎを嗅ぎ付けられたのかと思いました。
それよりも、警戒………何かの護送でもしてるんですかね?
よくみれば、防御陣形で歩いているようにも見えなくは無いですし、……あのトラックですか。
「___現金輸送車みたいだねぇ」
「成程、護送だったんだ…………じー」
「…………はっ!」
もう、あの輸送車から強奪すれば借金なんて返せるのでは?
「あの、私すご~くいやな予感がするんですけど…」
「奇遇ね。私もよ」
『え?』
どうせ、闇銀行に入るのは悪いお金です。
なら奪おうが知ったことではありません。
ちょうどシロコさんもやる気みたいですし、マーケットガード位なら余裕でしょう。
「わ~…二人とも無言でリロードなんかしちゃってどしたの?おじさんこわいなぁ……………一応聞くけどさ、何するの?」
「輸送車を襲うの」
「輸送車からお金を強奪します」
『………へ?』
「え、えぇ!?!?」
「だ、ダメに決まってるでしょ!?」
………え?ダメなのですか?どうせ、あのお金の元は犯罪ですよ?そしてヒフミ、なぜそんな目で見るのですか?
「ん、安心して。銀行は襲わないから」
「そういうことじゃないでしょ!?」
「あはは……こういうところは相変わらずですね……ははは…」
……なんですか、相変わらずって。
犯罪を犯しているのだから犯罪に犯される覚悟だってあるでしょう。覚悟があるヒトだけ犯罪をしているのです。
よって、あの輸送車を襲ってものーぎるてぃです。
「
「はいぎるてーぎるてー、アヤネさん、
「……え、なに、凄い雑にあしらわれた気がするんだけど……」
いえ、雑にはしてないですよ。様式美って奴です。
それより、あの輸送車が通ってからアヤネさんがずっと考え込んでいるようなので、そっちが気になります。
「いえ…あの、あの輸送車のナンバーに見覚えがあって…あ、」
「闇銀行に入って行ったね」
シロコさんの言う通り、輸送車は闇銀行に入っていきました。ですが……これまで、ブラックマーケットに来たことがないアヤネさんが何故ブラックマーケットを通る輸送車に見覚えが?
………何かニオイますね…よし。
行ってみましょう。
「皆さんはここで待っていてください。すぐ戻ります」
『唐突過ぎない!?ダメだよ!?ちょっと!?!?』
なにやらぎゃーぎゃーヤーヤー言ってましたが、確かめなければいけません。
もし、予想が当たっていたなら……遠慮なく、潰せますから。
元を潰せればアビドスの皆さんも借金なんて無くなります。
だから………当たってて欲しいです、ね。
と、輸送車からヒト…が……
「はぁ…あの幼女怖かったぁ………今月の集金です」
「幼女…?まぁいい、この書類にサインを」
「えぇ。……来月は幼女いなきゃ良いなぁ…」
守衛らしいヒトと話してるアイツ、今朝の集金野郎です。
ということは………今までの集金が現金のみだった理由……皆さんの、返済金が犯罪の資金に?
………ははは、____糞共が
やっぱり大人なんて糞だ。
利益のため、目的のために人情を捨てる汚い、きたないこころ
セリカさんは、自分の時間を削ってまで頑張ってんですよ
シロコさんは危険を犯しながら頑張ってんです
その、頑張った結果が終わりの無い道だとしても頑張ってんですよ、その頑張りが行き着いた場所がここ……?
「……フゥゥゥ…」
さっき、自分で思ったばかりでしょうが、
なら、なら………そうだあの書類、データです。
闇銀行との取引をしている証拠がれば、社会的に潰せる筈です。
それに……室内戦闘なら、大得意ですよ。
まずは、守衛をどうにかしなくてはいけませんね。それに、先ほどサインをさせていた端末から情報を引き出せればそれもokです。
まぁ情報が引き出せようが出せまいが、どのみち襲撃事態はしますがね。あの糞野郎(銀行員)も銀行の中にいますからね。
「は~、だりぃ………ん?なんだお前、彩雲のコスプレか?完成度高いな」
殺しはしませんが泣きわめく位にはヤらないときがすまねぇのでまずは
「なんだ?お前、さっさと__」
守衛からですね。
それにしても、まぁ警戒心の欠片のねぇこと、ヤりやすくていいですがね。端末も開きっぱなしなんで
「おい聞いてんかふっ!___」
さて、サインされた画面………では無いですね。流石に。
どうやらこの端末は送るだけみたいで、履歴こそ残っていますがストレージには何も残っていません。
送り先は………総務ですね。 サクサクと行きましょうか。
◻️
◻️(第三者視点)
「……な、なにあれ、凄い怖かったんだけど……」
セリカがホシノ肩を掴みながら言葉をぽつりと溢した。
セリカの視線は先ほど、ムゥに吹き飛ばされた守衛に向けれていた。
その件の守衛は壁に埋め込まれて完全に気を失っているのか微動だにしていなかった。
「……先生、セクハラもほどほどにしときなよ~?_____せんせ?」
ホシノは自身に抱きついている先生の腕をペチペチと叩きながら、怖がっているセリカと先生を茶化すようにそう言ったが、一向に離れる気配がなく、見上げて先生の顔を見た。
『ガタガタ((( ;゚Д゚)))』
「うへ、すごい顔だねぇ」
最近
「………なんで、急に銀行に殴り込んだんでしょうか……」
「う、う~ん……シロコ先輩じゃあるまいし……」
「シロコちゃん」
「………
まだ怯えている先生とヒフミ以外の全員がシロコが発破をかけたのかと視線を投げたが、シロコは本当に
そして、セリカが「まだ」の部分につっかかるが、そんな中てアヤネが真剣な顔をしながら口を開いた。
「あの、さっき銀行に入っていったトラックの人……」
「あ!!そうよ!アイツ!!うちにいつもくる銀行員よね!?」
今の今までムゥのヤったことのインパクトが大きくて忘れていたようだったが、セリカがそう叫ぶと他の面々もそう言えば、と思い出したようで険しい顔になった。
『……念のため聞きたいんだけど、闇銀行から借金してる訳じゃないよね?』
「違います!私たちが借金しているのはカイザーローンですし…」
「しゃ、借金!?それにカイザーローンですか!?」
カイザーローンという言葉にヒフミが異常な程に反応し、目を見開いていた。
「ヒフミちゃん、何か知ってるの?」
「は、はい。カイザーローンと云えば、カイザーコーポレーションの運営する高利金融業者です……」
「もしかしてマズイ所?」
「あ、いえ、カイザーグループ自体は犯罪を起こしていません、ただ……合法と違法の間のグレーゾーンで上手く振る舞っている多角化企業というか、何というか……カイザーは私達トリニティ区域にもかなり進出していて……あ、あの因みにどれ程の借金を……?」
「う~ん…9桁くらい?」
「___きゅつ!?!?」
「ありゃ、固まっちゃった。アヤネちゃんさっき入って行った現金輸送車の走行ルート調べられる?」
「今、調べています___けど、オフライン管理のようで全然ヒットしません。ナンバーの車両検索も該当ありません」
「やっぱりそうかぁ……」
ホシノはうへぇ、となんとも情けない声をだして額を押さえた。
「いつも返済は現金だけでしたよね、それってやっぱり」
「んー、まぁ色々予想は付くよね」
「私達が支払っていた現金が、ブラックマーケットの闇銀行に流れていた?」
「じゃあ何、私達はブラックマーケットに犯罪資金を提供していたって事!?」
『………そう言うことに、なっちゃうなぁ』
先生が肯定するとそれを皮切りにセリカが怒りの声を上げ始めた。
しかし、そんな中先生は一人で全く別の事を考えていた。
『なんで、ムゥは一人で唐突に闇銀行を襲ったのかな』
先生の知っているムゥは、
現に酔った先生にベタベタとダル絡みをされても、髪を固結びにしても【何してんだコイツ】という視線を投げるだけだった。
(因みに後の酔いが醒めた先生は固結びされた部分の髪を切り落とそうとしているのを目撃して泣きながら謝っていた。)
なのに、今回は唐突に闇銀行を襲っている。先生の知っている限りは闇銀行に何かされた…………
『あ"!?』
「はひぃ!?ど、どうしたんですか急に大声を出して!?」
ヒフミの心配する言葉を聞きながらポンっ!と手を叩いた。
『みんなのお金闇銀行に流されてたからだ!』
「…………先生、私は頭が残念な人でも」
「………」
今さら事実確認でしかないことをどや顔で言う先生を生徒たちはは呆れ、困惑、無、慈愛の目を向けた。
『や、ちがう__そんな目で私を見ないでっ!…………違くてさ、ムゥが銀行を襲った理由が皆のお金を横流ししてたからなんだって』
そして、先生がムゥについて簡単にだが説明を始めた。
基本的に自身と周りに害がなければ手を出さないこと、滅多には怒らないことを伝えると、ヒフミがカタカタと震えながら突然変異蹲った。
「あ、あぁ…だからムゥちゃんがあんなに怒って……よりにもよってじ、地雷の上を………」
『あ、あれ?どうしたのヒフミ?』
「………地雷?ねぇヒフミちゃんそれってどういうこと?」
「あ、え、えぇと……」
ホシノがヒフミに詰めよった。
その表情はどこか固く、睨んでいるようだった。
そしてヒフミは戸惑いながらも説明を始めた。
「む、ムゥちゃんは借金が原因で家族を亡くしているんです…」
「え、」
後からの情報がモリモリのムゥちゃんェ……流石にそろそろ過多では?